恋人の不知火を他人に抱かせる話 作:阿部
一回戦を終えると、僕たちは仰向けで横並びに寝転んだ。正直抜かずの3発とか言い出しかねないと思っていたので、ちょっと安心した。もっともその手が柔らかく僕のモノを擦り続けている辺り逃がす気はなさそうだった。
「ねえ不知火」
「なんでs、っん」
不意打ちでキスを浴びせた。そのまま舌先で不知火の唇をなぞっていると、彼女は口を開けて僕の舌を迎え入れた。互いの舌が絡み合うのと同じようにして、僕たちは手を握った。呼吸が辛くなって一瞬口付けを中断する時は、それを埋めるように指先を激しく絡みつかせ、そしてまた口内を貪った。
我ながらゲスい物言いになるけど、不知火の舌技は陽炎さんと比べると拙い部分が多いと思う。それは裏返すと、僕と先輩の舌技の差かもしれないと気付いて、愛情に満足していたはずの僕の心の隙間にまた歪な欲望の風が吹いた。
「先輩、どうだった?」
「……今それを聞きますか」
「聞きたいな」
「…………あと2回はしますよ。陽炎に負けたままではいられませんから」
「うん。話してくれたら、すぐ勃つと思う」
本当はあまり自信がなかったが、そう言わないと今教えてはくれないような気がして僕は見栄を張った。
不知火は呆れたようにため息を吐いてから、話し始めようとしてちょっと口ごもった。僕はすかさず不知火の秘所に手を伸ばし、優しく撫で回した。陰唇を撫で、時折指を少し挿れる。
「ちょ、司令?」
「不知火ばっかり僕のモノ触っているのはズルい気がする」
「何を言っているんですか……」
「それに、この方が話しやすいんじゃないかな」
不知火は興奮すると口が軽くなるのである。部品に油を刺すように、不知火には快感を与えておくことが色々スムーズに進めるコツだ。
「教えてよ、不知火」
「まったくもう。んっ……」
彼女はちょっと考え込んだ。羞恥というよりは、単純に行き詰まっているようだ。
「司令もご存知でしょうが、不知火はあまり口が上手くないので……そう、ね。質問していただいても構いませんか?」
「部屋に入ったところから聞きたい。制服で行ったんだよね?」
間髪いれずに訊ねた。正直、1から10まで余すことなく聞きたい。とりあえずは部屋に入ったところからだ。
「そうです。んっ……提督さんは白いバスローブで、ベッドに横になっていました」
「最初はなにされたの?」
「少し話というか、意思確認をされました」
「それって、こういうプレイをやるかどうかってこと?」
「いえ、そのことについては元々承諾していたので……あっ、ん……その、プレイの主導権を提督さんにお任せするかどうか、です」
「それって……」
一度、不知火は俯いてしまった。それでも僕が彼女の顔を真っ直ぐ見詰めながら愛撫を続けていると、
「もう想像がついていると思いますが……全てお任せします、と答えました」
萎えていたはずの僕の陰茎は、すでに硬さを取り戻していた。セックスの主導権を相手に預ける。それはもう、自分の体を好きにする権利を相手に捧げたようなものじゃないか。僕は不知火の中に挿れている指先に意識を集中した。ここもほんの数時間前は先輩が好きに使っていい穴だった、という事実が僕の脳味噌に嫉妬という灼熱の棒を差し込んできた。漏れでる熱の興奮が僕に2つの選択肢を思い浮かばせた。嫉妬と興奮に身を任せ今すぐに挿入するか、それとも不知火からの告白を優先するかである。答えは決まっていた。
「それで?」
「……脱げ、と命令されて、服を全て脱ぎました。それからベッドの脇に立たされて執拗に、その、愛撫、されました……」
陽炎さんが言っていたことを僕は思い出した。先輩はまず、時間をかけてゆっくりと身体をほぐすのだと。快感を得られる身体に、先輩に逆らえない身体にしてしまうのだと。僕は思わず不知火の身体をまじまじと見て、そのお腹にそっと手を這わせた。
「んっあっ♡」
僕が知っているものよりもずっと強い反応を不知火はあげた。
「気持ちよく、されちゃったんだ?」
「はっ♡い……」
「どれぐらいされたの?」
「わから、ないです。ずっと身を捩って我慢しててっ、時間もなにもわからなくて、気付いたら足がガクガクしててっ、立ってられなくなってっ♡」
