※この作品はR-18です。

ばいしゅん・ざ・ろっく!!   作:清姫

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 どうも久しぶりです。
 モチベが上がらずサボっていたら、感想を貰い嬉しさ余りに爆速で書き上げる事が出来た作者です。
 毎日毎日暑くてもう死にそうな今日この頃皆さまは如何お過ごしでしょうか?
 次回はあの酒カスと並ぶあの青髪の女の子の話にしようと思ってますので、どうかそれまでは健康でありますよう。
 
 それではどうぞ。

 誤字脱字はご愛敬。


#14 迷い犬と雨のビート

 次の日の朝。

 兄としての尊厳を守り抜いた後、なんやかんやで三人でコントローラー片手に二次会を楽しんでしまった。

 

「ケホッケホッ」

 

「どうした? 風邪か~」

 

 朝食を並べ終えた後、未だ居座る喉の違和感に首を摩りながら、きくりの屈託のない顔に訝し気な眼差しを向ける。

 

「へ? 何で私睨まれてんの?」

 

「何でもないです」

 

「え~何にもないならそんな顔しないでしょ~」

 

 忘れたフリ?

 それとも本気で忘れたのか? ......この人ならあり得る。

 

「今日は早起き(・・・)なんですね」

 

 自分では珍しく嫌味を言いながら、フンっと鼻をならしつつ遊里を起こしに部屋に向かう。

 

「無視すんなよ~。ね~ね~ね~」

 

「もう、朝から鬱陶しい。離れてくだ――ひぁ! ちょっとどこ触ってッ!」

 

 横を通り過ぎた瞬間、きくりが後ろから抱き着いてきた。

 しかもそれだけに留まらず、昨日あれだけしでかして自分でもナイーブになっていたにも関わらず僕の股間に手を回して来たのだ。

 

「どこってどこだろうね?」

 

 顔をそっぽ向きしらばっくれるきくりに青筋を立てながら引き剥がそうとするが、中々離れない。

 

「発情したサルですか!?」

 

「人の事サルなんてひどいな」

 

「あー! もうほんと邪魔なんで離れて下さい」

 

「いいじゃん一回だけ。ゆーちゃん起きてくるまでだから、ね?」

 

 一回だけ。

 きくりがこの家に来てから幾度となく耳にしたその言葉は、これまでの間に信用するに値しない言葉(ワード)として頭の中に記録されており、今の僕には通用しない。

 ......昨日は通用してしまったけど。

 

 未だ「一回だけ、一回だけ」と秋波を送る発情きくり。

 手は股間を愛撫しながら、くねくねと上へと上昇し、ズボンと肌の間にするりと潜り込む。

 入ってッ!

 察知した僕は両手を股間部分に押し当て、服の中でモゾモゾ動く蛇の侵入を阻止しながら後ろに顔を向け睨みつけた。

 

「ッ! 次したらおじさんに言いつけるって言いましたよね?」

 

「え!? そんな事いってなかったよ!」

 

 初めて聞いたかのような狼狽え、手を止める。

 

「言いましたよ! 昨日! 目の前で!」

 

 拘束が緩んだ隙に抜け出し、きくりと対峙。

 

「い、言ってないよ! 昨日あれだけ喜んでたのに何で!?」

 

「人の首絞めておいて何言ってるんですか。僕やめてって何度もいいましたよね?」

 

「......んーそうだっけ? 私が明日香君の誘いにのってー、一発シテから「もう一回」って言って二回戦が始まってー。......でも良かったら二回目もさせてくれたんだよね?」

 

 あ、やっぱり忘れてる。

 

「何都合よく忘れてるんですか。次やったら警察に通報しておじさんに言いつけて家を追い出すってちゃんと言いましたよ」

 

 そう言うと「んーそうだったっけな」っと小首をかしげながらボサボサの髪を掻くと少し間が開き。

 

「......え? もしかして本気で嫌だったの?」

 

 と一言。

 

「だからさっきからそう言ってるでしょうが」

 

 子供の遊里より手のかかるなこの人。

 おじさんからお金を貰ってなかったら直ぐにこの家から追い出してた。

 

 「そんなぁ~」と情けない声でへこたれたダメ人間を侮蔑の表情で見下ろしていると、不意に携帯が震える。

 着信アリのメッセージと共にPAさんの名前が。

 急激に温度が下がった気がした。

 しかし、受話器を取らぬわけにもいかず。

 

