無口で無表情な年上彼女と体を入れ替えて純愛系いちゃらぶえっちで蕩けあう話 作:しじままどせ
「……入れ替わってセックスがしたい」
「え、今夜ですか?」
「……ん」
ふたりで晩ごはんを食べたあと、リビングルームでくつろいでいるときに、
優衣さんは僕の恋人だ。
小柄で華奢、無口無表情な女の子だ。僕よりもひとつ年上の大学三年生である。大きな丸い眼鏡をかけていて、緩やかな癖のある黒髪を肩まで伸ばしてしている。
僕とは去年から同棲をしている。というかわけあって彼女のマンションに僕が転がり込む形で始まった居候生活がいつの間にか恋人との同棲に形を変えた格好だ。
料理も掃除もなんでもできて、理知的で、そしてなにより優しい。常に無表情だから一見すると冷たい印象を受けるかもしれないけど、実際はとても面倒見がいいし、その心根はとても温かい、優衣さんはそういう女性だ。
もちろん、セックスのときもいつも優しい。ちょっと性欲が強い傾向があるけれど、ふたりで気持ちよくなれるように、痛くないように僕のことをすごく気遣ってくれる。
でも、そんな彼女にもひとつだけ困ったところがあった。それは……、
「……入れ替わりセックスがしたい」
これである。
ふたりの身体を入れ替えて──ようするに僕は優衣さんの体に、優衣さんは僕の体になってセックスをしたいと言ってくるのである。
僕たちには額を重ねて念じると互いの身体を入れ替えることのできる不思議な能力があるのだ。
いちばん最初に能力暴発したときは半年近く元の姿に戻れなくて、その時に僕たちは恋仲になった。
以来、僕たちはこの能力をフル活用して元の姿でセックスをしたり、入れ替わった状態でセックスをしたりして楽しんだりしていた。もちろん日常生活でただ入れ替わって生活をすることもあるけれど。
「僕、どっちかというと自分の姿でセックスする方が好きなんですけど……」
「……ん。知ってる」
「優衣さん僕の姿になるとけっこう容赦なく責めてくるじゃないですか。痛くはないですけど、イキすぎるというか」
「……やだ?」
「嫌じゃないですけど、イキすぎると怖くなったりするといいますか」
「……むぅ」
ほっぺたを膨らませて不満げな顔をする優衣さん。ソファーに体育座りをして、上目遣いにこちらをじっと見つめている。
愛らしい印象だ。ひざ丈の清楚なスカートと、白いブラウスがよく似合っている。どう見ても少女にしか見えない容姿なのに僕よりも年上で、しかもド清楚なのに、僕とめちゃくちゃえっちなことをしたがっているのだから不思議だ。
「どうしても、いやだ?」
「いえ、優衣さん、どうしても嫌というほどでは……」
「……
「う゛ー……」
彼女は僕の腕に抱き着いて、うるうると目を潤ませながら上目遣いに見上げてくる。
こうなると、僕は弱い。
普段はポーカーフェイスのくせに、こういうときはわかりやすい。つまり『あなたとセックスがしたいから言うことを聞いて』ということなのだと思う。
そんな風におねだりをされたら、僕も断ることなんてできないわけで。
「わかりましたよ、いいですよ。入れ替わってセックスしようじゃないですか」
「……ん! ありがと、だいすき」
ふわ、と表情を緩めて、優衣さんは嬉しそうに抱きついてきた。華奢な身体を僕に預けるみたいにして首に腕を回す。
そしてそのまま唇が重ねられた。
「……ん、……ふぅ、ちゅ……っ、れるぅ……」
最初はついばむように、それから舌を差し入れられて優しく口腔内を舐められる。おずおずとこちらが舌を伸ばせば即、絡め取られる。ぬる、れろぉ……っ、と粘膜同士をこすり合わせるような深いキスだ。
同時に僕の首の裏から背骨にかけてを指先でなぞってくる。ぞくぞくぞくっと快感が背筋を這い上がってきた。
「ん、ぷはぁ。……ふふ、あなたのお顔、とろとろ」
「優衣さん、なんだか今日はやけに積極的じゃないですか?」
「……ん」
すこし恥ずかしそうに顔を赤らめながら、こくりと小さくうなずく。
「……最近、あんまりできてなかったから」
確かにここ数週間ほどはお互いに忙しかったのでご無沙汰気味だった。とくに入れ替わりセックスはしていなかった。
恥ずかしそうにうつむく彼女の頬に手を添えて上向かせる。
丸眼鏡の奥の綺麗な瞳と目が合って、微笑む。
「じゃあ今夜は入れ替わっていっぱいセックスしましょうね」
「……ん。やる気出た?」
「出ました。優衣さんがあまりにも可愛いので、めっちゃやる気出ました」
「えらい、えらい」
自然と、ふたたび唇を重ねる。
今度はこちらから舌を差し込んだ。歯列の裏側や上顎など、優衣さんの弱いところを舌先で刺激しながら彼女の身体を押す。
ソファーにふたり一緒に倒れ込むようにして横になる。僕は彼女の上に覆い被さるような体勢になった。
ちゅ、ちゅう……っ、と優衣さんの小さな唇に吸い付く。彼女の腕は僕の背中や腰をまさぐるように動いている。
ふたりとも発情してきて、唇を離したときには息が上がっていた。お互いの唾液が混じり合った透明な糸が伸びていく。
「ん、……きもちぃ」
「ですね、僕もです」
「勃起した?」
「しました、すごくしました。優衣さんは? えっと、濡れました?」
「……ふふっ」
無表情な彼女は目を細めて笑った。珍しい、これは喜んでいるときの反応だ。
「……それは、入れ替わってから、あなた自身で確かめて」
確かに、入れ替われば僕は優衣さんになる。彼女の身体の反応はすべて分かってしまう。
もちろん、僕が勃起しまくっていることもバレてしまうけれど。
「じゃあ、そろそろ替わりましょうか」
「ん、替わる。額を重ねて……」
「ええ、重ねて……」
額と額を、重ねる。
目の前に優衣さんの綺麗な瞳。柔らかな香り。超至近距離で見つめ合う。
そして、
「「──チェンジ」」
合言葉を唱えた。
──ぐるん
と、視点が反転する。地軸ごとひっくり返ったみたいに、視界が暗転する。
めまいのような浮遊感。
魂が抜けていく脱力感。
好きな人と有る安心感。
ああ、入れ替わるんだ、と思った次の瞬間にはもう意識が失われていた。
ホットミルクみたいな、優しくて甘い温たかさに包まれながら……。
◇◇◇
「……起きて、優衣」
髪を撫でられている。
サラサラと優しい手つきで何度も撫でられている。僕の頭頂部から側頭部、頬を経由して首、喉、鎖骨のあたりまでを往復している。
気持ちいい。もっと撫でてほしいと思ってしまうほどに心地良い感触だった。
腹の奥でじんわりとした火照りがあって、ああこれ子宮が疼くときの感覚だな、とぼんやり思う。ヘソの下あたりがずぅんとして、腰回り全体が甘く痺れるような感じで、切ないのに幸せで……。
「優衣、優衣……?」
ささやくような低い声で名前を呼ばれるたびに火照りが広がる。お腹から胸までもが熱くなる。
僕の名前は優衣ではないのに。
意識がすこしずつはっきりしてきて、そしてゆっくりと目を開く。
薄明るい蛍光灯のほのかな光と、それから優しげなまなざしがあった。ぼんやりとしてよく見えない。でも、それが誰なのかはよく分かった。
僕はその人に声をかける。いつもより高い、鈴の鳴るような声で。
「すみません、起きました。おはようございます、優衣さん」
「……ん、優衣は、今はあなたの名前」
「そうでしたね、すみません」
入れ替わりの魔法を使ったのだった。
だから僕は優衣さんに、優衣さんは僕になっている。
視力の低い優衣さんの目では輪郭がぼんやりとしか見えないけれど、そこに立って僕を呼んでいる彼は元僕、すなわち優衣さんなのだった。
「僕、けっこう長いこと意識を失ってました?」
「……いえ、十五分ほど」
「あー、すると、けっこう寝ていましたね。すみません、お待たせしました」
などと言いながら僕は自分の喉や丸みを帯びた肩、ほのかに膨らんだ胸などを確認する。
うん、優衣さんの身体だ。入れ替わりはつつがなく成功したようだ。
「あなたの寝顔、可愛かった」
「この顔の造形は優衣さんのだと思うんですけど……」
「それはそう」
「まあ、優衣さんの寝顔が可愛いのは間違いないですけどね」
「……自分の寝顔を客観的に見るの、面白い」
「あはは、よかったです、楽しんでいただけて」
僕たちは笑いあう。
入れ替わっても恋人同士なのは変わらないのだ。むしろ恋人だからこそこういう冗談を言い合えるのかもしれない。
本来的にはその顔は僕のモノだけれど、中身が優衣さんになるとキリッとした顔つきになってなかなか格好良い。まあ、優衣さんの目と脳というフィルターを通しているからそう感じるのかもしれないけれど。
「……立てる? ベッド行こ?」
そう彼女が大きな手を差し出してくるので、僕はその手を取って立ち上がった。ふわり、と僕の履いているひざ丈のスカートが揺れた。
身体が軽くなっている。身長が30cmばかり縮んだせいだ。
優衣さんの体は小柄で華奢だ、けれども軽いので立ち上がるときに楽だ。歩くときは歩幅が小さいので小股でちょこちょことした感じになるので一長一短だけれど。
「優衣さん、ベッドまでエスコートしてくださるんですか?」
「……ん。それが男のつとめ」
「あはは、そうですか。ではお願いします」
手を繋いで寝室へ向かう。背の高い優衣さんはゆっくりと歩いてくれて、僕は安心して彼女の隣を歩けた。
彼女は入れ替わったときは普段よりもずっと優しくなる。なんというか、いつもよりもずっと余裕があって、包容力があるのだ。
そんな彼女の隣を歩くのは幸せで──
──あれ?