不知火の興奮はとても高まっていたが、これを成し遂げたのが僕の指なのか数時間前の先輩の指なのか、考えてしまった。
「座り込んでしまった不知火の前で、提督さんがバスローブを脱いで、それから……」
「それから?」
「…………オチンポ、鼻先に突きつけられてっ♡」
断っておくけれど、不知火は元々オチンポなんて単語を使う娘ではなかった。僕の性癖のため、というのは大きいだろう。しかしどうしても、先輩と陽炎さんに教育されたのだというイメージが僕の中をぐるぐるしていた。
「興奮、されているのですか、司令?」
「うん。すっごい興奮してる。もっともっとエッチな言葉、不知火に言って欲しい」
「…………そこで不知火は、提督さんに命令されました。大きくて立派なぺニスはオチンポと呼んで、それから」
そこで不知火は一度言葉を切って、僕のぺニスに目をやって
「小さくて情けないぺニスは、オチンチンと呼ぶようにって……♡」
「っ!ごめん不知火、もうっ射精るっ」
「ふふっ、構いませんよ。
急激に登り詰めた射精感に声をあげると、それを予想していたかのようにスムーズに不知火が手を動かした。片方を亀頭に被せもう一方で陰茎をしごき上げるその動きに、僕はたまらず腰を突き出した。頭が真っ白になるほどの快感とともに、僕は精を吐き出した。
「あら。ふふっ、凄い勢いですね、司令♡オチンチン、ビクビクしていますよ?」
「ああ、不知火……」
「それに固いままです。そんなに興奮なさったのですか?」
「つ、続き……」
「え?」
「続きを、聞きたい……」
「それは、不知火が提督さんのオチンポを突き付けられた後、ということですか?」
「っ!」
わかっていたことだけれども、聞き間違いではなかった。不知火の中で、僕と先輩のぺニスに優劣が付けられている。そのことに昏い興奮を抱くと同時に、優れた性器を突き付けられた不知火がどうなったのかという期待が僕を急かした。
「そう、その後」
「……一応言っておきますが司令。もう一度手に射精して終わり、というのは避けたいのですが」
「大丈夫、我慢する」
正直自信がまったくなかった。不知火もそのことは見抜いているだろう。それでも不知火は、ため息ひとつだけ吐いて話始めてくれた。
「すぐに口での奉仕を要求される、と思ったのですが」
「?違ったの?」
「提督さんの命令は『動かないこと』。それから『口を閉じていること』でした」
どういうことだろう。てっきりフェラチオの流れだと思ったのに。
「それで、先輩はどうしたの?」
「提督さんは、ですね。動けない不知火の後頭部に手を回すと、不知火の顔を無理やり提督さんの、その、オチンポに、押し付けました……♡」
今日何度目かもわからないが、僕の身体に電流が走った。興奮の予兆の電流だ。
「顎に先っぽを擦り付けたと思ったら陰茎を頬に押し当てられたり、前髪をかきあげて裏筋とおでこを擦り合わせたり。とにかく顔の至るところに、オチンポの全身を触れ合わせられて……♡愛撫で散漫になっていた不知火の意識は、その時、提督さんのオチンポでいっぱいでした♡」
マーキングのようなものに思えた。あるいは、自分のぺニスを雌に教え込むような、そんな行為。
「むせかえるような匂いがしていて。頬に添えられた時はその長さがはっきりわかって、もし口に挿れられたらすぐに喉奥まで達してしまうな、とか。太さも凄いから大きく口を開かなくては、とか、そんなことばかりが頭に浮かびました」
愛撫で消耗した後だというのに口を開くことを禁じられた不知火は、精一杯鼻で呼吸しただろう。そこに、否応なしに先輩の雄の匂いが入り込んでいく。味覚以外の全てで強烈に先輩を感じさせられた不知火がどうなってしまうのか、僕にはもうわかっているような気がして、でも先を促さずにはいられなかった。
「そ、それで?」
「……嫌いになりませんか?」
「ならないよっ。それだけは絶対、約束する」
「……オチンポの先っぽが唇に触れた時にはもう、『動かないこと』も『口を閉じていること』も頭のどこかへ消えてしまって、不知火は、提督さんのオチンポを」
不知火は一瞬顔を逸らし
「自ら、咥えてしまっていました…………♡」
再びこちらを向いた不知火の顔にははっきりと、僕ではない『誰か』が浮かんでいた。今、不知火の表情を赤らめているのは僕ではなく、記憶の中の、焦らすともなく焦らされてやっと咥え込んだ先輩のぺニスの味なのだ。
