20_
三途の河を見た気がする。
「?どうしたの?」
「あのな、今から重大な話をする。いいか、良く聞け。」
「ん?うん。」
おかしいな浴びているシャワーがちっとも温かくないぞ。
というより、冷たい汗が・・・。
「今日の事は誰にも話すな。いや、話さないで下さい。さやかもこんなマヌケな話というか、恥ずかしい事は誰にも話さないよな、うん。」
確かに普段、いつもの僕だったら、こんな失態はしない。
だって、これは最近になってからの変化だから。
さて、ここで問題です。
【彼女がいる男が、彼女でない女の子とお風呂に入った場合、人はそれを何と呼ぶでしょうか?】
「・・・殺されるかも知れん。」
「?そ、それは話さないよ?なんで?」
良かった、アホの子で。
「あ、そっか。彼女出来たんだっけ・・・・・・でも、そしたらアタシを選んでくれても、いいよ?」
「はぃ?」
何言っちゃってんのかな、このコは。
やっぱりアホの子?
アホの子なんだね?
「むぅ。そんな痛いコを見るような目で見ないで。」
いや、あれ?
僕の反応の方が普通だよね?
「さっき、アタシを選ぶって言ったじゃん。」
言った。
確かに言った。
「それとこれとは挙がってる選択肢が違うだろ。」
「だから、フラれちゃったらのハナシ。そしたら、いいじゃない?あ、モチロン、告げ口なんか絶対しないよ?」
「あぁ、それに関しては、さやかはしないってハナから信じてるけど・・・なんというか、ねぇ?」
言葉を濁す僕に対して、さやかはぷぅっと頬を膨らます。
「やっぱりアタシなんかじゃ、魅力・・・ない?」
「さやかの良さは、よ~く解ってる。可愛いとも思ってる。うん、彼女にしたいタイプの上位だ。」
「・・・そこまで褒められると照れちゃうよ・・・。」
抱え込んだ膝に顔を埋めるという仕草も可愛くはある。
「でも、やっぱり恋愛ってタイミングなんだよ・・・。」
もし、たら、れば、がない世界。
考えても意味がない世界。
それはさっきも彼女に話した通りだ。
「それに、そのフラれた同士ってのもなぁ・・・。」
まぁ、今回の事がバレたら、フラれるよりも先に死が待っている気がするんだけど・・・。
「そっか。でも、ありがと。」
「何が?」
「そう言ってくれて。」
「別に特別な事なんて何一つしてない。」
幼馴染としては過剰だけど。
でも、失恋の立ち直り方なんて、人それぞれだし。
「そぉ?彼女がいるのに他の女の子とお風呂に入るって、特別・・・というか、特殊だと思う。」
「ぐふっ。」
ち、致死量に近いダメージが入ったぞ、今。
即死コンボでも飛んでくるのか?
「でも、沢山話せて良かったな。ねぇ、たまに・・・また一緒に入ってくれる?こうやってお話したりして、モチロン、絶対に誰にも言わないから。」
彼女の言いたい事は解る。
「別にお風呂でじゃなくてもいいでしょ?」
裸の付き合いとは言うけど・・・確かに今のさやかにとって、文字通り裸の、素に近い自分を出せた場所ってのはあるけど・・・。
「第一、同じ秘密でも、僕とさやかとだったら、僕の方がハイリスク、バレた時のダメージがデカくない?なんか不公平だと思うんだけど?」
確実に僕がマミる。
マミるってだから、なんなんだよ。
「むぅ・・・。」
僕がそう切り捨てると、さやかは押し黙ってしまった。