その時ふと、股間がおぼつかないような感じがした。
スカートを履いているから、というだけでは説明できないくらいスースーするというか、お尻の辺りが心許ない感じがするというか。
おそるおそる、スカートの上から自分の尻に触れてみて、それで理由がわかった。
すると、こちらが察したことに気付いたらしい優衣さんがこちらを見下ろしてくすりと笑う。
「……気付いた?」
「気付きました。これって……」
「ふふっ、まだ見ないで? 後でのお楽しみ」
そう言って悪戯っぽく微笑み、彼女は僕の腰を抱くように引き寄せてくる。
くら、と彼女に密着するみたいにして寄り添わせられながら、僕は思った。
これ、たぶん際どいショーツを履かされているな、と。
優衣さんは恥ずかしがり屋だからあまり自分ではえっちな下着は履かない。でも数枚くらいはきわどいショーツを所持していることを僕は知っていた。
「……興奮してきた?」
「僕ら、もともと興奮してますよね?」
「そうだった」
「セックスするんですもんね」
「しかも入れ替わった状態で」
「すごいことですよねえ」
「すごい、すごい」
クスクスと二人で笑いながら寝室へ入り、そしてベッドに並んで腰掛けた。
隣に座った優衣さんはやはり大きい。あるいは僕が小さい。隣に座ると余計に体格差を意識させられる。
僕は彼女を見上げながら優衣さんの太ももに手のひらを乗せる。そのまま手のひらをすすす、すすす……っと滑らせてみる。まるで誘惑をするみたいに。
硬くてたくましい太ももだった。まあ僕が鍛えているから当然といえば当然か。
そうして撫でていると彼女の股間部分がズボンを押し上げて
そこを指先でつついてみると、彼女の手が上から被さってきた。大きな手でぎゅっと握られる。
「あ、優衣さん……」
「……いやがっていたのに、積極的」
「そりゃあ、そうですよ。せっかくなので……」
そう言いながら、握った手を誘導されるままに動かしてみる。すると、指先が硬いものに触れた。
ピーンと勃起したモノの形を確かめされるように、優衣さんに触らせられる。それはとても大きくて立派で、太くて固くて熱かった。
これが僕の中に入ってくるのだ。
そう思うとドキドキして、お腹の奥が弛むような感覚があった。子宮口がきゅぅんと甘く疼いて、バルトリン腺がとろとろと粘液を分泌しているのが分かった。
「……わたしも、積極的」
「カチカチですねぇ、優衣さんのおちんちん」
「そう。あなたのせい」
「僕が性欲を溜めすぎたせい? それとも、僕が可愛いから?」
「……ふふっ」
クスクスと彼女は笑って、大きな手のひらを僕のアゴに添えてきた。それから親指を伸ばしてきて、唇をそっとなぞられる。
それだけでぞくぞくっとした快感が走った。
そしてクイッとあごを持ち上げられて、無言で唇を近づけられた。僕も黙ってまぶたを閉じる。
ちゅ、と唇と唇が触れ合った。と思ったら口腔内に舌が入ってきて、舌同士を絡め合う濃厚なキスになる。大ぶりな舌で上あご、頬の内側、歯茎の裏まで舐め回されて、口の中の粘膜を全部味わわれるみたいなディープキスだ。
脳みそとか頭の内側まで舐められているような錯覚を覚えるくらいのキスで、首の後ろや脊椎、背骨を伝って尾骨までピリピリとした甘い痺れが走っていく。
「ん……んちゅっ♡ ……んっ、……っはぁ……んむ……っ♡」
息継ぎのために一度離れてもまたすぐに求められて、酸欠一歩手前になるまで唾液を交換しあうキスをされた。お互いの口周りはべちゃべちゃになって、糸を引いて垂れた唾液がぽたぽたとシーツの上に落ちる。
僕の手のひらは相変わらず優衣さんの股間を握らされていて、そこがどんどん熱くなっていくのが分かる。彼女の興奮が、文字通り手に取るように分かる。
そのまま彼女の体がのしかかるみたいに倒れてきて、僕は押し倒されるような体勢になった。
ふわり、と柔らかくベッドに着地する。
「……脱がせても、いい?」
「優衣さんの服ですよ、これ。あなたに権利があります」
「ふふっ、それはそう」
僕の頭の横に手を突いて、キラキラとした目で見つめてきながら優衣さんが言ったので、僕は安心して体から力を抜いた。
彼女が服を脱がせやすいように、だ。
そうしてセックスのために、僕たちはお互いに生まれたまま
◇◇◇
ぷち、ぷち、ぷち……っ、とひとつずつブラウスのボタンが外されていく。
大きな指で小さなボタンが丁寧に外されていくその仕草に胸がきゅんとして、同時に期待感が高まっていった。
やがて全てのボタンを外し終えた彼女は、それを左右に開いて前をはだけさせた。ブラジャーに包まれた胸元が現れる。
「……かわいい」
「うわ、ホントですね、優衣さん」
「さすがはわたし」
「あはは、自分で言いますか、それ」
冗談めかして言うと、優衣さんがくすりと微笑んでくれた。でも目線は僕の胸に釘付けだ。
つられて僕も自分の胸へと視線を下ろす。
そこにはライムグリーン色のブラジャーがあった。フリル付きの可愛らしいデザインで、カップ部分は繊細なレースで彩られている。
あまり大きくない胸を覆って飾り立てている。素直に可愛らしくて、けれどもちょっと大人っぽい感じのデザインだった。
普段はぜんぜん色気のない地味ぃなスポーツブラとかチューブトップしか身につけない優衣さんなのに、今日はこういう下着を用意してくれているあたり、彼女も気合いが入っているのだろう。
「ふふ、かわいい、かわいい……」
というかこの子、自分のブラを客観的に見て楽しむためにこのブラジャーを選んだのではないだろうか。
そんなことを考えているうちに体を横向きにされて、背中のホックをぷちんと外されてしまった。肩紐がずり落ちて支えを失った乳房がふるんとまろび出る。
といっても乳房そのものが大きくないので、さほど迫力はない。仰向けになるとほとんど膨らみが確認できなくなる程度の貧乳だ。