「限界まで口を開いても、半分も入っていなかったと思います。そうしていたら提督さんが指示を出し始めて、それぞれの名前と場所を教えられては舌を這わせました…。どこがカリだとか、陰茎だとか裏筋だとか」
そうだ。先ほどから自然に使っていたが、元々不知火はぺニスの部位の名称なんて知らなかったはずだ。嫌悪はないにしても、ことさらに性に貪欲でもなかったのだから。
そんな不知火が自ら口淫をしてしまう。そう仕向けられる先輩の技量に僕は改めて尊敬と畏怖と、そしてちょっとの歪な期待を持ってしまった。
「言われるままに先を咥えながら陰茎を手でしごいたりしていると提督さんは腰を震わせて、その、不知火の口の中に……」
「……飲んだの?」
「……そうした方が司令の好みであるらしいことは提督さんにも言われたのですが、どうにも……許可を頂いて、ティッシュの上に吐き出しました」
「そっか。うん……無理はしないでね」
「はい。でも……ふふっ♡」
「どうしたの?」
「提督さんは、こうもおっしゃっていましたよ?『次は絶対飲ませるから』と。『飲めるように調教してしまう』、らしいですよ?」
僕は呻き声のような、間の抜けた声のような、とにかく中途半端な言葉を発した。
次、ということについてはあえて考えていないところがあった。中学生の頃から暖め続けた非日常の性癖が一気に解放されて、僕の脳は頻繁にキャパオーバーを起こしとてもではないけど先のことを考えていられなかったのだ。
その『次』の存在が明確に示された。そしてそれについて、不知火には嫌がっているような様子もない。それどころか、僕の目にはその調教に乗り気なようにさえ見えてしまった。錯覚かもしれない。でも、一度浮かんだ想像は中々消えてくれなかった。
当然、その想像には強い興奮が伴っている。
「ごめん不知火。もう挿れたい」
「ちょうど良いタイミングですね。これ以上、お話できることがなかったので」
「え?」
「一度射精しても提督さんのは全く衰える気配もなくて、そのまま本番に移行しました。ですが……」
「……ですが?」
「……ゴムを着けて、オチンポが入ってきところまでは覚えています。そこでしばらく、入り口付近を擦られたことも。でもその後、提督さんが一気に膣奥まで腰を突き出した時から……」
不知火は一度言葉を切って、焦らすように僕の胸板をなぞりながら口を寄せると
「不知火、もうなにも覚えていないんです♡」
蠱惑に、淫らに、そう言った。
「全く、という訳ではないのですが。四つん這いだったり、うつ伏せでのしかかられたり、両足を掴まれて大きく開かれたり。いやらしい言葉を投げ掛けられてそれに返答したり、そういった途切れ途切れの記憶はあるんです。でも、司令にお話できるほどの纏まった記憶はありません」
「し、不知火が……そんなに?」
「ふふっ、そうですね。ひとつだけ言えるとすれば……今までで一番、気持ちのいいセックスでしたよ♡」
「っ!不知火、挿れるよ、もう挿れるからね!」
そう言って不知火に覆い被さってから、僕はゴムを着けていないことを思いだし辺りを見回した。
「司令?」
「いや、ゴムが……」
興奮に焦った頭でコンドームの所在を思い出そうとしている僕の下で、不知火は一瞬テーブルに脱ぎ捨てた自分の制服に目をやっていた。
「不知火?」
「あ、はい。ゴムですね」
どこか惚けていた不知火は僕の声を聞いてからちょっと辺りを見回し、シーツに隠れていたコンドームを見つけ出した。が、受け取ろうと伸ばした僕の手には応じず、いたずらを思い付いた時の陽炎さんや黒潮に似た笑みを、口元にほんのり浮かべた。
「えーと、不知火?ゴムちょうだい?」
「それは構いませんが。司令、それを必要としない行為もあるかと思いますが」
「え?そ、それはその?」
「……ナマ、ということで」
「ナマって、その、不知火はいいの?」
「司令にもご報告したと思いますが、陽炎たちがこういうプレイをする条件に避妊がありましたので」
そうなのだ。実は、スワッピングに先だって不知火は薬を服用している。それは陽炎さんもそうらしく、先輩と陽炎さんにとっては絶対の条件らしかった。誠実な人たちなのである。まあ、妊娠という一点で明確に線引きしている分、その範囲内ではずいぶんはっちゃけているようだが。
