※この作品はR-18です。

無口で無表情な年上彼女と体を入れ替えて純愛系いちゃらぶえっちで蕩けあう話   作:しじままどせ

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相互オナニー、のちセックス

 

「……むらむらして仕事に集中できない。体を替わってほしい」

 

 リビングルームのソファーに座ってヘッドフォンで音楽を聴いていたら、隣室からやってきた優衣さんがそんなことを言ってきた。

 

 ちょっぴり顔が赤くて、息がわずかに荒い。目もなんだかとろんとしている。

 

「またですか」

「……ん」

「優衣さん、ここのところの仕事の時に僕と入れ替わろうとするの多くないですか?」

「あなたの脳みそはとても賢い。仕事がしやすい」

「もう、褒めたってなにも出ませんよ」

「じゃあ、おっぱい揉む?」

「揉むほどないじゃないですか、揉みたいです。揉ませてください」

「即答……」

 

 そう言って苦笑する優衣さん。

 

 ちなみに今の彼女は、フチのない大きな丸眼鏡をかけていて、髪も後ろでひとつに束ねていた。紺色のスカートとグレイのブラウスで、いかにも知的な美人という雰囲気だ。

 

 といっても小柄で華奢で童顔の優衣さんだから、ちょっと背伸びした女子中学生にも見えなくはないけれど。

 

 優衣さんは同棲中の僕の恋人だ。僕よりひとつ年上の女子大生である。

 

 無口無表情で一見すると冷たい印象を与えるのだけれど、実際はとても優しくて、そして可愛らしい人だ。

 

 そんな彼女は今、在宅で翻訳のアルバイトをしている。無口で無表情な彼女が苦手とする接客もしなくていいし、自宅でできるので時間の自由が利くし、なによりパソコンさえあればどこでも作業が出来るところが気に入っているのだとか。

 

 そんなわけで最近は翻訳のアルバイトが楽しくて仕方がないらしく、毎日楽しそうにしている。知的な彼女にはぴったりのバイトだと思う。

 

 ただ、ひとつだけ困ったことがあって……。

 

「……むらむらするの。おねがい、入れ替わって」

 

 これである。

 

 ふたりの身体を入れ替え──ようするに僕は優衣さんの体に、優衣さんは僕の体になりたいと言ってくるのである。

 

 僕たちには額を重ねて念じると互いの身体を入れ替えることのできる不思議な能力があるのだ。

 

 初めて能力が発現した一年前以来、僕たちはこの能力をフル活用して身体を入れ替えたり戻したりして穏やかで刺激的な日常をすごしていた。

 

 そして、今回は、翻訳をするためにパソコンに向かっているとムラムラしてしまうという優衣さんが、仕事のクオリティを維持するために体の入れ替わりを提案してきた、というわけ。

 

「とりあえずコーヒー飲みます? むらむらが落ち着くかも」

「……飲む。ありがと」

「いえ、どういたしまして」

 

 僕はキッチンに向かってコーヒーを淹れる準備を始めた。もちろんミルクたっぷり砂糖多めのカフェオレを作るつもりだ。ついでにチョコレートも添えてあげよう。

 

 優衣さんは甘いものが好きなのだ。特にビスケット系が好きらしい。午後三時ごろになるとよく小さな口でカリカリやっている姿を見かける。

 

「はい、どうぞ」

「……どうもありがとう」

 

 ソファーに戻ってカップを手渡すと、優衣さんはふうふう息を吹きかけて冷ましながらちびりとひとくち飲んだ。そうしてほうっと息を吐いてから、またちびりちびりと飲み始める。

 

 僕も自分の分を持って隣に座った。肩を寄せ合うようにしてくっついて座る。そうすると自然と彼女の頭が僕の肩に乗っかってくるのだ。

 

 普段はクールな彼女だけれど、ふたりきりのときだけはこうして甘えてくるのがすごく可愛らしい。本人に言うと恥ずかしがって離れてしまうだろうから言わないけど。

 

「美味しいです?」

「……ん、おいし。チョコも」

 

 僕の問いにこくんと頷いて言葉数少なく答える優衣さん。その仕草がなんともいじらしくて胸がきゅんとなる。

 

 こんなふうに素直な反応を返してくれるのは僕に対してだけである。

 

「あなたと居ると、とても落ち着く。あなたのことがだいすき」

 

 そう言ってマグカップを置き、ついでに僕のも置いた後で、甘えるようにすり寄ってくる優衣さん。眼鏡越しに上目遣いで見つめられて、思わずドキッとする。

 

 そして僕の太ももにそっと手を置いてきた。細い指がゆっくりと内ももを撫でてくる。くすぐったくてぞくぞくする触り方だ。

 

「むらむらして仕事に集中できないの。ずっと頭の片隅であなたとのえっちなことを考えている」

「そ、そうですか……」

「あなたの匂い、あなたの体温、あなたの鼓動……全部が心地いい。このまま溶け合ってしまいたいくらい好き」

 

 優衣さんは言いながら僕の胸に顔を埋めてきた。そのまま深く息を吸い込んでは吐くのを繰り返す。その度に、甘い吐息がかかってくすぐったい。

 

「優衣さん、ちょっと離れてください」

「……やだ。むらむらしてるんだもん」

 

 やんわりと肩を押し返してみても、離れるどころかさらに強く抱きつかれてしまった。

 

 柔らかな感触が胸板に押し当てられて、心臓がドキドキと高鳴る。

 

「し、仕事中ですよね、優衣さん。今日明日中に仕上げなきゃいけないやつがあるんでしょう?」

「……ん。それはそう」

 

 僕がそう言うと、優衣さんは素直にこくんとうなずいて顔を上げた。

 

 そして、今度はじっと僕の目を見つめてきて──

 

「だから、残念だけれど、今は仕事をしなくちゃいけないの。あなたに抱きしめてもらって、今すぐにでもセックスがしたいのに、我慢しないといけないの」

「あのですね、そういう直接的な表現はちょっと控えてほしいんですけど……」

「……なぜ?」

 

 不思議そうに首をかしげる優衣さん。

 

 その表情はとても純粋で可愛らしかったけれど、言ってることは全然可愛くない。だって言ってることはセックスの要求だし。

 

 いや、僕だって優衣さんとセックスをするのは好きだ。大好きだと言っていい。どちらかというと、自分の姿で優衣さんとセックスをするのが好きだけど、それはともかくとして。

 

 今は我慢をしないといけないときだ。

 

 これからセックスをしてしまうと優衣さんの仕事の納期に間に合わないし。

 

 だから、優衣さんは、僕と身体を入れ替えて、比較的ムラムラしていない状態で翻訳の仕事に集中したいのだろう。それはわかる。

 

 でも、それには問題があって……。

 

「というか、このまま入れ替わったら僕、性欲を持て余してむらむらした優衣さんの姿になっちゃうじゃないですか」

「……ん、そう。何か問題が?」

「ありますよ。ほら、僕、むらむらして優衣さんの体でオナニーしちゃうかも。そうしたらあなたが恥ずかしい思いをすることになるでしょう? それに僕、いつも優衣さんの体でオナニー我慢するの大変なんですから」

 

「…………」

 

 僕の指摘を受けて、数秒間考えるような素振りを見せた後、優衣さんはこくりと頷いた。どうやら納得してくれたようだ。よかった。

 

 しかし、ほっとしたのも束の間のこと。

 

 次の瞬間、彼女はとんでもないことを言い始めたのだ。

 

「……いいよ。わたしの体でオナニーをしても」

「へ?」

「わたしの体で好きなだけ気持ちよくなって」

「い、意味違くないですかそれ」

「ちがわない。わたしは仕事がはかどる。あなたは気持ちいい。一挙両得」

「いや、そういうことじゃなくて……」

「それから、あとでちゃんとセックスもする。あなたが男でわたしが女で、あなたか満足するまでしよ? それでもだめ……?」

「う゛ー……」

「……やだ?」

 

 うるうるとした瞳で見つめてくる優衣さん。

 

 ああもう、ずるいなあ、この人は。そんな目で見つめられたら断れないじゃないか。

 

 僕は小さくため息をついてから言った。

 

「……いやじゃないです、別に」

 

 すると、途端に優衣さんはぱあっと表情を明るくさせた。

 

