※この作品はR-18です。

エスペラント→キミが視る夢。   作:鵜飼 ひよこ。

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A.ゼロ距離ノーガードを耐えたりとかも。

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『お菓子貰えるからって、誰にでもついて言っちゃめーよ?』

 

 昼休みの間中、マミ先輩にそう注意され続けた。

一体、今現在の僕の立ち位置は・・・と、突っ込みたくなったけれど、聞くのはちょっと怖くなってヤめた。

 

「じゃ、わたし部活行くからね?道草しないで帰るんだよ?」

 

 放課後になって、さやかにまでこう言われると、ある意味打ちひしがれた気分に。

それでも僕に手を振って教室を出て行くさやかの姿を見ると、何故だか無性に嬉しくなる。

 

「頑張ってな。」

 

 毎日のように病院に通ったり、失恋のショックを受けていたさやかにはなかったモノだ。

それを喜ばずにはいられない。

幼馴染の面目躍如というヤツかも知れない。

 

「・・・お役御免、とも言うのかな。」

 

 それはそれで少し寂しい気もするけど、僕のこのカッコ悪い気持ちと、一時期のさやかのソレと比べれば、本当、比べるべくもないのは解ってる。

 

「・・・カッコ悪・・・。」

 

 まさか、こんなに自分がダサいとは思ってなかった。

今すぐにでも家に帰って不貞寝したい気分。

 

「・・・あ、暁美・・・さん?」

 

 溜め息をついて帰ろうとする僕の視界の先、下駄箱の前に彼女は佇んでいた。

いや、ただ立ってるだけなんだけど、そんな雰囲気というか、表現が彼女にはよく似合う。

 

「い、今から帰りなの?」

 

 あぁ、自分の声が上ずっているのが解る。

そこでふと、僕は思う。

僕はこの人の事が苦手なんだろうか、と。

目の前でこっくりと彼女は頷いている。

何で教室で名前呼び出来たのか解らないくらいの、この緊張感・・・。

 

「そっか。部活とか入ってないんだね?」

 

「・・・そんな暇、ないから。」

 

 どうやら、彼女は忙しい身らしい。

家の事情か、はたまた習い事か・・・まぁ、そんなとこなんだろうか。

これ以上広がりそうもない話題な気がしたので、僕も靴へと履き替えて彼女と一緒に玄関口を出る・・・て、しまったぁっ?!

これじゃ、一緒に下校するハメになってしまう!!

彼女が僕の帰る道と逆方向なのを祈りつつ、気まずい雰囲気のまま校門を目指すしかない。

 

「あー、えと・・・。」

 

 ただでさえ女性と会話する機会がほとんどなかった僕だ。

小粋なジョークどころか、話題が急に湧いて出てくるはずもない。

あ、1つだけあったな。

 

「その、クッキーありがとう。美味しかったよ。」

 

「ッ?!」

 

 その時の彼女の驚いた顔ったらなかった。

目を見開いて、瞳が零れ落ちるかと思ったくらいだ。

確かに、あのクッキーは致命的なアレがあって、その、とても個性的はあるけど。

あれ?

でも、このリアクションて・・・あれってワザとそういう味なのか?

塩キャラメルとかが流行る時代だ、アリっちゃアリ・・・というしょっぱさじゃなかったよな・・・。

ともかくだ、そういう意味で美味しいか、そうでないかの二択なら、男の僕がどっちを取るかなんて簡単な事だ。

 

「そ、そう・・・。」

 

 僕がそんな事を思っているうちに、彼女はすぐに表情を戻して俯く。

 

「うん。何で僕にくれたのか解らないけど、美味しく頂きました。」

 

 ちなみに近い味は塩煎餅の強烈なヤツ。

米か小麦かの違いで。

そしてまた、この微妙な空気と緊張と距離。

ちなみに距離は物理的・精神的の両方を含めてだ。

 

「・・・・・・食べて・・・。」

 

「ん?」

 

「食べてもらいたかったから・・・アナタに・・・。」

 

 ぽつりとそう漏らした彼女は、仄かに頬を赤く染めている。

クッキーをくれた理由も、彼女の今の反応も全く意味が解らない。

食べてもらいたかったってのは、じゃあ何でそう思ったの?という疑問を呼ぶ。

でも、こうやって見ると、彼女も普通の女の子だ。

 

「まぁ・・・うん、よく解らないけど、今度何かお返しするね?」

 

 それでも頂いて、しかも食べたんだから、お礼はしたい。

味は別として、きちんと受け取ったわけだし。

 

「そ、それなら・・・。」

 

「ん?何かリクエストある?」

 

 何かあるなら、それに越した事はない。

だって、女の子が喜ぶような物なんて解んないし。

 

「し、下の、な、な、名前で呼んで・・・。」

 

 ん?下の名前?

そういえば、朝は確かに僕、名前で呼んだよな。

 

「あ~、え~と、ほむら・・・ちゃん?」

 

 ばっ!っと先程よりも更に大きく目を見張って彼女は僕を見る。

顔は全体的にというか、首まで真っ赤だ。

茹ダコ?

 

「これでいいのかな?ほむらちゃん?」

 

「ッ?!」

 

 2度目・・・いや、今朝を入れたら3度目か。

僕がそう呼ぶと彼女は、突然走り出した。

 

「あっ・・・。」

 

 止める暇も呼びかける暇もなく、彼女は校門を出てそのまま走り去ってしまった。

・・・やっぱり僕には一生、そう一生だ、女心なんて解らないに違いない。

 

 

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