日間から四半期まで一位取れました。一時的とは言え、凄く嬉しいです。
これも一重に、読んでくれる読者のおかげ。
これからもゆるっと書いていくので宜しくおねがいします。
誤字脱字はご愛敬。
トントントン。
リズムよく包丁で野菜を切っていく。
まずは玉ねぎ。
他の野菜とは別に少し早く鍋に入れ炒めるから、先に切ってボウルに避けておく。
トントーー
包丁を持つ手が止まる。
「そんなにくっついてたらお料理出来ないよ?」
「ん」
抱き着き退く気配のない星歌に対して、どうしようかと軽く思案を巡らせる僕。
すっかり甘え星歌に慣れてしまい、自然と遊里と話す様になってしまっている。
「お昼遅くなっちゃうよ」
「......」
これじゃダメか?
なら何時も遊里に使ってるあれで。
「早くしないと一緒に居れる時間なくなっちゃうけどいいの?」
「ッ......」
よし、退いた。
若干引き延ばし癖のある遊里は、「もうちょっと待って」とか「後であるから」とか言って宿題やいう事を聞いてくれない時があるのだ。
そう言う時に「――出来なくなっちゃうよ?」と優しく諭す。
聞き分けの良い子だから、それだけで十分なのだ。
星歌も遊里と一緒で聞き分けの良い方で良かった。
蛇口で手を洗い、手拭で水分を拭きとると妹にしているように「良い子」と頭を撫でる。
「......」
為されるがままの星歌を見て、自然と頬が緩む。
ダメだ。このまま頭を撫でていたらそれこそ日が暮れてしまう。
早く作らないと。
手を離すと調理に戻った。
一瞬、星歌の方を見ると、表情には出さないが名残惜しい雰囲気を出しながらテーブルの椅子に座ると足を組み、僕の方を眺め始める。
「パッパとやりますか」
玉ねぎを切りボウルへ。
人参、ジャガイモの皮をピーラーで向いてからジャガイモの方は芽を取ってからぶつ切りにして玉ねぎとは別に一つのボウルに放り込む。
その間に電子レンジの出来上がりを知らせる、チンッ! という音。
中身は今回の主役、豚肉。
冷蔵にはファスナーの付いたプラスチックバックに小分けにされていた豚があったので今回はポークカレーにした。
解凍された豚肉を切り、鍋に火をつけ玉ねぎを炒める。
飴色になった所で他の具材を入れ、水を入れ蓋。
沸騰するまでの間は星歌と会話を楽しんだ。
「星歌は普段料理はするの?」
「いや。虹夏がしてくれてるよ。私料理出来ないし」
「伊地知さん居ない時は?」
「飲みに行くか適当に買ってくるかな。虹夏も最近家開ける事多いし、そろそろ飽きてここらの飲食は全部制覇しそうだ」
「身体に悪いよ。ちゃんとバランスよく食べないと」
「そんなこと言われてもな。今日だってカップ麺で済ませようと思ってたし」
カップ麺?
