※この作品はR-18です。

カルデア崩壊記~召喚の運が良いマスターの運命は収束する~   作:脳破壊男

3 / 7
第3話

 

「…痛っぅ…、こ、ここは…?」

 

閉じていた瞼を開くと、眼に映るのは

殺風景な岩でできた壁、そして入り口と思しき場所にある柵

その様子から今自分がいるのは牢屋の中だと推測できる

眼を覚ましたものの、痛む後頭部

手で患部を抑えようとするが、

手は背中に回されており、さらに紐のようなもので縛られているのか

動かすことができない。なんとか自力で解くことができないか手首同士を離すように広げたり

擦り合わせたりと、様々な方法で拘束を解こうとするが

相当頑丈に縛られているのか、拘束はびくともしない

立香は溜息を吐きながらも何とか寝ころんでいた体勢から身を起こし

岩肌の壁に背を預けて座る

 

「はあ……!そうだ!マシュ!」

 

以前痛む後頭部だが、徐々に意識を失う直前の記憶が蘇る

暗くなっていく視界に映っていたのは、自分と同じように後頭部を殴打されたのは

後輩であり、自分のファーストサーヴァントであるマシュ

周囲を見回すが、そこに彼女の姿はなく

あったのは眠る用の簡易的なベッドが一つ

一人で使うには十分すぎる広さの牢だが

このような状況ではちっとも嬉しさなど感じない

 

「…とにかく、なんとかここから抜け出さないと…」

 

「目が覚めたか?マスター」

 

突如聞こえた声に立香は顔を上げる

そこには先ほどまでいなかった女性が立っていた

牢屋の柵の向こう

長い黒髪を持ち、髪色と同じ色で動きやすさを重視したケルト式のボディスーツを身に纏い

暗い髪の色と衣装に映える白い肌、そして赤い瞳

立香が最も信頼するサーヴァント

スカサハがそこに立っていた

 

「スカサハ…!っ…ぐ…!」

 

彼女の姿を見て一瞬安堵したが、すぐに脳裏に激痛が走る

その痛みと共に意識を失う直前の事が、完全に思い出され

立香は痛みに顔をしかめながら、彼女に視線を送る

 

「先ほどはすまぬな…あやつめ、幾ら何でも強く叩きすぎだ。少しは加減しろというに」

 

荒々しい岩肌に背を預けて立つスカサハ

はあ…っと溜息交じりにそう独り言を漏らせば

立香が入っている牢のカギを開け、中に入ってくる

いつも通りしなやかな足取りで立香の傍まで歩んでくる彼女に

立香は振り絞るように声をかける

 

「スカサハ…説明してほしい。さっきは一体なんであんな事を?」

 

こちらに近づいてくるスカサハを立香は様々な感情を込めて真っすぐ射貫く

これまで様々な特異点、様々な戦いがあり

立香が敵の罠にかかり囚われの身となる事も多々あった

 

そんな彼を助けてくれたサーヴァントは多数いるが

その中でも一番助けてくれたのがスカサハ

長い旅の中で幾度もある危機を助けてくれ、

時には共に力を合わせて切り抜けた彼女

 

それ故に立香にはわからなかった

なぜ彼女があんな行動に出たのか…

 

「わかった、すべてを説明しよう。マスターにもその方がいい、すべてを知ってもらった方が…な」

 

スカサハは座っている立香の隣でしゃがむと

肩に手を回し、一緒に立ち上がる

思いがけずに距離が近くなった彼女に、一瞬心臓が高鳴るが

今は状況が状況だけに、すぐに表情を引き締める

 

「一緒に来てくれ、マスター。会わせたい方がいる。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

後ろ手に拘束されている立香を誘導するように

手首を抑えながら立香の後ろを歩くスカサハ

ここまで何とか彼女の真意を知ろうと声をかけたが

彼女は答えず、沈黙を貫いたまま歩いていた

 

先ほどまで立香が囚われていた牢屋と、似たような牢屋が立ち並ぶ空間

その中の一つに近づけば、中にいた人物に立香は声をかける

 

「マシュ!!よかった、無事で…」

 

牢屋の中にいる人物こそ、立香の後輩でありファーストサーヴァントのマシュ・キリエライト

彼女も立香と同じように牢屋の岩肌に背を預けて、俯いて座っていたが

立香の声を聴くと同時に、弾ける様に顔を上げる

 

「先輩!!……スカサハさん!?」

 