「......はい」

 

 苦虫を潰したかのような面持ちでボタンを押した。

 

『もしもし明日香君?』

 

 スピーカーの向こうから聞き馴染んだ声。

 朝から聞くことのない声である為、新鮮さを感じるが今はそんな事を思っている暇はない。

 

「そうですけど」

 

『今日は空いてますよね?』

 

「いえ、今日はバイ......」

 

 今日の予定を聞くと言うよりも、空いているよな? と脅しに聞こえるような問いかけだ。

 そんな強引な言動に、僕も最初良い淀み何とか回避する方法を模索するが、直ぐに彼女の手の中にある物を思い出すと「はい」と言った。

 

 会話と会話の間が妙に長く感じる。

 

『じゃあ、直ぐに家に来てください』

 

「......」

 

『いいですね?』

 

「......はい」

 

『それじゃあ、また後で。――逃げないで下さいね?』

 

 そこで、通話が途切れる。

 

「誰だったの?」

 

 振り返ると、そこには何時もは見せない瞳を僕に向けるきくりが。

 その吸い込まれそうな瞳に、一瞬本当のことを言いかけたが、直ぐに口を噤み取り繕う。

 

「友達です。今日は遊ぼうって」 

 

「ふぅーん」

 

 座ったままで納得いっていない猜疑心丸出しの声で僕を見つめる。

 

「僕これから友達の所に行ってきますから、すみませんけど遊里起こしておいてくれますか?」

 

「朝ごはんくらい食べていったら?」

 

「いいえ、直ぐにいかないとダメなんで」

 

「そう、なんだ」

 

 この人のこういう所が苦手だ。

 何時もは飄々としているくせに、何処か要点を押さえているような雰囲気がどうしようもなく僕を不安にさせる。

 

 未だ要領を得ずと言った感じのきくりから逃げるように素早く身支度を整え、遊里の部屋を横切る途中ドアノブに手を伸ばすがそれもグッと抑え、家を後にした。

 

 

 

 

 

 僕の家とPAさんのマンションはそれ程離れていない。

 交通機関に頼らず徒歩でも十分行ける距離だ。

 だけど、今は離れていて欲しかったと思う。

 せめて電車を使えるくらいの距離であったのなら、心の整理をする時間は確保できたかもしれないからだ。

 

「......」

 

 自動ドアを通り、端末の前に立つとテンキーに指を伸ばしゆっくりと慎重に番号を打ち込む。そして、最後に呼び出しボタンを押すと。

 

「はい」

 

「僕です」

 

「は~い」

 

 いつになく上機嫌なPAさんの声と共に、部屋に続く自動ドアが開く。   

 そこをくぐり、僕は中へと入って行くのだった。

 

「会いたかったですよ」

 

「......」

 

 扉を開くと玄関には既にPAさんが立っており、その顔はどこか赤身を帯びていた。

 前の僕なら良く分からずそのまま、中に入って行ってただろう。だが、今の僕なら彼女の顔が指し示すモノがなんなのか、その思い内も全て分かった。

 

 身体が重くなり、動きが鈍くなる。

 一瞬重心を後ろに移動したのを分かったのか、PAさんは手を握り強引に中に招き入れると、扉を閉めそこに身体を押し付けた。

 背の高いPAさんに見下ろされる形で両手を扉に押し付けられ拘束される。

 

「今朝の電話。もしかして逃げようとしてませんでした?」

 

「ッ。そんな事はないです」

 

「そうですか――なら出来ますよね?」

 

 口蓋を覗かせ、そこからピアスの付いた舌が覗かせる。

 人より長いそれは、瑞々しく汚れ一つないピンク色で前回同様口内に侵入――せずにそのままの状態で静止する。

 彼女が何をして欲しいのかはこれまでの経験で予測は付く。

 

「......あむ。ちゅ」

 

 つま先立ちになると、PAさんの舌を自身の口内に招き入れ、フェラの要領で顔を前後にストロークさせ吸い付いた。

 

「れろ、知らない間にこんなにエッチになって......一体誰に教えて貰ったんですか?」

 

「ん、じゅる、そんらこと......ん、言えません」

 

 玄関で行われる淫行は外まで聞こえる程激しい。

 何時もなら、憚る理性を持ち合わせている僕も頭全体ピンク色に染まり上がってしまい、思う為の余白は消え去ってしまっていた。

 