「あの身体に悪い?」
「どんな覚え方だ」
頬を付いた腕がズレ、崩れ落ちそうになりながら訝し気な目で言う星歌。
「ま......お母さんが『身体に悪いから特別な時しか食べちゃダメー』って」
口の前に両手でバツ印を作る僕。
「あ? じゃあ、ファストフードとかも食べた事ないとか? はは、そんなこと「うん」嘘だろ......」
丁度、鍋がコトコトとなり始めたので、茫然とする彼女を放ってコンロへ。
火を止めると市販のカレー粉を入れる。
それから、弱火でしばらくかき混ぜてから――
「はい、どうぞ」
「おー」
「「いただきます」」
うん、美味しい。
福神漬けがあればもっと良かったのだが、流石にカレー粉のように買い置きはなく、仕方なく何もなしのカレーに。
「美味しい?」
「ん」
黙々と食べる星歌。
自身のカレーそっちのけに夢中に食べる彼女の姿を眺める。
「? なに?」
「美味しそうに食べるなーって。伊地知さんは作ってくれないの?」
顔を赤くし、スプーンの速度を速める。
「......久しぶりに泣いたから腹へったんだよ。――おかわり」
ぶすっとした表情。
その顔も今となっては可愛いものだ。
「はい」
それから、ペースを落とさず細身の身体に次々とカレーを腹中に収め、僕が一皿食べ終わる事には焚いたご飯三合がなくなっていた。
「そんなにくっついてたら濡れちゃうよ」
「ん」
洗い物をしている中、また後ろから抱き着いてくる。
どこかで見た光景だ。
さっきと違うのは、星歌が僕の頭部に鼻を押し付け匂いを嗅いでいると言う事。
吸い込む音が耳を撫で、どこかむず痒さが表皮を駆け巡る。
「PAさんの時もそうだけど、何で僕の匂い嗅ぎたがるんだろう」
「今なんて?」
「? 何で僕の匂い「その前」......PAさんの時もそうだけど」
「......」
あれ?
顰蹙。
眉の溝が深くなり、僕から離れテーブルの椅子ではなくソファへ。
乱雑に取り上げたリモコンを押し、適当な場所に放り投げ視界をキッチンからテレビへ移す。
その姿は何処か意志的ななにかを感じる。
「?」
怒ってるようには見えない。
だけど機嫌が良いとは......思えない?
一先ず、目の前の家事をしないと。
洗い物を済ませ、残りのカレーが入ったタッパーの蓋を閉じる。
「あ」
唐突に降って来た天啓により、合点がいった。
踵を返し、リビングを見る。
フンッ。
いつの間にかキッチンに顔を向けていた彼女は、僕が見た瞬間分かりやすく、顔を背けた。
確か、PAさんの名前が出た時からだ。
それから、態度がおかしくなった。
テーブルを拭いたふきんを絞りシンクに置くと、リビングの星歌の隣へ腰を下ろす。
すると、星歌は僕との間に距離を作るように少し横にズレた。
やっぱり――。
「拗ねてる?」
「拗ねてない」
即答。
暫く「拗ねてる」「拗ねてない」の押し問答。
これではダメだと攻め方を変え、尻を浮かし間を詰める。
「何したら機嫌直してくれる?」
「......」
顔を背けられた。
「膝枕しようか」
「......」
「頭撫でる?」
「.......」
消えていく選択肢、消去法で残ったそれを口にする前に一拍おいて考える。
言ってしまったら最後、取り消しの効かないその言葉。
反芻に反芻を繰り返し、一度口の中で噛みしめると視線をしたに、頬を桜色に染めながら
「......P、PAさんと同じことする?」
星歌の身体が震えた。
「意味分かって言ってる?」
羞恥で声を出すのを憚れ、数秒間が空いた後首を縦に。
僕の決心を見た星歌は、一瞬キュッと口を閉め、テレビに顔を固定しつつ言う。
「......ごめん甘え過ぎた。大丈夫だから「大丈夫じゃないです!」っ......」
「星歌さんの気持ち分かります。僕も両親が死んでからずっと一人でしたから。だから、もしその気持ちを少しでも癒す事が出来るのなら、やって上げたいんです。お金も貰ってますし、それに、それに......」
「?」
遂にテレビから僕へと顔が移る。
膝の上で、両手をモジモジさせ、絞り出す様に。
「......星歌さんなら、い、嫌じゃないです」
『性行為は付き合ってから』そんな倫理観はPAさんの件で既に破綻。
常識的な貞操観念は捨てており、一つの手段として用いる選択になりつつある。
その為、この場で星歌と身体を合わせる事は......やぶさかではない。
それに、星歌に対してはどうしてだかトラウマに似た消極的な感情が湧いてこないのだ。
したがって、......まぁ、ここでそう言った行為を行うのはありという考えに至った。
恥ずかしさで彼女の顔を見れないでいると、フローリングに写る影がゆっくりと僕の傍へ近づく。
ゆっくりと......時折、考えるように止まりながら......。
間隔が狭くなる影が遂に交じり、そして。
「......嫌なら言って」
「はい」
昼下がりの部屋の中。
僕は今、ソファに押し倒されている。
上には僅かに紅潮する星歌。
下には真っ赤にしながら、瞳が潤む僕。
手と手が交わり、枝垂れかかるように半身を倒し僕の方へ。
同時に目を閉じ、唇を――
「ん......」
「ん、ちゅ」
やっちゃった!