けれども横を向けばそちらに胸の肉が流れるし、仰向けになればふるんと揺れる。そのせいで自分が女性に──優衣さんの体になっていることを意識させられる。
「わたしのおっぱい見て、どきどきした?」
「まあ、しました」
「撫でてもかまわない?」
「恥ずかしいからダメです、って言ったらどうします?」
「撫でる」
「あはは、結局撫でるんじゃないですか。じゃあ、優しくしてくださいね?」
「……ん、善処する」
低く優しい声音で耳元へささやいて、優衣さんの大きな手が僕の左胸を包み込んだ。
胸の輪郭を確かめるみたいに腋の側から胸の中心に向けて、決して強くない力で揉まれる。円を描くように優しく撫でまわされる。それだけでゾクッとする。
彼女の手の動きに合わせて、僕の体の輪郭がはっきりしていく。小柄で華奢だけれど女性らしい丸みを持った柔らかな肉体。
「……っ、……んぅ……っ♡」
自然と甘い声が出て、びっくりした。乳房を柔らかく撫でられているだけなのにこんなふうに感じるなんて。
手のひらに覆われていない部分も含めた全身が温かく火照ってきて、お腹の奥がきゅんきゅんとうずく。
「……ん、ここ、気持ちいい? おっぱいの真ん中がコリコリしてきた」
「は、はい……、あのぉ、優衣さんの触りかたが優しいので……」
「もっと触ってほしい?」
「気持ちよくしてほしい、です」
「わかった」
「あっ、でも、ちょっ、待ってくださ──」
ちゅう、といきなり優衣さんの唇が僕の乳首に吸い付いた。
熱くぬめった口腔内に迎え入れられてぬ゛ろぉ……っ♡と舌を這わされる。そしてそのまま唇で食むようにされながら丁寧にぬるり、ぬるりと舐められる。
「──っあ、あ……っ♡ だめ、優衣さん、それぇ……っ♡」
ぞくぞくと腰から背筋を伝って快感が走る。ビリリと痺れるような感覚だった。思わず背を反らしてしまう。するとまるで彼女に胸を差し出すみたいになってしまった。
彼女は僕の胸を舐めながら、もう片方の乳首を手のひらで覆っている。指先で乳輪の周りをくるくるとなぞられ、爪の先でカリカリと掻かれる。そして膨らんできたそこを指でつままれて、シコシコと扱くように転がされる。
「……あぁ……っ♡ そ、それ……っ、それぇ……っ♡」
「ん、……っちゅ……、これ、好き?」
「腰が、なんでか腰がびりびりして……っ、おかしくなりますぅ……っ♡」
「ふふ、かわいい……」
優衣さんはそう言って、また乳首を口に含んだ。今度はちゅぱちゅぱと音を立てて吸ってくる。主観的には元自分に乳首を吸われている光景だけど、不思議と愛おしい感情がわいてくる。痺れて、気持ちがよくて、思わず腰を浮かす。
「……っひ、……っあぁ……っ♡ あぁぁ……っ♡」
浮いた腰を押さえるように、優衣さんの空いた手が僕のおなか──へそのあたりに乗ってきた。すとん、とベッドに縫い付けるみたいに体重をかけてきたのだ。体がベッドに沈む。そうされると僕はもう身動きが取れなくなってしまう。
彼女はそのまま僕の胸を責め続ける。僕が悶える様を楽しむみたいに、執拗に何度も何度も同じ刺激を与えられ続けた。彼女の唾液にまみれた乳房は真っ赤に充血していて、ぬらぬらと光っていた。
「あ、あ、あ、あぁぁ……っ♡ だめです、優衣さん……っ♡」
「……んちゅ……ふふっ」
「だめ、だめ、気持ちいです、それぇ♡」
身じろぎさえできない体勢で一方的に快楽を注ぎ込まれ続け、頭がぼーっとしてくる。思考能力がどんどん奪われていく。
胸だけではなくおなかの下あたり、ちょうど子宮が収まっているあたりを腹越しに指でトン、トン、トンとノックされる。僕の子宮がそれに反応してじゅんわりと疼く。まるで『お前は女なのだ』と理解らせるかのように、しつこく繰り返される。
「……っ♡ ……っ♡」
そのたびに甘美な痺れが背骨を通って脳まで駆け上がる。呼吸が荒くなり、酸素を求めて口を大きく開くと甘い吐息が漏れた。
「……ん、お顔がとろとろになってきた。かわいいね、女の子のところをさわられただけでそんなに感じちゃうんだ」
「だ、だってぇ……、優衣さんが上手だからぁ……♡」
「ふふ、それはそう。わたしはあなたが感じているのをみると興奮する」
「っ、あ、あ、あ、……っ♡」
僕の下腹部を弄んでいた彼女の手がそのまま下がってきて、僕のスカートをふわりと持ち上げた。それから上半身を起こされて、僕からも自分の下半身が見えるようにされた。
優衣さんのショーツが見えた。
ライムグリーンの、ブラジャーとセットのショーツだ。フリルとレースで愛らしく彩られた、しかしセクシーで扇情的なデザイン。
「……っ、ゆ、優衣さんの、下着……」
「そう。でもとろとろに濡れてる」
「──ッッ」
彼女の指が内ももからすすす、と股間へと伸びてきて、割れ目をショーツ越しになぞった。それだけでぐちゅりと音が鳴るくらいに濡れている。
そこを優しい指使いで撫でられる。二本の指ですりすり、すりすりと撫でらる。
「すごい……。糸引いてる」
「あぁ……っ、だめです、っあ、あ……っ♡ 優衣さん、それ、……っ、きもちよすぎます……っ♡♡」
「知ってる。気持ちよさそう」
「……あ、っひどい、いじわるです……っ♡」
「きみがかわいいからいじめたくなっちゃうの」
「ん、んん……っ♡」
やや強引に足を開かされて、M字にされて、自分の秘部が蕩けていくさまを見せつけられる。
ライムグリーンのショーツの股間が変色していって、お尻の方まで染みが広がっていく様子はあまりにも淫靡だった。見ているだけでドキドキするし、恥ずかしくて死にそうになる。なのに目が離せない。
そのうえ、今の下着は実のところTバックだ。だからお尻の肉は優衣さんの手で直接撫でられるし、布面積も少ないから割れ目に食い込んでいる。普段はグレーの地味なパンツばっかり穿いているくせに……!
