※この作品はR-18です。

エスペラント→キミが視る夢。   作:鵜飼 ひよこ。

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日常があるなら生きてゆかねばならない。

「それでな、アニキ。相談なんだけどサ。」

 

 こっちが本題とばかりに・・・まぁ、本題なんだろうけれど、杏子は僕の腕を取って組むと僕を見上げる。

 

「相談?」

 

 僕が何かを言う前に、さやかが聞き返す。

何故だか、杏子とは反対の僕の腕を取って。

 

「あぁ、前に相談に乗って欲しいって頼まれてたんだ。でも、さやかの前でいいの?」

 

 相談というものは大抵プライベートな事なので、さやかに聞かれると困る事がないだろうかという確認。

 

「別に構わねーよ?」

 

 ぐぃっと僕の腕が引き寄せられて、杏子と僕との隙間が埋まる。

・・・歩きづらい。

 

「む。で、どんなの相談って?」

 

 同じ様に反対側からの力と、ゼロ距離のさやか。

・・・だから、歩きづらい・・・何だコレ?

 

「相談つか、とにかく会ってもらいたいヤツがいんだよ。話はそれからで・・・。」

 

「会う?」

 

 何時、何処でだ?

難しい話じゃないといいけど。

 

「会うって・・・まさか、例の叔父さんとか・・・御両親?!」

 

「えぇっ?!」

 

 さやかが不吉な事を言うから、どっと冷や汗が・・・会ってどうしろと?何と言えと?

娘さんとお付き合いしてます?あ、でも僕には彼女が別にいるんで・・・はっきり言って死ぬな、死んで償うしか・・・。

 

「違う違う。親とか、そんなのに挨拶なんてのは"もっと後で"いいんだよ。」

 

「そこは否定はしないんだ・・・じゃ、わたしの親とも・・・。」

 

「さやかの両親には普通に会ってるだろ、僕。」

 

 ちなみに以前の事件以降は会っていないけど、会う度に彼女のお母さんからは、『ウチの子をよろしくお願いします。』と言われる。

何を、どう、よろしくと?

 

「あ、そか。」

 

 このド天然少女めっ。

 

「話を戻すぞ?ソイツにはもう話がつけてあってさ、この先の公園で待ってんだ。」

 

 なんですとぉ?!

 

「ず、随分と急だね、構わないけどさ。」

 

 公園までは100mもない。

心の準備をする時間もないのか・・・。

 

「ったく、アイツ・・・大人しくしてろって言ったのに・・・。おーい!こっちだ!」

 

 杏子が手を振って声を張り上げる。

公園の入り口にいた人影がこっちに手を振り返して、走ってきて・・・・・・あ、コケた。

 

「あーもーっ!」

 

 盛大に転んだ人物を見て、杏子はぺしっと自分の額を叩く。

 

「ねぇ、顔面からいったよ?大丈夫かな?」

 

 余りの盛大なコケっぷりにさやかまでが顔を顰める。

あれ程ではないけど、さやか、君もドジっ子ではいい勝負だと思うよ。

しかし、さやかの心配をよそに、その人物は再び猛然と駆け寄って来た。

小さい。

杏子よりも小さくて、幼い・・・幼女?

 

「紹介するよ、コイツは"ゆま"だ。」

 

「ちっ、千歳 ゆまですっ。」

 

 緑の髪を左右で2つに束ねたセミロングの髪に蒼い瞳の少女。

どう考えても年下だろう。

それにしてもおっきな目をしてる。

 

「おはよう。僕は鹿目 まどかって言うんだ。」

 

「まどか・・・?」

 

 何やら首を傾げているのは何故だろう?

ゆまは僕の顔をじぃっと眺めている。

 

「初めまして、あたしは美樹 さやかよ。」

 

 と、思ったのも束の間、ゆまは杏子の後ろに隠れてしまった。

う~ん、小さい杏子の後ろに隠れられるってんだから、小さいんだな、このコ。

 

「うぉっ、大丈夫だって。こっちはあたしのアニキだからさ。」

 

 何の躊躇もなくアニキと断言する杏子。

それもどうなのかと思う。

 

「ゆまのアネキのあたしのアニキだから、まぁ、つまりだ、ゆまのおっきなアニキだな。」

 

「全然違うだろ。」

 

 そんな芋づる式に妹が増えるわけないだろ。

僕は、何時か妹が12人いるとか言われるのか?

 

「まぁまぁ、アニキに見てもらいたいのはコレなんだ。ゆま、ちょっといーか?」

 

 そう言うと、後ろに隠れていた彼女を引っ張り出して、彼女の前髪をかき上げる。

 

「ひっ?!」

 

 さやかが短い悲鳴を上げた。

それも無理ない・・・彼女の額に肉の盛り上がった、小さな丸い・・・火傷の跡。

 

「これは酷い・・・。」

 

 もしかして、これと同じ傷が全身にあったり・・・するのか?

 

「これって・・・このコの、その、親が?」

 

 まさかそんなと驚きの表情するさやかに対して、杏子は静かに頷く。

中にはいるんだろうな、そういう親ってのが・・・たまたま僕達が今までの人生で出会わなかっただけで。

でも、出会っちゃったからな・・・うん。

 

「ゆまちゃん?」

 

 僕はその場にしゃがみ込んで、彼女の目線になるべく近づけた。

 

「よく我慢したね。でも、もう我慢しなくていい。僕が何とかするから。」

 

「アニキ・・・。」

 

 でも、それがどういう事になるのかだけは教えなきゃいけない。

恐らく彼女からしたら、僕等も随分と"おっきなアニキ、アネキ"なんだろうから・・・。

 

 

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