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「ほら。」
何故、さやかがお風呂に固執したのかって考えると、答えはないんだと思う。
僕も冷静になってきたので解ったけど、答えがないのが答え。
お風呂に意味があるんじゃなくて、自分を無条件で受け入れてくれる場所が欲しいんじゃないだろうか?
そう思う。
「痛い・・・。」
さやかの頭にバスタオルを被せてガシガシと拭いていたら文句を言いやがった。
「知らないよ。女の子の頭なんて拭いた事ないもん。」
なので、とりあえず文句は却下してそのままガシガシ頭を拭くのを続行した。
さやかもそれ以上の文句はもう言わなかった。
「とりあえず、シャワーでも浴びて温まれって。そのうちお風呂も沸くから。」
「アンタは?」
「着替えを見繕ってくるよ。脱いだ服はそこの乾燥機に突っ込んでおいて。」
流石に脱ぐところを見るわけにもいかないので、彼女を脱衣所に押しやろうとすると、僕の濡れた裾をさやかが掴む。
「そしたら・・・一緒に入るの?」
まだ言いますか、このコは。
「あのね、そこに拘る必要はないでしょ?」
「でも、風邪引かれたらヤだし。」
ぐっ、堪えろ僕。
ここで溜め息の1つでもついたら、最悪さやかがどんな行動に出るか解らない。
「なぁ、大丈夫だよ。別にどっか行ったりしないから。」
「・・・本当?」
うん、ダメだ。
「もぅ、一人になりたがったり、一人になりたくなかったり、一体どっちなんだよ。」
しまったと思ったけど、後の祭り。
だって、答えは決まってる。
その両方だ。
さやかだって、困惑しているに決まってるんだから。
「・・・お願い。今だけ、今だけ一緒にいて。」
「今だけって・・・その、やっぱり、お風呂もか?」
そういえばさやかは、一度も正面切って僕の目を見ていない気がする。
僕と雨の中で会ってから、ずっと俯いたまま。
「・・・う~ん・・・それってさ、幼馴染み同士がする事か?」
別に責めているわけじゃないけど、年頃の女の子が言う事でも、する事でもないのは確か。
「あ゛~、もう、待ってろ。いいか、僕は水着を取って来る。そっちはきっちりバスタオルを巻く。しっかりと巻くんだぞ?いいか?」
果たして、そんな妥協でいいんだろか・・・良くない。
良くないって解ってる。
解ってるんだけど・・・というか、これって普通、男が考える事なの?
もし、僕がさやかを恋愛対象として見ていたとしても、喜べないな。
だって、それって弱味につけ込んでるって事だから。
さやかは今、弱ってる。
死にそうなくらい。
何だ、恋愛の1つや2つくらいと言う人はいるかも知れない。
でも、当人にしてみれば、絶望が生死に関わる事だってあるんだ。
「・・・うん。」
うっ・・・今、溜め息が出そうになった。
仕方ない・・・腹を括って水着を取りに行くか・・・何処にしまったっけなぁ。