??side
今日も私は部下が考えてくれた多種多様な“異能”を持った人たちをサポートする為の支援品アイディアの資料を確認していた。
すると社長室に受付から社内電話がかかってくる。
「私だ。どうかしたのかね?」
『あの、お客様と名乗る方が来られているのですが』
「だったら社長室まで案内してくれたまえ」
『ただ、そのお客様というのがどう見ても小学生のようで』
「分かった。私が直接会ってみよう」
そう言って私は電話を切り、1階へと降りる。
受付の方を見ると薄茶色のロングヘアーと同じ色をした大きな目をした赤いランドセルを背負った胸の大きな少女がそこにいた。
私に気づいたのかその少女が私の方に寄ってきた。
「社長さん、待ってたよ」
その少女の言葉に社員たちがざわめき出す。
心当たりがない私も驚いているが、その少女は我関せずとばかりにランドセルから丁寧に折られた1枚のプリントを取り出し私に渡してくる。
私はそのプリントを拡げるとあることに気づく。
そして。
「彼女は私のお客さんだよ。彼女のお父さんと打ち合わせを予定していたが来れないため急遽彼女に頼んだらしい。それでは行こうか」
そう言って私はその少女と社長室に向かった。
「それにしてもビックリしたよ。君がそんな姿で来るとは思ってもみなかったからね」
「ふふ。ビックリしてくれたなら成功かな」
先程までの少女とは違う喋り方を始めたが、私はその少女が仮の姿だと知っているのでもう驚きはしない。
「それにしても君の本当の姿はどんななのか気になるところだよ」
初めて会った時は長い耳と鼻をした老人で次に会った時は金髪ロングヘアーの大人の女性だった。
しかし、毎回姿を変えるので分かりやすくするためにデスマスクを象った物を身に付けている。
今回は私に見せてきたプリントにそれが描かれていた。
その為私は皮肉を込めてこう読んでいる。
「それでペルソナ。私に何か用件があるから来たのだろう?」
私とペルソナは裏の世界で共通の目的が有り、そこで繋がっている。
「用件の内容は簡単だよ。君の知り合いに出版社やテレビ局の関係者がいるでしょ」
「マイナーな出版社だがね」
「マイナーだからこそ良いんだよ。そこで小さいけど他のメディアが記事にしていないことを取り上げれば他のメディアもその真実を求めだすからね」
「成る程。君はなかなかの策士のようだ。それでどんなニュースを」
「百聞は一見に如かず。見てもらった方が早いよ」
ペルソナがその映像を私のノートパソコンで再生する。
それは音声こそ入っていないが驚きの光景だった。
「どう?。これが世に出回れば」
その言葉に私は思わずゴクリと唾を飲んでいた。
「しかし、これが本当の映像かどうか確かめる術は…」
「メディア嫌いのヒーローがしっかりと写ってるのに、疑う暇はあるの?。それにいざとなったらその会社をこかせ*1ばいい」
「そんな事をすれば私が部下に責められるかもしれないんだが…」
「その出版社で働いてる人間は此方で調べた限り253人。その人たちを別の役職で新しい出版社やテレビ局で働かせれば良い」
「しかし、私にそんな大層なお金は…」
「大丈夫。そのお金は此方から出すよ。建築費1700億とスタッフ1人に付き初任月収120万程出すよ」
「な!?」
私は驚いた口が塞がらなかった。
「此方からすればそのくらい安いもんだよ」
どうやら相手は私が思っている以上に巨大な組織のようだ。
「どう、引き受けてくれる?。共通の目的の為に」
「ああ、よろしく頼むよ」
そういう契約を交わし、私はペルソナを見送った後、私は早速その知り合いの出版社やテレビ局に例の映像を流す指示を出した。
そしてこの映像が世間を大きく騒がす火種となるのはもう少し先の出来事だ。
そう、私たちの共通の目的。
誰もが自由に“異能”を使えるようにする為に。