どう見ても優衣さんは僕にこのショーツを見せつけたがっていたとしか思えない。そんなことを頭の片隅で思う。
くそお、優衣さん、可愛いな。普段は無口無表情なくせに、こういうときだけ可愛くなるのずるい。
「……っ」
恥ずかしさに耐えかねて、つい顔を背ける。
すると優衣さんが僕の頬に手を添えてきた。正面を向かせて、僕の濡れぼそった秘部とちゃんと向き合うようにさせられた。
「……っあ、あぁ……っ♡」
「ほら、見て。すごくえっちになってる」
「あぁぁ……っ♡」
優衣さんは僕の耳元で囁きながら、さらに僕のクリトリスをショーツの上からくにくにと刺激してくる。
そこに男性器が生えていないという事実が目に見えてわかる。
どう見てもペニスのない僕の股間が、優衣さんの手で可愛がられている。その倒錯感にクラクラする。
「……っ♡ や、……っ、やだぁ……っ♡ 見せないでください……っ♡♡」
「ふふ、いやらしい。クリトリスも勃起してる。わたしのパンツもこんなに濡らして……」
「……ッッ♡」
「恥ずかしい?」
「は、恥ずかしいです……っ」
「わたしも恥ずかしい。わたしの体なのにこんなにいやらしく反応してる」
単に感想を述べるみたいに淡々とした口調だった。
けれども僕は知っている。優衣さんの瞳の奥がどろりとした熱を帯びていることを──彼女が興奮しているのだとわかってしまう。それがたまらなくて、また僕の奥がきゅんと疼く。
優衣さんの指先が僕のショーツにかかった。そしてそのままずり下げられる。腰を浮かして協力すれば、あっという間に脱がされてしまった。
「そろそろ一回イッておこう? あなたが可愛く気をやるところを見せて?」
「あ……っあ……あ……っあぁぁぁ…………っ♡」
くりゅん、と優衣さんの中指が僕の膣内に入ってきた。ちゃんと爪を短くしておいてよかった。どこにも引っかからずに膣奥まで一気に挿入されてしまう。
そしてすぐに親指で陰核を擦られる。中指をつぷぷ……っ♡ぬぷぷ……っ♡と抜き差しされながら、一番敏感な突起をくりくりくりとこね回される。
自分の体の内側を撫でられる感覚。女性にしか存在しない器官を丁寧に愛撫される感覚。そのどれもがたまらなかった。
思わず腰が浮き、甘い声が止まらなくなる。そのあえぎ声は僕の大好きな優衣さんの嬌声そのもので、自分でやっているのに耳まで気持ちがいい。
「あぁぁ……っ♡ だめです……っ♡ それぇ……っ♡ それぇ……っ♡」
「だめじゃないよね?」
「だめです……っ♡ だめ、いくから、あ、いぃ……っ♡ ……っ、あ、あ、あっ♡♡」
「いいよ、イッて」
耳元で低い声で言われた。
同時にクリトリスが親指でぎゅーっと押し込まれた。中指は子宮口を捉えて、くにゅ♡と押す。
「~~~~~~ッッッ♡♡♡」
その瞬間、達した。
背筋がぐいっ、とのけ反って、脚先がぴーんと伸びてしまう。くるんと足の指先は丸まって、舌が出る。眼球が上を向いて、しかして視覚はまっしろになる。
ひゅっくん、ひゅっくん、ひゅっくんと膣内が優衣さんをねだるように蠕動して、それに伴って腹筋も痙攣する。全身で絶頂を表現する。
視界の奥で何かが弾けて、それが消えない。ずっと絶頂感が続いているような錯覚さえ覚えた。絶頂したはずなのに、身体の中で何か熱いものがぐるぐると渦巻いているような感じだった。それが快感なのかなんなのか、もうよくわからない。
ただ、優衣さんに触れられることが嬉しい。
気持ちいい。
しあわせだ。
そんな感情だけが頭の中にあった。
「あ……♡ は……♡ ふぅ……っ♡」
「……ん、イッたね」
「んぅ……っ♡ はぁ……っ♡ ふぁ……っ♡」
やがて弛緩していく体をゆっくりとシーツの上に下された。汗ばんだ肌には布地が張り付いていて、けれども不快感はない。
多幸感でいっぱいになったまま、僕はベッドの上で四肢を投げ出す。そのまま息を整えていると、ふわふわとした意識の中、優衣さんが僕の腹部を撫でているのが見えた。
「……ん。上手にイケたね。えらかった」
「いき、ましたぁ」
「いい子、いい子……」
優衣さんは優しく微笑みながら、僕の頭をなでなでしてくれる。まるで子供をあやすような仕草だったけれど、それでも彼女に頭を撫でられるのは心地がいいし、気持ちよかった。
「ゆ、優衣さん……」
「んー?」
「……きす、したいです……」
そうつぶやくと、彼女は一瞬きょとんとした後、ふわりと笑った。そして僕に覆いかぶさるようにしてキスをしてくれた。
ちゅ、ちゅと触れるだけのキスを何度か繰り返して、僕はほにゃほにゃに蕩けた気持ちのまま彼女の唇を受け入れる。あたまがぼーっとして、キスで快楽を上乗せされる。もっともっとして欲しい。そう思ったところで、ようやく唇が離される。
「かわいい顔」
「……っ♡」
うっとりとした表情でそう言われて、僕はそのまま言葉を返すことができなかった。
だって、こんなとろとろに溶けた顔を可愛いなんて言われたら、それだけでまたイッてしまいそうになるから──。
「……きもちよかった?」
「ええ、すごく……」
「わたしの体、すき?」
「好きです。あのぉ、男として優衣さんを抱くのも好きですが……」
「わたしも」
「それは、どっちの意味で?」
「………………」
「………………」
そんな会話を交わしながら、僕たちはそれぞれ全裸になった。
といっても僕の方はほとんど裸みたいなものだったから引っかかっていたスカートを取り外したりする程度だったけれど。
一方で、優衣さんもまた慣れた手つきでシャツを脱ぎ、ズボンとパンツも窮屈そうに脱いだ。パンツの奥で張り詰めていた勃起がびょん! と勢いよく飛び出す様子に思わず釘付けになってしまう。
いやまあ、元は自分のだし、いつも見てるけど……、でも客観視するとなかなか大きいな、と思ってしまうわけで。
ピーンと天井に向かって屹立しているペニスを見ていると、なんだかすこし変な気分になってきた。
自分のモノに向かって『かっこいい』なんて感慨を抱くのはどうかと思う。
思うのだけれど。いや、これは優衣さんの目と脳というフィルターを通しているからだ、仕方ないことなのだ。
僕がそんな風に思っていると、優衣さんは恥ずかしそうに股間を手のひらで隠してしまった。
「じろじろ見られると、恥ずかしい」
「あ、すみません」
「おちんちんは、性的興奮が目に見える形であらわれるから、恥ずかしくなる。世の中の男性はみんな恥ずかしくないのかしら……」
「慣れていると思いますよ、みんな」
「……そう?」
「たぶん……」
そんなことを言いながら優衣さんに近づいて、彼女のふとももに手を置く。ぴくんっ、と彼女が震えたのがわかった。
そのまま内ももに手のひらを沿わせて、股間へと滑らせていく。そうして辿り着いた先にあるモノにふれて、彼女の顔を見上げた。
優衣さんは照れくさそうに頬を赤らめながらも、僕をじっと見つめ返してくれる。
僕はそれに促されるようにして口を開いた。
「さわっても……?」
「どうぞ」
許可が出たので、さっそく右手でソレを握った。どくんどくんと脈打つ熱の塊。熱くて硬くて、とても大きくて立派な男性器だ。
これを今から挿れてもらうのだと考えるだけで下腹部がきゅんとした。
左手で根元を握って支えつつ、右手の指先で裏筋をなぞるように撫でてみる。ぴくぴくと反応するのが可愛くて、何度も繰り返す。そのたびに優衣さんは息を荒くしていった。
「はぁ……はぁ……、あ、あっ……♡」
「ここ、気持ちいいですか?」
「ん……、きもちいい……」
「じゃあ、もっと気持ちよくなってください」
そう言って、亀頭に顔を近づけた。すん、と匂いを嗅ぐと、すこし蒸れたような雄の匂いがした。
決して不快なものではなく、むしろその逆で、頭がくらくらするほど興奮した。