星歌さんとやっちゃったよ。
肌が熱い。
唇同士が触れ合うだけのキス。
相手を労わり感情を探るような、そんな優しい口づけ。
前と違う。
何だか安心する。
「ん......んっ」
「......ちゅ」
瞼を少し開くと、未だやって良いのか決心の付かずに複雑な色を浮べる星歌の顔が。
それに対して僕は解けた手を彼女の背中に回す。
「大丈夫」
「ん......うん」
終わった後にこの事を思い返して自己嫌悪に陥る自信があった。
何せ自分から誘っているのだから、これじゃ尻の軽い人間と変らない。
だけど、その不安は直ぐに快楽へと変わる。
「んん!? じゅる......ちゅ」
舌が歯の間を縫って口内へ入って来る。
「じゅるる......ぺろ、ちゅ」
何かを探すように優しく動く長い舌は、震える小さな舌を見つけ出す。
舌先でゆっくりと下から上へと舐める。
「んんん」
名状しがたい刺激に、思わず彼女の肩に手を乗せ引き離そうとするが。
「大丈夫」その一言で封殺され、力ではなく言葉で手を払いのけた。
そして、続けられる甘い行為。
下の歯の裏に隠れるように収まった僕の舌もやはり耐えられなかったようで、僅かに上に上がる。
その隙を見逃す星歌ではない。
「れろ......」
「んんん、ちゅ」
掬い上げ、舐めしゃぶる。
まるで犬が甘え掏り取って来るように、舌体全てを用いて僕の舌を味わい尽くす。
身体の芯が吸われていくような感覚。
もっともっとと自分から舌を差し出し、注ぎ込まれる唾液をコクリと飲み込む。
甘い。
「んく――プハァ......」
「あいつにもしたのか?」
「それは......んん」
言いそうにない。そう判断した星歌は再度唇を落とす。
今度は、強引に舌を啜り口外に引き出し、根本まで飲み込んだ。
咥内に招き入れるばかりで、他の人の中に舌を入れたことのない僕。
それは未知の体験であり、背徳的な行為も相まって更に快楽の段階が一つ上がる、
ヌルヌルして、温かい......舌が啜られる度に身体が反応してッ。
「ん、はぁ」
「どう? あいつにもしたの?」
頷く僕を見て、今度は胸元を開き。
「汗かいてるから!」
「いいじゃん」
「良くないよ。汚いからぁ!?」
大きく舌を出し、仄かに湿る僕の胸元を上から下へ舐め上げた。
驚く僕。
汚いからと一度離れるように訴えるが、息荒く顔をツッコみ息を吸い込みながらベロベロと上へ上へと上がって来る。
「こんにゃことも?」
「あんッ! は、はいされました」
「変態だなあいつ」
あんたも相当だよ。
その言葉が出ない。いいや、出せない。
呼吸により肺に供給された空気、用途はほぼ全てが喘ぎによって消費されている。
故に、思った事を全て声に出す事が出来ない状況なのだ。
チューーーーーッ!!!
