大体、36話までかな、はい。
33_
「しっかし、さやかは遅ぇなぁ。」
杏子が入って来てから数分も経ってはいないけど、既に杏子は飽きていた。
そういえば、普段からカラスの行水並みだったな、杏子の入浴時間は。
長い時は髪を洗う時だけだ。
ほんと、落ち着きのない・・・。
「まぁ、さやかの事だからね。アイツの性格上、今頃冷静になってきて、きっと入って来ないんじゃないかな?」
寧ろ、一糸纏わぬ姿で躊躇いもなく入ってきた杏子がおかしいんであって・・・。
「・・・となると、案外、近くにいんじゃね?」
それもまた一理ある。
「かもね。」
でも、入って来ないってんなら、それはそれで僕は困らないので構わない。
けれど、僕の発言を聞いてふぅむと考えた後に、ニヤリと笑う杏子がいた。
あ、これはまたよからぬ事を・・・。
「あ、あの杏子?」
これは何かやらかす前に、だ。
「なー、アニキ?さやかが入って入って来ないなら、ここであたしとイチャイチャしよーぜ?」
「は?」
急に大きな声を上げる杏子に、すっとんきょうな反応を返す。
でも、僕のそんな反応を杏子は気にしてもいないようだ。
「だって、さやか来ないじゃん?こんなトコで怖気づくヤツなんて、アニキもどーだっていいだろ?」
「い、いや・・・。」
ワザとだと解っていても、反論したくなってしまう。
何度も言うけど、彼女にとってはタイミングが悪い事が重なっただけで・・・。
「結局、アイツにとってのアニキなんて、その程度だったんだよ。ひょっとしたら、告白した相手に対してだってな。」
「ヲイ・・・それはいくらなんでも・・・。」
「まぁ、いいや。その分、アニキの愛情はあたしが貰う。アニキもあんなヤツにもう二度と、一生関わんなくていいじゃん?大丈夫、あたし身体頑丈だから、回数2倍になっても。」
な、な、なんの話だっつーの!
「ふざけないで!アンタなんかに勝手に決め付けられる筋合いなんてない!」
バンッと大きな音を立てて浴室の扉を開け放ったのは、全身にバスタオルを巻いたさやかだった。
「やっぱ近くで聞いてたんじゃん。」
「う゛・・・。」
「あ。」
"大成功!"と書かれた看板があったら掲げているだろう笑みで、杏子がさやかを迎える。
僕は僕で、確かに近くで聞いてたなと一人で納得していた。
「ほら、早く扉閉めて入って来いよ。今ならアニキに甘え放題だぞー。」
「僕は特価品大セールか何かか?」
ようやく自分が嵌められたと解ったさやかが、困ったような泣き笑いの表情になって僕を見る。
「い、いや、これは杏子が勝手に・・・。」
黙認に近い状態だったから、これは完全に言い訳にしかならないと解っていても主張する。
させてもらう。
「そ。でも、あたしはわざわざ進んで損してんだから?二人でアニキ半分コなんて。」
「だから、僕はお中元解体セールかっての。」
何か納得出来ない扱いだ。
そもそも最初から僕に拒否権も、選択肢も与えられていないってのはどうなんだろう?
「半分コ・・・ねぇ・・・。」
さやかは不満げに杏子を見つめる。
全裸で僕の膝の上に乗る杏子。
「ん?まぁ、どっこいどっこいだろ?アニキなら"ナイチチ"でも構わないってさー。」
「なっ?!」
「だから、そんな
これは杏子なりのテストってヤツだろうか・・・。
なんとなくそう思えてならない。
「じゃなくて、杏子、無理強いなんてするなよ。僕はさやかが嫌がる事はしたくない。」
それは勿論、杏子の嫌がる事も同じだ。
最近、主人公は突っ込んだり錯乱してばっかですね、頑張れ主人公。
・・・爆発しない程度に。