その表情は立香が無事だった事を知り、浮かんだ安堵と嬉しさだったが

彼の後ろにいた人物、スカサハを見ると表情に緊張が走る

本来、カルデアのサーヴァントである彼女が立香と共にいればこれほど頼りになるサーヴァントはいない

しかし先程の事を思えばマシュが彼女を警戒するのも、至極当然といえる

 

「…スカサハさん、先輩をどうされるおつもりですか?」

 

「ふふ…頼もしいな、マシュ。お主はそれでよい。これからも…マスターの良き盾となってくれ」

 

「…?スカサハさん、それは一体どういう…?」

 

「出ろ」

 

スカサハがマシュの囚われている牢屋の鍵を開ける

スカサハを警戒している今、迂闊に牢屋の外に出ることはできないが

立香が彼女に囚われている現在、言葉に従うしかない

 

牢屋から出たマシュは立香と一緒に並べられ

その後ろにスカサハが立ち、二人の手綱を彼女が握る

いつもの彼女ならば先頭に立ち、立香の道を切り開く彼女だが

そうしない事に、彼女が敵に回った事実を思い知る

 

「さて、二人とも。逃げようなどとは考えないことだ。逃げるなど不可能なのだからな」

 

「…それは一体どういうことだ?」

 

「一つ、二人の手首を縛っている縄は私のルーン製の縄だ。細く軽いが切れにくい、二人の手首を縛る程度の長さならば切断不可能と言えるような強度を出せる。

 これを切るには私がルーンによる解除の魔力を込めなければ解くことはできない。二つこの施設は先ほど3人で入った施設の地下だ。入り口兼出口は1つだが、中は迷宮のように

 通路が広がっている上、それだけでない。出口から出るには鍵代わりに特別な魔力が無いと開くことはできない。細かく言えば数えきれない程あるが…まあ、大まかな理由としては

 このようなものか」

 

歩きながらスカサハの説明を聞く2人

いま彼女が何を考え

どこに向かっているのか

何が出てくるのか

そもそもこの特異点は何なのか…

 

考えることが多いうえに、いきなり襲い掛かってきた怒涛の展開

あまりに状況の変化の多さに、立香もマシュも頭がこんがらがりそうになる

 

殺風景な通路を進み続けていれば

やがて近代的な内装の通路に出る

どこかカルデアを思い出させるような床、壁、匂い…

 

マシュにとっては失われた故郷思い出させるような雰囲気の施設

立香ですらすでに懐かしさを感じているだけに、

似たような施設で生まれ、育てられたマシュにとっては涙腺に来るものがあるようで

張り詰めたような緊張感の中、少し涙ぐんでいる

 

言葉少なに歩く3人

しかし立香とマシュにはだんだんと困惑が浮かんでくる

それもそのはずで、3人は見覚えのある通路を進んでいた

それはまさしく南極にあったカルデア基地の通路

踏みしめる床の感触、照明と壁の無機質さ

所々にある自動扉の形や、開閉の音などそっくりそのままと言える

 

先ほどまでは涙ぐんでいたマシュも、さすがに困惑の色を隠せないようで

しきりに周囲を見回し、時折立香と顔を見合わせる

そうして困惑の中歩き続けていれば

やがて3人はとある大きな扉の前に立つ

この場所は本来ならばカルデアの管制室がある場所だが

立香やマシュの背丈よりも遥かに大きいその扉は

立香やマシュのいたカルデアにはない扉だった

 

「さ、ついたぞ2人共。ここに会わせたい方がいる」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

部屋の扉が開かれ中に入る3人

もちろん中は管制室ではなく、どちらかと言うと立香が暮らしていた国の建物の部屋を思わせる内装

その場所は立香もまだ行ったことが無い、しかし知識として知っている場所

18歳未満では入ることが出来ない大人の宿泊所

ラブホテルを思わせる一室をしていた

 

部屋の中心には大きなキングサイズのベッドが有り

周囲の壁三面、そして天井は全面鏡貼りされており

ベッドで男女が身体を交えれば、どの角度からでも2人の身体を交える様子が

鏡に映り、見ることが出来る

 

「………!!」

 

そんな事よりも、立香とマシュは部屋の中よりの様子よりもより大きな衝撃に襲われていた

部屋の中心のベッドの縁に腰かけるように一人の男が座っていた

その男は黒い短髪に青い瞳

カルデア製の白い魔術礼装を着ており

その男の右手には赤く輝く令呪があった

 

