無口で無表情な年上彼女と体を入れ替えて純愛系いちゃらぶえっちで蕩けあう話 作:しじままどせ
ここのところ優衣さんと喧嘩をしている。
喧嘩といっても別に殴りあったり暴言を吐いたりするわけではない。ただ単に僕が優衣さんに素っ気なくされているだけだ。つまるところ冷戦というやつ。
もともと優衣さんは無口で無表情なのだけれど、喧嘩をするとそこに無愛想・無反応・無関心が加わるのだ。
たとえば、話しかけても返事がなかったり。
たとえば、スキンシップを無視してみたり。
たとえば、こちらに見向きもしなかったり。
そういった感じで喧嘩中の優衣さんは僕を黙殺するのだ。同棲中であるだけに、無視されるのはかなり堪えるものがある。
正直つらい。もう三日も口を利いていない。
今回の喧嘩の原因は、あれだ。僕が悪い。一緒にお風呂に入っているときに、優衣さんの乳を揉みすぎた。それに尽きる。
優衣さんが「やだ」と主張したのにもかかわらず『気持ちいい』って意味の「やだ」だと解釈して触り続けた結果、本気で怒らせてしまったのだ。
そのせいでもう三日も口を利いていない。
いい加減お互いに喧嘩をするのも疲れてきたし、そろそろ仲直りをしたいと思っている気配はあるのだけれど、きっかけがないというか、なんというか……。
「…………」
そういうわけで僕はぼんやりとキッチンに立って、リビングでソファーに座っている優衣さんを眺めていた。優衣さんはコーヒーを飲みながら雑誌を読んでいる。
ちなみに今日の彼女は白地に黒の水玉模様が入ったシャツを着ていて、下は柔らかな生地のロングスカートだ。その下はタイツだろうか。
ソファーに体育座りしているせいでただでさえ小柄な体が余計に小さく見える。
正直に言って、めちゃくちゃ可愛い。好みの服だ。
そのうえ、実は今の優衣さんの服は初めてデートをしたときの服と全く同じコーディネートなのだ。いや、その服を選んだのは当時の僕──つまり優衣さんと入れ替わっていた当時の僕──だし、優衣さんがはたしてその服を意識しているかは不明だけれども。
「優衣さん、なんか今日いい服を着てますね」
「……む」
試しに声をかけてみたけれど、やはり返事はなかった。冷たい視線をまっすぐに向けられるだけ。大きな丸眼鏡越しに感情の読めない瞳で見つめられる。
だめだな、これは。まだまだ怒っているらしい。
そう判断して僕は両手を挙げる。やれやれ、というジェスチャーだ。
「……なに?」
「いえ、何でもないですよ。なんでも」
「そう」
相変わらずの素っ気ない返事だった。
伏し目がちに雑誌に視線を落とす彼女を眺めて、僕はそっとため息をつく。だめそうだ。
とりあえず花でも買いに行って渡してみようか。花で何かが解決するとは思えないけれど、話しかける切っ掛けくらいにはなるかもしれない。そう思って財布を持って玄関に向かう。
「ちょっと出かけてきますね」
返事はどうせないだろうと決めつけていたから、振り返らずにそう言った。
「……あ」と優衣さんが小さな声で呟くのが聞こえたような気がしたけど、たぶん気のせいだろう。
◇◇◇
ところで優衣さんはかすみ草が好きだ。
かすみ草は小さくて白い花がたくさん咲く。だいたい通年いつでも売っている花で、しかも価格も高くはない花なのだけれど、その花が可愛くて好きだと言っていた。
だから今日はかすみ草の花束を買おうと思う。
小さな花をたくさん束ねたやつ。値段はぜんぜん張らないので大きな花束にしたって構わないわけだけれど、後で活けるのが大変だから、まあ程々に。
そんなことを考えながらちょっと遠い花屋まで歩いていった。近場だとすぐに帰れてしまって気まずいから、遠くの道をのんびりのんびりと歩いていく。
といっても僕の体、僕の足では歩幅が大きいからサクサクと進むのだけれど。わりと僕の体は大きいから歩くときには便利だ。
自分の体の大きさって、自分のままではなかなか意識しづらいものだけれど。
そんなことを頭の片隅で考えて、もう片方の隅では優衣さんのことを考えていた。つまりどうやって仲直りをしようかな、なんて。
花を渡して、ごめんなさいって言って、それから……?
どうしても上手くいくビジョンが思い浮かばなくて、僕は一人で苦笑した。それでもトコトコと歩いていって花屋へ行って、かすみ草の花束をこしらえてもらって、また帰路につく。
その間もずっとぼんやりとあれこれ考えていた。
いつもよそ事を考えてしまうのが僕の悪い癖で、ひとつのことに集中できない性分でもある。優衣さんの体になっているときはそうはならないので、もしかすると僕の脳の特性なのかもしれない。
ともかく意識を半分飛ばしながら、ゆっくりと花屋まで行って、帰った。
買った花束を持って歩くのはのんびりした気持ちだった。
優衣さんは今ごろどうしているのだろうかと思った。
「……あ」
「……あ」
そして僕らの住むマンションのエレベーターホールで、僕は苦笑した。目の前に花束を抱えた優衣さんが居たからだ。
僕と同じように、かすみ草の花束を持っている。
仲直りのために花束を買ってくるなんて安直だ、と思ったけれど、同時に自分もそうだと気がつく。
どうやら僕と優衣さんはふたりして別々の花屋にかすみ草の花束を買いに行った、ということらしい。
「優衣さん?」
「……ん、ひさしぶり」
「小一時間ぶりですよね」
「それはそう」
彼女は「は、は、は」と息を切らしていた。走って近場の花屋まで行ったのかもしれない。大きな花束に埋もれるみたいにして、彼女はそこに立っていた。
そして僕の持っている方のかすみ草の花束を見て、気まずそうに目を伏せた。
きっと彼女も仲直りしようと思ってくれていたのだろう。それで慌てて花束を買ってきたのだろう。
その気持ちが、何だかうれしい。抱きしめたいという感じ。
僕はとりあえずエレベータの上向きボタンを押し、到着したエレベータに優衣さんを誘った。
「ほら、優衣さん、どうぞ」
「あ、ありがとう……」
「いえいえ」
そうして僕らは一緒にエレベータに乗る。
優衣さんの持っていたかすみ草の大きな花束を受け取って、かわりに僕の小さなかすみ草の花束を渡す。
エレベータが昇りはじめる。すこし重力がかかる。
「僕ら、おんじように花束を買いに行ったみたいですね」
「……ん。あなたはかすみ草が好きだから」
「え、かすみ草が好きなのって優衣さんの方じゃなかったですっけ」
「ちがう。あなたのほうが、かすみ草が好きだった」
「えー、そうですか? まあどっちでもいいですけど」
「……まあ、わたしもいちばん好きな花」
チン、と僕らの住む階へと到着する音が鳴った。エレベータの扉が開く。
無言で降りて、部屋の前まで行く。
黙って手を繋いでみた。握り返される。拒絶はなかった。
鍵を開け、部屋に入った。
玄関先の床に花束を置く。
同時に優衣さんも花束を床に置き、目が合う。
「……あ」
「……ん」
その次の瞬間には、僕は優衣さんに抱きしめられていた。ぎゅーっと力強く抱き寄せられている。
何も考えずに僕も優衣さんを抱き返した。背中をかき抱くみたいにして、強く抱きしめる。密着して、体温を感じる。
どうも気持ちが通じあっているらしいと思う。