「ちゅ......言わなくていいですよ。今日で身体全部私のシルシ(・・・)を刻みますから」

 

「ッ! ぷはッ! そ、その前に約束して下さい......。これが終わったらあの写真消すって」

 

 一瞬、何のことか分からない素振りを見せ、「あぁ」と言葉を漏らしながら僕の手を引き中へ進む。

 

「分かってます」

 

 表面では冷静を取り繕っているが、どうやら辛抱堪らないようで靴を脱ぎ終わっていないにも関わらずそのまま強引にベッドのある寝室に引き込もうとする。 

 何とか玄関で靴を脱ぎ捨て、歩調を合わせる事に成功するが。

 

「P、PAさん! ちょ、て、手痛いです!」

 

「......」

 

 何時もとは違う雰囲気。

 落ち着かせるように彼女に言葉を投げるが、声が帰って来たのはベッドの上。

 

「PA――きゃ」

 

 シーツに沈み、思うように動かない身体で迫るPAさんの身体を押しながら名前を呼ぼうとするが、両手首を掴まれ、妖艶な顔がゆっくりと迫って来る。

 

「店長のチョーカー着けてきて。スンスン......知らない女の匂いさせて。人の心を高ぶらせる才能あるんじゃないですか?」

 

 彼女の生暖かい吐息が顔に降りかかり、身動ぎ逃れようにも両手を拘束され、腰に跨れているから身体も動かせない。

 そうこうしている内に、気が付くとPAさんの表情は消え失せており、両手を頭の上に左手で拘束し残った右手で僕の顎を摘まみ耳を上に向けさせると、そこに舌を差し込み舐め啜る。

 

 ジュルルルッ!!

 

「ッ!?!? にゃ゛! くっ! ああ!!」

 

 的確な動きで弱点を突かれ、喘声が飛び出す。

 顔が動かせないッ......身体も手も......。

 耳から送られて来る気持ち良さが体内で跳ね返りながら暴れ回り、吐き出し口を探している。

 しかし、身体を動かせず首も振れない状況では解消する術はなく、段々高ぶりが増していき抵抗する力を削がれていく。

 

「ん、あん! もうやめて! うっ」

 

「ジュルルーーペロッ......店長にはチョーカー、知らない女には匂い......私だけ何もないのは不公平じゃないですか?」

 

「ふぇ?」

 

 今度は首を上に向かせ、喉元に吸い付く。

 顔を離すと、そこには桜色の蕾が肌に咲いていた。 

 自身が開かせたそれを眺めながら続けて言う。

 

「幾らこうやって刻んでも、明後日には消えてなくなる。......私も明日香君にシルシを残したいんですよ」

 

 そして、耳元に顔を近づけそっと呟いた。

 

 ――ピアス開けませんか?

 

 反射的に身体が動き、同時に拘束する力も強くなる。

 ピアスはチョーカーと違って跡が残る。それが両親から貰った贈り物に傷をつけるようで、無意識に拒否反応が出てしまった。 

 そうでなくても、痕跡が残ってしまうピアスは学校の先生に目を付けられる可能性がある。

 避けなければならない事態だ。

 でも。

 

「そ、それは」

 

 良い淀む僕が不満だったのか、再びアゴを摘まみ耳を吸う。

 

「ジュル、れろ」

 

「ンンンンンッ!!」

 

「――開けませんか?」

 

 真上から見下ろすPAさん。

 青いインナーカラーがはらりと僕の目を塞ぎ、視界を奪う、

 それが余計不安を加速させるのだ。

 拒否とも肯定とも取れないどっちつかずな態度を見て、再び顎に手を添え耳に顔を近づけた。

 

 それを、何度も、何度も行うのだ。

 

 耳がふやけ、思考が曖昧になる中作戦を変えるPAさん。

 

「ふぅ......ダメみたいですね」

 

 立ち上がると、服を脱ぎ捨て下着を脱ぐと、それらを僕の顔にのせる。

 鼻腔隅々まで、PAさんの匂いで満たされているなか、身体の上に跨る気配。

 そして、それから直ぐに肉棒を包み込む温かさ。

 つい昨日体験した、悦楽の稲妻が脳内を駆け巡る。それが指し示す事実は一つ。

コンドームを付けていない。

 

「ッ! PAさ――むぐっ!」

 

 それはダメだ。

 身体を捩り、拘束から逃げ出そうと口を開いた瞬間、待ってましたと言わんばかりに被せられた衣服を口に捻じ込まれ声を防がれる。

 

「ん! 店長とした時は気持ち良かったですか!? あぁ! 知らない人とはどうでした!? んんッ! いつの間にか明日香君は尻軽になってしまいましたね」

 

「んんーッ!! んー!」

 

「あん! そんな動いたらイッちゃいます」

 

 口が塞がれて声が!

