※この作品はR-18です。

ばいしゅん・ざ・ろっく!!   作:清姫

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 前も言いましたけど、ここ最近暑すぎる。
 外に出られないレベルで熱い。
 クソが、マジでサン(太陽)ガキが舐めてっと分からせるぞ?

 という事で、お待たせしました最新話です。
 ザーザー降りの雨の中、男と女、起きているのは二人きり。
 雫滴る身体で、温め合う......。
 次回は全快ドリトスVS青髪ベーシスト!?
 乞うご期待!

 誤字脱字はご愛敬。

 BLEACHと同時に投稿しようと思ったら一日遅く予約して投稿出来なかった......。
 二作同時ランクイン達成!
 


#17 雨音

「家の事はわたしがやるから寝てな」

 

「うん」

 

 37.5度が表示された体温計を振るお姉ちゃん。

 心なしか何時もより優しいその口調は弱った心に染み渡り、胸の奥に温かくなる。

 

「ふふ」

 

「? どうした?」

 

「ううん。お姉ちゃん優しいなーって」

 

「ッ。ば、バカ、早く寝ろ!」

 

 分かりやすく照れてる。

 食べ終わった食器を持って赤面しながら出て行くお姉ちゃんの背中を見て、もう一度笑い私は布団を被った。

 未だ熱を帯びた身体。

 ボーっとする頭でさっき笑った原因に対して想いを馳せる。

 

 お姉ちゃんの事もそうだけど――。

 

『風邪治ったらどこか行こっか』

 

 女の子のように可愛くて、優しい男の子。

 私の大好きな明日香君。

 ここ最近、気付けば何時も彼の事を考えてしまう自分がいる。

 声を聴く度に、顔を見る度に、匂いを嗅ぐ度に......想いは膨らみ、今では顔を見るだけで弾けそうになる始末。

 さっきも胸の鼓動が聞こえてないか気が気でなかった。

 

「明日香君」

 

 お母さんみたいに優しくて、可愛いのにいざと言う時は守ってくれる。

 

 瞼を閉じ、これからの事を考える。

 風邪でナイーブになっていた所、突然降って湧いた幸運。

 少しずつ進めていくつもりだったが、好機が訪れたのであれば歓迎をもって受け入れよう。

 

 リョウもいるけどこれってほぼデートだよね?

 デートって事でいいよね?

 

 頭の中で思い描くのは肩を並べて歩く私達の姿。

 私から手を繋ぎ、少し驚きつつも照れながら握り返してくれる明日香君。

 異性の手を握る行為は何を指すのか、分からない彼ではない筈だ。

 その流れで私は――。

 

「好きだよ。明日香君」

 

 告白する。

 もしも、もしも明日香君も私の事が好きだったら?

 

『僕も虹夏ちゃんの事好きだよ』

 

 妄想の言葉にも関わらず、下腹部がじゅんっとなった。

 胸が苦しくなり、どうしようもなく切なくなってしまう。

 

「......」

 

 いいよね?

 

 風邪ではないこの症状の原因は何か分かっている。

 

「明日香君......明日香君」

 

 意中の名前を呟きながら、自身で行える精一杯の治療(・・・・・・)を行う事に。

 

「好き明日香君。好きだよ」

 

 そう言えば、昨日香君耳にピアスしてたような......?

 

「ッん」

 

 朧げな記憶は確かな感覚により遮断され、治療が終了するまでの間何も考える事が出来なくなってしまった。 

 

 

 

 

 

 雨戸を叩く雨と、金切り声に似た暴風の音。

 僕はお風呂を沸かし直している間、髪をタオルで拭きながらテレビを見ていた。

 

「朝まで止みそうにないって」

 

 テレビから聞こえるアナウンサーの小さな声からもたらされる情報を聞きながら、リョウに視線を移す。

 

「そう」

 

 濡れた身体を拭く為に渡したタオルで音楽ケースを熱心に拭く姿。

 丁寧に拭い、中身を取り出し無事なのを確認する彼女の目は何時もとは違う真剣そのもので、まるで職人のような瞳でベースに視線を落としていた。 

 

「ベース拭くのは良いけどまず自分の身体拭いてよ」

 

「うん」

 

 返事はするが、行動に移す事はせず胡坐をかいているリョウを見て「もう」と小さく零しつつ、新しいタオルを持ってきて彼女の頭にそっとのせた。

 

「はい。拭いて」

 

「うん」

 

「うんではなく」

 

「うん」

 

「もう! 風邪ひく!」

 

「じゃあ明日香がやって」

 

「え?」

 

 唐突な提案に思わず困惑してしまう。

 普通、異性に身体を触られるのは躊躇するのが女の子というもの。

 触って良いのか? 男の僕が?