ぐす、と鼻をすする音が聞こえた。
「ごめんなさい。あなたに意地悪した」
「あ、優衣さん……」
「あなたに嫌な顔をして、あなたが傷ついた表情をするのもわかってたのに、わたしは意地を張ってしまった。本当にごめんなさい」
そう言って優衣さんは僕の胸に顔を押し付けてくる。彼女の涙が僕のシャツにしみ込んでいくのがわかった。
何か言おうかと思ったけれど、やめた。何となくだけれど、今は何も言わない方が良いような気がしたから。僕はただ黙って彼女を抱きしめていた。
やがて優衣さんは僕から体を離して、眼鏡の下で涙をぬぐい、顔を上げる。真っ赤な目だった。
だから僕は彼女に微笑みかけた。
「こちらこそ、このあいだは優衣さんの胸を揉みまくってすみませんでした。優衣さんがやだって言ったらもうしませんから、その、すみませんでした」
ぺこりと頭を下げる。
すると優衣さんはくすりと笑った。そしてシンプルに言う。
「許さない」
「え、えー……?」
「あなたに揉まれると数日間乳首が腫れてジンジンする。だから許さない」
「い、いま仲直りの流れじゃなかったですか?」
「そう。仲直りはします。でも、それはそれとして、あなたを許すかどうかは別問題」
そう言いながら優衣さんは、
といっても僕の体を抱きしめたままだから全然迫力はないのだけれど。むしろ可愛いくらいなのだけど。
「あなたのおっぱいを揉みまくらせて。でないと許さない」
「えー……、僕、男なので揉むほどないですけど」
「入れ替わればいい」
「それだと結局揉まれるのは優衣さんの胸ってことになりません?」
「それはそれ、これはこれ」
「というか優衣さんの胸も揉むほどないですよね?」
「……
「あ、いえ、なんでもないです」
僕が慌ててそう言うと、優衣さんムカーッとした顔をした後にフッと表情を弛めた。そして思いっきり背伸びをして僕に顔を近付ける。
ちゅ、と唇同士が触れ合った。
すぐに離れて、至近距離で見つめ合う。
「あなたを許したい。仲直りのために入れ替わってセックスがしたい」
「うわあ、直球ですね」
「……やだ?」
「……はあ。嫌じゃないですよ、べつに」
僕は苦笑いしながらそう言った。
実のところ僕も優衣さんと仲直りをしたかったのだ。
◇◇◇
さて、僕と優衣さんは互いの体を入れ替える能力を持っている。
これは一年くらい前に発現した能力で、初めて能力が暴発したときは半年くらい僕たちは元の姿に戻れなかった。その時に僕たちは恋仲になり、まあありていに言うと一生一緒に生きていく決意を決めたわけだけれど、それはともかくとして。
ともかく、僕と優衣さんは額を重ねて「チェンジ」と合言葉を唱えることで体を入れ替えることができる不思議な能力を獲得したのだ。それ以来、僕たちはこの能力をフル活用して身体を入れ替えたり戻したりして穏やかで刺激的な日常をすごしていた。
お互い相手の体でセックスをすることも慣れっこだし、今では互いの体を知り尽くしていると言っても過言ではないだろう。もちろん僕と優衣さんは恋人同士なのだから、体を重ねあうことは自然なことであるしね。
「……仲直り、セックス。仲直りセックス」
小柄な優衣さんは寝室のベッドの上で僕に引っ付きながら上機嫌にそんなことを呟いていた。ほとんど鼻歌を歌っているみたいにリズムよく喋っている。
僕の腕をさわさわと撫でながら言ってくるものだから、ちょっとドキドキする。
「優衣さん、そんなに嬉しいんですか?」
「……ん。あなたと仲直りしたくて、ずっと困っていた」
「だったら素直にそう言ってくれたらよかったじゃないですか」
僕がそう言うと優衣さんはむーっ、とふくれ面をした。そして僕の頬を両手で挟んでこつん、こつんと頭突きをしてくる。
決して痛くはないのだけれど「わたしは拗ねているんだよ」と言わんばかりのアピールなのだろう。
「わたしが口下手なの、しってるくせに」
「そうでした。でも僕も同じくらいには口下手なんですよ」
「……ん、知ってる。お花買ってきてくれてありがと」
「いえいえ、お互いさまです」
などと軽口を交わしながら額をコツンと合わせる。
超至近距離に優衣さんの整った顔がある。長いまつげが瞬きするたびに揺れていて、何だかキスを求めているように見えてしまう。
だから僕は軽くキスをしてみた。
すると優衣さんはまるで花が咲いたようにふわっと目を細めて、それから彼女の方からもキスをしてくれる。角度を変えながら、二度、三度と唇を触れ合わせた。舌は入れない、軽い口づけだ。
「そろそろ、替わる?」
「そうですね。でもまあ僕としては入れ替わらずにするのも好きなんですけど」
「……ん、じつはわたしも」
「え、そうなんですか、意外……」
「その話は今はいい。また今度」
「あ、はい、じゃあ替わりましょう」
「……ん。替わる」
そうして額を重ねたまま、覚悟を決める。
これから僕たちは入れ替わってセックスをするのだ。
だから、
「「──チェンジ」」
合言葉を唱えた。
その瞬間ぐるんと目の前が真っ白になった。
浮遊感。
脱力感。
安心感。
そして、意識が反転する。
一瞬だけ優衣さんの顔が笑うのが見えた。
◇◇◇
そうして目が覚めると優衣さん──正確には元僕の腕の中にいた。
「……起きた?」
「ええ、起きました。ずいぶん寝ていました?」
「いいえ、ほんの十秒程度」
「一瞬ですね。よかった。優衣さんは無事です?」
「もちろん」
見上げると、優衣さんはふんわりと目を細めた。
座ったまま後ろから僕を抱きしめている形だから、彼女の大きな腕の中に僕はすっぽりと収まっている。
彼女の大きな手が僕の腹部を優しく撫でていて、その腹の奥がとろんと蕩けるような感触がしている。じわじわと気持ちがいいような。
それから子宮のあたりがずん、とテニスボール一個分くらい重くてしくしく痛むような感じがあった。異物感というよりは違和感という方が近いだろうか。
「あー、生理前ですか、これ」
「……ん、そう。バレた?」
「体感で分かります。なんか重くてしくしくする感じ。雰囲気的には明日あたりから来るでしょうか」
「たぶん、正解。さすが」
「六回ばかりですけど優衣さんの体で体験しましたからね」
「そうだった」
かつて半年ばかり入れ替わっていたとき、僕は優衣さんの体で生理を体験したことがある。慣れっこ、とまではいかないけれど、それなりに女性の体の仕組みやメンタルの推移についても薄っすらと分かっているつもりだ。少なくとも一般男性よりは。
といっても優衣さんの体でしか生理を体験していないし、けっこう個人差があることだから一般的な女性と比べてどうこう言えるほどの知識もないのだけれど。
ただ、いま僕のお腹を撫でてくれている優衣さんはなんだか慈しむように撫でてくれていて、それがとても心地よく感じられた。
「もしかしてここのところちょっとイライラしていたのもそれですか」
「……ごめんなさい。もしかすると、そうみたい。意識していなかったけれどたぶんそう」
「するとぶっちゃけ、僕らの喧嘩の原因も──」
と、言いかけて、やめた。そこを深堀してもしょうがないからだ。
かわりに別の話題を振ってみることにする。
「明日から生理ということは、安全日ですよね、今日」