 それに、もうイキ......。

 

 快楽の上昇により、ストロークする毎に水音が大きくなっていく。

 押さえられない高ぶりが今まさに外へと出るその時。

 

「?」

 

「ふふ。イかせませんよ簡単には。まだ返事も貰ってませんし」

 

 燃えるように熱い腰がダメだと分かっているのに、上下に揺らす。

 が、根本まで入れた状態で腰を落としている為、びくとも動かず、行き場の失った高ぶりは奥へ奥へとなりを潜めた。

 

 依然、視界が防がれた状態でPAさんの言葉に耳を傾ける。

 

「ピアス開けませんか? ね? 私にも貴方にシルシを残したいんです」

 

 僕の口元を塞いでいた手を離し、そう言う。

 

「はぁはぁ......ゴムして」

 

「残念です。それは私が求めていた言葉じゃありません」

 

「あ! ちょ――んーー!!」

 

 再び口を塞がれ、今度は耳元からそっと声が聞こえる。

 

「今回は排卵誘発剤を飲みましたから、前みたいな冗談ではすみませんからね?」

 

 ハイラン? ユウハツ?

 

 意味が分からず、困惑していると追い打ちを欠けるように、興奮気味に少し上擦った声で言い放った。

 

 ――中に出せば妊娠するって事ですよ?

 

 唐突に再開される行為。

 前にもまして激しく腰を打ちつける事により生じる気持ち良さは、ゴムなしや先ほどとは比ではなく気をしっかり持っていないと出してしまいそうになる。 

 それはダメ! 出してしまえば本当に終わりだ。PAさんの声は真意が分かりづらい。今回も前と同じく冗談だと良いが、そうでないかもしれない。

 だから、中に出す事は......。

 心に反して身体は中に出す事を求めているようで、仕切りに脳内へ刺激を送り出すように促してくる。

 

「んー!! んんっ!!」

 

 もう我慢が!

 

 目を窄ませ、諦めから来た涙を流れたその時、また動きが止まる。

 そして、目隠しが取り払われると目の前には頬を上気させたPAさんが肩を揺らしながら息をしていた。

 

「どうです? 考えは変わりましたか?」

 

 やっと分かった。

 PAさんは首を縦に振るまでこうするつもりだ。

 逆立つ肌。

 この一連の流れ、後どれだけ耐えられるか予想もつかない。 

 次、挿入した瞬間出してしまうかもしれないし、逆に耐えられたとしても永遠続くかと思うと、それは最早拷問に等しい。

 気弱な自分が正気で居られるかどうか......それならいっそ。

 

 そう思っている間に時間切れとなり、再び黒い何かが顔を覆うと迫ってきた。

 

「もうイヤだっ ヤーーんッ!」

 

「もう一度......ね?」

 

 また始まる。 

 そして、また暫く耐えると目隠しが外され、彼女の顔が見える。

 

 それが何度も、何度も......。

 

 着々と蓄積されていた「出したい」と言う欲望が夢と現の境が曖昧にしていき、ついには――

 

「しましゅ。だから、はやくぅ」

 

 自分から懇願していた。

 その時のPAさんの顔は今まで見たことが無い程笑顔で、蠱惑的で、そして綺麗だった。

 

「あーん。じゅるる」

 

「ん!」

 

 どこからか取り出したコンドームを口にくわえ、そのまま破裂しそうな剛直の根本までくわえ込む。

 喉の奥まで受け入れ、ずるりと口を離すと、今度は同じように......いいや、前とは違い全体重をのせ自身の蜜壺に僕のそれを受け入れた。

 

 バシュン!

