※この作品はR-18です。

エスペラント→キミが視る夢。   作:鵜飼 ひよこ。

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A.手は取り合えるのだから。

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 流石に途中からお姫様抱っこは恥ずかしいのでやめる事にした。

ただ、ラクチンな移動方法だと気づいたのか、杏子は僕の背にいた。

所謂、おんぶ。

 

「いやー、ラクチンだね、こいつは。」

 

 細身で小さい杏子は、何度も言うけど軽いので、特に苦にはならないから、別にいいんだけど。

 

「悪いな、アニキ。アニキが楽しめるようなムネとかなくて。」

 

 相変わらず過激な冗談だ。

 

「ハナから期待してないよ。」

 

「ひでぇ。」

 

 5歳児のように僕の背ではしゃぐ杏子は、足をジタバタさせながらけらけらと笑っている。

 

「その分、太ももでも楽しむかな。」

 

 丈の短いショートパンツを愛用している杏子は、基本的にナマ足むき出しなので、触り放題だ。

 

「アニキのエロ。そんなんじゃ彼女に嫌われんゾ?」

 

「杏子にしかしないよ。まぁ、マミ先輩にしてフラれても困るし。」

 

 女の子に対して、何が逆鱗に触れるのかなんて、僕にはいまいち解らないから。

 

「まぁ、いっか。今はあたしがアニキを独り占めだ♪」

 

 完全にご機嫌だな。

杏子相手だとこんな軽口が叩ける。

それは互いが互いによく知らなくて、踏み込もうとしていないからなんだろうか?

だから、どう言っても嫌われたらそれまでというか・・・。

 

「なー、アニキ?」

 

「んー?」

 

「アニキって夢って・・・ある?」

 

「ウメ?」

 

「夢だよ!ユ・メ・!」

 

「ムキにならないでよ、ちょっとボケただけだろ?夢、夢ねぇ・・・。」

 

 将来なりたいもの・・・そんなものが僕にあっただろうか?

今じゃなくてもいい、もっと幼い頃に願ったものとか・・・。

 

「夢はないな。夢はないけど、理想はある。なりたい自分ってヤツが。」

 

 それは夢とはちょっと違うし、あまりに漠然とし過ぎていて・・・意外と僕って不自由な生活してないのかな?甘ちゃん?

 

「それってナニ?」

 

「・・・出会った全ての人に、出会って良かったなって思われる人間になりたいな。そりゃ、世の中、好き嫌い・合う合わないってのはどうしたってあるから、全部が全部そうなれるとは限らないけど。」

 

「アニキは甘ちゃんだな。」

 

「あ、やっぱり?」

 

 まぁ、理想だ。

出来たら戦争だって起きやしない。

 

「でも・・・。」

 

 杏子がぎゅぅっと、僕の背に身体を密着させてくる。

その部分が温かい。

 

「あたしは、アニキと出会えて良かったぜ?・・・・・・多分。」

 

「多分かよ。」

 

「にししっ♪」

 

 恐らく、杏子は白い歯を見せて笑っているんだろうな。

手にとるように解る。

 

「あたしは・・・"家族"が欲しいかな。」

 

「ん?」

 

「自分の、自分だけの家族。」

 

 杏子の吐息が首筋にあたってくすぐったい。

 

「自分の家族か・・・。」

 

 わざわざ"自分の"ってつけるぐらいだから、親とかじゃなくて、伴侶とか子供って意味かな?

 

「なんにしても、壊れない、離れない家族。」

 

 別にそれだったら、血の繋がった家族じゃなくてもいいんだろうか?

精神的なコミュニティ?

あ、どのみち伴侶は基本的に血が繋がってないか。

ただ、この言葉に杏子の背景が少し垣間見えた気がした。

 

「・・・いいな、ソレ。」

 

 良い面もあれば、悪い面もあるかも知れないけど、否定だけはしないでおく。

 

「な、あのさ、アニキ?アニキさえ良かったらさ・・・・。」 「あれ?さやか?」

 

 自宅の前の通りに来た時に、杏子が何か言った気したけれど、僕は家の前にぽつんと一人でいるさやかを見かけて、思わず声を上げた。

 

 

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