「……そうなる」
「えーっと、生でしちゃいます? わりと生でするの好きなんですが」
「あなたが責任を取るのなら」
「……それって、もしもデキたときに僕が産むってことですか? それとも結婚?」
「どちらでも」
「できたら結婚がいいなあ」
「……ん。言質を取った」
「あはは、ありがとうございます。あ、今のってもしかして優衣さんなりのプロポーズだったりします?」
「まさか。プロポーズはちゃんと場を整えて、きちんとした場所で言うもの」
「なるほど確かにそうですね。じゃあ今度、なんかきちんとしますね」
「期待して待ってる」
くす、と優衣さんは笑って、それから僕のシャツの内側に手を滑り込ませてきた。
そのまま素肌の腹とへそ、そしてブラジャー越しに胸をまさぐられる。
円を描くように撫でられて、けれども僕はされるがままになっている。くすぐったい感触だけれども不快ではない。むしろ気持ちいいまであるから。
胸の内側でじわじわと性感が昂まってきて、やがて我慢できずに熱い吐息を漏らしてしまった。
そんな僕を優衣さんは愛おしそうに撫でてくれるものだから、余計に興奮してくる。
「生でセックス、しようか」
耳元で低くそうささやかれて、ぞくぞくぞくぞくっと背筋が震えた。
体の内側が熱を持って火照ってくるのが分かった。心臓がどきどきして呼吸が浅くなる。まるで期待しているみたいに膣がきゅんきゅん収縮していて、生理前の子宮頸管がいつもより膨らんでいるのがよく分かる。まるで体が妊娠したがっているみたいだ。
だから、僕は無言で
◇◇◇
ほとんど二人羽織みたいに、僕は優衣さんに抱き留められている。
彼女の今の体は僕よりもずっと大きいから背中側がまるっと覆われているような感じだ。そこから熱が大いに伝わってきて、僕の体温までも上がっていくような気がする。
「おっぱい、触るね」
「あ、はい、どうぞ」
「……ありがと。好きなだけ気持ちよくなっていいから」
「触りすぎると痛くなるって言ってませんでしたっけ」
「加減する」
「あはは……」
シャツの内側に侵入してきた手が、ブラジャーの上から僕の乳房を覆ってくる。左右同時だ。大きな手に胸がすっぽりと収まってしまう。
そして柔らかな手つきで撫でられる。
するり、するりとかすかな衣ずれの音を立てて、僕の胸が愛撫されていく。
「ん……、は、ぁ……♡」
甘いため息を漏らすと、優衣さんは嬉しそうに耳元で褒めてくれる。
「かわいい声。おっぱいなでなでされるの気持ちいいね?」
「あ、はい……っ♡」
「いいこ、いいこ。おっぱいでいっぱい気持ちよくなろう?」
「……ん、んぅ……っ♡ ん、……、ふぁ、あっ、んっ♡♡」
優衣さんの指がブラジャーの上から僕の乳首を探り当てて、くりくりと弄ぶ。そのたびにぴりぴりと甘くて鋭い快感が走って、思わず身をよじってしまう。
そのぴりぴりとした快感が胸の先端から広がっていって、おなかの奥の疼きを強くしていく。ショーツの中はもうとっくに愛液で湿っていて、触らなくてもどろどろになってしまっているのが分かるくらいだ。
ああもう、早く触ってほしい。ぐちゃぐちゃになるまでいじめてほしい。そんな欲求が際限なく高まっていく。
「優衣さ──あんっ♡♡♡」
不意に耳に吸い付かれた。
耳朶を甘噛みされて、それから耳の穴まで舌先が伸びてくる。くちゅくちゅと音を立てて舐められると、それだけでぞわぞわとした感覚が背骨を駆け上がっていった。尾骨まで痺れるような。
同時に指先で布越しに乳首をつままれて引っ張られた。痛み混じりの強い刺激に腰がびくびく震えてしまう。
にもかかわらずそれはすぐに快感に変わってしまって、優衣さんの腕の中で悶えながら甘ったるい喘ぎ声を上げてしまっていた。
「ん、ふぅ、あ、ああっ♡♡♡ やっ、あ、ふああ……っ♡♡♡」
身をよじって快感を逃したいのだけれど、大きな体の優衣さんが二人羽織みたいに僕の体を抑えているから身動きも取れない。せいぜい体をくねらせるのが精一杯だ。それでもなんとか逃げようとしてみたけれど、逆に強く抱きしめられてしまって逃げられなくなってしまう。
しかも今度はうなじを舐められて、さらにブラジャーをずり上げられて直接乳首を摘まれる。こりこりと指で転がしたり引っ張ったりしていじめられるたびに、びりびりした強烈な快楽が襲ってきた。
「あ、や、だめ、それ、だめぇえ……っ♡♡」
「だいじょうぶ、こわくないよ」
「あ、あ、あぅっ♡♡ ちがくて、おっぱい、そんなにされたら……っ♡♡」
「安心して、気持ちいいのに身を任せてみよう?」
「やだ、きいて、優衣さん、んんっ♡♡」
「聞いてる、聞いてる」
低い声を出して耳元で会話をされるだけで、ぞくぞくしてしまう。
こちらが刺激に慣れてしまわないように優衣さんは僕の胸を、乳首を摘まんだり全体を撫ぜたりあるいは腋の方からなぞったりして、あらゆる方向から僕に刺激を与えてきた。
そうしているうちに、どんどんと下腹部が切なくなってくる。
こちらは声を出して『気持ちいい』って伝えることと、腰を揺らしてすこしでも強い刺激を求めることくらいしかできない。でもそうやって腰を揺すると、ショーツの中でクリトリスが擦れて余計に気持ちがよかったりするのだ。
「はぁ、はぅ、はぁあ……っ♡♡ あ、は、あ、あー……っ♡♡」
「腰が揺れちゃってるの、かわいい。きもちいぃのがまんできないね」
「やぁ、やだ、はずかし、い、です……♡♡」
「……ん、しってる。でもわたしがあなたの感じているところを見るのが好きだから、やめてあげない」
「んぁ、あ♡ ぼ、僕がおなじこと、したら、やだっていうくせに……っ♡」
「あなたは嫌がっていない。そうでしょう?」
「しょ、そんなぁ、あ、あっ、や、あぁあっ♡♡♡」
否定しようとした瞬間に両方の乳首を思いっきり抓られた。痛いくらいの刺激に目の前がちかちかした。
そのまま指の間で転がすように捏ね回されたり爪を立てられたりする。そのたびに電流みたいな快感が走って、視界が白く染まった。
「ほら、やっぱり嫌じゃない。むしろもっとしてほしいんでしょう?」
「ひ、ぁ、あ、あっ♡♡♡ ん、そ、そんなこと、ないです……っ♡♡」
「うそつき。さっきからずっと腰揺れてるし、わたしのおちんちんにお尻を擦りつけてる。気持ちよくなりたくて仕方がない態度」
「……う、うぅー……♡♡」
恥ずかしいことを言われて、僕は顔を真っ赤にして唸った。
確かに僕はさっきからずうっと欲しくて、お尻に当たる優衣さんのおちんちんが勃起しているのが嬉しくて、無意識にぐりぐりと押し付けていた。それがばれてしまったことが恥ずかしくて、僕はますます顔を赤くする。
でも体は正直に感じてしまっていて、胸と乳首を弄られているだけなのに絶頂の二文字が目の前でチラついている。乳首への刺激だけで達してしまいそうになっている。
「恥ずかしがらないで、かわいいから」
「だ、だって、僕、ぼく、優衣さんの体なのに優衣さんよりもずっと感じてて……っ♡♡ はずかしくて……っ♡♡」
「そんなことない。あなたのセックスもすごく上手。わたしだっていつも気をやっている」
「あ、あ、あっ♡♡ 褒めないでっ、やだ、ちくび、ひっぱっちゃ、やめぇえ……っ♡♡♡」