 普段は無口無表情のくせに、こういうときだけ表情豊かになるのが本当にズルいと思う。

 

「じゃあ、さっそく」

「え、ちょ、待っ……」

 

 言うが早いか、優衣さんは僕をソファーに押し倒してきた。華奢な身体からは想像もつかないほどの力でぐいぐい押されて、あっという間に押し倒されてしまった。

 

 そのまま馬乗りになって、僕のお腹の上にぺたん座りしてくる優衣さん。彼女のお尻の感触や重みを感じると同時に、女性特有の柔らかさと甘い香りに包み込まれてくらくらする。

 

 思わずぼけっと惚けていると、いつの間にか優衣さんの顔が近づいてきていて、ちゅうっ唇にキスをされた。

 

「ん、ん、んっ……♡」

 

 角度を変えて三回、触れるだけの軽いキスだった。それだけでも十分すぎるほどに幸せな気持ちになる。

 

 優衣さんも幸せそうな表情をしていた。頬を赤く染めていて、なんだかすごく色っぽい感じがする。むらむらしているせいだろうか。いつもの彼女よりもすこし大人びている感じだった。

 

 しばらく唇を重ねて、それからゆっくりと顔を離したあと、彼女は僕の目を見下ろして目を細めた。

 

「ほら、替わろ?」

「まったく、もう……。強引な人なんですから」

「……ん。やだ?」

「いえ、嫌じゃないですよ。あなたのことが好きです。だから、しょうがない、替わりましょうか」

「ん、ありがと。では、額を重ねて……」

「ええ、重ねて……」

 

 やれやれ、とため息をついて、額と額を重ねる。

 

 覚悟を決める。

 

 目の前に優衣さんの綺麗な瞳。柔らかな香り。超至近距離で見つめ合う。

 

 そして、

 

「「──チェンジ」」

 

 合言葉を唱えた。

 

 その瞬間ぐるんと目の前が真っ白になった。

 

 浮遊感。

 脱力感。

 安心感

 

 一瞬気を失った、かと思ったらすぐに落ち着いた。

 

 自分の体の重みと重力を思い出す。

 

 お尻の下に硬い筋肉の感覚があった。さっきまでとは違った視点だ。

 

 たぶん僕がいるのはソファーの上で、元僕──優衣さんの上に座っているのだろう。

 

 やっぱり慣れないな、この感覚は。

 

 そんなことを思いながらゆっくり目を開けてみると、予想通りの光景が広がっていた

 

「……おはよう」

「あ、すみません。僕、長いこと寝てました?」

「いえ、一瞬。ほんの数秒程度」

「そうですか、よかった……」

「ありがとう、ちゃんと替わってくれて」

 

 目の前にいる僕、というか僕になっている優衣さんはそう言って微笑んだ。

 

 その表情はとても穏やかで優しくて、まるで聖母みたいだと思った。まあ今の見た目は『僕』そのものなのだけれど。

 

「あなたも、勃起してた」

「う゛、バレましたか」

「……ん。わたしで勃起してくれて、えらい。かしこい、だいすき」

「勃起した程度のことで褒めないでくださいよ……」

「ふふっ、ごめんなさい」

 

 優衣さんが楽しそうに笑う。それを見て僕もつられて笑ってしまった。

 

 改めて思う。やっぱり、僕はこの人のことが好きなんだな、と。

 

 それから優衣さんは僕の下から立ち上がって、コーヒーをグイグイと飲みほした。カフェインを摂取したらしい。

 

 そして顔をパタパタと手ではたいて、やる気を出すみたいに小さくうなずくと、僕に向き直って宣言した。

 

「お仕事、してくる」

「あ、はい、勃起辛くないですか?」

「ぼっき、つらい。後でたくさん慰めて」

「……それ、性的な意味の『慰め』ですよね」

「そう」

「…………。えっと、今から手とか口とかでしましょうか?」

「……ありがと。気持ちは嬉しい。でも仕事がある。がんばる」

「わかりました、おつかれさまです、がんばってください」

「……ん。ありがと。でもがんばったご褒美にあとでいっぱいセックスしようね」

「あはは……、楽しみにしてます」

 

 すく、と立ち上がった彼女は、そのままリビングを出て自分の部屋へと戻っていった。

 

 あっさりした態度だった。これから翻訳の仕事に没頭するのだろう。そんな彼女を見送りながら、僕は心の中でエールを送った。

 

 がんばれ、優衣さん。応援しています。

 

 その祈りが通じたのかどうか、優衣さんはドアのところでいきなり振り返って、

 

「あなたはオナニーをがんばって」

 

 と言ってきたのだった。

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

 さて、僕は自分の部屋にいる。

 

 優衣さんと同棲しているマンションの、僕にあてがわれた部屋だ。ちなみにリビングルームを挟んで反対側が優衣さんの部屋である。

 

 だから多少声を出しても大丈夫だとは思うのだが、一応念のためにドアの鍵を閉めておくことにした。

 

 ──なぜなら今からオナニーをするから。

 

 しかも、優衣さんの体でだ。

 

 もちろんこれは許可された行為で、むしろ推奨されていると言ってもいいだろう。なにしろ優衣さんの方から『むらむらするから入れ替わってほしい』と言ってきたのだし、『あなたはオナニーをがんばって』とまで言われている。

 

 だからまあ、オナニーをしても咎められることはない。

 

 優衣さんが仕事をしているタイミングで自慰をすることに対して気が引けないわけではないのだけれど、とりあえずそこは無視することにした。

 

 だって、優衣さんが仕事を終えたあと僕たちはセックスをする約束になっている。だからこのオナニーは前戯──ようするに僕から優衣さんへの愛撫として機能するわけだ。

 

 今のうちに優衣さんの体をとろとろに蕩かせておけば、後から最高に気持ちのいい状態で彼女と交わることができる。それは僕にとっても嬉しいことだし、優衣さんにとってもきっとそうだ。

 

 だったら何も問題はないじゃないか。そう自分に言い聞かせて、それから僕は笑う。

 

 何重にも予防線を張りめぐらせているけれど、結局のところ優衣さんの体と脳とそれから僕がむらむらしていて、オナニーをしようとしている、というそれだけのことなのだ。

 

 そういうわけだから優衣さん、僕はあなたの体でオナニーをします。

 

「……はふぅ」

 

 ベッドに腰かけて一息ついた。

 

 体の奥から気持ちのいいゾクゾクが襲ってきて、お腹の奥が火照ってきたから。

 

 そのまま視線を外しては部屋の隅にある姿見鏡を見ると、僕が──正確には優衣さんの姿が映っていた。

 

 小柄で華奢な美少女だ。フチのない大きな丸眼鏡をかけて、やや癖のある黒髪を肩のあたりまで伸ばしている。といっても今は仕事に集中するために後ろでひとつに束ねているが。

 

 ポニーテール、かわいいな。

 

 さっきまで真面目にお仕事モードだったんだもんな。

 

 でも、僕は後ろ手に髪を縛っているゴムを掴んでするっと抜いた。

 

 ふわり、とやわらかな髪が肩口に広がった。耳が隠れてさらりと音がして、同時に優衣さんの甘い体臭が鼻腔を刺激してくる。

 

 香水のような人工的な香りではなく、シャンプーや石鹸の香りでもない、自然のままの体臭だ。でもそれはどこか甘くて芳しい香りだった。

 

 思わず深呼吸してしまう。すると肺の中いっぱいに彼女の匂いが満ちていくのがわかった。好きな人の香りに頭がくらくらして、ぼうっとする。

 

 きゅーっ♡と下腹部が疼いた。子宮だ。子宮頸管がとぷとぷと愛液を分泌しているのが体感でわかる。

 

「はぁ……っ♡」

 

 吐息を漏らす。鏡の中の美少女が切なそうに眉を歪めていた。

 

 そのまま両腕で自分を抱くみたいにして背中まで手を回す。背中から順番に脇腹、腰、お腹と撫でこする。それだけでぞくぞくとした快感が走った。

 

 女の子のオナニーは全身運動だ。

 

 ただ性器だけを刺激するだけじゃなくて、ゆったりと全身をくまなく愛撫したほうがずっと気持ちいい。

 

 そう、優衣さんに教えてもらった。初めて入れ替わってすぐのあの日に。あの日から、いやそれ以前から僕は優衣さんのことが好きだった。

 

