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「で、どういう事?」
僕は両脇をさやかとマミ先輩に固められて、今屋上にいる。
当然、逃げ場なんかはない。
あったらとっくに逃走しているかも・・・。
でも、そんな事は出来なくて、それはここに来る時にきっちりと二人に腕を組まれて来た事を思えば、不可能なのは解り切っていた。
「どういう事って・・・さやかがそれを聞く?」
クラスメイトのさやかには、僕と彼女の関係なんて解ってるはず。
「僕は彼女と親しくなんてないよ?確かに席は僕の前だけど、会話らしい会話なんて今朝したアレくらいで・・・。」
というより、あんなクラスメイトなんていただろうか?
僕の前の席はずっと空席だったはずだ。
それなのにさやかは違うって言う・・・。
おかしいのは僕の方なんだろうか?
暁美ほむら・・・僕はあの時、確かに彼女の名を呼んだ。
彼女だってそれに答えたのだから、名前を間違えたとかじゃない。
でも、僕には彼女がクラスメイトという確証がないんだから、こんな馬鹿な事ってあるのだろうか?
「あ~、ないなぁ。というより、暁美さんが誰かと親しくしてるのって見た事ないカモ。」
「だろう?」
だから、一番最初の質問自体、答える意味がない。
「じゃあなんで、わざわざ親しくもない相手にクッキーなんてくれたのかしら?」
マミ先輩が呟く。
それは僕の方が教えて欲しいくらいだけれど、当の先輩自体その答えが欲しいわけではないらしい。
「さぁ?」
僕はしきりに首を傾げる二人を尻目に、僕は教室を出る時に懐に忍ばせておいた包みを取り出す。
2つある内の片方を開けて中身を口に放り込む。
「うん、さやか、これ美味しいよ。ありがとう。」
貰った時の言葉程、変ではないし普通に美味しい。
ちょっと苦味があるのは焦がしてしまったのだと思う。
それも手作り感が出ていると思えば悪くない。
「いえいえ、どーいたしまして♪」
そう言うさやかの照れてかしこまった感じもいい。
そして・・・もう1つの包み・・・。
「やっぱり杏子ちゃんの言う通りなのかしら?」
「ん?マミ先輩、杏子に何か吹き込まれたんですか?だから、鵜呑みにしないでくださいって言ってるじゃないですか。全く余計な事ばかり言うんだから。」
どうせロクでもない事なのは確かだ。
今頃、踊らされている二人を想像して笑ってるかも知れない。
僕は溜め息をつきつつ、もう1つの包みを開け・・・。
「そういえば先輩?あ、さやかでもいいや。」
「なぁに?」
「んー?」
「スミレ・・・あー、三色スミレの花言葉って解ったりする?」
彼女が自分に似ていると言った花。
自身を花に例える以上、外見の話じゃない気がする。
僕にはそう思えて、思いついけたのはそれだった。
「花言葉?」
「えぇと・・・確か・・・。」
顎に人差し指を添えて首を傾げる先輩、さやかは皆目見当もつかなさそうだから知らないようだ。
「思慮とか・・・。」
「とか?」
花言葉ってのは、1つの花に幾つかあるって事くらい僕でも知ってる。
「私を想って・・・えぇと、貴方だけが私の想いを独占している・・・だったかしら、うろ覚えだけれど。」
「ちょっと怖いね。」
軽く引き気味のさやか。
もし彼女がこの花言葉を指してそう言ったなら。
物静かに見えた彼女の内に、そういう強い想いがあるって事になる。
でも・・・。
「う~ん、解んないや。」
解んないついでに彼女に貰ったクッキーも包みを解いて口に放り込む。
そうしたって彼女の事なんか解るわけないんだけど・・・☆×△○?!
「う゛っ・・・。」
「どした?」
「こ、このクッキー・・・しょっ、しょっぱいぃっ!」
「砂糖と塩を間違える典型的なアレ、ね。」
「せ、先輩!冷静に分析しないで下さいよぉ~っ!!」