「ほら、もうこんなに硬くてこりこりの乳首、かわいいね。だいじょうぶ、その体はおっぱいだけでイけるよ」
「やだ、やだっ♡♡ 優衣さん、いじわるしないでぇ……♡♡♡」
「してない。優しくしてるよ」
なにを言ってもこちらを追い詰める気らしい優衣さんは、容赦なく僕を愛撫してくる。もうすっかりぴんと尖ってしまった僕の胸の先っぽを、指先でくりくりとこねくり回す。
もう体は本当に限界で、僕はいやいやと首を振って必死に訴える。
自然と背筋が反って、胸を張ってしまって、背中側には優衣さんがいて逃げられなくて、昂って。
「ゆ、ゆうい、さ、ほんとに、だめ、だからぁ……っ♡♡ いっちゃう、いっちゃうから、だめ……っ♡♡♡」
「うん、いいよ。いっぱいいかせてあげる」
「や、やだ、だめ、だめだめだめっ♡♡♡ やだ、だめ、だめ、っぅぅう……っ♡♡♡♡」
そしてひときわ強く乳首を引っ張られた。それと同時に首筋に噛みつかれて、とどめとばかりに爪先で乳首を弾かれて──その瞬間に視界が真っ白になった。
「~~~~~~ッッッ♡♡♡」
悲鳴を押し殺しながら、達した。
胸への刺激だけで僕は絶頂へと至ってしまったのだ。
背筋が反って、優衣さんの腕の中でびくん、びくんと体が跳ねる。なにも考えられなくなる。
おなかの奥から甘い快感があふれ出してきて、それがすぐに全身に広がっていって、まぶたの奥にぱちぱちと星が散った。脳内で天使がファンファーレを鳴らしていて、それが最高にしあわせだった。
「は、ひゅー……っ♡ ひ、ふ、ふぁ、あー……っ♡♡♡」
呼吸が荒くて、息が苦しいはずなのに、苦しくない。
絶頂の余韻がとろとろと全身にめぐっていって、まるで湯に浸かっているみたいに気持ちいい。
ほわほわとした多幸感に包まれて、頭がぼうっとしている。
「ふふ、気持ちよさそう。おっぱいだけで上手にイケたね」
そんな僕を見て、耳元で優衣さんが笑った。くすくすと笑う声が鼓膜を震わせるだけで気持ちいい。また軽く達してしまった気がする。
「……はぁ、ん、んぅ……♡♡」
「かわいい。気持ちよかった?」
「はい、すごく……」
素直に頷くと、優衣さんは嬉しそうに微笑んだ。
それからなでなでと頭を撫ぜられて、僕はうっとりと目を細める。
けれど次の瞬間には、優衣さんの手は僕のショーツの上から僕の秘部をなぞってきていた。
「……あ♡」
期待に満ちた声が漏れる。くちゅりと濡れた音がして、羞恥心が湧き上がってくる。それでも抵抗することはできなかった。むしろ自分から腰を浮かせて、優衣さんにもっと触ってもらおうとしていた。
「……つぎは、こっち?」
「は、はい……」
「……ん、じゃあ、ごろんしようか」
「え、あ、──きゃあっ」
いきなり体を反転させられて、うつ伏せになる。
そのまま腰を掴まれて引き上げられると、お尻だけを高く上げた体勢になってしまった。
どうやら僕は次に後背位みたいな姿勢で犯されるらしい。それはちょっと怖いけど、でも、どきどきしてしまうのだった。
◇◇◇
ベッドの上に四つん這いになって、お尻をかかげた状態で枕に顔をうずめている。
僕のスカートはまくり上げられていて、だからショーツ越しにお尻の丸みとかとろとろに蕩けた秘部だとかが丸見えになっていることだろう。ショーツがぐしょ濡れになっていることも、それがぴったりと張りついて形が浮き出てしまっていることも、なにもかもが優衣さんの目に晒されている。
本来的には自分の体ではないとはいえ、興奮した恥部を優衣さんに見られていると思うととても恥ずかしくて、けれどもこれから行われる行為に対する期待からどきどきして仕方がなかった。
「ふふふ、お尻を振っている。誘っているの?」
「あ、いや、そういうわけじゃ、なくて……っ」
「そう? わたしは誘われてうれしい」
「う、うぅー……っ」
優衣さんの指がそっと僕のふとももに触れる。
たったそれだけのことなのに、ぴくん、と肩が跳ねてしまった。声が出そうになって、あわてて僕は枕に顔を埋めなおす。
優衣さんの枕は彼女の甘い体臭でいっぱいで、僕はそれだけでくらくらと目眩にも似た感覚を覚えてしまう。秘部がゆるんで、粘液がますます染み出ていくのがわかった。
「ここ、ひくついている」
「っひゃ♡ ん、んぅっ♡ やぁっ、そこぉ……っ♡♡」
するり、するりとショーツ越しに優衣さんは指を這わせてくる。秘部の割れ目に沿って滑るようにすりすり、すりすりと。
それだけでぬちょにちゃと音が聞こえて、それが自分の分泌した愛液の量を示しているようで、恥ずかしい。
「あっ♡ あ、あっ♡♡ ゆび、だめ、ゆび、きもちぃ……っ♡♡」
「すごい、どんどん溢れてくる。パンツ越しなのにわたしの指までぬるぬるになってしまうほど」
「やぁ、あっ♡♡ ゆび、こすっちゃ……っ、ああっ♡♡」
もどかしいほどゆっくりとした動きで、優衣さんは僕を刺激してくる。
何度も何度も同じ場所を擦られる。そのたびに快感が蓄積されていって、おなかの奥がきゅうっと収縮するのが自分でもわかる。
先ほど一度達した僕の体はひどく敏感になっていて、ほんのすこし触れられただけでもびくびくと反応してしまうのだ。それをわかっているのかいないのか、優衣さんはひたすら優しい手つきで僕を愛撫し続ける。
おかげで下着の布地が引っ張られて、股間に食い込んでしまう。その感触すら気持ちよくて、思わず腰が揺れてしまう。
「あ、あぅ、んっ♡ は、ぁ、あぁ……っ♡」
「ねえ、さっきからずっと腰を動かしてる。そんなに気持ちいい?」
「あ、あ、だって、ゆういさんが、ぁ……っ♡♡」
「……ん、わかってる。わたしが悪い。ごめんね」
「~~~~っっ♡♡」
今日はたぶんフルバックのショーツを穿いている。
目視で確認していないから色まではわからないけれど、たぶん普段使いのグレーのやつだろう。だから布面積はわりと広いやつのはずなのだけれど、しかし優衣さんが布地をひっぱるものだからお尻が半ば丸出しになってしまっていた。
そんな状態で、かりかり、くりくりとショーツ越しにクリトリスを指先で刺激されたらたまらない。
もうすっかりどろどろになったそこは、ほんのすこし強くひっかかれるだけで頭がおかしくなりそうなほど感じてしまうのだった。
「ん、ん、んんっ♡♡ んや、あ、あぁっ♡♡♡」
「……ふふ、かわいい声」
たぶんグレーの布地はすっかり変色して、クロッチの部分は色が変わってしまっていることだろう。きっともうぐずぐずだ。
なにしろショーツを貫通して内ももまで愛液が伝っている感触があるし、ぽとりぽとりとシーツに滴ってしみを作ってしまっているのがわかる。それでも優衣さんの指先が動くたびに気持ちよくなってしまうのだからどうしようもない。
「あ、あーっ♡♡♡ ひぅっ、やあ、それぇ……っ♡♡♡」
「……ん。そろそろパンツ脱ごうか」
「ふ、ぇ……?」
「ほら、脱がすからおひざあげて」
「──っひゃあっ♡」
ぐいっとショーツを押し下げられて、秘部がいきなり空気に触れた。その拍子にひゅくん、っと愛液がこぼれてふとももを伝っていく感触が伝わってきて、ぞくぞくしてしまう。
