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「何してるの?」
何時になく夢も視ずに深く眠れたと思ったら、コレだ。
ふとした拍子で目が覚めると、さやかが横になっている僕を見下ろしていた。
「なんだ、元気そうじゃない。」
「いや、さやか、僕の質問の答えになってないよ?」
様子を見に来たんだって事は解っているけれど・・・。
時計を見ると、今はどうやら昼休みに入ったばかりのようだ。
「お昼は?」
そうぶっきらぼうに聞いてくるさやかの申し訳ないと思いながら・・・。
「さやかは?」
「まだだよ。」
「んじゃ、食べてきなよ。友達だって待たせてるんでしょ?」
さやかには大の親友がいて、毎日そのコと一緒に昼を食べていたはずだった。
何故、過去形なのかというと、最近何だか二人がぎくしゃくしているというか、微妙な距離間があるというか・・・。
「そっちは?」
「僕?大丈夫、ちゃんと食べるから。」
そんな友人に対して、逃げ腰というか、及び腰というか、とにかくそういう態度のさやかを僕は黙殺する。
逃げるのが悪いとは言わないけれど、逃げてどうなるもんでもない。
なら、顔を付き合わせた方がいいに決まってる。
どっちに転がるとしても。
「・・・ねぇ、具合悪くなったのって・・・。」
「さやかのせいじゃない。さやかには関係ない。」
今度は黙殺じゃなくて、ばっさりと斬って捨ててみた。
さやかは今朝の猛ダッシュが、僕の体調不良の原因かも知れないと思い込んだんだと、僕は思う。
思い込みも甚だしいけれど、それが彼女の良いところなんだよね。
「大丈夫。僕もちゃんと昼を食べるから行ってきなよ。」
ひらひらと彼女に手を振って、保健室から追い出そうと試みる。
「もぉっ!心配して損した!!」
泣きそうな顔をされるよりは、拗ねたり怒ったりしている顔の方が、幾分かマシだと思う。
それに彼女に病室を連想させるようなこの場所は、精神上よろしくない。
「ありがとう。でも、さやかが責任を感じる必要はこれぽっちもないからさ。」
さやかの性格上、どうしても気にしてしまうだろうけれど、ある程度は仕方ない。
僕はそれを軽くなるように努力はした。
「・・・あんまり辛いなら、送って行ってあげるよ。」
「女の子に送らせる程、軟弱じゃないつもり。」
そう笑って、今度こそ僕は彼女を見送る。
本当に友人と昼食を共にしたかどうかは確認出来ない。
それはしょうがないとして、もう一眠りしようと思う。
実は、全然体調が良くない。
身体が重いし、お腹も空いてない。
そして、瞼を閉じて、そして次に開けた時には・・・。
「あれ?」
一体、何時間眠っていたんだろう?
外から夕日が射し込んでる。
それでもって、目の前には・・・。
「なんでマミ先輩が・・・?」
思った以上の時間寝ていた事にも驚いたけど、僕の真横にマミ先輩が一緒に寝ている事の方が驚いた。
「マミ先輩?あのぉ、これは非常にマズいと僕は思うのですが?」
脳内では不純異性交遊という単語がぐるぐると回ってる。
えぇと確か、そういう類いは少なくとも停学2週間程だったかと・・・。
僕の隣ですやすやと寝息を立てて・・・ん?なんか、鼻が不自然にピクピク動いてるような・・・もしかしてこれって、狸寝入り?
「もー。」
僕は脱力して先輩の身体を揺らす。
一緒に胸もゆっさゆさと揺れるが、今はそんな所に注目しているばあ・・・まぁ、ちょっとは見るけれどね。
「起きて下さい。もう夕方だし、帰りますよ?」
「王子様のキスがないと起きられないなぁ~。」
「・・・起きてるじゃないですか。」
片目をうっすらと開いて、先輩が僕を見つめている。
当然、何かを期待した目で。
「起きてないわ、すーすー。」
な、なんていう悪足掻きっ。
しかし、これって狸寝入りって言うのかな?言わないよな?
「もう、なんでこんな・・・。」
僕は緊張で震えながら、先輩の唇に自分の唇を重ねる。
ちょっぴり厚くて柔らかい唇を感じて、そしてすぐに離れる。
「ど、どうですか?」
別にキスの感想を聞いているわけじゃない。
言われたら、窓から飛び出して泣きながら逃走しちゃうかも知れない。
僕が聞いているのは、起きるか起きないかの確認だ。
「足りないもーん。」
「もーんときたか・・・。」
「保健室に行ったコト、教えてもらえなくて悲しかったし、心配だってしたのよ?」
要するに、完全に拗ねてしまった、と。
しかし、こうして誰かに見つかりでもしたら問題だし。
僕がベットから出て行くというテもあったけど、それは火に油を注ぐだけだ。
こういう場合、男に選択肢ってないんだよな、きっと。
「心配かけてすみませんでした。」
そう謝ってから、もう一度彼女にキスをする。
今度はゆっくりと彼女の唇を舌で割って、侵入した先で彼女の舌と絡み合う。
「んくっ。」
最後に先輩が絡み合って混ざった唾液を飲んで、唇を離した。
「ごちそうさまでした♪」
「・・・なんですか、ソレ。」
ぱっちり開いたお目めと笑顔の先輩に僕は脱力しながらも、なんとか突っ込めたのだった。