「先輩…?…いえ、違いますね。貴方は」

 

マシュは自分の隣の立香をちらっと見た後

再び目の前の男に視線を送る

男はマシュの視線にニヤ…っと、下卑た笑みを浮かべる

 

「くひひ…いらっしゃいマシュ、そしてフレンドのマスター君…ええっと名前は藤丸立香君…だったね」

 

「君は俺のフレンド…つまり別のカルデアのマスターってことか?」

 

「そうだよぉ…君と同じく特異点を消去し、人理を守る為に戦う君とは違う世界のカルデアのマスター…それが僕さぁ…」

 

男はにやけた表情で話しかけてきた立香に答える

別の世界のカルデアのマスターと名乗った立香のフレンドの男

髪型と服装は立香と同じだが、体型と言葉遣いは大きく違っていた

 

ベッドの縁に腰かける男は少々前傾した体勢となっているが、

ズボンのベルトの上には服と共に弛んだ腹が乗っており

脂肪が付いた顔はパンパンに膨れており

額には少々汗が滲んでいる

 

「僕の自己紹介がまだだったねぇ…僕は、藤丸リツカ…君と同じ名前だからねぇ…好きに呼んでくれていいよぉ…」

 

「…それじゃあ、藤丸と呼ばせてもらうよ。それで俺達をここに連れてきた理由は?」

 

「まあまあ、そう焦らないでよ。順を追って話すからさぁ…それよりも…」

 

リツカが立香の後ろに視線を向け

 

「ありがとうねぇ…スカサハ。さ、こっちへおいでぇ」

 

「…っ、わ、わかった…」

 

リツカが手招きをすると立香とマシュの背後にいたスカサハが2人から顔を背け、脇を通り抜ける

その表情を伺い知ることはできず、身体は細かに震えていた

 

「スカサハ!」

 

「スカサハさん!」

 

思わず彼女を呼び止めるマシュと立香

振り向いたスカサハを見て、2人は思わず目を見開く

 

「すまない…マスター、マシュ。私はもう限界で…我慢できないんだ…」

 

スカサハの表情は今までマシュと立香が見た事が無い表情だった

いつもの凛とした表情で敵を射貫かんとばかりの鋭い眼光

槍を振るい、敵を蹂躙する時の楽し気な表情

そのいずれとも違う、ただただ発情した一匹の牝だった

さらに2人に衝撃が与えられる

 

「さ、スカサハ。おいでぇ…」

 

リツカが手招きすると

スカサハは座り、手を開いた彼の身体に収まる様に

リツカ胸と腹に背を預けて、太ももの上に座りリツカがスカサハを背後から抱きしめる

彼女がそんな行動をとる事も驚きだが

 

「ん…♡」

 

勇ましい彼女が漏らした聞いたことが無い、発情した声

一瞬身体がビクンと反応し、リツカの抱きしめてきた腕に手を置く

あまりの衝撃になんて言葉を発していいのかわからない立香とマシュ

リツカは2人の様子を見て、また下卑た笑みを浮かべて

 

「スカサハァ…たくさん練習したあれ、言ってあげなよぉ。2人共何が何だかわからないみたいだからねぇ…」

 

スカサハの頭を撫でながら告げるリツカ

彼女は甘える犬のように、彼に身を委ねていたが

それを伝えられると現実に戻されたように、顔がこわばる

 

「…そ、それだけは許してくれ…た、頼む…」

 

「それは駄目だよぉ…スカサハァ。君ができないなら、ご褒美は彼女に全部あげちゃうからねぇ…」

 

葛藤しながら身体を小刻みに震えるスカサハ

彼女の耳元でそう囁くだけで、彼女の表情に明らかに絶望の色が浮かぶ

 

「そ、それだけは…わ、わかった!言う…言うからぁ…!」

 

スー、ハーっと数回深呼吸するスカサハ

意を決したように顔を上げて立香とマシュに視線を向ける

 

「マスター…マシュ、わ、私…スカサハはご主人様…リツカ様を新たなマスターとして忠誠を誓う。私は既に影の国の女王で無く、ただのケルトの一匹の牝犬…スカサハだ。

 リツカ様に身も心も捧げ、死するまで生涯の忠誠を誓う性奴隷(サーヴァント)…それが私だ」

 