しかもそのまま一気に足から引き抜かれてしまって僕の下半身を覆うものはスカートだけに、しかもそれも大きくめくりあげられていて、秘部丸出しといった風情だった。あまりにいやらしい格好に、かあっと頬が熱くなる。
そして優衣さんはぽいっとショーツを放り投げて、それは
「……ん、よく見える」
「や、みないで、くださ……っ」
「わたしのここ、こんなふうにひくひく震えるんだ。愛液をいっぱいこぼして、とろとろにとろけて」
「う、うぅー……」
恥ずかしさのあまり両手で顔を覆ってしまった僕にかまわず、優衣さんは感じ入るように声をだして、それから僕の秘部に顔を近づけてきた。
すんすん、と嗅がれてる。
優衣さんの呼吸の気流が、敏感な粘膜に直接伝わってくる。そんな些細な刺激にもびくんっと体が跳ねてしまう。
「やだ、かがないで……っ」
「恥ずかしがらなくていい。とってもいやらしくて可愛い」
「はずかし、ですってばぁ」
「いいえ、あなたはとても可愛らしい。わたしの、わたしだけの、女の子」
そしていきなり優衣さんの舌が僕の秘部に接触した。
「──ひゃあんっ♡♡ あ、ああっ♡♡ だめぇっ♡♡」
れろぉっと肉厚な舌に舐められた。それだけで僕は軽く達してしまいそうになり、慌てて歯を食いしばって耐える。しかしそのせいで余計に快楽を強く感じて、さらに追い込まれてしまった。
僕の秘部の割れ目に沿って、優衣さんの舌がぺろり、ねもぉ……っ♡っと這い回る。ときおり唇でクリトリスを包皮ごとはむはむっ♡っと食まれて、そのたびに電流のような快感が背筋を駆け抜けた。
男には存在するはずのない外性器を舌で舐められている。しかもその相手は男性になっている優衣さんだ。
倒錯的な状況に加えて、相手が元自分であるという背徳感も手伝って、僕の性感がどんどん高められていくのがわかった。
「あ、あ゛ーっ♡♡ やだ、そこ吸ったら、やだからっ♡♡」
「んぢゅ、ちゅぱっ……♡ でも気持ちよさそうだから、やめたくない」
「やっ、やぁあっ♡♡ 吸わないで、舐めないでぇ……っ♡♡ ん、んん~~っっ♡♡♡」
ちゅううっと吸われて、軽く達してしまった。びくんと背中が大きく仰け反ってしまう。
けれど優衣さんはそんなことはお構いなしといった様子で僕への愛撫を続けていた。今度は膣口に舌を差し込んできたりして、ますます僕を追いつめてくるのだ。
指先で内ももを撫でながら膣口を吸い、包皮に埋まったクリトリスをぬ゛るんっ♡と舌先で引っ張り出す。そしてまろび出たそこを容赦なく吸い上げられた。
「~~~~~~ッッッ♡♡♡ あ、あ、あ、ああぁっ♡♡♡ ゆういさ、ゆういさぁんっ♡♡♡」
クリトリスを吸われる感覚というのは、普通だったら男には一生理解できないものだと思う。
女性器の中でもとりわけ敏感だという陰核を、まるで飴玉のように口の中で転がされて、しゃぶられて、さらには吸引されて、気が狂ってしまいそうになる。
脳内でばちばちと快楽がはじけて、そして腰が揺れてもがくように手足を動かしたところで逃れられるわけもない。
だって優衣さんは僕の尻を抑えてクリトリスに吸い付いているから。
逃げようとして腰を引いても逆に優衣さんが顔面を押し付けるようにして追尾してくるものだから、結局僕は逃げることもできずに枕に顔を埋めて喘ぐしかない。
「あ゛~~ッッ♡♡ イッてる、イってるからぁっ♡♡♡ はなしてぇ……っ♡♡♡」
「ぬぢゅーっ、ちゅっぱ、じゅるるる……っ♡♡♡」
「やぁあ゛ッ♡♡♡ んぃいっ、ひぃいっ♡♡♡♡」
優衣さんの指は僕の膣内にまで侵入して、入口のあたりのおなか側をぐにぐにと刺激してくる。外からクリトリスを、中からGスポットを刺激されてしまえばもうひとたまりもなかった。
「ひぎっ、ん、んんんっ♡♡ ふ、ぅ、ああぁあああっ♡♡♡」
「んー……っ、ぷは……っ。……またイッた?」
「ず、ずっとイッてますよぉ……っ」
「……かわいい子」
そして優衣さんはふたたび僕の股間へと顔をうずめて、今度は中指を挿入してきた。内壁を指の腹で引っ掻くようにして抜き差しされる。くぽっ、ぶちゅっという卑猥な音が部屋に響いていた。
同時にクリトリスに軽く歯をたてて甘噛みしたり、じゅうぅっときつく吸ってきたり、と落ち着かせない責め方で責められてしまった。
その一挙一動のたびに僕は達して、訳もわからないままただ喘いでいた。
「ひっ、あっ、あっ、あっ♡♡ だめ、だめ、それだめぇっ♡♡ ゆびぃっ、はげし、すぎっ、あっ、あっ、あっ♡♡ あ、あ、あ~~~~~~ッッッ♡♡♡」
などと、さんざんイキまくって、最後には潮まで噴いてしまうくらいに、それはもう激しいクンニリングスだったと思う。
途中からは記憶が飛んでいて、気づいたときにはベッドの上で潰れたカエルみたいにぐったりと四肢を投げ出していた。たぶん失神していたのだろう。
そんな僕を優衣さんは優しく抱きしめて、頭を撫でてくれていたのだった。
◇◇◇
「……ほら、お水」
「あ、ありがとうございます……」
ベッドと上でくたくたに蕩けていた僕は、差し出されたペットボトルを受け取ってごくごくと飲み下した。
冷たい水が喉を通りぬけていって、ようやく人心地ついた気がした。
どうも優衣さんからさんざんイカされまくって、そのうえで気絶してしまったらしい。優衣さんにクンニリングスをされて何度も絶頂させられたところまでは覚えているのだけれど、その後のことはよく覚えていないのだ。
いつの間にか裸にされていて、四肢を投げ出すみたいしてにベッドに仰向けになっていた。お腹の中がぎゅーっ♡と切なくなって、いまだに甘い快楽の余韻が残っている。
ちなみに優衣さんもまた裸になっていたけれど、僕に挿入はしなかったらしい。精液が体にも膣内にもついていなかったし、ギンギンに勃起したままの優衣さんのモノが彼女の不満足を如実に表しているようだった。
「……ん、おちんちん」
そのペニスを見せ槍みたいにしてズイッと僕の顔の前に持ってくるものだから、思わず苦笑してしまった。
仰向けの僕の顔の上に、自分の股間を見せつけるかのようにしながら腰を突き出してくるのだから困った人だ。
でもそれがなんだか可愛らしく見えてしまって、つい笑ってしまう。
「おちんちん、じゃないですよ、優衣さん。なんでそんなに勃起してるんです?」
「あなたが可愛いから」
「いやいや、優衣さんの顔ですよ、これ」
「……むぅ。わたし、あなたほどイキ狂ったりしない、もん」
勃起したままむくれ面をする優衣さんが可愛くて、僕は目の前の彼女のモノにちゅーっとキスをした。
とたんにぽたぽた、とカウパー腺液が顔面に落ちてくるけれど、それも構わずにぺろぺろと舌を這わせていく。
「ん、ちゅ、ぺろ……っ」
「ふふ、くすぐったい」
「れろぉ……っ♡ はぁ、しょっぱいですね、これ」
「わたしの味がする? それとも、あなたの味かも?」
「んー、まあどっちもどっちということで」
などと言いながら僕は体を起こして、あぐらをかいている優衣さんの股間に顔を埋めた。
コレは元々は自分の股間についていたモノだけれど、それを舐めることにもはや抵抗はない。優衣さんのモノだと思えば嫌悪感なんてものは湧かなかった。むしろ愛おしいとさえ思えるくらいだ。