これを舐めたい。舐めて、優衣さんに性感を与えて射精させたい。
そんなことを思っている自分がおかしくて、でもそれ以上に興奮していた。
「……あ」
何かを期待するような目で優衣さんが見下ろしてくる。
だから僕はカリ首のあたりを握りながら上目遣いに彼女を見つめる。もちろん手は休めずに。
「舐めても、いいですか?」
「……自分のを舐めるの、いやじゃない?」
「今は優衣さんのですから」
「……ん」
「気持ちよくなったら、いつでも射精していいですからね?」
そうして僕は亀頭の先端にちゅ、とキスをした。柔らかく唇を押しあてるみたいにして、何度かキスをする。
「……っあ、あ……っ」
と彼女が小さく声を出す。
痛かったわけではないだろう。むしろ気持ちよかったはずだ。その証拠に彼女のものはさらに硬度を増している。
それをいいことに、今度は舌を伸ばしてちろちろと先端部分を舐めた。唾液が潤滑油になってにゅるんっと滑っていき、その度に優衣さんの口から吐息が漏れる。
「ふぁ♡ あ、ああっ♡」
れぅっ、れぇーっ、と竿の裏側や鈴口を中心に舐め上げるようにして刺激を与えていく。同時に手で優しく握って上下に擦り上げ、陰嚢を指先でくすぐってやる。
彼女のペニスが大きくて、僕の顔のサイズに近いくらいだったものだから少々やりにくいけれど、それでも精一杯奉仕をしていく。
陰嚢とペニスの境目あたりに口づけをして、横から食むように唇で挟んでやると、彼女はたまらないといった様子で腰をかくつかせながら悶えていた。
かわいい。
そう思うと、自然と笑みが浮かんだ。
普段は無口無表情で落ち着いた印象を与える彼女が、こうして僕にモノを舐められてよがっている姿はどこかアンバランスで可愛らしいと思った。
とにかく、今の彼女は普段の姿からは想像できないほど艶めかしい。
彼女はベッドに仰向けになったまま両手でシーツを握りしめて快楽に耐えているようだった。
「……っ、うぁ、んっ♡ やだ、きもちぃ、……っ♡」
さっきまで僕を責めていたのとはうってかわって余裕のない声を漏らす彼女に、嗜虐心が煽られる。もっともっと乱れさせてやりたいと思う。
優衣さんが好きだ。だから彼女を自分の手で気持ちよくしたいし、イかせたいとも思う。
だから僕は髪をかき上げて耳に掛け、それからゆっくりと口を開いていき──ぱくり、と彼女のものをくわえこんだ。
「──っっ♡♡」
突然のことに驚いたのか、それとも予想以上の快感に耐えられなかったのか、あるいは両方か。どちらにしろ優衣さんは大きな声を上げてびくんと腰を震わせた。
口の中では先走り汁が溢れてきていて、しょっぱかった。でも不快感はない。むしろそれが興奮材料になるくらいだ。
優衣さんのモノを亀頭だけ丸ごと口腔内に入れ、味わうように舌でねぶる。そうすると、彼女のものはますます硬さを増していった。
「あっ、あっ、あぁっ♡♡ そんなとこ、咥えたら……っ」
「んふふ……、ん、ぢゅず……、ぢゅうーっ」
「……っ、……っああ♡♡」
口の中で優衣さんが跳ねるので彼女の興奮が手に取るようにわかる。
大きいので全部を飲み込んであげることはできないけれど、それでもできるだけ深くまで口に含み、裏筋をちゅばちゅばと舌で撫でる。
口の中に雄くさい匂いが充満して、頭がくらくらした。これが優衣さんの性器の匂いなのかと思うとなんだか興奮してしまって、無意識のうちに鼻から大きく息を吸い込んでいた。
そして吸引したまま顔を前後に動かしてストロークを始める。
ちゅぼ、じゅぽっ、という音が鳴って恥ずかしい。それに口の中いっぱいにペニスがあって苦しいはずなのに、やめられない。まるで麻薬にでも侵されているみたいだ。
「……っあ、……んっ、ふぅ……ッ♡♡♡」
「んん、んぅー……、んぶ、んぢゅ……っ」
「それ、だめっ、さきっぽ吸われると、へんになっちゃう……っ!」
「んふ? んー……」
「やっ、しゃべったら……」
びくびくびくっとまた腰が震えて、彼女のものがいっそう硬くなるのがわかった。
どうやら亀頭への刺激に弱いらしい。それならばと思ってずるる……っ、と飲み込んでいたモノを亀頭まで戻し、亀頭部分だけを口腔内に収めて舌を這わすようにして刺激してやる。
すると彼女は面白いくらいに反応した。
「あ、あ、あ……っ♡ やだ、まって、ほんと、むりだから……」
「……いやですか?」
「ひぁっ♡ あ、ぅ……♡ ……うぅ」
一旦口を離してそう尋ねると、優衣さんは顔を真っ赤にして息を荒らげていた。その表情はとてもいやらしくて、普段の彼女からは考えられないほどに淫靡だった。
「……嫌じゃないですよね? だってこんなに気持ちよさそうですもん」
そう言ってもう一度ペニスにキスをする。
性感を与えすぎない程度に軽く吸い付いてちゅっちゅと音を立てて何度もキスをする。そのたびに彼女が切なそうな吐息を漏らして身を捩った。
「優衣さんは僕の口に射精したいんですよね? 我慢できなくてカウパーがだらだら漏れてますよ」
「うぅ……。もぉ……」
「僕は優衣さんのことが大好きですから、優衣さんが嫌なことはしませんよ? どうします?」
「……いじわる。きちく。どうしてそんなこと聞くの」
「それはもちろん、恥ずかしがってる優衣さんを見るのが好きなんです」
「……ばか。急にサディストになった」
「いろんな面があるんですよ、ひとは」
優衣さんの性感をギリギリ絶やさないように柔らかくペニスを握って上下に擦る。
その緩やかな刺激だけでも彼女には十分すぎるほどの快感のようで、時折ぴくんっと身体が跳ねていた。
もうそろそろ限界が近いのだろう。鈴口からはとめどなく我慢汁が溢れてきていて、それが僕の唾液と混ざって潤滑油となって手の動きを滑らかにしていた。
ぬちゃぬちゃといやらしい音が部屋に響いている。
優衣さんは、射精したいはず。目の前に居る僕に精液をぶちまけたいはずだ。
それなのに、彼女は必死に耐えているように見えた。歯を食い縛って快楽に耐えようとしている。
かわいい。
その姿を見ていると、胸がきゅんとした。もっといじめたくなるというか、かわいがってあげたくなるというか、そういう気持ちになる。
だから僕は一定のペースでペニスを扱きながら優衣さんの言葉を待ち続ける。
優衣さんはしばらく逡巡していたけれど、やがて意を決したように口を開いた。
「っ、……だ、だして、いい……?」
「なにを出すんですか?」
「……せーえき」
「もちろん、いいですよ。口でいいですね?」
「……ん。……き、もちいいから……もっと……」
消え入りそうなほど小さな声だったけれど、優衣さんは確かにおねだりをした。その言葉を聞いた瞬間、背筋がぞくぞくとしてお腹の下の方がきゅんとした。
嬉しくて仕方がないのだ。大好きな人に求められて、嬉しくないわけがない。
「じゃあ、いただきます」
あーん、と大きく口を開けて、再び優衣さんのモノを飲み込む。
今度は完全に射精させるための動きで、優衣さんの弱点である亀頭だけを重点的に責め立てることにした。
くぷっ、くぷっと音を立てながらカリ首の段差を唇で食み、裏筋に舌を這わせる。ねっとりと丁寧に舐める。
「……ぁ、あっ♡♡ ああぁ……♡♡♡」
すると彼女の声がどんどん甘さを増していき、それと同時に腰ががくがくと震え始める。
口の中いっぱいにカウパー腺液の甘塩っぱい味が広がる。もう絶頂寸前なのだろう。
優衣さんは腰を突き上げるみたいに反っていて、シーツを掴んで必死に堪えている。その姿はあまりにも扇情的で、見ているだけで興奮してしまうほどだ。
彼女の起立したペニスは傘が開くみたいに広がって、止めどなくカウパー腺液が漏れている。陰嚢の中で睾丸がせり上がって射精の準備を終えている。
