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「今度は何?」
なるべく優しく声に出したつもりが、思った以上に冷たく響いてしまった。
別に責めているわけじゃない。
「あ、えと、その、ね・・・。」
さやかはチラリと僕の背の杏子に視線を移す。
「よっと。アニキ、先に入ってるわ。」
視線で空気を読んだのか、杏子は僕の背から飛び降りると、さっさと家の扉を開けて入って行ってしまった。
「それで?」
「あ・・・うん、報告しておこうと思って。」
「報告?」
後ろ手にもじもじとしているさやかに対して、僕はハテナと首を傾げた。
「うん・・・んとね、言われた通り、言いたいコト、想ってたコト、全部言ってきた。」
それは、つまり、告白をしてきたってコトなんだろう。
「そうか。」
「何かね、凄くスッキリした。」
まぁ、そりゃ、そうだろうな。
以前のさやかの状態を見れば、いいはずがない。
さやかは周りに遠慮し過ぎたんだ。
そして周りは甘え過ぎた。
さも、それが当然で空気であるかのように。
勿論。さやかにだって非がないわけじゃないけれど・・・。
「凄いな、さやかは。偉いよ。」
でもさ、空気がないと人間死んじゃうんだぞ?
「頑張ったな。」
僕はさやかの頭を撫でる。
普段だったら、手を払いのけて文句の一つでも言ってのけるだろうさやかが、されるがままに頭を撫でられてて・・・。
「うん、ありがとう。」
「いや、さやかが自分の力だけでやり遂げたんだよ。」
「そんなコトないよ。だって・・・。」
「ん?」
「思ったより、つらく・・・うぅ・・・ひぃっぐっ・・・ながっだもん゛っ・・・。」
さやかの強がりもそこまでだった。
きっと病院からここまで必死に泣くのを堪えていたのだろう目からは、ボロボロと涙がこぼれ落ちてる。
失恋というものが、どんなに苦しいか解らないけど、今までの想いや時間が全否定されたり、無駄だったと突きつけられるようなもんなんだろうな。
「馬鹿だなぁ、泣くのまで我慢しなくていいんだよ?」
僕はわざと強く、多少乱暴に思えるくらいの力で、さやかの頭をクシャクシャになるくらい撫でる。
「う゛ぇ゛ぇ゛っ、今、ばっ・・・優じくざれると・・・ダメなのーッ!」
「泣くのか怒るのか、どっちかにしてよ。」
反応に困るだろう
「アニキ!何、女の子泣かしてんだよ!」
バンッと扉が大きく音をたててはね開けられると、杏子が仁王立ちで僕を睨んできた。
「杏子な、盗み聞きしておいてそれはないでしょう・・・。」
この場合、どう考えても杏子が一番タチが悪いと思うんだけれど・・・。
「こういう時、男は力強く女を抱きしめてやるもんだろ?」
ずんずんと僕達に杏子を歩み寄ると、突然さやかに体当たりを敢行してきた。
「きゃっ。」 「うをっ。」
体当たりで押されたさやかは、勢い余って僕の身体にブツかってくるのを、僕はなんとか受け止める。
「でも、二人だけで抱き合うのはシャクだから、あたしも混ぜろ!」
よく解らない理由で、杏子はそのままさやかの背中に抱きついた。
つまり、僕、さやか、杏子の順のサンドイッチの出来上がり。
て、コトは、さやかは具の役だね。
「て、意味解んないよ、杏子。」
「さやかだったっけ?その根性は気に入った。よって存分にアニキに甘えてよし!」
益々以って意味不明。
「だから、何がしたいんだって・・・。」
「うふっ、あはははっ、。」
呆れる僕を尻目に、さやかが唐突に笑い出した。
「あはは・・・杏子ちゃんだっけ?面白い。」
「そりゃどーも。元気が少しでも戻って何よりだ。んじゃ、もっとアニキに一緒に構ってもらおうぜ。」
「うんっ、そうだね。」
さやかの失恋インパクトから一転、何が何やら・・・。
「というか、何でキミタチは急に仲良く打ち解けてんのさ?」
【必殺!幸せサンドイッチ!】・・・なんでもないです(爆死)