「優衣さん、ゆういさん……」

 

 名前を呼びながら服の上から体に触れていく。

 

 鏡の向こうでは優衣さんが自分の腋や首元、そして胸のほのかな膨らみを指先でなぞっていた。

 

 指先が触れるたびにぴくっぴくっと体が震えるのがわかる。乳首はブラジャーの内側でとっくに硬くなっていて、布越しにもはっきり存在を主張していた。

 

「んっ、んぅ、んっ……♡」

 

 吐息にほんのりと声を混ぜながら、おおよそふたりで興奮を高めていく。胸を撫でているはずなのに、背筋や腰のあたりにむず痒さに似た感覚があった。それがじわーっと全身へと広がっていく感じ。とくに指先が熱くなる。

 

 そのままブラウスの前を開いてブラジャーの内側に指を滑り込ませる。ふに♡と柔らかな触感とすべらかな肌。それに加えて温かさと心臓の鼓動が伝わってきた。

 

 優衣さんの胸、柔らかいな。

 

 ほとんど膨らみもないような貧乳なのに、それでも男性とは明確に違うとわかる触感なのだからおもしろい。

 

 後ろ手にホックを外して直接触れればその違いがよりよくわかる。

 

「……っ♡ ……ふ、ぅう……っ♡」

 

 人差し指だけでくるくる円を描くように弄ると、声が小さく漏れた。甘く蕩けるような、それでいて清らかな声だ。

 

 それから前かがみになりながら手のひらで胸を覆うとその胸のわずかな重みが感じられた。

 

 手のひらにすっぽり収まる優衣さんのおっぱい。肉を集めるようにしながらまるでパンをこねるみたいに揉んでいく。

 

 胸の中心へと熱が集まって痺れていくような感覚があって、そのせいかだんだんと頭の中がぼんやりしてくる。気持ちよく痺れる。

 

「んっ、んんんっ♡ う、あぁ……っ♡♡」

 

 鏡を見れば優衣さんが前かがみになって胸を揉んでいる。

 

 彼女はうっとりとした目で鏡を見つめていて、僕がそうさせているとはいえすごく色っぽいと思った。

 

 とても気持ちよさそうに僕の愛撫で感じている優衣さんの顔。目はとろんとしていて、口は半開きになっていた。髪は乱れて、前髪がすこし額にかかっている。

 

 僕はそのまま鏡の方へと近づいて行って、そこに映った優衣さんと見つめ合った。

 

「はぁ……っ、はあ、はあ……♡」

 

 おなかの奥の火照りはどんどんと強くなっていく。子宮の辺りがきゅ、きゅっとリズミカルに収縮して、膣内がとろとろに濡れていることが自分でもわかってしまう。

 

 きっと濡れていることだろう。

 

 鏡の前で僕はスカートの裾を摘まんで、そのまま上に持ち上げてみた。ひざ小僧、ふともも、足の付け根、そして、

 

「──っ♡」

 

 ショーツが見えたところで僕は息を止めた。

 

 優衣さんのショーツは先日いっしょに買いに行ったやつだった。構造自体はフルバックのシンプルなデザインで、けれども緻密なレースがついていて美しい。色は淡いピンク色をしている。生地はやや伸縮性に欠けるけれど、肌にぴったり張りつくような感じがして心地いい。

 

 あたりまえだけれど股間をぴっちりと覆っている。

 

 そこに男性器が生えていないことは明白で、恥丘のほのかな膨らみだけが見て取れる。つまり優衣さんのもっとも女性らしい部分がそこにある。

 

 じゅん……っ、と内側から染み出る感覚があって、それからじゅわーっと外性器側にもそれが広がっていった。

 

 ショーツのクロッチ部分の色が濃くなっているのを見て、僕はごくりと唾を飲んだ。

 

「……濡れ、てる」

 

 優衣さんの声で改めてそう言うと背筋をぞくぞくとしたものが駆け上がった。

 

 そう、濡れているのだ。今こうして見ているだけでもはっきりとわかるくらい、そこは湿っていて、布地にはそれが染み出ている。

 

「触れますね、優衣さん」

 

 誰に断るだけでもなくそう言って、優衣さんの体はそのまま裸になった。生まれたままの姿になる。

 

 優衣さんは細身で、どちらかといえばスレンダーな体型だ。

 

 身長は平均よりもすこし低いくらいで、体重もそれほど重い方ではない。全体的にほっそりしていて、無駄な脂肪はほとんどついていないし、お腹もくびれている。胸は控えめだけど、お尻は小さくて引き締まっていた。

 

「きれい、だな……」

 

 鏡に映った裸体を見て、思わずそんな感想が出た。

 

 ぺたんと床に座り込んで、ベッドに背中を預けるようにして足をM字に開く。

 

 優衣さんがかつて僕にしてくれたように右手で秘所に触れてみる。ひどく熱い。指先にぬるりとした感触があった。

 

 すでに愛液が分泌されていて、そのおかげで指先がよく滑った。そのまま縦のスリットを優しくすりすりとなぞってみる。

 

「……ん、あ、指、入っちゃ……っ♡」

 

 ほんの少し指を押すだけでつぷ、という感覚とともに指先が膣口に沈みそうになる。

 

 そこは僕の指を欲しがっていて、ひくひくと震えながら蜜をこぼしていた。でもまだまだ解していきたい。女の子の体はデリケートだから。

 

 だから指先を浅いところまで入れて入り口を広げるみたいに動かしていく。くちゅくちゅという水音をたてながら、ゆっくりと。

 

「ふぁ、あっ、あんっ……♡」

 

 くいっ、くいっ、と指が動くたびに甘い刺激が走って、そのたびに声が漏れた。

 

 やがてすこしずつ中へと進めていく。第二関節まで入ったところで、今度は前後に動かす。指の腹でおなか側を重点的に刺激する。

 

「ぁ、はっ♡ あ、あぁっ、そこ、ぉ……っ♡」

 

 ぴりぴりと電流みたいな快感が走る。秘部だけではなくて内ももまでしびれるような感じがする。

 

 愛液はとぷとぷとわき続けていて、重力に従って尻から床に落ちてしまうほどだった。愛液を指にからめて引き抜いて、また浅く入れる。

 

 そして、ぐちゅぐちゅっ、と音を立ててかき混ぜる。まるでセックスをしている時のように丁寧に、けれども情熱的に。

 

「ふ、ううっ♡ あっ、んっ、ああっ♡」

 

 腰が勝手に動いてしまう。それに合わせて胸も揺れて、自分に乳房があることを思い出す。

 

 勝手に左手が胸に伸びていった。手のひら全体で胸を包み込んで、さっきよりも強く撫でる。さらに乳首を親指と人差し指で挟んでくりくりっと弄ると、いっそう気持ちよくなった。

 

 右手の動きが激しくなるにつれて腰の動きも大胆になっていく。かくかくっといやらしく腰を振りながら、それでも手淫をやめられない。

 

 鏡を見ると、そこには快楽にとろけきった表情の優衣さんがいた。裸で、右手で秘部を刺激しながら、左手で胸を撫でて、夢中でオナニーをしている。

 

 彼女は僕の思うがままにオナニーをしているのだ。そう思うと余計に興奮してしまう。

 

「はー……っ♡ はーっ♡ はーっ♡♡ ああぁあっっ♡♡♡」

 

 どんどん昂ぶってきて、達しそうなのだと気づく。絶頂の二文字がチラついてくる。

 

 その感覚を逃さないように、もっとはげしく手をうごかした。ぐちゃ、ぐちゃっと水音が激しくなって、おなかの奥の疼きが強くなっていく。

 

 脳内では火花が散っているようだった。真っ白い光がちかちかと瞬いている。

 

 そして、

 

「い、きます……っ♡♡ ゆういさん、もう、イッ──♡♡ ~~~~~~ッッッ♡♡♡」

 

 どくん、と体の奥が震えた瞬間、達した。

 

 ぞくぞくぞくぞく、と体中を駆け巡っていくような快感。背中を反らして、首まで反りながら天井を仰ぎ見える。

 

 秘部がびくびくっと痙攣して、その震えが腹筋のあたりに伝わっていくような感覚があった。足の指がきゅっと丸まって、足の裏までも熱くなる。

 

 視界が明滅して、まぶたの裏に彼岸花が咲く。

 

