※この作品はR-18です。

エスペラント→キミが視る夢。   作:鵜飼 ひよこ。

75 / 79
朝が来たなら日常が始まる。

「おはよう、さやか。」

 

 家を出てすぐ、息を弾ませたさやかが現れる。

 

「おはよっ。」

 

「走って来たの?大丈夫?」

 

 僕は鞄からハンカチを出して、(言っておくけど、きちんと洗濯してある)彼女の額に流れる汗を拭う。

・・・ん?普通、逆だよな、これって。

 

「あ、あり、ありがとう。ハンカチ洗って返すからっ。」

 

「いいよ、別に。」

 

 いちいち受け渡しするのも面倒だ。

 

「そう?」

 

「そういうもんだよ。しかし、走って来るなんて何かあったの?」

 

「ううん、別に。ただ・・・。」

 

「ただ?」

 

「何か身体が軽いんだよね♪」

 

 Vサインを僕に見せつけながら笑うさやか。

まぁ、絶好調なようでいい事だけれど、だからって普通、朝の通学から走るだろうか?

 

「シタ後は身体中痛かったんだけど、一晩寝たら何かスッキリしててね。それからスッゴク爽快なの。」

 

 小声でそう告げるさやか。

単純にストレス解消になるんだろうか、アレって・・・。

でも、解る事があって、"今までの事を認識した状態"だ。

一時はどうなる事かと思っていたけれど・・・。

それに関して僕のデメリットというか、困った点は、皆にしっかりとした責任の取れる身の振り方が出来ていないという事だ。

問題を更にややこしくしてるのが、現状、誰もその答えを求めていないんだよ・・・。

 

「あ、でも困った事が・・。」

 

「あるんだよなぁ・・・て、え?」

 

 僕の脳みその考えと、さやかの言葉がシンクロしたところで、はたと気づく。

何やらさやかが赤面している事に。

 

「あのね・・・そ、その、と、とと、トイレに行くとね、妙にドキドキしちゃうの。お、思い出して・・・。」

 

「は・・・?」

 

 さっきより更に小さな声で囁かれた言葉に、すっとんきょうな声を上げる。

そ、そりゃあ、あれは僕にもインパクト大だったけど。

 

「さ、さやか?」

 

 さ、さやかに、へ、変な属性がついたっ?!

 

「ま、またしても、いっかなぁ・・・なんて?」

 

 冗談ですよね?ソレ。

 

「なぁんてネ♪」

 

「デスヨネー。」

 

 あぁ、焦ったぁ・・・。

 

「うぅ・・・やっぱり変態さんだと思ってるぅ。」

 

 今度は涙目だ。

忙しいヤツだな、全く。

 

「わ、解ったから!泣くな!」

 

 お父さん、お母さん、僕は大人の階段を上る途中で踏み抜いてしまいました。

先立つ変態をお赦しください。

ダメだ、僕、今、混乱してる。

 

「それって、あたしとまた"シテ"くれるってコトだよね?」

 

 あ゛・・・・・・。

 

「そういう事になる・・・のか?」

 

 うあぁぁぁ、僕のバカぁ!

 

「ん♥じゃ、今度こそ、後ろで、ネ♥」

 

 何故、ソレに拘る?

余程、興味があるんだろうか?

 

「オマエ等、何朝から盛ってんだよ。」

 

 僕達の背後からの突っ込み。

こんな突込みを朝から出来る知り合いは杏子しかいない。

 

「べ、別に僕は何・・・も?杏子・・・だよね?」

 

「は?何言ってんだよ、アニキ、ボケるにはまだ早いって・・・。」

 

「いや、だって、ソレ・・・。」

 

 白のニーストッキングに紐リボンの通った白いシャツ、そして赤のワンピース型の制服の・・・杏子?

 

「わあぁっ、ソレって隣町のお嬢様学校、"白女"の制服だよね?かっわいいなぁっ!」

 

 今まで見た事のない制服に身を包んだ杏子の姿に、奇声を上げるさやか。

有名な学校なんだろうか?

正直、男の僕は制服で学校をどうのこうのと判別していないから解らない。

そんなことより・・・。

 

「お、お嬢様学校?杏子が、お嬢様ァ?」

 

 大事な事なので、力を込めて2回言わせてもらった。

 

「うっさいっ!どーせ似合わないよ!」

 

「いや、似合ってるよ?」

 

 杏子に似合わない服といえば、レースのフリフリ、ピンクハウス系・・・も似合うか?

逆路線でearthとか?

 

「僕はただ杏子がお嬢様ってのに驚いただけで、制服が似合っていないなんて一言も言ってないよ。」

 

 僕の言葉に対して、ぽかんと口を開けている杏子の反応を見ると、自分で似合っていないと思っていたことが解る。

 

「べっ、別にあたしはお嬢様ってんじゃないからなっ!ただ・・・何か遠い親戚の叔父さんっての?ソイツが後見人ってヤツになってやるから、学校へ行けって・・・そしたら、こんな・・・。」

 

 かくして愛らしいお嬢様な杏子が完成したと、成程。

 

「良かったじゃないか、居場所が出来て。」

 

 これで学校で友人でも出来れば、杏子の世界だって広がるだろう。

ちょっと寂しい気がするのは、僕の完全なるエゴだな。

そんなものは不燃ごみにでも出してしまおう。

 

「・・・もうまどかアニキのトコ行っちゃダメか?」

 

「?」

 

 スカートの裾を両手で握ってシュンとしている杏子に、僕は思い違いをしていた事に気づいた。

全く、こういう時だけ弱気になるんだから。

 

「好きにしたらいいよ。あ、でも、学校へはちゃんと行くコト。」

 

 "居場所が2つ以上"あっても何の問題もないじゃないか。

 

「そっか・・・まぁ、アソコ、居心地いいからな、アニキの部屋はあたしの家みたいなもんだ。」

 

「・・・占拠はするなよ?」

 

 それは確実に領土侵犯だ。

僕は断固、占有権を主張させてもらう!

 

「ん?杏子の"見せたいモノ"って、それだったの?」

 

 相談、ではなかっただろうか?

僕の問いに返事はなく、顔を赤らめる。

 

「最初にまどかアニキに見せたかったんだよっ!あ、さやか、後でコレ着てみるか?」

 

「いいのっ?!」

 

「別に減るもんじゃねーし、ワンピだけなら着られるだろ?」

 

 なんだかんだ言って、さやかと杏子の二人は仲良くなったよなぁ。

案外、性別というモノを除いて考えてみても、僕より仲が良いんじゃないだろうか?

まぁ、良い事なんだから、特に問題はないけどね。

 

 

 

 




earthのマミさんトート可愛くて買おうか悩んでます。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。