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「やぁ~っと来ましたか、サボリ魔さん?」
用事と杏子との会話で、午後からの完全重役出勤になった僕を出迎えたマミ先輩の開口一番はソレだった。
昼休みの裏庭。
ちなみにさやかにも全く同じ様な事を言われた。
木陰に腰を下ろして、昼食の菓子パンを開ける。
杏子が食べていたのを見ていたら、何だか僕も食べたくなったから。
とりあえず、メロンパンと男の必須(?)のカレーパン、そして昼食の王者やきそばパンだ。
次点はコロッケパンだと思う。
「はい、サボリ魔です。」
反論はない。
「どうして遅刻したのかしら?」
片目を瞑って、考え事をするのが実は先輩の癖なのかも知れないと発見したのは、つい最近だったな。
人と付き合うって、こういう事の積み重ねなんだろうな、きっと。
「・・・人生について考える旅に出てました。」
「だとしたら、随分お早いお帰りね。それで、何か考えついて?」
先輩の口調には問い詰める様子も、怒っている様子もない。
ただの言葉遊び、会話を楽しんでいるだけ。
「マミ先輩の彼氏は、僕じゃなきゃいけないんでしょうか?」
こんな事を聞くなんて、少し杏子に毒されたかな。
「・・・イジワル。じゃあ、アナタの彼女は私じゃなきゃいけないのかしら?」
ありゃ、そう返ってきたか。
「そこで考えないで欲しいなー。」
マミ先輩が僕の太ももをつねる。
う~ん、地味に痛い。
「前はどうか知らないけれど、今はアナタ以外考えられないわ。」
「・・・そうですか。」
「あれから、色々とお話もしたけれど、アナタは何とかやれてる。杏子ちゃんもさやかちゃんも、アナタがいたから自暴自棄にならずに、路頭にも迷わずにいられた。それは私も同じ。」
「僕、そんな役に立ってますかね?」
寧ろ、周りを傷つけてというか、振り回してばっかりのような・・・。
「だからよ。だからみんなアナタに甘えていられるの。甘やかし過ぎなくらい。」
あー、うん、なんか、なんとなく解るような、解らないような・・・。
「だからもっと私にアナタを教えて?私に甘えて?もっと口に出してみて、何でも言って?」
マミ先輩が僕を見つめる。
「何でも、ですか?」
「なんっでもよ。」
ヤケに力の籠もったアクセントだった。
「そういうのを一番多く言ったり、聞いたりするのが恋人の特権じゃない?」
恋人だから言える。
それが他と一線を画した特別な存在。
そう考えると、さやかや杏子に対する僕の態度は甘いのかも知れない。
「何でもかぁ・・・だったら、マミ先輩?」
「なぁに?」
恋人同士だから言えるような事ってなんだろう・・・そう考えてもすぐに思い浮かぶような事がない。
「えと、マミ先輩とえっちがしたいデス。」
これでどうだっ!
って、何だソレ。
激しく微妙だぞ、自分。
ちょっぴり言って後悔。
「えぇ、いいわよ♪」
「へ?」
い、い、今何と?
「でも、ここじゃ"沢山"出来ないから、放課後に、ね?」
そう言うとマミ先輩は僕の頬にキスをする。
というか、"沢山"って、一体何回戦を想定しているんでしょうか?マミ先輩?
「今はこれだけで我慢してね♥」
ただ言えるのは、僕の発言はそう不正解でもなかったって事だろうか?
その証拠にマミ先輩は頬を赤らめながら、僕に微笑んでいた。