「あー……、んっ♡」
大きく口を開けて、根元を掴んで支えながら先端を口に含むと、独特の苦みのある液体が舌に触れた。
ちょっとしょっぱくて苦いそれはきっとカウパー腺液だろう。僕の口の中では唾液が溢れてきて、自然とそれを飲み込んでしまう。
するとまるで媚薬を飲まされたみたいに体が熱くなっていった。
「ん、ぢゅぱっ……♡ れる、れぅ、くぽっ♡ ん、ん、ん……っ♡」
「……ん、お上手、きもちぃ……」
愛おしそうに低い声で褒められて、頭を撫でてくれるものだから嬉しくなってさらに深く咥え込んだ。
喉の奥まで使って竿全体を包み込むようにすれば、びくびくと震えるように反応してくれる。
残念ながら優衣さんの顔は見えないけれど、彼女が感じていることは確実だ。
だからもっと気持ちよくさせてあげたい一心で、口を窄めて顔を上下させた。じゅぼじゅぼとはしたない水音が立ち始める。
「あー、きもちぃ、ん、ん、ん……っ♡ すごい、ぬるぬるで、あったかくて、とろとろする……」
優衣さんは僕の頭を撫でながら、うっとりとした声音でそう言った。どうやら気持ちいいと思ってくれているみたいだ。
でもだんだん傘が開くみたいにペニスが口腔内で大きくなってきた。指で睾丸に触れてみると体内に埋まるくらいにせり上がっていて、もうじき射精してしまいそうな気配を感じる。
このまま口内射精させてあげてもよかったけれど、せっかくならちゃんと膣内に欲しいと思ったので、一度口から離した。
「ん、ふぅ……、ぷはぁ……っ」
「……どうしたの?」
「あ、いや、その、えっと……」
不思議そうに首を傾げている彼女に、なぜだかキュンとする。
下腹部がとろぉ……っ♡と火照って、子宮が疼いた気がした。ヘソのあたりに指で触れてみると、やっぱり熱かった。
愛液が膣口から溢れ出してきていた。さんざん舐められて蕩けていたし、そのうえ優衣さんのを舐めていたので感じてしまっていたのだろう。
「優衣さん。そろそろ、したいです」
「生ハメ?」
「いや言いかた……」
「わたしも、せっかくならあなたの膣内で射精したいなって思ってた」
「じゃあ、しましょうよ。今日は僕が上でいいです?」
「……ん」
優衣さんは小さく頷いて、それから座ったままでおもむろに両腕を広げてくれた。
たぶん、対面座位をしようというジェスチャーだ。
だから僕は優衣さんの上にまたがって、彼女の肩に片手を置き、もう片方の手で優衣さんのモノを掴む。
そして自分の秘部を優衣さんのモノへと近づけ、腰を沈めるみたいにして接触させる。
ぬち♡と濡れた音がした。亀頭部分が触れただけで、ぴりりと甘い痺れが走る。
「んんっ♡」
思わず甘い声が漏れたけれど、なんとか我慢する。
目の前で優衣さんも息を荒くしていて、頬が赤い。目が潤んでキラキラしている。期待だろうか。それがなんだか嬉しくて胸が高鳴るのを感じた。
「可愛いですね、優衣さん」
「……ん、あなたも」
「ですよね、僕もそう思います」
「ナルシスト」
「お互いさまです。じゃあ、入れますね」
などと軽口を言いながら、そのまま腰をゆっくり落としていけば、ずぶずぶっと熱い塊が入ってくるのがわかる。
僕の中を押し広げるようにして進んでくるソレがたまらなく愛しくて、早く奥まで入れて欲しくてたまらなかった。
でも急に一気に入れると優衣さんの体に負担が大きいから、ゆっくり、慎重に進めていく。
「ん、ん、ん……っ♡」
「ん、あ、ぁ……っ♡」
お互いに喘ぎながらゆっくりと結合を深めていく。
生のままのペニスはダイレクトに熱の塊といった感じで、しかも粘液が直接触れて絡み合うのがまたたまらない快感だった。
普通の男だったらこんな風に自分の膣内へモノを招き入れることなんてできないだろうと思う。だから女になってよかった。男の優衣さんとセックスできるのだから。
そんな倒錯的なことを考えているうちに、やがて根元まで挿入することができた。
やがて一番奥の壁みたいなところにコツンと先端が当たる感触がした。それと同時に、脳天を突き抜けるような快楽が襲ってくる。
目の前がチカチカとして、意識が飛びそうになるほどの強烈な感覚だ。軽くイッてしまったらしい。
気持ちいいのは優衣さんも同じみたいで、彼女は背中を仰け反らせて震えていた。それでも歯を食いしばって耐えているのはさすがだと思う。
「う、はぁ、はぁ……っ♡ あ゛ー……♡」
「……ん、きもちい、とろとろしてる」
優衣さんはそう言って、僕の背に腕を回して抱きしめてくれた。
僕はそれに応えるように、両手を彼女の首の後ろに回す。
対面座位で、密着している。
お互いの肌と肌が密着する感覚が心地いい。汗ばんでいて湿っているけれど、それも気にならないくらい気持ちよかった。
「お腹の中で優衣さんがピクピクしてるのがわかりますよ」
下腹部を撫でてみると、中に収まっているペニスの存在がよくわかる。硬くなったソレが膣内で脈打っているのがわかるのだ。まるで心臓みたいに鼓動していた。
そのリズムに合わせて自分も呼吸すると、自然と気持ちが落ち着いていくのがわかった。
ああ、やっぱり自分の体の一部なんだなという感じがする。こうして繋がっているときが一番安心できるかもしれない。
そんなことを思いながらしばらく抱き合っていると、ふいに耳元で低い声がした。
「……あなたが好き」
え、と思って優衣さんの顔を見ると、彼女も僕のことを見ていた。目があった瞬間、顔が熱くなった気がした。たぶん赤くなってしまっているだろう。
しかしそんな僕の反応を見てか、あるいは別の理由か、優衣さんの方も顔を赤くしながら僕の手を自分の胸板へ持っていく。
硬い胸板に触れると、心臓がびっくりするくらい速く動いているのがわかった。ドクン、ドクンと手のひらに伝わってくるくらいだ。
でもそれは僕だって同じだった。優衣さんの手をおっぱいに導いてみた。だからこの胸のドキドキも伝わっているに違いない。
そう思うとますます恥ずかしくなってしまうけれど。
「おっぱい、柔らかい」
「いや胸のドキドキの話なんですけど──やんっ♡ こらっ、揉まな……んっ♡」
「Bカップは揉むほど乳量がない。でも……、ふふっ、おっぱいに触ると中がきゅーっ♡って締まった」
「自虐ネタやめ、あっ♡ もぉ……っ♡♡」
優衣さんがやわやわと僕のおっぱいを揉み始めたので気持ちよくて、けれども笑ってしまう。
僕の優衣さんは無口で無表情だけれどちょっとひょうきんなところがある人だ。そんなところも可愛らしいと思うけれども。
そうしてひとしきりじゃれあって、見つめあう。
そうするとなんだか愛おしさがこみ上げてきて、胸の奥が熱くなるのを感じた。
「キス、したいです」
「……ん」
「してもいいですか?」
「聞かなくていい」
僕は頷いてから顔を近づける。
もう何度目かわからないくらい何度もしている行為なのに、未だに胸が高鳴ってしまうのはなぜなんだろう。
そう思いながら唇を重ねると、それだけで幸せな気分になった。舌を伸ばして絡め合い、唾液を交換するように深く口づける。
同時に膣奥に収まったままのペニスがピクリと震えた気がして、僕は小さく声を漏らした。
「あぅ……♡」