 でも、リョウは良いって言ってるし......。

 

 タオルの乗った頭に手の伸ばすが、寸での所で止まり再度反芻する。

 

 いや待てよ。もしかして僕男と思われてないのでは?

 自分で言うのもあれだけど、自分自身女寄りの体型をしている。

 だから、異性との距離も意外と近かったりするわけで......いやいやそんな事は今はどうでもよくて。

 

「僕、男だけど」

 

「? 私は女」

 

 分からずに言ってるのか、それとも皮肉られているのか分からない僕は一瞬イラっとし眉を顰めた。

 

「そうじゃなくて。普通男の人に触られるの嫌じゃないの? それとも何? 僕は男として見られてないって事?」

 

 刺々しい言動に反応し、リョウは手を止め僕の方を見た。

 

「明日香になら触られても良いってこと」

 

 怒っている訳でも困惑する訳でもなく、何時もの淡々と口にした語調で言う。

 裏表のない顔は嘘を言っているようには見えず、不意な攻撃をくらった僕は顔を赤くし反撃が不可能な状態になってしまう。

 

「......そう、なんだ」

 

 上気した顔を見せまいと俯きつつもリョウの隣にポスンと座り、遊里にやるみたいに髪の毛を拭いていく。

 ズボラなように見えて、意外に髪の手入れはしているらしく水気を拭きとり度に香水のような香しい香りが鼻腔を震わせ、もふもふで触り心地の良い髪の毛も相まって僕の中にある男の部分が擽られる。

 ダメダメ。

 何ときめいてるんだ。相手はリョウだぞ。

 

 一人ドギマギしている内に、僕をこんな風にした当の本人はベースが無事な用でほっと安堵の息を吐き、ケースにしまう。

 

「大丈夫だった?」

 

「うん」

 

「そう」

 

「......」

 

「......」

 

 僕達の間に沈黙が流れ出す。

 早くお風呂入って寝たい。

 労働の疲れで若干瞼が重くなっているところ髪を拭き終え、今度は身体を一通りっと思い視線を下にすると、そこには水で制服が透け下着が浮き上がっているではないか。

 

「ひぁ!」

 

 思わず声を上げ、顔を背ける。

 眠気が一気に覚める程の爆発力、それは正に核爆弾に匹敵する程の威力を有している。

 黒色の下着が脳裏に焼き付き離れない。 

 

「ん?」

 

「し、下着......ごめん、見えちゃった」

 

「......」

 

 怒ってる?

 反応が返ってこないのをへて、怒っているのと勘違いした僕は視線をそのまま床に固定し再度謝罪の言葉を述べる。

 

「ほんとにごめん」

 

「......本当に思ってる?」

 

「う、うん」

 

「そう」

 

 ゆっくりと気配が近づいてくるのを感じ、顔を上げると目の前にリョウの姿が。

 

「っ?」

 

 四つん這いの状態で近づいてくると、僕のシャツにゆっくりと手を伸ばす。

 無論、幾ら此方に非があるからと言ってそのまま彼女の思う通りさせる訳はなく、羞恥心から来る無意識が、咄嗟にシャツを掴み捲る上げるのを阻止した。

 

「え? えっと」

 

「明日香は私の下着を見た」

 

「ん? んん?」

 

「明日香は私の黒のブラジャーを見た」

 

「言い直さなくてもいいから! それと山田さんのしてること何の関係があるの!? てか手離して!」

 

 未だ、捲り上げる力を緩めないリョウとスカートを押さえるが如く両手で踏ん張る。

 次第に体格差により押し倒される形となり、戦いは継続される。 

 

「私が見られたんだから明日香のも見せるべき」

 

 謎理論過ぎる!