荒い息遣いながら宣言するスカサハ

言葉を発するたびに発情してきたのか

顔を赤らめ、汗ばみ始め

着ているケルト式のボディスーツ越に分かる程

乳首が勃起している

股間部分はぐっしょりと濡れており、愛液が滴り落ち

床のカーペットには染みが出来ている

 

「…っスカサハさん、何を言っているんですか!?自分が何を言っているのか、分かっているんですか!?」

 

スカサハを責めるように強い言葉で捲し立てるマシュ

しかしスカサハはマシュの言葉に、罪悪感を感じるどころか

トロンと目を蕩けさせていて

 

「ああ、わかっている。マスター…いや、今や元マスターだな。元マスターから私は離反し、リツカ様に忠を尽くす。だが…貴方を傷つける事は本意ではない。だから私との契約を破棄

 してくれ。私がリツカ様に忠誠を誓おうと、貴方との契約がある以上新たな契約は結べない。貴方の身を害して契約を破棄する様な事は…できれば避けたい。だから…お願いだ…」

 

スカサハはリツカの足の間から立つと

立香の足元で跪き、頭を垂れて懇願する

スカサハの本意である事が彼女の様子からよくわかる

 

「くひひ、立香君。サーヴァントがここまで本気で頼んでいるんだからさぁ…応じてあげなよぉ…」

 

「お前がスカサハをこんなにしたんだろ…!俺は何があっても、スカサハとの契約は破棄しないからな…!」

 

「…そうなんだぁ…それじゃあしょうがないねぇ…こうなったら、あの手を使おうかぁ…」

 

「…本当に駄目なのか…そうか、しょうがない…それだけはしたくなかった…」

 

スカサハが立ち上り、立香とマシュと視線を合わせる

2人の迷いがない眼差しに、スカサハは観念したようにそう呟く

スカサハがリツカの後ろに下がると同時に立香とマシュの後ろの

入口のドアが開かれる

 

「話はカメラ越に聞かせてもらった!やあ、君たちとは初めまして…になるのかな?」

 

「あ、貴方は…!!」

 

開かれた扉から入ってきたのは立香とマシュも良く知っている人物

第一特異点から第七特異点を修復するためにサポートしてくれ

第六特異点には共にレイシフトてこれを修復し

そしてカルデア基地から脱出する際に霊核を破壊され消滅した仲間

 

「「ダ、ダ・ヴィンチちゃん…」」

 

彼女がバックアップの為に残していたホムンクルス体

ライダー霊基ではない、キャスター霊基のレオナルド・ダ・ヴィンチ

リツカが別世界、別カルデアのマスターである以上ダ・ヴィンチも別世界の個体が存在するのは当然の話

それでも2人にとっては、彼女の存在はドクターと並んでとても大きく

その姿、声を聴くだけで複雑な感情が浮かぶ

 

「正解~、そちらのカルデアにも私はいるのかな?万能の天才ことレオナルド・ダ・ヴィンチさ。気軽にダ・ヴィンチちゃんと呼んでくれたまえ」

 

立香とマシュのカルデアにいたダ・ヴィンチと同じ外見、声、口調、快活さ

2人がなんて言葉を発していいかわからずにいるとダ・ヴィンチは

リツカの傍にまでより

 

「お疲れ様、ダ・ヴィンチちゃん。見ていたのなら状況はわかっているねぇ?」

 

「ああ、もちろんさ。そこは万能の天才、ダ・ヴィンチちゃんだ。準備は万端だよ。ご主人様の合図ですぐにでもできるからね」

 

うっとりとした表情でリツカの首元に手を回し、抱き着く彼女

想像だにしていなかった唐突な彼女の行動に、この日何度目かの衝撃を受けて固まる2人

 

「あまりもったいぶっても仕方ないねぇ…それじゃあ、始めようか」

 

「ああ、了解だとも。それじゃあ始めよう!」

 

ダ・ヴィンチが杖で床をトントン…っと数回叩きながら呪文を口ずさむ

そうすれば部屋全体に術式が広がっていき全員を光が包む

 

「マスター!…ダ・ヴィンチちゃん!これは…!?」

 

「安心したまえ、体に害はないよ。マシュ。これは一種の記憶の再生術式さ。これから2人にはスカサハがこの特異点に来てから今に至るまでの行動を見せよう。

 彼女に何が有り、どういう選択をしたか…思う存分体験してくれたまえ」

 

光がどんどん強くなると共に、2人の意識は呑まれていく

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。