膣内で膨張していくのがわかる。ああ、射精されるんだなと思った。それほど動いていないけれど、それでも射精しそうなのだ。
子宮口が降りてきていて亀頭部分が触れている状態で膣内射精されたら、きっとものすごく気持ちいいのだろうと思う。想像するだけでゾクゾクしてくる。
「……キス、きもちいい」
「キスしながら射精するともっと気持ちいいですよ」
「そう? じゃあ、してみる」
「はい♡」
僕たちはもう一度キスをする。今度は最初から舌を絡め合ったディープキスだ。口腔内で互いの舌を絡ませ合いながら、下半身でも結合したまま、ふたりで腰を動かし始める。
「んっ♡ ちゅ、れろ、んん……っ♡」
腰を前後に動かして、膣内で肉棒を擦るようにして刺激を与える。
そのたびに結合部からは愛液が溢れてきて、ぐじゅ♡ずちゅっ♡といやらしい音が響いた。
その音を聞いてさらに興奮してしまうのはどうしてなのだろう。
「んんっ♡ ぷはっ♡ はぁっ、はぁ……っ♡ ん、あんっ♡ んんっ♡」
「ん、んんっ♡ はぁ、はぁ、んんっ、んくっ♡」
唇を重ねたまま、再び見つめ合う。
優衣さんの顔はすっかり蕩けてしまっていた。頬は紅潮していて、目は潤んでいるし、息も荒い。普段の彼女からは想像できないようなだらしない表情だった。
それがまた愛おしくて、キスしたまま超至近距離で見つめあって、互いの背中をかき抱くように抱きしめて、密着をして、そして──
──びゅるるるぅ、どくんどくんっ、びゅくくくくくっ
と膣内に熱い液体が大量に注ぎ込まれる感覚がした。
優衣さんが達したのだ。
胎内で、子宮に精液を直接叩きつけるみたいに、勢いよく熱いものが吐き出されていく。
それと同時に僕も絶頂を迎えてしまう。頭の中が真っ白になるような強烈な快楽に身悶えしながら、全身を痙攣させて絶頂する。
「ん゛~~~~~~~~~~~~ッッッ♡♡♡♡♡♡」
目の前がチカチカするような快感に襲われながら僕は絶頂する。
足指の先がぎゅーっと丸まって、背筋が自然とのけ反ろうとしてしまうけれど、優衣さんに抱きしめられているからそれもできず、ただビクビクと身体を震わせるだけになってしまう。
そのせいで余計に膣内にあるペニスの存在を感じてしまって、それにもまた感じてしまうという悪循環に陥っていた。
しかも射精はまだ続いていた。
長い時間をかけて、大量の精液が注がれていく。その間ずっとイキっぱなしになっていて、頭がおかしくなりそうだった。
お腹の中に精液がどんどん溜まっていくのが、自分が孕まされているみたいで、興奮した。
そうして長いこと、僕と優衣さんは繋がったまま達し続けていたのだった。
◇◇◇
遠浅の海みたいな、キラキラした余韻。
ほわほわとした多幸感に包まれて、物理的には優衣さんの
まだ僕の膣内には優衣さんのモノが入ったままだ。さっき出したばかりだというのにもう硬度を取り戻しつつある。優衣さんのそれは僕のひだにぴったりと吸い付かれて、脈動に合わせてピクピクと震えていた。
そんな優衣さんに体重を預けてぐったりとしている僕を、彼女はしっかりと抱きとめてくれていた。
その体温を肌で感じるだけでも心地いい。
「あー……しあわせ……」
思わずそんな言葉が口から漏れる。
するとそれに応えるように、彼女の手が優しく頭を撫でてくれた。慈しむように、労うようにゆっくりと撫でられる感触が心地よくて、僕は目を閉じてされるがままになっていた。
「女の子のセックス、すき?」
不意にそんなことを聞かれてドキリとする。
なんだか改めて聞かれると気恥ずかしいものがあるけれど、嘘を言う必要もないので素直に答えた。
「優衣さんとセックスするのが好きです。今日も、すごく、よかったです」
「そう」
短く言って、優衣さんはすこしだけ笑ったような気がした。相変わらず無表情ではあるけれど、なんとなく雰囲気が柔らかくなった気がするのだ。
それに僕の膣内でむくく……っ♡と大きくなったし、彼女が喜んでいることはわかる。
「あなたに嫌われていなくて、よかった」
「……え?」
「わたし、この数日、すごく嫌な女だったから」
「あー……」
喧嘩のことを言っているのだろう。
確かに冷戦はキツかったけれど、でも、まあ、なんというか、そういう一面もあるんだな、という感じでしかないし。
入れ替わったり戻ったりして、僕たちは互いのことを他のカップルよりは理解し合えている方だと思う。けれどやっぱり相互不理解な部分もあって、だから時々は喧嘩にだってなるだろう。
でも、喧嘩したら仲直りをすればいいだけのことで、そうやって絆を深めていければいいと思うから。
「大丈夫ですよ。嫌うだなんてとんでもないです」
「……ほんとう?」
「ちゃんと仲直りしましたしね。ふたりともかすみ草の花束を買ってきたのは笑いましたけど」
「気が合うから……」
「そうですね、わりと趣味も合いますもんね、僕たち」
「うん」
小さく頷く仕草が可愛くて、つい笑ってしまう。僕の顔なのにめちゃくちゃ可愛いのだ。
そうすると彼女もつられて笑ってくれて、ふたりしてくすくすと笑った。
ひとしきり笑ったあと、どちらからともなくキスをする。触れ合うだけの軽いキスだけれど、それだけで幸せな気持ちになれた。
ああ、好きだなあと思う。
こうして触れ合ってキスをして、抱きしめ合っているだけで幸せになれるのだから、恋って不思議だ。
そうしてしばらくのあいだ繋がったままでゆったりと抱き合っていた。
僕も、優衣さんも、セックスのあとの眠りの前みたいな柔らかで穏やかな時間が好きだったから……。
◇◇◇
そうしてそれから、ずるるぅ……っ♡と優衣さんのモノを引き抜くと、お膣から逆流して精液が溢れてきてしまった。
思い切り膣内に射精されてしまったせいで、出てきてしまったらしい。
優衣さんがウエットティッシュを取り出して、それで溢れてきたものを拭き取ってくれる。敏感なところに触れるものだから、くすぐったくて、ちょっと気持ちよかったりする。
「あ……♡ んんっ♡」
「かわいい声」
「そ、そうですか? 自分じゃよくわからないんですけど……」
「もっと聞かせてほしい」
「ええー? 恥ずかしいですよ……」
「おねがい」
「うーん、それよりも、そろそろ元に戻りませんか? 戻ってセックスしましょうよ」
「んー……」
「僕は優衣さんにかわいい声で鳴いてほしいなー、なんて」
「……えっち」
「ええっ、さっきまで僕のことさんざん鳴かせたくせに。自分のこと棚にあげてません?」
「それはそれ、これはこれ」
「ええ……、まったくもう」
クスクスと笑いながら抱きしめあって、ふたりで崩れるみたいにしてベッドに横たわる。
そしてまた、舌を絡め合うような深い口づけをして、互いの唾液を交換しあう。
その間にも優衣さんは僕の胸やお尻をさわさわと撫でてくるし、僕がお返しとばかりに彼女の乳首をカリカリ弄ってあげると、優衣さんはぴくんと身体を震わせた。
そんな風にじゃれ合いながら、僕たちは額を重ねて見つめあう。
「じゃあ、戻ろ」
「あ、いいんですね、うれしいな」
「ただし、戻ってからも一度セックスするのが条件」
「僕に抱かれたいってことです?」
「そう」
「うわあ、ストレートだなあ……」
「やだ?」