「……っ、……っ♡♡ ……っあ、……あーっ♡」

 

 そのまま後ろにぱたりと倒れて、僕はしばらく気をやり続けた。

 

「……っ、はぁー……っ。あー、すごかった……」

 

 ようやく息が整ってきたころに目を開けると、優衣さんの裸が目の前にあった。

 

 鏡の前に仰向けになって倒れたまま、僕は呆然としていた。

 

 頭がまだぼうっとしている。絶頂を迎えたことで体の火照りはだいぶおさまっていたけれど、かわりに脱力感が襲ってきていた。

 

「ほんと、すごかった……」

 

 思わずそう呟いてしまった。

 

 ふわふわとした感覚があって、今この瞬間もまだ気持ちがいい。優衣さんとセックスをしている時の感覚に似ていて、口の中が甘ったるい。

 

「ん……っ♡」

 

 余韻がまだ残っているのか、軽く身じろぎをするだけでほわほわとした痺れが走った。

 

 こてん、と寝返りを打って、横向きになる。ズレていた眼鏡が顔から外れてしまったので視界がぼやける。でも、気持ちいい。

 

「はぁ……」

 

 ため息をひとつ吐いた。それからごろりと転がってうつ伏せになった。ひんやりとした床の感触を頬で味わう。

 

 心地良い倦怠感に包まれている。このまま眠ってしまいたくなるほどに気持ちよかった。

 

「イクほどオナニーするつもりはなかったんだけど、な」

 

 そんなことを思いながら、ぼんやりと優衣さんのことを考える。

 

 彼女のほうは仕事を終えただろうか。時計を見ると軽く一時間近く経っていた。

 

 でもまだあと一時間ほどはかかるだろう。

 

「おつかれさま、だよなあ……。優衣さんのこと、ちゃんとねぎらわないと」

 

 そう思いながら僕はのそのそと起きあがった。

 

 そして、あとで優衣さんにどんな奉仕をしようかななどと考えながら、まずは自分の体を綺麗にすることにしたのだった。

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

 そのころ優衣は自室にてパーソナルコンピュータのキーボードを叩き続けていた。

 

 ディスプレイには英語が横書きされている。これを日本語へと翻訳するのが優衣のアルバイトの内容だった。

 

「…………」

 

 何も言わず、黙々と作業を続ける。集中をするのは得意だ。一度スイッチが入ってしまえばまわりの音などまったく耳に入らなくなる。

 

 今は身体を入れ替えて彼の手を使っているから、手が大きい。そのせいでキーボードを打つ手がすこしだけ打ちづらい。

 

「……いえ、大丈夫」

 

 といっても、この程度なら問題ない。むしろ手が大きいことでかえって腕の動きを小さくできる。こちらの方がトータルでタイピングが早くなる可能性もある。

 

 それに、彼の頭脳は、良い。

 

 彼の脳は優衣の脳に比べてかなり優秀だ。記憶力や計算能力はもちろんのこと、情報処理能力も高い。とくに並列処理能力がずば抜けている。

 

 彼自身は謙遜するけど、優衣はその能力を深く認めていた。つまり、尊敬していた。

 

(ほんとうに、すごいひと……。もうすこし自分に自信を持てばいいのに)

 

 そう思うものの、同時に彼がそういう人間ではないことも知っている。だからこれは言っても仕方のないことだ。

 

 まあ、優衣さえ彼の実力を正しく認識していればそれでいい。

 

 それよりも──、と優衣は翻訳をしながら頭の片隅で思考を続ける。翻訳と思考を同時進行できるのは彼の脳の並列作業能力があってこそだ。普段の優衣ではとてもではないが両立できない。

 

 それにしも、彼の頭脳はすごい。勉強はできるし、考えもはかどるし、頭の回転も速い。それでいて顔も美形で、そのうえ性格も誠実で優しいときてきるのだから非の打ちどころがない。

 

 そして、そんな彼は、自分のことを好きといってくれている。愛してくれている。

 

 そのことがたまらなく嬉しい。

 

(わたしには、もったいないくらい……)

 

 そんなことを考えながら、翻訳をしていく。

 

 彼の脳、彼の指を使って行われるそれは、とてもスムースで心地がよかった。まるで彼に抱きしめられているような安心感がある。

 

 もちろんそんなことあるわけがないのだけれど、それでも優衣は彼のことを心から信頼していた。

 

「……ふぅ」

 

 一段落ついて、大きく息を吐く。そこで初めて肩が凝っていることに気づいた。首を動かして肩をぐるりと回すとごきりという音がした。どうやらずいぶん長い時間集中していたらしい。

 

 申し訳ないな、彼の体を凝らせてしまった、などと考えながら椅子の上で伸びをする。ぱきぽき、と背骨が鳴った。

 

 時計を見ると、ちょうど一時間が経過していた。進捗は四分の三といったところだから悪くないペースだ。

 

 少し休憩をしよう。優衣は自分(かれ)の体を抱きしめるように腕をまわすと、そのままごろんとベッドに転がった。

 

「んー……」

 

 むらむらしている。自慰がしたい。どうしても先ほどのむらむらを引きずってしまう。

 

 オナニーを、しようか。

 

 今ごろ彼は自室でオナニーをしているのだから、いいだろう。そうでなくとも彼は優衣が自分を慰めたくらいで怒るほど狭量ではない。

 

 だから優衣はベッドの上でごろごろしながら、体中を撫でこする。優衣のよりもずっとたくましい二の腕、胸板、腹筋、ふともも、ふくらはぎ……。

 

 するとぞくぞくとした感覚が背筋を駆け上ってきた。肌が粟立つような感覚があった。下腹部の奥のほうが熱を持ち始め、ずもも……っ、とソレが膨れてくるのがわかる。

 

「ん……♡」

 

 指先で肌をなぞり、そしてズボンの上から勃起したモノに触れる。硬い。熱を帯びていて、どくんどくんと脈打っているのがわかった。

 

「はぁ……」

 

 吐息が漏れた。体が熱くなる。心臓がどきどきと高鳴っていく。

 

「優衣、きみのことがすき、好きだよ」

 

 彼の声で自分の名前を呼び、言ってみる。

 

 とたんに背筋を甘い痺れが走った。お腹の奥でなにか熱いものがうねって、それがきゅんっと子宮を刺激したような幻想が走る。

 

 もちろんそれは妄想だが、しかしそう錯覚するほどに気分が高まっていた。

 

(わたしもあなたが好き、あなたのことを愛してる)

 

 そんな感情が胸を満たしていく。彼への想いが強くなっていく。

 

 それと同時に体はますます火照っていった。全身が汗ばんでいくのを感じる。特に下半身はじっとりと湿っていて、下着の中は蒸れてしまっていた。

 

(あなたは今ごろわたしの体でオナニーをしているの? わたしの体で、ちゃんと気持ちよくなれている?)

 

 この場にはいない彼に向けて優衣は問いかけた。

 

 答えは返ってこない。

 

 自分の体で気持ちよくなってほしい、と優衣は願う。

 

 優衣の体の綺麗な部分も汚い部分も、すべてを彼と共有したい。自分のすべてを、大好きな彼に受け入れてほしい。優衣はそう願っている。

 

 そして彼は優しい。そんな優衣のことを受け入れてくれている。その自覚がある。

 

(きみがすき、すき、すき……)

 

 そうして優衣の体はどんどん熱くなっていく。

 

 つまり、自慰がしたくなる。

 

「優衣、きみも僕の体でオナニーをしなよ」

 

「……はい」

 

 ひとり芝居で、言ってみた。

 

 彼はきっとこんなことは言わないだろう。口調もちがう。だが、だからこそ興奮するのだ。普段と違う言葉遣いや口調はそれだけで刺激的だ。

 

(ああ……)

 

 頭がくらくらする。体が熱くてしょうがない。

 

 彼からアゴをくいっと持ち上げられて、強引に唇を奪われて、嫌だと言っても止めないで、両手を頭の上で押さえつけられて、そのまま──そんな光景を想像してしまう。

 

 彼の逞しい腕に抱きしめられながら、乱暴に服を脱がされて、裸にされる。

 

 そして胸を揉まれ、乳首を吸われ、舐められ、噛まれ、しゃぶられる。

 