 と言うか捲られたらピアスがバレる!

 

「嫌だよ!」

 

「何で?」

 

「恥ずかしいからに決まってるじゃん!」

 

 赤面しながら声を押さえながら叫ぶと、やっと気持ちが伝わったのか白い手の力は弱まり、離れていく。

 顔を上げるとそこには自分で身体を拭くリョウの姿が。

 

「何だったの今の」

 

 安心と共に困惑が訪れる。

 

「お風呂入ったら山田さん先入って」

 

「......」

 

 僕の声だけが、リビングに虚しく響く。

 

「山田さん?」

 

 立ち上がり、あからさまに距離を取るリョウ。

 もしかして。

 

「......」

 

「あの......山田さん?」

 

「......」

 

 本当に怒った?

 

 重苦しい空気がどしりと身体にのしかかって来た。

 普段遊里とも喧嘩なんてほとんどしない僕が、友達との仲直りの仕方なんて当たり前だが分かる筈もなく、どうしたらいいか分からず途方に暮れてしまう。

 

「お茶飲む?」

 

「......」

 

「他にテレビでも「いい」......」

 

「あの山田さ――」

 

 リョウに手を伸ばすとパシリと叩き落とされてしまった。

 痛くはなかったが、明確に拒絶されたようで胸が苦しくなる。

 一生このままなのか。

 バイト中も拒絶された態度を取られるのか。

 そんな訳ないと思いつつも、あるかもしれない未来に絶望の色が見え始める。

 心身ともに疲労し、考える余裕もなく。

 

「分かった、分かったから。見せるから機嫌直して......」

 

 羞恥心とリョウの機嫌を天秤にかけた結果、後者が勝った。

 

「私の勝ち」

 

 白旗を上げた所で、微笑を浮べたリョウが再度近づいてくる。

 感情の変わり様を見るに、本当に怒っていた訳ではないのが分かった。

 

「......はぁ。誰にも言わないって約束できる?」

 

 ここで「嫌だ」と突っぱねても良かったが、またあんな態度を取られると思うとそんな気は起こらず。

 彼女の口の堅さを信じて早々に欲求を満たしてやるのが一番楽だという結論に至る。

 

「? 何の事?」

 

「で・き・る・の?」

 

 訝し気な瞳で見つめると、

 

「うん」

 

「――」

 

 頷くリョウを見届けると、ゆっくりと自身のシャツに手をかけた。

 顔が熱い。

 何で僕こんな事してるんだろう。

 もう恥ずかしいよ。

 

 ほっそりとした腹部には未だ鎮座するピアス。

 反応を見るのが怖くて、目を瞑りながら一気にまくり上げ胸にシャツを抱く。

 

「これで満足?」

 

「おー」

 

 瞼を開くと、感嘆の声を漏らしながら腹に手を伸ばすリョウの姿が。

 

「ちょっと。誰も触って良いって――ひぁ!」

 

「見かけによらずロックだね」

 

「べ、別に好きで着けてる訳じゃ」

 

 下腹部を撫でる手が止まり、ギラリとした眼光で僕を見上げた。

 

「彼女?」

 

「違うけど......」

 

「じゃあ、誰?」

 

「べ、別に誰かに言われて付けた訳じゃ! いっ!」

 

 撫でている手でピアスを掴み、引っ張り始めたリョウ。

 少々の痛みと共に、経験した事がない箇所からの痛みに言様のない恐怖と不安が訪れた。

 

「嘘」

 

「引っ張らないでよ! は、離して。離してって」

 

「......」

 

 何も言ってくれない! 怖い!

