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うん、これできちんと修羅場になったな、うん。
うえー。
「え、え~と・・・。」
言ってからしまったと、ようやく自分の言葉の重大さを理解したさやかは、すまなそうに僕に目で訴えてくるが、後の祭りで・・・。
「ほぉら、早く聞かせて?」
絶賛、死亡フラグ中、なぅ。
「また新しいオンナが出た。で、アニキ、今度こそ、彼女か?このオンナ。」
そんな空気の重さを感じてか、感じずにか・・・いや、杏子は意外と賢いから解っていて言ってるに違いない。
「あ、あぁ、まぁね。」
否定は即、死に繋がる。
誤魔化しても同じ。
「さやかとか言ったっけ?諦めろ、分が悪い。」
「ど、どどど、何処を見て言ってんのよ!」
いや、いやいやいや、そこを、よりによってそこをさやかと、しかも杏子が比べたらダメだろう!
「でもだ、たまにはナイチチもいっかなーとか、アニキが思う時もあるかも知れないからな。」
絶対、楽しんでるよ、この状況。
「彼女さんも、うっかりしてらんないな。そりゃあ、彼女さんだって選ぶ権利はあるけど?アニキだって選ぶ権利はあんだからな?」
「・・・一体どうしたいんだよ、杏子。」
「べっつにぃー。」
手を頭の後ろで組むと、杏子はイタズラっ子のようにニヤリと笑う。
コイツ、本気でかき混ぜるだけかき混ぜるつもりなんだろうか・・・。
「たださ、風呂に一緒に入ったとか、ヤったとか、そういうんで比べてもなーって。それだったら、あたしもアニキと一緒の布団で
「「え?」」
「アニキとなら、毎晩だって構わないしぃー?」
イントネーションの語尾を上げると、チラリと二人の顔を見る。
言い方も内容も、ひっじょーに思わせぶりだ。
「イマドキ、イイコちゃんじゃいられない。欲しいなら戦わないと、欲しいモノは手に出来ないんじゃない?」
そして、次に僕を見る。
「僕に同意を求めないでよ。」
「あはは、でもアニキのそういうトコ、好きだぜ?だってアニキは、風呂で一緒とかヤったりしても、あたしが後悔してなきゃ、態度変えないだろ?」
「変える理由がない。」
仮にそういう状況になって、その後に杏子に彼氏が出来たとしても、杏子が幸せだと感じるられるならそれでいいと思う。
まぁ、そりゃ、ちょっとは寂しいけど・・・。
「確かに・・・。」
そういう杏子の恋愛に関するスタンス(?)に納得して頷いたのはさやかだった。
つい先日、失恋したさやかには何か感じる事があったんだろう、多分。
「て、コトはだ。結局、誰が彼女とかそんなのに拘ったり、勝ち誇ったりしても関係ねーな。大事なのはアニキが自分だけの為に何かをしてくれるってコトなんだし。」
そういう事にしておかないと、なんというか、僕が精神的にアレだ。
「・・・一理ある話では・・・あるわね。」
ま、まさかの先輩まで納得しかけてるってんだから、杏子スゲェ。
「じゃ、それに対して何をしてあげられるか、だ?て、コトであたしは行くよー。これ以上いたら目立つし。」
確かに痴話喧嘩を見ている、特に女子生徒の視線が痛い。
風紀委員っぽい女子の眼鏡がキュピーンと光ってる感じがする。
「じゃ、バイバイ。」
「おぃ、杏子?」
僕はこのまま杏子がいなくなってしまうような錯覚に陥って、思わず声をかけてしまう。
「あいよ。アニキ、また後でな~。」
返事はしたものの、結局言うだけ言って、ぴらぴらと手を振って去ってしまう。
けれど、何時の間にやら修羅場も去っていったらしく、学校に着くまでさやかも先輩も終始無言のままだった。
うん、これはこれで怖いや。