 それから足を開かされ、彼の指が秘所に入ってくる。最初は一本だけ。でもすぐに二本目が入ってきて、膣内をかき回してくる。ぐちゅ、ぐちゅっ、といういやらしい音が響いて、優衣は恥ずかしさのあまり真っ赤になる。

 

 でも、彼はやめてくれない。

 

 やがて、優衣の口からは甘い声がこぼれ始める。

 

 自分の声とは思えないほど艶っぽくていやらしくて、聞いているだけで恥ずかしくなるような声を上げながら彼に犯され、絶頂へと導かれてしまう。

 

 その場面を想像すると、ますます興奮してきた。体の奥がじんじんと疼いて、ますます勃起してしまうのを感じた。

 

「優衣、ほら、ペニスを出しなさい。勃起しているところを僕に見せてごらん」

 

「はい」

 

 自分に言われるままにズボンを脱いで、パンツを脱ぐ。するとぶるんっ、と勢いよく彼のペニスが飛び出してきた。

 

 先端からはすでに透明な汁があふれ出ていて、優衣の性的興奮を表現するみたいにピクッ、ピクッと痙攣していた。

 

(あなたのおちんちん、かわいい。がんばって勃起してる……)

 

 客観的に見れば決して可愛らしくはない形状なのに、優衣はなぜか愛おしく感じてしまう。

 

 これが惚れた弱みというやつなのだろうか? 

 それとも愛の力だろうか? 

 

 どちらでもいいけれど、とにかく優衣にはそれが愛おしい。かわいくて仕方がない。

 

(触って、射精させてください……)

 

 そう思いながら、自然と手が動いていた。

 

 普段から彼にそうするように、裏筋を指でなぞり、亀頭の先端を指先でくるくると撫でる。そのたびに腰が砕けてしまいそうなほどの快感が走って、背筋がぞくぞくする。

 

「ぁ……♡」

 

 思わず声が出た。

 

 普段の彼は出さないような、甘く蕩けきった声だった。思わず心がキュンとうずく。カウパー腺液がぽとりと落ちる。

 

 それを指先に絡めると、今度は竿の部分を握って上下にしごいてみた。親指と人さし指で輪を作り、それでカリ首を引っ掛けるようにして何度も往復させる。

 

「……あ、これ、きもちぃ」

 

 彼のモノを愛撫していると、自分が彼に奉仕しているのと同時に自分がされているのを味わえて、余計に気持ちがよくなる。

 

 床に降りて、前かがみになって、夢中になって手を動す。そのうちに、自分の体がどんどん昂ぶっていっているのがわかる。恥ずかしい、でもそれが気持ちいい。

 

「……っ、はぁー……っ、はぁーっ……」

 

 呼吸が荒くなっていき、視界が潤む。

 

 意識がぼうっとしていって、頭の中が真っ白になっていくのがわかる。

 

 並列思考が得意な彼の脳を、ただひとつ性欲の解消のためだけに使っていると思うと罪悪感。彼の美しい体を自分が独占しているという優越感。

 

 ペニスを扱きながら、彼の胸板や腹筋に手を這わせる。すべすべとした肌の感触を楽しむように撫でまわしていく。

 

 乳首に触れるとぴくんっと体が震えた。そのまま指先で転がすようにいじくり回すと、じんわりとした甘い痺れが広がっていった。

 

(おっぱいも感じるんだ……)

 

 自分のものとは思えないほどに愛らしい声が唇から漏れていた。自分で聞いてもドキドキしてしまうくらい甘い吐息交じりの声だ。

 

 股間と胸、両方を同時に責められているような気がしてくる。なんだかとてもいけないことをしているような気分だった。

 

 しかし、手は止まらない。むしろもっと激しくなっていく一方だ。くしっ、しゅこっ、と手の動きが素早くなっていく。

 

 睾丸がせり上がって射精の準備を終え、精液を押し出そうとしているのが感覚でわかった。尿道口がぱくぱくとして、鈴口から先走り汁が溢れてくる。

 

 もう限界が近いのだと悟る。

 

「優衣、優衣、がんばれ。もうすこしだから」

 

 彼の声で優衣を呼ぶ。まるで彼に応援されている気持ちになる。

 

 そう思うたびに、ゾクゾクとしたものが背筋を駆け抜けていく。

 

 腰の奥がきゅんっとなって、切なくてたまらなくなる。あるはずのない子宮が疼いているのがわかった。それは早くこの中に彼の精子が欲しいと言っているようで。

 

 しかし手はカリ首の段差になっている部分を重点的に責めている。

 

 腰を揺らし、性感が高まり、そして──

 

「あ、あ、あ、イク、イッ……っ♡」

 

 ──びゅく、びゅくっ、びゅく……っ! 

 

 と優衣の手のひらの中で、彼のペニスが脈動している。優衣は射精したのだ。

 

 背中を大きく仰け反らせ、全身を小刻みに震わせながら、盛大に絶頂を迎えている。頭が真っ白になり、何も考えられなくなる。

 

 どぴゅ、どぷっ、どくんっ、と断続的に吐き出される白濁液が手を汚していく。

 

 その感触に、優衣は言い知れぬ幸福感を覚えた。

 

「~~~~~~ッッッ♡♡♡」

 

 そして、長いこと続いた射精が終わると、優衣は恍惚とした表情で自分の手のひらを見つめた。

 

 指を開いてみると、ねっとりと糸を引く白い液体が付着していた。

 

「……いっぱい、射精た」

 

 ぽつり、と呟く。

 

 射精後特有の虚脱感とふわふわとした幸福感に包まれている。

 

 大好きな彼が自分の手の中で達してくれたという幸福と、大好きな彼の手で絶頂へと導かれたという幸福が同時に押し寄せてきて、胸が熱くなる。

 

 そのまま手のひらの中の彼の精液をぺろりと舐めた。苦い味が口の中に広がっていくけれど、それでも優衣は嬉しそうに微笑む。

 

 彼のものならなんでも美味しく感じられる気がした。たとえそれが苦くてまずいものだとしても、好きな人のものというだけで愛おしいものになるのだから不思議だ。

 

(わたしは、あなたが、大好き……)

 

 そんなことを考えながら優衣は手のひらの精液を舐め、それからウエットティッシュで吐精した精液の処理をし始めたのだった。

 

 

「…………」

 

 

 そうしてそれから優衣は翻訳のアルバイトに戻った。

 

 一度抜いてスッキリしたせいか、そこからは一度も休むことなく一時間で終了までこぎつけた。いつもよりも効率よく作業ができたおかげで、想定よりも早く終わったほどだった。

 

 その作業中も優衣はこんなことを考えていた。

 

「途中でオナニーをしてしまったけれど、それでもわたしは仕事をがんばった。褒めてほしい。今度は彼とセックスをして、ふたりで一緒に気持ちよくなりたい」

 

 そんなことを考えるだけで幸せになれるのだから不思議なものである。

 

 恋とは盲目と言うが、まさにその通りなのだろう。

 

 そうして無口で無表情な優衣は、彼のことを思いながらクスクスと笑うのだ。

 

「……入れ替わってセックスがしたい」

 

 などと思いながら……。

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 優衣さんが自室にこもって翻訳のアルバイトをしている間に、僕は彼女の体でシャワーを浴びた。

 

 さんざん身を清めて、ちょっといいブラウスとひざの出る丈のミニスカートを穿いて、それからエプロンを身に着けて夕食の用意をした。

 

 本日はなんとなくスタミナが必要になるような予感がしたので、レバニラ炒めだ。優衣さんは積極的に鉄分を摂取するように心がけているからこのメニューは喜ばれるはずだ。

 

 それから炊飯器のスイッチを入れて、みそ汁もこしらえて、それでひと段落。エプロンを外してソファーでひと息ついたときに、ようやくバイトを終えたらしい優衣さんが部屋からぬっとあらわれた。

 

「……いいにおい」

「あ、はい、レバニラです。お仕事お疲れさまでした、優衣さん」

「がんばった。でも、あなたも、お疲れさま」

「ありがとうございます。もうすぐご飯も炊けるので、待っていてくださいね」

「ん、待つ」

 

 そう言って優衣さんは、ソファーに座っている僕の前に膝をついて座った。そして「……ん」と頭を突き出してくる。

 

 これはきっと『撫でて』という意思表示だろう。言われなくてもそれくらいはわかる。

 