僕は短く鋭いストロークをしながら彼女の根元を押さえ、しごき、そして思い切り吸引をした。
「──っああ♡♡ 射精るっ、出ちゃうっ♡」
びんっ、と彼女の腰が反った。
その瞬間に一瞬だけ味が変わり、そして、
──びゅるるるるる、どぅるるるるるる、るるるるっ
と、すごい勢いで優衣さんは射精した。
「んぐぶぶっ」
いきなり口腔内に濃い精液が発射されて思わず悲鳴をあげた。喉奥へと突き刺さるみたいに大量の粘液が喉の奥へ流れ込んでくる。
びゅく、びゅく、と脈動しながら次々に精液が放たれて、口腔内はすぐにいっぱいになる。息苦しくて仕方ないのにそれでもなお大量に放出され続けていて、まるで溺れてしまいそうだ。
鳥肌が立つ。しかし、吐き出したくない。
これが優衣さんの達した証だから。
だから僕はこくり、こくりと喉を鳴らしながらなんとかして嚥下をしていく。生臭い匂いが鼻を抜けていくけれど、それすらも愛おしいと思ってしまうのだから、重症だ。
尿道に残っているものまで残さず搾り取ってようやく落ち着いたところで、ちゅぽんっとペニスから口を離した。
「はぁ……♡ はー……♡♡」
恍惚とした表情を浮かべている彼女を見てゾクゾクする。今の彼女はとても蕩けただらしない顔をしていて、しかもそれは僕で絶頂に達した結果なのだ。
僕は目を細めて、彼女の腹をよしよしと撫でる。
(上手に射精できたね、優衣さん)などと思う。
口の中にはまだ濃厚な精液の味が残っていた。
粘っこくて青臭くて苦いその液体を飲み干してしまいたい気持ちもあるのだけれど、その前に優衣さんに彼女の達した
「……んあー」
と、大きく口を開いて舌の上に乗っかった優衣さんの精液を彼女に見せつける。
「っ、あ……」
優衣さんは息を飲んで、それから顔を真っ赤に染め上げた。恥ずかしいのだろう。でも目は逸らさないあたりやっぱりかわいい人だ。
僕は目を細めて彼女に笑顔を投げてあげて、それからぱくっと口を閉じた。
口の中にはどろりとした優衣さんの精液があって、それを咀嚼するようにもぐもぐと噛み、すこし遅れて喉が動かした。
こくり、こくり、と音が部屋に響いていく。僕が飲精をする音。
「ぷはっ♡ 優衣さん、ごちそうさまでした」
「……うぅぅ~~」
空っぽになった口を見せてあげると、優衣さんは恥ずかしそうに唸っていた。そんな彼女の姿が可愛くて、ついいじめたくなってしまった。
「上手に射精できましたね。えらかったですよ」
「は、恥ずかしい……」
「えー? 優衣さんだって僕がイケたとき褒めてくれましたよね?」
「……いじわる、きちく、ばか、あほ、すっとこどっこい」
ぽそぽそと不平不満を述べながら抱きついてくる大型犬みたいな優衣さんを、僕は優しく抱き留めてあげた。
彼女は僕の胸にぐりぐりと顔を押し付けてきて、それがまたなんとも愛らしい。ついつい頬が緩んでしまうというものだ。
「……きす、したい」
「いいですよ、しましょうか。でも今、精液くさいかもしれませんよ?」
「いい。あなたの精液、すき」
「あはは」
そして優衣さんの唇が触れた。上から、しかし角度を変えながら何度もキスをされる。やがて舌が入ってきて口内を舐め回された。
僕もそれに応えるように舌を絡ませる。互いの唾液を交換し合うように深くキスをする。
「ん……んぅ……ふっ……んむ……んん……っ」
甘い吐息を漏らしながら舌を絡めてくる彼女が愛おしくて仕方がない。お腹の奥がまた潤んできて、頭がぼーっとしてくる。
キスをしながら手を繋ぎ合った。指の間に指を滑り込ませて、ぎゅっと握りしめあう。そうすると胸の奥がきゅうってなって幸せな気持ちになるのだ。きっとこれは好きな人とするからだ。大好きな人とするからこんなにも幸せなんだ。
唇を離すと透明な糸が伸びていた。僕と彼女の間に架かっている橋だ。
それを見て、僕たちは笑いあった。
「今度、僕が射精したのも飲んでくれます?」
「……口が疲れるから嫌」
「えー? 僕は好きだけどなあ」
「……えっち」
「えへへ」
冗談めかして言うと優衣さんは顔を赤くしてそっぽを向いてしまった。そういう仕草一つ一つにドキドキしてしまう。可愛いなあって思ってしまう。
そんなことを考えていると再び優衣さんが僕にキスをしてきた。今度は軽く触れるだけのキスだったけれど、それでも十分すぎるくらい嬉しかった。
「……つづき、しよ?」
「はい、喜んで」
僕は彼女の頬にキスをして、それからゆっくりと押し倒されていった。
◇◇◇
夜のベッドルーム、オレンジ色の間接灯だけが光源となっている薄暗い部屋のなかで、ふたりの人間が絡み合っている。ひとりは男で、もうひとりは女だ。
ふたりは裸のまま抱き合っていて、男が女の身体を撫でるようにまさぐっていた。女の身体は華奢でしなやかで、しかしどこか柔らかさを感じる曲線を描いている。
肌は白く滑らかできめ細やかな質感があり、シミひとつない白磁のような肌をしていた。
男の手は乳房へと伸びていて、その小さな胸を優しく撫でている。指先がわずかに沈み込むほど柔らかい胸の感触を楽しんでいるようだ。
「……んっ♡」
女は男にされるがままになっていた。頬を朱色に染め上げ、目を潤ませながら切なげに声を漏らすだけ。抵抗などしない。ただ与えられる快楽に身をゆだねているだけだ。
まあ、その『女』というのが僕なのだけれど。
「ゆういさ、……んんっ♡♡ それ、手つきがいやらし、いです」
僕は優衣さんの手のひらの上で転がされていた。
まるで玩具のように弄ばれてしまっている。乳首の周りを指先で円を描くようにして撫でられるとくすぐったいような気持ちいいような感覚に襲われてしまう。
優衣さんは僕の反応を楽しむみたいにして目を細めながら笑っていた。その表情はとても艶っぽくて色っぽい。
「……ふふ、攻守逆転」
「や、や……っ、あんっ♡♡♡」
先ほど射精されられた分を取り戻すみたいに優衣さんは僕の身体を撫でまわし、弛んだ膣の浅いところをくちゅくちゅと擦ってきた。そのたびに腰が跳ねて情けない声が漏れ出てしまう。
尾骨が蕩けるみたいに痺れて、身体が弛緩していく。脳がふわふわして止まらない。完全に主導権を取られてしまっていた。
「あぅ……♡ あ、あぁ……ッ♡ 優衣さん、優衣さぁん……♡」
口から出てくる声は甘くとろけていて、媚びるような響きを含んでいる。そんな声が自分の口から出ていることが恥ずかしくて堪らない。
けれど、我慢しようにも勝手に漏れ出てきてしまうのだからどうしようもない。
「優衣はあなたでしょう?」
「そうだけど、そうですけどぉ……っ♡♡」
「ふふっ、かわいい。おちんちん欲しくてしかたないの?」
「うぅ~……、優衣さん、いじわるですよぉ……」
優衣さんの指でいじめられていると子宮の奥が疼いて仕方がない。もっと欲しいと思ってしまう。
そんな気持ちが伝わったのだろうか。優衣さんはにっこりと微笑んで、そして僕の体を仰向けに転がした。
くるん、と視点が反転して天井が見えた。
そこへぬっと優衣さんの興奮した顔が近づいてきて、そのまま唇を奪われた。舌を絡ませ合い、唾液を交換する。その間もずっと互いの体をまさぐりながら。
やがて唇が離れていき、銀の糸を引いた。
ぷつり、とその糸が切れたときに、自分の両足を開かれていることに気づいた。ちょうど正常位の姿勢だ。
優衣さんは僕の両足の間に陣取っていて、両腕をこちらの頭の横へと置いているため逃げ場がない。このまま挿入されてしまうのだろうという予感があった。
「……期待一色、という顔。かわいい」
「優衣さんの顔ですよ」
「わたしはそこまで表情豊かじゃない、もん」
拗ねた子供みたいに優衣さんはそう言って、コンドームを装備したペニスを僕の秘部の表面にぬちり、ぬちりと擦り付けてきた。
