※この作品はR-18です。

エスペラント→キミが視る夢。   作:鵜飼 ひよこ。

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A.愛と根性と・・・勇気も?

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 自慢じゃないけれど、昔の僕はこんなに色々と考えるタイプじゃなかったと思う・・・うん。

日々の生活には不満もなかったし、それを無理に変えようなんて思った事もなかった。

毎日学校に通って、普通に進学、卒業して・・・。

その間に恋人が出来れば楽しいだろうなぁって、憧れのマミ先輩を眺めながら。

おんなじ風に毎日のように病院へ通うさやかを横目にまっすぐ帰宅して。

寄り道なんかもしないから、杏子になんて出会う事もない。

不可もないけれど、可もない人生。

他人にはつまらないとか、平和だとか、揶揄されるレベル。

 

「・・・の、ハズだったんだけどなぁ。」

 

 男女別の授業をそれぞれ別室で受けて、教室の自分の席につくと溜め息をついた。

女子は今は実習のはずだから、全員が帰ってきてなくて教室内も人もまばらだ。

あれから杏子ともマミ先輩とも会ってない。

これから昼休みだから、先輩に会いに行くのもいいかも知れない。

何て声をかけたらいいのか解らないのが、頭痛のタネというか・・・正直、どうしてこうなった?

 

「はい、どーぞ。」

 

「ん?」

 

 机の上、突っ伏した僕の目の前にラッピングされた包みが置かれた。

 

「何、これ?」

 

 置いたのはさやか。

さやかは僕の質問に対して、後ろ手にもじもじとしている。

 

「今日の実習で作ったクッキー。アンタにあげる。」

 

 黄色いリボンで口を結ばれた包みの中身はクッキーらしい。

・・・さやかの作った?

 

「これ・・・。」

 

「ちゃんと味見したから、食べられるよぉ。あ、味とか、形とかは愛情と根性で補って、さ。」

 

 言おうとした事を先に言われてしまった。

補うモノに勇気を追加して欲しいかも知れない。

何処ぞの勇者ロボアニメだ?それ?

 

「何という開き直り方・・・。」

 

「だって・・・どうしても食べてもらいたんだもん。」

 

 眉をハの字にして、今にも泣きそうなさやかの表情にやれやれと思いつつも・・・。

 

「ありがとう。僕こういうのもらった事ないから、嬉しいよ。」

 

「え?そうだっけ?」

 

 さやかが首を傾げる。

 

「いくら幼馴染で家が近いからって、そうしょっちゅう・・・。」

 

「誕生日とか、バレンタインデーも?」

 

「ん?・・・あれ?」

 

 誕生日?

バレンタインデー?

 

「・・・バレンタインデーは、僕よりも優先して行くトコがあったんじゃないかなぁ。」

 

 言い方が悪い気がするけど、きっとそのはずだ。

誕生日は・・・元々が気にする程の行事じゃなかったんだろう。

上条という人間の存在に比べれば。

きっとそうに違いない。

 

「・・・ごめん。」

 

 そう謝るさやかに僕は苦笑しか出来ずに、ただはっきりと首を横に振った。

 

 

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