 だから僕はソファーから立ち上がって、彼女の頭頂部にぽんと手をのせて、優しく撫でた。

 

「えらいえらい。優衣さんはよくがんばりましたね」

「んぅ……っ」

「よしよし、よしよし……」

 

 優衣さんの髪──というか身体的には僕の髪だけれど──はすこし髪質が硬かったけれど、優衣さんは目尻を下げて心地よさそうにしていた。まるで大型犬に懐かれているみたいだ。

 

 それから優衣さんは「……はぐ」と甘えるように言って両腕を広げた。抱きしめてほしい、という意思表示だろう。

 

「今日の優衣さんは甘えんぼさんですね」

「わたしはいつも甘えんぼ」

「そうでした」

「……ふふ」

 

 彼女の頭を抱きしめて、髪を撫でる。優衣さんも僕に抱きついてきて、すりすりと頬ずりをしてきた。

 

 こちらのやわらからな胸に顔を埋めながら甘えてくる様子はまるで猫のようだと思った。

 

 そしていつの間にか彼女の手のひらが僕の背中から腰や尻に伸びてきた。体の丸みを確かめるみたいにさわさわ、やわやわと撫でられているのがわかる。

 

 お尻を撫でられるのはすこし恥ずかしいのだけれど、まあいいだろうと思って好きにさせておくことにした。これは本質的には優衣さんの体だし、なによりも彼女に触られること自体は嫌ではないからだ。

 

「あなたの体、やわらかい」

「……んっ、あのう、優衣さん触りかたがいやらしいんですが」

「そう。ふわふわで、気持ちいい」

「そうですか? というかこれって優衣さんの体だと思うのですが。まあ、僕としてはうれしいですけど」

「いい香りがする。シャワー浴びた?」

「ええ、すみません。優衣さんの体でオナニーをしたら汗をかいたので」

「洗ってくれて、どうもありがとう」

 

 ふわ、と優衣さんの体が僕から離れた。

 

 と、思ったら僕のスカートをめくりあげて、その中を確認し始めた。

 

「あ、ちょっと、優衣さん」

「かわいいパンツ、穿いてる。しかもTバック。誘っている?」

「あっ、こら、見ないでくださいよ! これは後で僕が脱がせる用の優衣さんの勝負下着なんですから」

「わたしのために選んでくれた?」

「戻ったあとで、僕が見て楽しむ用なんですよ。優衣さんに見せるために穿いたわけじゃ──あ、こら」

 

 ふんす、ふんすと優衣さんの鼻息が僕の内ももにかかって、それからヘソのあたりにちゅうっと音を立てて吸いつかれた。そのまま皮膚をれうれうと舐められて、下腹部がきゅんとする。

 

 スカートの内側に彼女の手が侵入してきてTバックの尻肉を揉まれると、それだけで気持ちよくて声が出てしまう。

 

「ぁ……っ♡」

「あなたは、わたしのもの。そうでしょう?」

「そうですけど……!」

「……ふふっ」

 

 お尻の丸みを確かめるように素肌を撫でられ、肛門の周りを指でくるくると刺激される。

 

 前方からは舌でれうれうとヘソ下、そけい部、内ももと順に舐めまわされて、そのたびにゾクゾクとした快感が背筋を駆け上がってくる。

 

 あとで楽しもうと思って布面積の小さいショーツを穿いていたことが裏目にでて、僕は優衣さんにされるがままに素肌を蹂躙されていく。身を捩って逃げようとしても彼女の大きな腕で腰回りを拘束されていて、逃げられない。

 

「ん、ぅ、ふぅ……っ♡ んゃ、やだ、だめですってばぁ……っ♡」

「どうして? 気持ちよさそうにしている」

「だってぇ……」

「ふふふ、本当に女の子みたい」

「い、いや、それはそうですよ……! 今は優衣さんの体なんだから……。あう、あっ、やだ、そこ、ダメ、弱いんです、僕……っ!」

「知ってる。もとはわたしの体」

「や、や、んんっ♡ ちょ、ちょっと、優衣さんっ、だ、ダメですよぉ……♡」

「いい香り。興奮する」

「あ、あぁ……っ、嗅がないで、くださいぃ……♡」

 

 優衣さんは鼻筋を僕の股間に押しつけてきて、くんくんと鼻を鳴らした。

 

 それから、ちろ、と舌先を伸ばしてショーツ越しに割れ目に吸いつかれる。すると僕の意思に反して、そこがヒクついてしまったのがわかった。

 

 じゅわあ……っ♡とあふれだした愛液がショーツを濡らしていくのがわかる。

 

 そうして優衣さんの唾液と僕の愛液によって布地が湿っていく感覚を感じていると、だんだん頭がぼーっとしてくる。腰から強制的に力が抜けてしまって、へたり込んでしまいそうだ。

 

 そんなこちらの様子に気をよくしたのか、優衣さんは僕の体をひょい、と持ち上げてソファーに押し倒した。そして仰向けに寝そべった僕に覆いかぶさるような体勢になって、またべろりと首筋を舐められる。

 

「はぁ、はぁっ……♡ ゆ、ゆう、いさん……っ♡」

「あなたを抱きたい」

「……っ」

「このままセックスがしたい」

「そ、そんな、こと、言われてもぉ……♡」

 

 優衣さんの指先がショーツ越しに僕の秘部をぬちぬちと撫でている。そこはどんどん湿潤してきていて、僕の興奮具合を表しているみたいだった。

 

 さらに首筋を甘噛みされて、ちゅうっと強く吸われる。チクリと痛む。きっとキスマークがついただろう。自分は嫌がるくせに。

 

そしてキスマークをぺろぺろと舐められる。甘い痺れ。

 

 その間も彼女の指先は絶えず僕を刺激し続けていて、クリトリスを撫でられたときは思わず腰を浮かせてしまった。

 

「あ、あぁっ……♡ ゆうい、さ、んっ……♡」

「かわいい声。もっと聞かせてほしい」

「や、やぁ……っ、そんなこと、いわれ、てもぉっ……♡

 やだ、やだってばぁ……っ♡」

 

 くちゅくちゅ、ぐちゅっ♡と水音が聞こえてくる。同時に強烈な快楽が脳髄まで突き抜けていって、僕は首をのけぞらせた。

 

 しかしすぐに彼女の手によって元の位置に戻されてしまう。それから今度は唇を奪われて、口内に舌を差し込まれた。

 

 歯列をなぞられ、舌を絡め取られて、上顎の裏を執拗に責められる。まるで口の中を犯されているみたいだ。

 

 彼女の指先がTバックをズラして中に入ってきて、秘部に直接触れた。そのまま入り口付近を撫でまわされて、つぷりと指が入ってくる。

 

 先ほどさんざん自分で弛めた秘部は、その異物を歓迎するみたいにして飲み込んでいった。体の内側を触られる異物感と、愛おしさ。

 

「ん、んぅっ、ふ、ふぅ……っ♡」

「熱い。あなたの中」

「あ、ぅ、う~っ♡ あ、ぁっ、ゆぅ、い、さんっ♡」

「ここ、好きでしょう?」

「やだ、やだって言ってるのにぃっ♡ いじわる、しないで、くださ、いっ♡」

 

「…………。……本当に、やだ?」

 

 ぴた、と膣内で優衣さんの指の動きが止まってしまった。そのまま僕の目を見て、じっと静止される。

 

 ここで止めないでほしかった。だって、こんなに気持ちいいのだから。それにこの体はもともと優衣さんのもので、それに僕は気持ちよくって、口ではやだって言っているけれど、それが本心ではないことは彼女にも伝わっているはずで。

 

 だから僕が拒否を聞き入れる必要はないはずなのに、なぜか彼女は僕の口からその言葉を聞きたがっているようだった。

 

 ずるい人だ。でもそういうところも好きなんだからどうしようもない。惚れた弱みというやつだろうか。

 

「……強引にされるの、やだった?」

「え、あ、あの、えっと、その、うぅ~……っ♡」

「いやなら、やめる。ごめんなさい」

 

 そう言って指を抜こうとするので、慌ててその手をつかんで引き止めた。

 

 そして僕は彼女の目を見る。優衣さんは相変わらず無表情だけれど、その瞳の奥には確かに情欲の色が宿っていた。

 