 どれだけ力入れたら千切れるの? 全然分からない。

 

「友達! 友達に入れられたの! 一日限定でしてただけ!」

 

「ふ~ん。あっそ」

 

 手を離し、立ち上がると身体を伸ばしソファに座る。

 肘を背もたれの後ろに通し、足を組んでテレビを見るその姿はまるで自分の家に居るようだ。

 

「いつつ。何なのもう」

 

 腹を押さえながら何時もと様子の違うリョウの態度に不信感を覚えつつ、寛ぐ彼女を涙目で睥睨しながらお湯が湧き上がるのを待った。

 

 

 

 

 

「服置いとくからね」

 

 扉の向こうから「んー」と気の抜けた声を聴きつつ、着替えを持ってきたついでにPAさんに教えて貰った方法で元の姿へと戻る。

 丁寧にピアスを外し、PAさんに貰った髪染めで黒に染め直そうとした瞬間風呂場に続く扉が突然開いた。

 

「まだ入らないの?」

 

「ぴぁ! 山田さん前!」

 

「ん? ああ、うん」

 

 嘘だろこいつ。

 幾ら何でも、無関心すぎるぞ。

 リョウの頓珍漢ぶりに戦々恐々しつつ、封を開けた髪染めを放り出し出て行こうとするが濡れた手が僕の腕を掴み、阻んだ。

 

「流石にマズいから! 前見えてるから!」

 

「遊里起きちゃうよ?」

 

「ッ! ホント止めよ、ね?」

 

「そのままだと明日香風邪ひくから」

 

 自身に言い聞かせるようにそう言い残すと、裸のまま僕に迫り強制的に服を脱がせていった。

 

「え? あ、ちょ! ――」

 

 脱衣所兼洗面所に小さな悲鳴が木霊す。

 全力で抗い、逃げようとしたのだが、最終的に――

 

「もっと身体寄せて」

 

「うぅ」

 

 こうなった。

 

 今の状況を説明しよう。

 素っ裸にされた僕は湯舟へと引き込まれ、足を伸ばしたリョウの間に座らされた。

 立ち上がろうとしても肩を掴まれ、立たせてくれず直ぐ後ろにある女体に触れないように腕で足を抱え身体を極限まで小さくしている所、今肩の上から手を通し抱きしめられる最中だ。

 

 思いっきり抱きしめるモノだから、背中に潰れた乳房の感触が広がり思わないようにしていてもオスとしての本能が劣情の炎を上げる。

 

「ッ! ~~」

 

「よきかな~」

 

 こいつ、人の気もしらないで名のある川の主みたいな事言って!

 この状況は本当にダメだ。

 こんな所誰かに見られたらあらぬ疑いをかけられる。

 そうでなくとも、付き合ってもいない異性が裸で抱き合ってるのは常識的におかしい。

 

「出るから、もう出るから離して」

 

「ちこー。もっとちこーよれ」

 

「ふざけんな。嫌だっつってんだろ! はな、せっ。ち、力つよ!」

 

 細腕から想像出来ない程の力でさながらジェットコースターの安全バーの如くガッチリ固定された僕の身体は立ち上がるどころか、身を捩る事も難しい程隙間のない状態。

 

「明日香が弱いだけ。男のクセに、ぷっ」

 

「ッ~~~~!?!?」

 

 憤死しそう。

 

「変態! ダメ人間! 色情魔! 借金王!」

 

「はぁ~気持ちい」

 

「くっ!」

 

 罵倒は何てどこ吹く風。

 ゆったりとした声で、湯船につかるリョウはスーパーリラックスタイムに突入している。

 どれだけ罵っても都合の良い耳が遮断しているようで全く意に返さない様子。

 それならと、隙を突き脱出しようとするが、安全バーは以前上がる事無くただ力の差を分からされただけにとどまった。 

 

 それからしばらく、あの手この手を試すがどれも上手くいかず。

 最終的には諦めて二人で入る事に。

 仕方ない。

 もうどうしても動く事が出来ないんだから。

 

 時間にして十数分程経った頃。

 一向に湯船から出る気配のないリョウに痺れを切らし、思った事が声に出た。

 

「どうしたの山田さん。今日はなんかおかしいよ?」

 

 ピチャリと水音が風呂場に木霊し、窓から雨の音が聞こえて来る。

 

「私達人間は生きれて百年」

 

「ん?」

 

「その内何も考えないで好きな事出来るのは子供の時だけ。なら、したい事した方がいいじゃん」

 

「......は?」

 

 こいつ本気(マジ)で何言ってんだ?