焦らされているみたいでもどかしい。早く奥まで貫いてほしいのになかなか入ってきてくれないのだ。
たまらず腰をくねらせてアピールするけれど、優衣さんは可愛いものを見る目で笑うだけで一向に挿入してくれない。
おねだりをしないといけないのだろう。
「優衣さーん?」
「……んー? なぁに?」
「はやくきてくださーい……」
「ふふっ、はーい」
ぬち♡と優衣さんの亀頭が僕の膣口を捉えた。
熱く硬いモノが僕の秘部に触れ、そしてずぶぶ……っ♡とゆっくり侵入してきた。男には存在するはずのない部位に、男のモノが入ってくる。
その瞬間、凄まじい快感に襲われた。膣内を押し広げられていく感覚は何度経験しても慣れないもので、背筋がぞくぞくとした震えが走る。
気持ちいいのに、すこし怖くて思わずシーツを強く握りしめてしまった。
するとその手に優衣さんが自分の手を重ねてきて、指を絡めてくる。恋人つなぎというやつだろうか。それだけですこし安心できた気がした。
「……こわい?」
「いえ、だいじょうぶ、です」
「無理しないでね」
「えっと、キスしてほしい、です」
「……かわいいひと」
ぴくり、と膣内で優衣さんのペニスが膨らんだのが分かった。身体を重ねているから相手の感情まで伝わってきてしまう。
うれしい、あるいは愛おしい、だろうか。
優衣さんは目を細めながら僕に覆いかぶさってきて、唇を重ねてくれた。
「んっ、んん……っ、ちゅ、ふ……っ♡♡」
「んぅ、ちゅっ、じゅる、れろ……っ♡♡」
舌が絡み合うたびに卑猥な水音が鳴った。舌の先っぽを吸われたり甘噛みされたりしているうちに頭がぼうっとしてきてしまう。
相手の方が体が大きくて、僕は小柄だからほとんど覆われるみたいにしてキスをされている。男は絶対にしないような足を開いたポーズで優衣さんのペニスを膣内に迎え入れている。
身も心も屈服してしまっているような気がして、それがたまらなく心地よかった。
「──ぷは。あなたのお膣、とろとろ……」
「きもちいい、ですか?」
「……ん。あなたは?」
「優衣さんのおちんちん、僕の中でびくびくってるの可愛いなって思います」
「そういうこと、言わないの」
迎え入れて、キスをして、一瞬だけ強ばった身体がふたたびトロトロに蕩かされていってしまっていることに気付いた。
ポーズも何もかも恥ずかしいのだけれど、それ以上に嬉しくなってしまう自分がいた。
好きなひとと繋がっているんだという実感が湧いてきて、胸の奥がきゅんとする。
もしかするとこの『愛されている感』は女性の方が強いかもしれない。優衣さんはどう思っているのだろう。
「優衣さん、僕、気持ちよくってきました……」
「わたしは初めからきもちいい」
「知ってます。僕が慣れるまで動かず待ってくれていたんですよね?」
「……ん」
「もう、動いていいですよ」
「……ん。優しくする」
優衣さんは優しい手つきで僕の頭を撫でてくれて、それからゆっくりと腰を動かし始めた。
最初は慣らすように浅く出し入れされるだけだったが、次第にストロークが長くなっていく。
ぐぷっ、ぬぽっ♡といやらしい水音を立てながら引き抜かれて、挿される。ぱっちゅん、ぱっちゅんと腰がぶつかるたび肉同士がぶつかる音がする。
「ん、ん、あ……っ♡♡ 優衣さん、それ、きもちぃ♡♡ 優衣さん……っ♡♡」
「……ん、しめつけ、すごい」
「だってぇ……♡ あぅ、うぅ~……っ♡♡」
ペニスの先端が子宮口に押し付けられ、ぐりぐりと捏ねまわされた。その衝撃で軽く達してしまいそうになるくらい気持ちがいい。
自然と両腕と両脚を絡めるようにして優衣さんに抱きついてしまった。汗ばんでいる肌が触れあう。密着する。ぴりぴりと蕩けるみたいな快楽が背中を這いまわっているみたいだ。
「あ、あ、あ……っ♡♡ あっ、あっ♡♡ すご、い、です……っ♡♡♡」
「……かわいい」
「かわいくないですよぉ……っ♡」
「ううん、かわいい」
「やぁ、もぉ……っ♡♡♡ 優衣さん、ずるいですよぉ……っ♡♡♡」
可愛いと言われるとドキドキしてしまう。顔が熱くなって、でも僕を愛してくれる優衣さんへの気持ちが止まらない。
突かれる度に横隔膜が押されて甘ったるい声が漏れ出てしまう。まるで自分の声じゃないみたいで恥ずかしかったけれど、それもまた興奮材料になってしまう。
やがてピストン運動はどんどん速くなっていく。
腰を起こして、優衣さんが本気ピストンを始めたのだ。
ぱんっぱんっ、と激しく肉のぶつかり合う音が部屋中に響いていた。いつもよりもずっと激しく、余裕のない動きだった。
それはきっと優衣さんも限界が近いということなのだろう。
「やぁっ♡ あん、あんっ♡ だめぇっ♡ 激しすぎますってばぁ……っ♡♡」
「ごめん、むり、とめられない」
「んぁうっ♡♡ ゆさぶられるのすきぃっ♡♡♡ おくっ、ごちゅごちゅってされてるの……っ♡♡♡♡」
「……っ、ほんとにえっちなんだから」
こちらだって余裕はぜんぜんない。
さっきから頭の奥がチカチカしていて今にも意識が飛んでしまいそうだ。白飛びする視界の中で、僕の腰をがっしり掴んで一心不乱にペニスを突き入れる優衣さんの姿が見えた。
もう何も考えられなかった。ただひたすらに与えられる快感を受け入れるだけの生き物になっていた。
あん♡あん♡みたいな可愛い声を上げて優衣さんを煽ってあげたいのだけれど、喉からは「はあ゛っ♡♡ ああ゛う゛ぅっ♡♡♡」といった濁った喘ぎ声しか出てこない。
掴まれている腰と脇腹から感じる熱で火傷してしまいそうだった。身体の内側から溶けていってしまいそうな錯覚に陥る。
「あ゛~~~~~~ッッッ♡♡♡ あ゛っ、あ゛~~~~~~ッッッ♡♡♡」
ほとんど絶叫のような声を上げながら絶頂した。
びくんっ、びくん、と身体が跳ねて、全身が強ばる。膣内が激しく収縮して、優衣さんのモノをぎゅうっと締め付けるのが分かった。
それでもなお、優衣さんは腰の動きを止めてくれない。
むしろ抱き潰すみたいにして覆いかぶさってきて、逃げ道擦らない絶頂の波に呑まれたまま戻ってこられなくなる。
「あ゛~~っっ♡♡ イってる、いまイッてるからぁぁっっ♡♡♡♡」
「わたし、まだ、もうちょっとっ」
「そ、そんなぁっ♡♡ ゆういさんっ、ゆういさ──んぶっ♡♡♡」
「ぢゅ、ちゅ、れぢゅっ♡♡」
達している間に次の絶頂が来て、そのうえキスまで降ってくる。
そのままラストスパートと言わんばかりのピストンが始まった。子宮口をこじ開けようとするかのような勢いでペニスを叩きつけられる。
僕はもう息も絶え絶えで、ただただされるがままになるしかない。頭の中が真っ白になっていって、ただ目の前の快楽だけを享受していくだけ。
快楽物質に飲まれて馬鹿になった脳みそはもう優衣さんことしか考えられない。
すき、すき、優衣さん、だいすき。もっと愛してほしい、気持ちよくなりたい、一緒に気持ちよくなりたい。
そんな欲望だけが僕の中に渦巻いていた。
そして、ついにその時がやってきた。
「──ぐっ、出る……っ」
ギシッ、と全力でのしかかるみたいにして優衣さんが体重をかけた瞬間、僕の中で優衣さんのモノがはじけた。
──びゅるるるるる、るるるるるる、どぴゅっ、どくんどくん
と脈打ちながら精液が僕の中へと流れ込んでくるのが分かる。
コンドーム越しに熱くてどろどろとした粘液の塊のようなものがお腹の奥に吐き出されている感覚があった。
「ん゛……、んお゛ぉ…………っっ♡♡♡」
それが引き金となって僕も再び絶頂を迎えてしまった。
今度は深い、深い絶頂だった。
射精している優衣さんのモノから精液を奥深くへと誘引するために、僕の膣が彼女自身を抱きしめていく。
膣奥へと誘う蠕動が全身に伝播して、腹筋、胸、そして頭の先へと伝わっていくようだった。