 ああ、この人も興奮しているんだ。そう思うと嬉しくなってしまって、なぜかきゅんとした。優衣さんの脳だから、そう思ったのかもしれない。

 

「やじゃ、ないです……」

「……んー?」

「やじゃない、ですから、あのぉ……」

「もっとしてほしい?」

「はいっ、もっと、もっとしてください……っ♡」

「ん、いい子いい子」

 

 再び指が動かされて、ゆっくりと抜き挿しが開始された。最初は優しく、次第に激しくなっていく。

 

 指先でお腹の裏側あたりを擦られると、それだけで腰が浮いてしまうほどの快感が襲ってきた。

 

「あ、あぁっ♡ ゆび、きもちい、ですぅっ♡」

「そう。よかった」

「優衣さんのゆび、やさし、くてぇっ♡ あたま、おかしくなっちゃいそぉ……♡」

「かわいい。すき」

「あっ♡ ぼ、ぼくもぉっ♡ ゆうい、さ、のこと、だいすき、れす……っ♡♡」

 

 ぐちぐちと粘着質な音が響いている。

 

 もうショーツは意味をなさないほどに濡れてしまっていて、きっとソファーの座面にもシミができているだろう。

 

 そのままショーツをずり下ろされて、片足に引っかけたまま行為が続けられた。もう片方の足には脱がされなかったショーツが引っかかっていて、なんだかすごくいやらしい格好をしている気がする。

 

 優衣さんは自分もベルトを引き抜いて前を緩めると、ズボンごと下着を脱いで放り投げてしまった。それから僕の両足を大きく広げて、その間に体を割り込ませてくる。

 

 本来男はするはずのない、足を大きく開いて秘部を丸出しにする体勢だ。恥ずかしい。でもそれ以上に興奮している自分がいた。

 

 僕の痴態を見て、彼女も興奮してくれているのだろうか。そうだといいのだけれど。

 

 そんなことを思っているうちに、優衣さんがコンドームを装備して、それからシコシコと何度か手で扱いてから僕のそこに先端をあてがってきた。

 

 すでに愛液でぐちゃぐちゃになったそこに、硬いものが触れる感覚がある。

 

「……いい?」

「はやく、ほしい……です」

「ん」

 

 ずぷぷっ……♡♡と音を立てて、膣内に侵入してきた熱量に思わず息を詰めた。何度経験しても慣れない質量に息が詰まりそうになるけれど、なんとか受け入れようと深呼吸をする。

 

 亀頭部分が入り込んでしまえば、あとは比較的スムースに挿入することができる、経験上そう知っている。一番太い部分さえ入ってしまえば後は楽勝なのだ。それでも圧迫感はあるけれど。

 

「……うぅ、ぁっ♡ き、きたぁ……っ♡」

「すごい、しめつけ……」

 

 やがて奥まで到達すると、優衣さんは「はぁ……」と小さく息を吐いてから、僕をぎゅっと抱きしめてくれた。気持ちいい。

 

 好きな人に抱きしめられて、しかも彼女を全身で受け入れている感覚があって、多幸感に包まれる。

 

 そのまましばらく抱き合っていると、優衣さんが指先で僕の涙を拭ってくれた。気づかないうちに泣いていたらしい。

 

「だいじょうぶ?」

「あ、あれ? どうして僕、泣いて……?」

「痛む?」

「い、いえ、大丈夫です。痛くは、なくて、その、うれしくって、幸せだなって、思ったら、つい……」

「……ん」

 

 短く返事をすると、彼女はまた僕にキスをしてくれた。柔らかく、甘い唇の感触。舌を入れられて絡め取られるのも好きだけど、こうして触れ合うだけのキスも大好きだ。愛されている実感がわくから。

 

 それに何より、彼女と繋がっているという事実が何よりも嬉しかった。僕が女になってよかったと思うことの一つだ。だってそうでなければ、こうやって愛し合うことはできなかったのだから。

 

「あのぉ優衣さん、僕、あなたのことが好きです」

「……ん。わたしも」

「えっと、今日、お仕事お疲れさまでした」

「いまそれ言う? でも、あなたも、お疲れさま」

「え、僕?」

「あなたはいつもがんばってる。わたしはあなたに救われてる。いつも、いつもありがとう」

 

 そう言って、彼女が僕の頭を撫でてくれた。

 

 じゅわぁ、と、心と体が温まる。体が弛んだ感覚があって、頭を撫でられただけなのに全身が気持ちよくなった。

 

 それから、なんだか急に恥ずかしくなってきた。顔に熱が集まってくる。

 

 赤くなった顔を見られたくなくて、僕は彼女を抱き寄せて肩口に顔を埋めた。

 

「優衣さん、ちょっと、いま顔見ないでくださいね」

「なんで」

「なんでもです。今ぜったい変な顔してるっていうか……」

「ふふふ、そんなことない。乙女顔してるだけ」

「それが恥ずかしいんですよぉ……」

「だいじょうぶ、わたしよりかわいい」

「うー……っ」

 

 からかうようにそう言われてしまって、余計に顔が熱くなるのを感じた。

 

 その顔に、ちゅっちゅ、と何度も角度を変えてキスが降ってくる。そのたびに胸の奥がきゅんとして、幸せな気分になってしまう。

 

 ああ、好きだなぁ。大好き。この人のことが大好きでたまらない。

 

 そんなことを考えていたら、急におなかの奥の方がキュンッ♡と疼いて、膣壁が収縮したのがわかった。

 

 それと同時に優衣さんの眉根が寄せられて、苦しそうな吐息を漏らす。

 

「……えっち」

「い、いや、わざとじゃ……」

「動いても構わない?」

「あのぉ……、それなんですけど、できれば最初はゆっくりお願いしたいんですけどぉ」

「……善処する」

 

 短い返事とともに、ゆっくりと抽送が開始された。

 

 たしかに、ゆっくりだ。ゆるゆるとしたスローペースで、しかも長いストロークで抜き挿しされる。

 

 その分、膣内に陰茎の形を覚え込まされてしまっているような感覚があった。

 

 ずるる……っ♡とゆっくり引き抜かれれば『行かないで』とすがりつくみたいに膣内が絡みついていって、ずぶぶ……っ♡とのんびり埋まってくれば『おかえりなさい』と歓迎するかのように迎え入れてしまう。

 

 優衣さんのお膣は僕のモノしか知らない。

 

 だから彼女の膣内はほとんど僕のペニスを受け入れるための形になっている。僕は今は女の子側だというのに、その事実がたまらなく嬉しい。

 

「ゆう、い、さ……っ♡ あ、んっ♡ きもち、いい……っ♡」

「うん。きもちいい」

「すき、すきです、だいすき……っ♡♡」

「わたしも、すき」

 

 ゆさゆさとゆっくり揺さぶられながら、僕たちは互いの体温を感じていた。ぴったりとくっついているから、相手の鼓動まで感じられる。

 

 どくんどくんという心臓の音が、僕のものか、それとも優衣さんのものなのかもわからないけれど、その音が心地よかった。

 

 そして僕の秘部が彼女に媚びるように吸い付くたびに、優衣さんが気持ちよさそうに熱い吐息を漏らす。その表情を見ているだけで胸が高鳴っていく。

 

 ふたりで、一緒に気持ちよくなっているのだ。そう思うと嬉しくて、幸せで、もっと彼女と繋がりたくて仕方がなくなった。

 

「ん、ん、ん……っ♡ ん、んぁ、あ……っ♡ あ、ゆういさ、んんっ♡♡ んあ、ああっ♡♡」

 

 と、声がどんどん高くなっていく。

 

 同時に優衣さんの表情にも余裕がなくなってきて、どんどん快楽に飲まれた目になっていく。

 

 やがてすこしずつ律動が激しくなっていき、ぐちゅっ♡どちゅっ♡ぱんっぱんっ♡♡という水音が大きくなっていく。それに比例して快感も増していった。

 

「あっ♡ あぁっ♡♡ ゆういさんっ♡♡ そこ、そこぉっ♡♡」

「おく? 奥のとこがいいの?」

「んぁっ♡♡♡ はいっ、はいぃっ♡♡ いちばん奥、とんとんって、してください……っ♡♡」

「いいよ。でも、あなたも後で同じようにしてね?」

「あ゛~~っっ♡♡」

 

