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さやかの強烈な一言。
僕、泣いてたのか?
思わず自分の顔に手を伸ばす。
でも、何処にも涙の跡なんてなくて、僕は傍らに立っていたさやかを見上げる。
「やっぱり何かあったんじゃん!どうしたの?何があったの?」
僕の態度にさやかは表情を険しくして聞いてくる。
「何も・・・何も無いって言ったろ?」
「あのね、泣いているって言ったのは、そんな風に見えたからなんだよ?それに嘘はつかないで。もう誰かにそういう事されるのは沢山。」
あ・・・。
きっとさやかにとっては黙っているっていのも嘘に近いんだろな。
そして、僕は今、さやかをこんな悲しそうな表情をさせてしまっている。
「何も・・・うん、本当に何もないんだよ。」
僕は慎重に言葉を選びながら、彼女に微笑む。
「あるとすれば・・・。」
僕の心が狭量で卑屈になっただけ。
なんていうの?
アンニュイ?メランコリック?
良く解らないけど。
「さやか、今日笑顔だったなって。」
「わたしが?」
それと何が関係があるの?と彼女は首を傾げてる。
「本当、他愛ない事なんた。ただ、ひと、さやかが元気になったって事は、励ましたかった、力になりたかった幼馴染の僕はお役御免なのかなぁって・・・。」
「そんなこと!」
「杏子だって、アニキアニキって寄って来る事もなくなってくるだろうし、マミ先輩だって来年には新生活が待ってるだろうし・・・。」
あぁ、僕だけが何も変わらず、置いて行かれる気がしたからなんだ・・・。
「なぁ~んて、カッコ悪い事を考えっ・・・んぶっ?!」
もう一度さやかに笑いかけようとした瞬間、さやかが僕に体当たりするくらいの勢いで抱きついてくると、僕の唇を自分の唇で塞ぐ。
何が何だかワケが解らなくて目を白黒させている僕を尻目に、ゆっくりと唇をこじ開けて彼女の舌が・・・。
「んちゅっ、むっ、んんっ・・・っぁ。」
舌が僕の舌に絡まってすぐに引き離される。
離れてゆく唇と唇の間につつっと互いの唾液が混ざったモノが橋をかける。
「さ、さやか?」
さやかはこんな事をしでかしても、顔を赤らめる事もせず僕を見ている。
何時ものさやかと比べたら、何から何までありえない光景だ。
一種の異様さすら感じる。
「ねぇ?えっちしよっか。」
異様だ。
さやかの口から一番出てくる可能性が低い言葉。
それが僕の胸に突き刺さる。
「わたしはアンタの傍にいる。ずっといる。他の人がどうか知らないけど、わたしはそのつもり。」
完全に開き直ったのかさやかの目は本気だ。
本気でそう思ってる。
「幼馴染がお役御免で、その距離じゃ足りないなら、信じられないなら、わたしをアゲル。わたしがアンタのモノになってアゲル。」
そう、さやかは何時だって一生懸命で、元気一杯で、優しくて・・・一途で・・・。
だから、僕は彼女の幼馴染でいたいと思ったんだ。
「ありがとう、さやか・・・。」
その気持ちだけで充分だよと続けようとしたら、再び口を塞がれた。
「ダメ。これからアンタはわたしの"初めての人"になるの。」
それは幼馴染よりランクが上なのか?
いや、上なんだろう。
さやかがそう思ってるんだから、そうなんだろうなぁ。
「だから、優しくしてよ?痛いだけじゃヤだかんね。そ、その・・・一生忘れらんないモノに・・・して?」