不知火の右手が僕のぺニスを擦りあげる。扱きながら体をもぞもぞと動かし、いつの間にか僕の肉棒と彼女の秘穴は先端がふれあいそうになっていた。そんな、僕の理性をガリガリとヤスリにかけるような状況を作り出してから、不知火は口を開いた。
「それとも、興味ありませんか?」
「ある。めちゃくちゃあるよ」
「でしたら、そのままで」
「でも、不知火はいいの?女の子にとっては、結構大事なことだと思うけど」
「構いませんよ。不知火も、ふふっ♡、
「え?」
不知火は蠱惑的に笑った。
「予定はありませんが。それでももしかしたら今後、提督さんとする可能性も考えまして」
「不知、火」
「それとも、そちらの方が司令の好みでしょうか?不知火の初ナマセックス、提督さんに取られてしまう方が」
「っ!そんなことない!」
「本当でしょうか?ずいぶん興奮されているようですよ?」
不知火が腰をくゆらせる。彼女の愛液と僕の先走りが、そこをねっとりと湿らせていた。挿入ってしまう、という寸前で腰は逸れ、肌の表面を擦れ合わせるだけに留めていた。
「……不知火は、先輩とシたいの?ナマで」
「そういう訳ではありませんが。んっ、固い♡……今日の体験で、ベッドの上では提督さんに太刀打ちできないことがはっきりわからされてしまったので……♡」
呼吸が荒くなる。不知火が、あの負けず嫌いな不知火が、不馴れな夜の勝負とはいえ、たった一晩で打ち勝つことを諦めていた。そうされてしまった。
陽炎さんが言っていたことが煽りでもなんでもないことが、はっきりとわかった。先輩のベッドでの強さが、女を雌にしてしまうような強さが、はっきりと。
「……もし先輩に、ナマを求められたら?」
「あっ♡ん♡ふふっ、それはきっと、…………勝てないことがはっきりとわかっていますから、提督さんの言うままに、屈服してしまうかも、しれませ、ん、あっああ!♡」
嫉妬、焦燥、興奮、独占欲。さまざまなものをない交ぜにしながら僕は腰を突き出し、不知火を貫いていた。知っているはずの不知火の膣よりどこか緩くなっていることとか、コンドームの有無とかも頭の片隅に追いやって、ただただ衝動のままに彼女を貪った。きっと乱暴だったと思う。でもそんな僕が果てる時、不知火はおとがいを上げて口づけを求め、射精に震える僕の頭を優しく掻き抱いてくれていた。
「……わがまま言ってかまいませんか?」
「なんでも」
「……好きって言って欲しいです」
「僕は、愛してると言いたいな」
「……馬鹿ですね、ほんとうに」
「……さっきの、ナマでヤるっていうのは陽炎さんの入れ知恵?」
「わかりますか?」
「嫉妬させようとしてるなぁって。まあ、今冷静に考えたらだけど」
「どうかと思っていましたがあんなに求めていただけるのなら……悪く、ないかも」
「僕はいつでも不知火のことを求めてるつもりだけどね」
「伝わってません。これは司令の落ち度ですね」
「誠にごめんなさい」
おどけて、僕は不知火の頭を包み込んだ。
「先輩と、またする?」
「……ズルいですよ、このタイミングは。こんな風に抱きしめられたら、断れないじゃないですか」
「不知火がほんとうに嫌なら、是非断ってくれ」
「やっぱりズルい…………司令のため、ですからね」
「うん」
「あと、終わってからはきっちり愛していただきますから」
「もちろん」
「……不知火よりも陽炎で射精する回数が多かったりしたら、怒ります」
「……ナイヨ?」
不知火への愛は本物だし愛があるからこその寝取らせではあるんだけど、いかんせん陽炎さんのテクニックとSっぷりは刺激として強すぎて、おまけにこちらの性癖を把握されてるとあっては白旗ものなのである。
「寝取られ煽りで射精したら実質不知火で出したってことには」
「なりません」
そんな風にふざけあいながら、僕たちは眠りについた。とっても刺激的な一日の終わりだ。腕のなかにいる小さな女性への愛情と、またいずれ、そう遠くないうちにあるであろう非日常へ触れる期待とを胸に宿しながら、僕は瞼を落とした。
「ところで不知火と司令がシてるところの録画あるんだけど、義弟くん見たい?」
「見まーす」
翌朝、不知火が二日目の交流演習へ出掛けた後のことだった。