 ぐりぃ♡とひときわ強く最奥を突かれて、目の前が真っ白になった。一瞬意識が飛んでいたかもしれない。それくらい強い衝撃だった。

 

 確実に弱点を突かれたとわかる。

 

 優衣さんの脳みそが快楽物質をどぱどぱと分泌して、脳内が花畑になる。

 

 そのままぐりぐりと亀頭を押し付けられて、子宮口をこねくり回されて、僕はもう喘ぐことしかできなくなった。

 

「あーっ♡♡ あぁーっ♡♡ あ、あ、あ、あ、あっ♡♡♡」

「ん、すごい声出てる。かわいい」

「ゆういひゃ、ゆういしゃ、ぁ……っ♡♡」

「イきそう?」

「い、いくっ♡ いきますぅっ♡♡ もうらめ、きちゃう、いっちゃいますぅ……っ♡♡」

「ほんと、かわいい子。がんばって、もうちょっとだよ」

「いっしょに、いっしょにいきたいれすっ♡♡ いっしょがいいれすぅうっ♡♡」

「わかってる」

 

 そう言うと彼女は僕の体を抱きかかえて対面座位の姿勢になり、僕のお尻を両手でつかんだ。

 

 そのまま上下に動かされると、自分の体重のせいでさらに奥まで優衣さんのペニスが入り込んできて、とんでもない快感に身悶えしてしまう。

 

 あまりの気持ち良さにわけがわからなくなってしまいそうだ。

 

 いちばん最奥地を重力と自重の力でごちゅごちゅと抉られ続けて、僕は泣きながら喘いだ。

 

「ひぁああああっっっ♡♡ これだめぇっ♡♡ ぜんぶ、ぜんぶっ、きもちいいからぁっっ♡♡」

「じゃあ、やめる?」

「やだやだっ♡♡ やめちゃやらっ♡♡ ずっと、こうしてたいです……っ♡♡」

「……ん」

 

 短く返事をすると、優衣さんは僕の唇にキスをして、そのまま口腔内に舌を差し入れてきた。

 

 僕もそれに応えようと必死になって舌を動かす。その間も抽送は続いていて、上も下も気持ちよくて、頭がおかしくなりそうで、そして──

 

「~~~~~~~~~~~~ッッッッッッ♡♡♡♡♡♡」

 

 びくんっ、と大きく体が痙攣して、達した。

 

 全身が硬直すると同時に、膣内がぎゅうううっと収縮する。そのせいで膣内にある優衣さんのペニスの形がはっきりと知覚してしまって、それがまた気持ち良くて、絶頂感が収まらない。

 

 膣壁がうねるたびに優衣さんも感じているようで、切なそうな声が漏れる。それが可愛いと思う。

 

 そしてペニスが一瞬膨らんで、ゴム越しに精液が放たれたのがわかった。

 

「あ、あ、あ……っ♡♡ 出てる、でてる……っ♡♡♡」

 

 膣内で、びゅっくんびゅっくんと精液が吐き出される感覚がある。その脈動、そして達している優衣さんの表情が見える。

 

 彼女が僕に興奮して射精しているのだと思うと嬉しくて、幸せでたまらない気持ちになった。

 

 だから自然と笑みが溢れてきてしまって、ふたりして同時に達しながら、しばらくのあいだ僕たちは抱き合ったまま動けなかった。

 

 互いに呼吸を整えながら余韻に浸っているようだった。

 

「はぁっ……、はぁ……っ」

「ゆういさ、ん……」

「……ん?」

「すき、すきです……」

「……ん。わたしも。一緒にイケてよかった」

「ええ、ほんとうに……」

「大好きよ」

 

 そう言ってキスをしてくれた彼女の表情は穏やかで、優しくて、愛おしかった。

 

 ああ、やっぱりこの人が好きだな、と再確認したし、彼女も僕と同じ気持ちでいてくれるのだとわかって嬉しかった。

 

 やがてずるりと陰茎が引き抜かれていく感覚に身震いしつつ、僕たちはソファーに倒れ込んでいったのだった。

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

 かぽーん、と何かの音が鳴った。

 

 風呂である。僕と優衣さんは、ふたりして一緒に湯船につかっていた。汗をかいた体にお湯が染み渡っていく感覚が心地いい。

 

 ちなみに、僕たちは既に『入れ替わり』を解除している。

 

 つまり僕は僕の姿で、優衣さんは優衣さんの姿で入浴をしている。

 

 僕の方が大柄だから、僕は優衣さんの華奢な体を後ろから抱きしめるような体勢で湯船につかっていた。背面座位、とでもいえばいいだろうか。といっても挿入はしていない。単に密着しているだけ。

 

 ただ、この体勢だと彼女の綺麗なうなじがよく見えて、なんだかムラっとしてしまった。

 

 そんな僕の心情を察したのか、はたまた偶然なのか、不意に優衣さんが振り返ってこちらを見上げてきた。目があう。

 

「んー?」

「あ、いや、なんでもないですよ」

「ふふ、嘘つき。えっちしたくなったくせに」

 

 くすくすと笑う彼女に釣られて僕も笑ってしまった。こういうところが本当に可愛くて仕方がないのだ。

 

 元に戻ると、優衣さんはより一層甘えんぼになるような気がする。

 

 いや、実際にそうなのだけれど、普段のクールさがどこかにいってしまうというか、とにかくギャップが凄まじいのである。

 

 普段は無口で無表情なのに、仕事終わりとかセックスの後とかはふにゃふにゃ笑って甘えてくるようになるのが最高だ。可愛すぎる。

 

 そんな彼女が愛おしくてたまらなくて、僕は思わずぎゅっと抱きしめてしまった。すると彼女は嬉しそうに笑って抱きしめ返してくる。

 

「……ん、あなたの体、あったかい」

「優衣さんの体もあったかいですよ。柔らかくて、いい匂いしますし」

「……へんたい」

「すみません。でも、本当なので」

「男の時は、あなたは、ちょっと強引」

「嫌ですか?」

「……ううん、好き」

 

 そう言うと彼女はお湯の中で僕の手をきゅっと握ってきた。恋人繋ぎというやつだった。

 

 そのままにぎにぎと握られる。

 

「男になっても、女になっても、わたしのことを好きでいてくれて、嬉しい」

「その言葉、まるっとそのまま優衣さんにお返ししますよ。僕も優衣さんのことをそう思ってますし」

「……ん」

 

 そう言って彼女は僕の胸板に後頭部を預けた。僕はそんな彼女の体を優しく抱きしめる。

 

 そうすると安心したように目を細めて、ゆっくりと目を閉じた。どうやら眠くなってきているらしい。無理もないだろう、翻訳のバイトもしたし、僕に隠れてこっそりオナニーをしたし、そのうえあれだけ激しい行為をした後なのだから。

 

 まあ、オナニーの所に関しては恥ずかしがるだろうから指摘するつもりはないけれど。

 

「優衣さん、眠いんですか?」

「……ん」

「じゃあ上がりましょうか」

「やだ」

「え?」

「もっとこうしてたい……」

「そんなに可愛くされると、僕、優衣さんのことを襲っちゃうかも」

「……ん、いいよ」

 

 まさかのオーケーが出たので、僕は驚いて目を見開いた。

 

 てっきり断られると思っていたからだ。優衣さんは優しくて大人しい性格だから、僕が無理やり迫ったら嫌がるに違いないと思っていたので。

 

 でもそういえば優衣さんは男の時は僕に強引に迫ってくるし、もしかするとそういうのが好きなのだろうか? 

 

 もしかして自分がされたいことを僕にしていた? 

 

 などと考えながら絶句していると、不意に彼女がこちらを振り向いた。

 

 その瞳は潤んでいて、頬も紅潮していて、なんというかとても扇情的だった。

 

「わたしは、あなたになら何をされてもいいと思っている」

 

 そうしてこちらを見つめてくる優衣さんの瞳は、まっすぐで綺麗で。

 

 ああもうダメだ、我慢できない。

 

 僕はそのまま衝動的に彼女の唇を奪うと、そのまま深く口付けたのだった。

 

 そしてその夜、結局我慢できなくて僕たちは家中あちこちで朝までセックスをしていたのだった。

 

 僕の作ったスタミナ料理が役立ったことは、言うまでもない。

 

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