第8話
出久side
僕は今、黒霧さんがカモフラージュでやっている酒場に来ている。
と言ってもここに来るのは僕たち
「どうだ、緑谷。計画はうまくいってるのか?」
僕がカウンターでミルクティー(冷たいやつ)を飲んでいると弔くんが隣の席に座って来て序でにコーヒーを頼んでいた。
「順調だよ。怖いくらいにね」
「そいつは良かった。ところで俺がスカウトしてきた連中が300を超えたんだが、まだ兵としては扱わない感じか?」
僕はカップに残ったミルクティーを飲み干すとおかわりを黒霧さんに頼み、弔くんと話を続ける。
「うん、まだ使わないよ。せっかく仲間にしたのに使い捨ての道具みたいに使ったらそれこそ反乱を買っちゃうからね。例えそれがオールマイト相手だったとしてもね。目的の達成の為なら誰1人欠けることなく勝利する。そうすればまた更に仲間が増えると思うからね」
「そりゃデカイ目標だな。でもお前の事だ。その計画を進める計算も既に頭の中で終えてんだろ」
「勿論だよ」
「それでその計画の成功率は?」
「現段階で、99%成功するよ」
「なら、今すぐ動くべきだろ。ほぼ勝てるんだからよ」
「何言ってるの弔くん。1%、負けるんだよ。目指すなら100%勝てる段階で挑まないと」
「そのチャンスの時は必ず来るのか?」
「僕の計算に間違いがなければ今年中にはね」
そう言って僕はおかわりのミルクティーを一気飲みするとお会計を済ませ、その酒場を後にする。
そして出る際に黒霧さんにホットミルクを持参した水筒に入れて貰う。
僕自身熱い飲み物は飲めないが、これは僕が飼ってるペットにあげるための物だ。
僕が作ってあげてもいいんだけど、最近は色々と忙しいからね。
自室に歩いて帰る頃には丁度良い温度まで下がってるんだよね。
僕はスマホの待ち受けにしてるペットの画像を見る。
白い毛に赤い瞳、そしてその目と一緒の赤い首輪を着けた僕の可愛いペット。
「今から帰るからね」
そう言って僕はスキップしながら自室に帰った。
相澤side
例の
俺は教室に入ると切島が勢いよく立ち上がっていた。
「先生、昨日や一昨日のニュースを見たけど、あれなんだよ」
「僕も見ました。
飯田も挙手しながら立ち上がり叫んでいる。
他の生徒も立ち上がったりはしないが似たような感情を持っている事は火を見るより明らかだ。
「とにかく、お前たち2人は座れ。それと今回の事件の報道だが俺たち雄英の教師は関わっていない。全てヒーロー公安委員会からそうするように指示があった。理由は大きく分けて2つ。1つはこの事を知った他の
「マスゴミ、ですか?」
「それに、ビッグイベント?」
「2週間後に雄英体育祭が行われる事が決定した」
「こんな時にですか!?」
「俺も校長に同じことを言ったよ。しかしこれは校長が決めた決定事項だ。もし下手に雄英体育祭を中止にしてみろ。この間のように、イヤそれ以上の量のマスコミ連中がやって来るだろう。そうなった場合、お前たち生徒や家族にも危害が及ぶかもしれない。そういった事で隠蔽する事が決定した」
「じゃあ、せめて針山を殺した奴に敵討ちさせてくれよ」
「そんな事生徒にやらせられるか。それに切島、犯人が解ったところでその
「そ、それは」
「話を戻すぞ。雄英体育祭は言ってみればお前たちのデビュー戦だ。これを機に色んなヒーローからスカウトの話が来ることもある。年に1回、計3回しかないチャンスだ。頑張れよ」
俺はそう言って教室を出る。
スマホを確認すると山田からメッセージが着ていた。
山田は今日、タルタロスに千両道化がいるか確かめに行っていたはずだ。
そしてメッセージを確認してみると俺は驚きを隠せないでいた。
その内容は千両道化は脱獄していたかもしれないとの報告だった。
奴の“個性”はバラバラで確かに自身の身体を服ごとぶつ切り程度のサイズで切り離せる能力の持ち主だった。
その為特殊な装置に監禁拘束されていたはずだ。
そんな奴が煙のように姿を消していた。
もちろんタルタロス内の刑務所の防犯カメラが設置してあるが、そこに奴の姿は写っていなかったとの事だ。
まるで最初からそんな人物は存在していなかったかのように…。