 

 聞いた事のない音が鼓膜を震わせ、それと同時に息が出来ない程の気持ち良さが溢れてくる。

 喉がつまり声が出せない。

 膨らむ快楽で頭がいたい。

 

「うふふ......私のモノ! 私のシルシ!! あはは!」

 

「あ゛! お゛! お゛ッ!!」

 

 声なく声を上げながら、目隠しを取り払われた僕の顔がPAさんに露になる。

 気持ち良いとしか思う事が出来ず、PAさんの言う通り舌で彼女の舌を口内へ招き入れ、望むままに「PAさん好き」と囁く。

 頭の足の先まで、気持ち良いで満たされた時。彼女もまた、快楽の波が訪れようとしていた。

 

「明日香君イきますよ! 明日香君! 明日香! 明日香! ――ッ!!」

 

「――ッ!!!」

 

 一瞬、詰まったのではないかと思う程快感が溢れ出した。

 跳ね上がる身体はPAさんに抑えつけられ、イっている間は絶えず唾液を啜られ、流し込まれた。

 壊れた蛇口の如く、終わりが見えない刺激がしばらく続くと僕の視界はプツリと途切れた。 

 

 

 

 

 

「......」

 

 次に、目が覚めたのは昼過ぎだった。

 それも、PAさんの膝の上で、だ。

 頭に感じる確かな手の感触に導かれ、目を開く。

 

「起きましたか?」

 

「......はい」

 

 人とは面白いもので、楽しい時や気持ち良い時はどんな事でもするのに、それが終わると途端に前回の自分を思い出し死にたくなるようで。

 

「......じにだい!」

 

「あらあら.....」

 

 僕も例外ではなかったようだ。

 

 泣いている最中、PAさんは何も言うことなくひたすら僕の頭を撫で続ける。

 暫くして、泣き止むとむくりと上体を起こし、シーツを手繰り寄せ全裸の身体を隠す。

 

「忘れて下さい」

 

「無理ですね」

 

「ちょっと!」

 

 未だ蕩けた笑みを浮べる彼女の視線はどこか妙で、見ている方向に顔を向けると自身の腹部にいきついた。

 再び、PAさんの顔見ると。

 

「大丈夫ですよ。私開け慣れてますから」

 

 サーっと血の気が引いていく。

 心の中でまさかまさかと繰り返しながら、震える手で自身の腹の上にそっと手を乗せた。

 すると、そこには確かに固い何かの感触が。

 全裸なのを忘れ、シーツを取り払いヘソの辺りを見る。

 

「......あぁ」

 

 心から漏れた声。

 頭が真っ白になり、何も考えられなくなる。

 ヘソに付いたピアスに視線を固定し、放心状態に。

 

「綺麗ですよ明日香(・・・)

 

 後ろから抱き着いてきたPAさんの手が、するりと僕の腹部に伸びていき、円を描くように優しく愛撫する。

 耳元で聞こえるその声は、劣情の吐息がハッキリと感じる程、興奮していた。

 腹部を撫でる手は徐々に上へと上がっていき、今度は僕の耳へと向かう。

 

「こっちもよく似合ってます」

 

「ッ!?」

 

 震える手で耳元に手を宛てると、そこにも固い感触が。それも両耳にだ。

 

「一生付けていろとは言いません。帰りに取り方も教えます。――だから、今日は一日ずっとつけていてくださいね?」

 

「え? そんな、今日はバイト」

 

「良いじゃないですか一回くらい。ね?」

 

 そっと差し出される四枚の札。

 一枚多い......ピアスの分だろうか?

 

「......」

 

 もう、いいや......何でも。

 考えるの疲れた。

 この関係も今回で最後だ。

 そう思うとこれくらいの事、PAさんとひと悶着起こして交渉するより大人しく言う通りにする方がよほどいい。

 心身共に疲弊している中、バイトがあるのにあーだこーだ言う程の体力はもう残っていない。

 

「お昼......何か作りましょうか?」

 

「お願いしまーす」

 

 と言いつつも、以前僕を抱き着きうなじに顔を埋めるPAさん。

 

「離してくれないと作れませんよ」

 

「それは困りましたね」

 

「そうですね」

 

 すぅー、はぁー、大きな鼻息が耳にまで届き何処かむず痒い。

 

「まずは二人でシャワーを浴びましょうか」

 

「そうですね」

 

「行きましょ行きましょ」

 

「歩く時くらい離れて下さいよ」

 

「え~」

 

 二人抱き着いたまま立ち上がり、二人羽織のようにのっそのっそと風呂場に向かった。

 

 髪の一房がPAさんと同色のインナーカラーにされている事に気付いたのはもう少し先の話。

 

「ギャァァアァァァァァァ!!!!!」

 

「あらあら」 

  

 

 

 

 次回『#15 ラストダンスは悲しみに乗せて』見て下......さい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




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