脳みそを直接弄られているみたいな強烈な刺激のせいで思考がバラバラになってしまう。
あたまのなかぐちゃぐちゃになってる、と思う。
目の前がちかちかとして、全身の筋肉という筋肉が弛緩してしまって、もう何も出来ない。ただひたすらに、優衣さんの射精を受け入れ続けるのだった。
「……、……あ゛ぁ、……はぁ、……ふぅー……っ」
やがて、長い長い吐精を終えた優衣さんがゆっくりと身体を起こした。
やや虚脱した表情で、僕の目尻を指で拭ってくれる。
そこで初めて自分が泣いていることに気が付いた。涙の筋がいくつも頬を伝ってシーツの上に落ちてしまっている。
「……ごめん、痛かった?」
「いえ、その、気持ちよすぎて……」
正直にそう言うと、優衣さんはちょっと困ったように笑ってみせた。
それからもう一度ぎゅっと抱きしめてくれて、耳元でささやいてくる。
「……わたしも、気持ちよかった」
「おそろい、ですね」
「……ん、おそろい」
目をあわせて、笑いあう。
たったそれだけのことでなんだかすごく幸せな気分になってしまった。
幸せだなあ、なんて思いながらしばらく抱き合って、唇を重ねて、またキスをして。
そうして繋がったまましばらくじゃれあっていたのだった……。
◇◇◇
ところで、男と女の絶頂後の違いについてなのだけれど。
男は賢者タイムみたいな感じで冷静になれるのに対して、女はほわほわと浮遊するみたいに気怠くなる。
もちろん個人差はあるけれど、少なくとも僕と優衣さんはそんな感じだ。
今はまさにそんな状態である。
ベッドの上で裸のまま抱きしめあっていて、
「……とろとろの顔で、かわいい」
「だってぇ、まだお腹の奥がずぅんって気持ちいいんですもん……」
「よかったね」
「はい……。よかったら優衣さんも味わいますぅ?」
「……んー、そうね」
するり、と腰を抱き寄せるようにして引き寄せられる。そのまま密着して、お互いの顔を見合う形になった。
視線が絡み合って、なんとなく見つめあってしまって、どちらからともなくキスをする。ちゅっちゅ、と音を立てて唇をついばむだけの軽いキスだけれど、それだけで心が満たされていくような感じがした。
そうやって何度かキスを繰り返してから、ようやく優衣さんは口を開いた。
「……戻ろっか」
「そうですね、戻りましょっか」
そうして僕たちは今度は額を重ね、
「「……チェンジ」」
──くらり、
と視界を反転させながら元の体にもどった。
「あ゛ー……」
「……もどっ、たぁ」
急に視力がよくなって、視界がはっきりと見えた。自分の目に戻ったからだ。
目の前には優衣さんの愛らしい小顔があって、とろとろと蕩けた表情を見せている。大きな瞳が細められて、愛おしい。
今度はお互い気絶しなかった。無事に戻れたみたいだ。
「……お腹の奥、とろとろ」
と、優衣さんは下腹部をさすりながら言う。
鈴の鳴るような可愛らしい声でそんなことを言われるものだから思わずペニスが反応してしまうくらいだ。
「可愛いですね、優衣さん」
「……あなたのほうが、かわいい」
「今は優衣さんの方が可愛いです」
「……ん」
浮遊感のさなかに放り込まれた優衣さんの顔はやっぱりどこかぽーっとしていて、普段よりも幼げに見えた。
だから僕はそんな彼女の顔を引き寄せるようにしてキスをした。こちらの方が体格が大きいから、簡単だ。
「んっ……、ぢゅ……れろ……っ」
唾液を交換しあいながらお互いの舌を舐めあうようにしていると、次第に興奮が高まってくるのが分かった。
さっきまで繋がっていたせいで余計に昂ぶってしまったのかもしれない。
「……えっちしたくなった?」
「まあ、そうですね」
「さっきまで、してたのに……」
「嫌ですか?」
「いや、とは、言ってない」
こちらの首に優衣さんの細い腕が絡みついてきて、ぎゅっと抱きしめられた。胸板に彼女の小さな乳房が押し付けられる。
柔らかい感触が伝わってくるのが心地いい。
それから彼女は耳元に口を寄せてささやいた。吐息交じりの熱っぽい声が耳の中に入ってきて、背筋がぞくぞくとする感覚がある。
「……しよ♡」
その言葉を合図にするかのように、僕らはまた唇を重ねあった。
そうして今度は元の体で、互いの体を求め合うのだった……。
◇◇◇
そうしてそれから、翌日は土曜日だったので僕と優衣さんはショッピングセンターへ行った。
といってもほとんど明け方まで耽ってしまったせいで寝坊したので昼過ぎくらいになってしまったけれど。
それでも目的だったデートは出来たのでよしとしよう。
ただし、また入れ替わった状態で歩いているわけだけれど……。
「……ふふん、可愛いパンツ、買う」
「ちょ、優衣さん、僕の顔と声で『可愛いパンツ~』とか言わないでくださいよ」
「気にしない、気にしない」
「気にしますってー!」
優衣さんの大きな手と手を繋いで、牽引されるみたいに歩いていく僕。傍から見ればきっと仲の良いカップルに見えるんだろうなあ、と思う。
もちろん僕が彼女で優衣さんが彼氏だ。
今日の僕は清楚な白のワンピースに薄手のカーディガンを羽織っている。すべて優衣さんのチョイスだ。靴だけは僕の選んだヒールのないぺたんこ靴である。
優衣さんの歩幅がなかなか広いのでぴょこぴょこついていく感じになってしまうのだけれど、そのたびにスカートの裾がふわふわ揺れておぼつかない。
まあ、そうしてドギマギする僕の姿を見て優衣さんは楽しんでいるみたいだから悪い気持ちはしない。僕は優衣さんが楽しそうなのが一番好きだ。
「ぱんつー、ぱんつー、可愛いぱんつー」
「ちょ、優衣さん、その鼻歌はぜったい変ですって」
「んー? そぉー?」
めちゃくちゃご機嫌な優衣さんと向かっているのは、ショッピングセンター内にあるランジェリーショップだ。
つまり女性下着専門店。
今朝、寝起きの優衣さんに不用意に『昨晩着ていたブラとショーツ、めちゃくちゃ可愛かったですよね』などと言ったらこうなったのだ。
「あなたが下着フェチだなんて思わなかった」
「いや誤解ですよ、ちょっと下着を褒めただけで……」
「わたしが可愛いパンツ穿くの好きなくせに?」
「いや好きですけど、だからって何も僕がブラの試着をすることはないじゃないですか!?」
「……んー?」
そうなのだ。今こうして手を引かれている理由というのがそれなのである。
今まで優衣さんが地味な下着ばかり選んでいたのは単に楽のと、僕が下着に興味がないと思い込んでいたからなのだそうだ。
だから僕が喜ぶのならたまには可愛いらしい下着の日を増やしても、と思ったらしい。
それで一緒に下着を選ぼうという話になって、こうしてふたりでデートをしている。
その会話の流れでなぜか僕が試着する側を演じることになって、そうして優衣さんにがっちり手を握られてランジェリーショップに連れ込まれている、というわけ。
「なーんか、釈然としないよなぁ……」
一応、僕、精神的には男なのだけれど。
どちらかというと可愛い下着は見る側に回りたいのだけれど。
でも優衣さんはそんなのお構いなしにぐいぐい引っ張っていくのである。
「……えっちなの、選んでいいよ。あなたが選んだのなら、着るから」
「それ、僕が優衣さんの姿で着ることも勘定に入れてません? 優衣さんも、僕が優衣さんの姿で可愛い下着を穿いてたら興奮するでしょう?」
「……んー?」
からかうように首をかしげて微笑む優衣さん。明らかにとぼけている。でも、僕の顔なのに、なぜか可愛い。
本当に仕方のない人だな。まあ、好きだけどさ。
そうして僕は、やれやれと肩を竦めつつも彼女に手を引かれて後についていった。
どうせならめちゃくちゃえっちな下着を選んで、優衣さんに着てもらったり、あるいは優衣さんに着させられて遊んでみたりたりしようかなあ……なんてことを思いながら。
めでたしめでたし
おしまい