「嫌じゃないですよ、むしろ大歓迎です」
「ふふっ、よかった」
そう言って笑う優衣さんの表情はどこか幼く見えて、それがまた愛らしかった。
そんな優衣さんをもう一度抱きしめて、額を重ねて、みつめあって。
覚悟を決める。
そして、
「「──チェンジ」」
合言葉を唱えた。
が。
しかし。
浮遊感も脱力感も安心感も訪れない。
視界はそのまま、目の前に元僕の顔が見えたままで、僕は優衣さんの体のままで──
「もどって、ない……?」
低い声で優衣さんが呟くように言った。
どうも僕と優衣さんは元の体に戻れていないようだった。
◇◇◇
で、元に戻れなかった僕と優衣さんはそのまま二回戦と洒落込んだ。
まあ以前にも戻れないことはあったし、そもそも僕としてはこの体のままでもまあまあ構わない──というか以前にお互い入れ替わったこの体で死ぬまで生きていく覚悟を決めている──ので、さほど動揺はなかった。
二回戦は正常位で優しくセックスした。
優衣さんは気持ちよさそうに膣内射精してくれて、僕は胎内を満たす精液の重みを大いに楽しんだ。
そうしてそれから一緒にお風呂に入って、優衣さんに体を隅々まで洗われているときに生理が来た。
「あー……、これですね」
「……ん、そうみたい。ごめんなさい」
「いやいや、優衣さんが謝ることじゃないですよ、文字通り生理現象なんですし」
「それはそう、だけど……」
ひと通り体を洗って、湯船の中で優衣さんから抱きしめてもらう。
生理の時は水分補給と、体を温めるのが大事だからお風呂でしっかり温まるといいらしい。湯船に浸かっているうちは水圧の関係で血はあまり出てこないしね。
そうして労るようにして優衣さんが下腹部を撫でてくれて、幸せだった。
「これは生理が明けるまで戻れないパターンですね」
「ごめんなさい、生理を押しつける形になってしまって」
「ぜんぜん大丈夫ですよ、そのかわりに優しくしてくれるんでしょう?」
「……あなたが生理の時のわたしに優しくしてくれるのと同程度には」
「めちゃくちゃ優しいじゃないですか」
「それはそう」
とりあえず元に戻れない理由がわかっていたので、僕たちは落ち着いていた。
ある程度の体調不良──たとえば風邪とか、生理とか、骨折とか、あとメンタルが絶不調の時とかは何故か入れ替わりができないのだ。
今回は生理が原因で戻れないらしかったので、おおむね一週間後には元の体に戻ることができるだろう。
さいわいこの先一週間には特段の予定もなかったし、おとなしく家で花でも愛でて過ごせばいいはずだ。かすみ草の花束がやまのようにあるし、それを花瓶に活けて眺めるだけでも十分楽しいだろう。
まあ、僕としては一回分の生理を体験するハメになってしまったけれど、生理中には大きなメンタルの不調はないし、熱っぽくなるのと下腹が痛い程度だからそこまで悲観することでもない。
それに優衣さんがかなり甲斐甲斐しくサポートしてくれるだろうから、大丈夫だ。
「のぼせるといけない。そろそろ上がろ」
「あ、そうですね」
「……立てる?」
「立てますよぉ。優衣さん、いくら何でも過保護じゃないですか?」
「だって心配だもの」
「大丈夫なのになあ」
なんて言いながら、浴室を出てバスタオルで身体を拭いてもらって、夜用のナプキンを貼り付けたショーツを穿いて、それからドライヤーを使って髪を乾かしてもらう。
パジャマを着て、寝室に戻って、ベッドに入った。
優衣さんはいつになく優しかった。
僕が痛くないように気をつかってくれて、寝ている間もずっと抱きしめてくれて、寝付くまで頭を撫でてくれた。
「ほんと、めちゃくちゃ優しいですね……?」
「……ん。あなたはわたしの大切なひとだから」
「えへへ、ありがとうございます」
そんなふうに笑いあって、僕は目を閉じた。
するとすぐに眠気がやってきた。
もともと今日は激しい運動をしたわけだし、慣れないことをして精神的に疲れたし、おなかもいたいし……などなどの理由で眠かったのだろうと思う。
意識が薄れていく中で、最後に優衣さんが何かを言ったような気がしたのだけれど、何を言っていたのかはよく聞こえなかった。
◇◇◇
そうしてそれから、やっぱり一週間ほどで僕たちは元の体に戻れた。
やはり生理的な理由で戻れなかっただけらしい。
優衣さんはホッとした様子でたいそうよろこんで、なんと『好きなだけおっぱいを揉んでいい』と言ってくれた。もちろん喜んで揉ませてもらった。
相変わらず小さくて手のひらに収まるサイズだったけれど、やっぱり僕は主観的に自分の胸を撫でるよりも客観的に優衣さんのおっぱいを撫でる方が好きだ。
「……おっぱい星人」
「優衣さん相手だけですよ。というか優衣さんもおっぱい大好きじゃないですか」
「そんなこと、ない」
「えーっと、前に僕に『……パイズリをしてほしい』って頼んできたのは誰でしたっけ?」
「…………」
「ねえ、優衣さん?」
「……むぅ」
むすーっ、と優衣さんは頬を膨らませて、そっぽを向いてしまった。
どうやら図星だったらしい。
まったくもう、かわいいんだから。
というわけで、そんなかわいくてえっちな優衣さんを後ろから抱きしめて、僕は胸を揉みながら彼女の耳元に口を寄せる。
「ね、パイズリしてくださいよ、今度は僕に」
「えっち、ばか、ちかん、へんたい……」
「えー、だめですか?」
「……だめとは言ってない」
「あはは、ありがとうございます」
僕がお礼を言うと、優衣さんは真面目な顔で眼鏡をクイッと押し上げてから僕の腕の中から抜け出した。
そして座っている僕の目の前で膝立ちになって、僕のアゴを指で掴んで持ち上げる。
じぃー……っと目をまっすぐに見つめてきて、ほとんど睨みつけるみたいにこちらの目の奥を見据えてくる。
「な、なんです?」
「……覚えてる?」
「えっと、なにを?」
「このあいだ生ハメをする前に『いつかちゃんとした場所でプロポーズをする』と約束をした」
「え、あ、はい……」
「反故にしたら許さない」
「わ、わかってますよ、もちろん」
「……ん」
そうして優衣さんはゆっくりと目を閉じて、こちらのアゴを掴んだまま顔を近づけてきた。
そのまま唇を接触させて、はむ、はむ、はむと何度か唇を動かしてから、舌を入れてくる。
僕もそれに応じて舌を絡ませて、唾液を交換し合う。
たっぷり十秒ほどそうしていてから、どちらからともなく顔を離す。
優衣さんの顔は真っ赤だった。睨みつけるような目線。
そしてたぶん僕の顔も赤いだろう。
「……約束」
「は、はいっ」
「破ったら、ころす」
「ももも、もちろんです」
「ならいい」
ふわ、とようやく優衣さんは表情を弛めた。いつもの無表情よりもずっと柔らかな笑顔だった。
それから彼女はもう一度キスをしてきて、そして自分のブラウスのボタンをぷち、ぷちと外していった。
ズレかかっていたピンク色のかわいいブラジャーも外して、小ぶりな乳房を露出させて、そして、
「わたしがパイズリしてあげるのはあなただけ」
などと頬を染めながら言ってくれたのだった。
そうしてそれから、そのあとにおこなわれた出来事についてはここには書かない。
その出来事は僕の宝物みたいな思い出だから──
めでたしめでたし
おしまい