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体育座り。
何故だか、体育座りの心境。
そして現在、湯船の中。
お湯は今も自動でドバドバと注がれてる最中。
ちなみに僕はその状態のまま、お風呂の窓を眺めている。
覗き防止の為のスリガラスなので、外の景色とかは全く解らない。
だからといって、反対の方向を向くわけにあはいかない。
何故か?
そこには当然のようにバスタオルを胸元まで上げて巻いているさやかがいるワケで・・・。
「きちんとシャワーを浴びて温まるんだぞ?」
今の僕って、何役なんだろう?
どう考えても幼馴染の役で言うセリフじゃない。
ともかく、今はそれ以外の音といえば、さやかが浴びるシャワーの水しぶきの音だけだ。
「・・・ねぇ。」
「ん~?」
さやかの方を向くわけにはいかないので、彼女が今どんな表情をしているのか解らない。
自分の返事がそのせいなのかは解らないけど、とても力ないモノになってる。
「アタシの何がいけないのかな・・・。」
「知らないよ、そんなの。」
僕の知るところじゃない。
第一、僕はさやかの悪いトコなんて、気にした事もない。
「ただ僕は何も悪くないと思う。」
だから、正直にそう答える。
大体、存在自体が悪いわけなんてないから。
さやかは一見、元気の塊に見えるけれど、とても繊細な女の子だ。
「じゃあ、どうしてアタシを見てくれないの?」
それが僕に向けられた言葉であり、そうじゃなくもある。
だから、あぁ、やっぱりさやかは今日、失恋したんだなと確信してしまった。
こんなの確信したくなかった。
でも、今、さやかの前にいるのは僕だけなんだと思うと、気が引き締まる。
「・・・声に出して言わないと伝わらない事のが断然多いんだよ。たとえそこで争いになったとしても、自分の事や他人を事を理解するのに必要なコトってあるんだと・・・思う。」
逆に言えば、言葉にしなくても伝わる事はきっとある。
例えを挙げるなら、"今のさやかを独りにしてはいけない。"
心の悲鳴が聞こえるようだ。
「それでも!アタシが選ばれるとは限らないじゃない!喧嘩して仲直り出来るかも解らない!友達と好きな人の両方を失えばいいっての?!」
体育座りのままの姿勢を保っていた僕の手に力がこもる。
さやかは悪くない。
でも、その他の誰も悪くない。
声を荒げるさやかが少し冷静になっただろうタイミングで、僕は口を開く。
「それでも・・・きっとさやかは声に出して言うべきだったんだ。そんな事で人は離れていかないよ。一時的にはぎくしゃくするかも知れないけど・・・。」
お湯の水位はもう僕の腰の上を越えていた。
「きっと何時か解ってもらえる時が来る。」
「そんなの・・・。」
信じられないだろうな。
でも、信じないと動けなくなる。
僕だって、怖いよ・・・。
「じゃ、逆に聞くよ?今、こんな状況になっても、さやかは嫌いになった?二人を?」
僕はそこで、諦めて・・・いや、根性を据えてかな?さやかを見る事にした。
やっぱり言葉にしなきゃダメだし、さやかにきちんと向き合って、相談を受けなければダメだと思ったから。
僕の考えを伝える為に。
そして、さやかが内に溜めている事を全部口に出させる為に。