 

 薄い反応に不満なのか、水面に反射するリョウの顔は心無か眉が寄っているようで。

 

「――ッ!? いっ!」

 

「鈍感」

 

 思いっきり僕の首筋に歯を突き立て、吐き捨てるように言い残すとそのまま風呂場を後に。

 残された僕はいきなりの激痛に悶絶し、目端に涙を貯めながら。

 

「意味わかんないから!」

 

 今日一の声が出た気がした。

 

 

 

 

 

 忙しなく身体を洗い、それから晩御飯を済ませた後リビングに寛いでるリョウの前にタオルケットを突き出した。

 

「ん」

 

「ん?」

 

「ん!」

 

 それを受け取る事なく、勝手に冷蔵庫から拝借してきたであろうコップに入れた水を大きくあおり、再度僕を見る。

 

「私客なんだけど」

 

「客は勝手に冷蔵庫を開けません」

 

 毒気のある言葉を吐きつつ、タオルをリョウの顔面に向けて投げ「じゃ、僕自分の部屋で寝るから」と言い捨て自身の部屋へ。

 今日もなんだかんだあって疲れた。

 特に虹夏の看病の後、青髪ベーシストのおかげでもうへとへと。

 早くベッドに入って横になろう。

 

「――何でついてくんの?」

 

 背中に気配を感じ胡乱気な目で振り返ると、そこにはタオルケットを持ったリョウの姿が。

 

「ベッドじゃないと寝られない」

 

「はぁ。じゃあ僕がソファで「抱き枕がないとねられない」......」

 

 我儘な子供の面倒を見ているようだ。

 もう、目が限界で今にも眠ってしまいそう。

 

 眠すぎて半目の僕はリョウの手を掴み部屋に連れて行く、そしてポケットからピアスを取り出し、首からチョーカーを外して机に置くとベッドイン。

 

 ベッドに並んで寝る姿は何か不自然で漫画でよくあるキャッキャウフフ展開なんて起こる気配すらない。

 だが、そんな事も気にすることなく眠気を受け入れ目を閉じる僕。

 

「......思ってたのと違う」

 

「そう?」

 

 暫く間が開き。

 

「これから私の事リョウって呼んで」

 

「寝るから静かにしてリョウ(・・・)

 

「もう一回」

 

「静かにしないと家の外に放り出すよリョウ」

 

 静かになり、心地の良い微睡が訪れ夢の中へと誘っていく。

 

 

 

 

 

 

「もうちょっと何か欲しい」

 

「すぅー......すぅー......」

 

「キスしていい?」

 

 返事がない、つまりいいって事でいいだろう。

 静かに起き上がり、仰向けで眠る明日香の唇へ自身の唇を近づけ。

 

「ちゅ」

 

 窓の向こうの雨の音で水音が掻き消され、眠りが深いのか寝たばかりだというのに一向に起きない。

 何か癖になる。

 

「もう一回いい?」

 

「すぅー......」

 

 よし。

 

「ん、ちゅ」

 

 今度は舌を入れてみた。

 歯と歯の間、僅かに空いている隙間を潜り口内を舐め上げた。

 これが明日香の味......悪くない。

 何か......いいかも。

 

 顔を上げ、ペロリと舌を舐めずる。

 

 異性を好きになった事がないから接し方が分からないかった。

 今日、色々とアプローチをかけてみたけどどれも上手くいかない。

 我ながら、大人気ない行動をとってしまい恥ずかしくなるが――。

 

「恋人になったら起きてる明日香と出来る」

 

 そう思うと、また頑張ろうと自然とやる気が湧いてきた。

 静かに寝息を立てる彼の寝顔を眺めながら、「おやすみ」ともう一度だけキスをしシーツを被り直しす。

 そして、ゆっくりと距離を詰め、宣言通り明日香に抱き着き瞼を閉じた。

 

 今日は良い夢が見れそう。

 

 この頃にはまだ残っていた最愛の親友への罪悪感は、綺麗さっぱりなくなっていたのだった。

 

 

 

 

 

 

「ん~......寝ずら」

 

「我慢して」

 

「え~」

 

 おやすみなさい。

 

 

 

 

 

 次回『#18 新世紀のラブソング』見て「見て下さい!」......。 

 

  

 

 

 




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