「――ッ!?!?」
首筋に吸い付かれた。
半身を上げ、僕の顔を確認すると「これもか」と残念そうな顔を浮べ、今度は下へ。
四つん這いに下がって行き、メイド服のスカートをヒラリと捲り上げ中へと潜り込む。
寝そべりながらそれを眺め。
「ッ!? そ、そこはホントに汚いから!!」
こんもりと膨らんだ部分を両手で抑えながら必死に侵入を防ぐが、やはり大人と子供。幾ら性別的な力の差があるとは言え、最終的には力及ばず秘所への到達を許してしまった。
そこはムワッと汗ばむ熱帯林のような所。
不快じゃない訳がない。
それなのに。
さっきより動きが......ッ!。
「ひぁ! ちょ、星歌下着返し――あぁ!!」
下着を取り上げられたと思ったら今度は、陰茎を何かで覆われる感覚が。
何この感じ何この感じ何この感じ!!!
「ジュルル、ジュポジュポ」
破裂音と共にスカートが上下に動き、それに伴い耐えがたい程の電流が脳に走る。
「イキそう! イキそうだから」
「んぶ、じゅる」
「お願いだから一回離して!」
ポカポカとスカート越しに頭を叩くが全く聞いている様子はなく、それ所か上下に動く速度が速まった。
そして――
「ンンンンッ!」
強烈なエクスタシーが身体を駆け巡り、無意識に膝と肩で支持しブリッジのような態勢に。
そして、快感と共に体外に放出された白濁は星歌の中へと注ぎ込まれた。
「ジュルルルルッ!!」
「イッてるから! もうやめて!」
達した敏感な身体に追い打ちを欠けるかのように、全てを啜り取ろうとする淫魔の口。
淫行は僕が泣いて懇願するまで続き、終わった時には息絶え絶え、動けなくなってしまった。
ソファから降りると汗をかき涙を流し力なく倒れる僕の顔に口を大きく開き白い液を見せつけ、そしてごくりと大きな音を立て飲み込む。
「これもあいつにされた?」
「しゃ、しゃれてません」
言葉を聞いた瞬間の星歌の勝ち誇った顔。
子供っぽく、可愛くもあるその表情に肩で息をしながらもクスリと笑ってしまった。
可愛い。
それから顔を上げ、星歌を見ると。
考えを一変させ、身構える。
あ、これヤバいやつだ。
顔見れば分かる。これから僕がどうなるか。
「止まらないかもしれないからね」
いつの間にか手に持ったゴムの包装を解き、スカートに手をツッコみ装着すると、捲り上げる。
乱雑に脱ぎ散らかしたジャージを一瞥すらせず、ソファに倒れる僕に跨り陰部をさらけ出し、自身の蜜穴へと導いた。
ヌプリと先ほどとはまた違う温かさが。
「んっ、あ!」
リズミカルに腰を打ちつけ、それにより生じる快楽が僕の脳内の回路を焼き切って行く。
微睡の中にいるような、不思議な感覚。
何も考える事が出来ず、唯々悦楽に身を浸していると唐突に。
「くっ! ん、あいつと私どっちがいい?」
「そ、そんなの言える訳......」
誰かと比べるなんて、しかも気持ちよさで。
元来小心者の自分がそんなこと言える訳ない。
その瞬間、ピタッと動きが止まる。
「あの......」
「あいつの方がいいの?」
「そう言う事じゃ」
悲しさの色が見え出す、僕の弱さを付いた巧みな心理攻撃。
その顔で、迷いがなくなり心の中でPAさんに謝罪すると「星歌の方がいい」と小さく一言。
それに伴い再び動き出す腰。
しかし、速度は先ほどとは違いゆっくりだ。
「何が良い?」
前に倒れ首筋にキスを落としながら耳元で呟く。
「......恥ずかしくて言えない」
「じゃあ、あいつの方が良いって事になるけど」
「ッ、そんな」
何そのとんでも理論。
まるで、駄々をこねる子供のようじゃないか。
「早く、はーやーくー」
股間から聞こえる粘液のある音が、理性を緩める。
これ以上赤くならない程、顔が赤く染まり、顔を横に向け口を開いた。
「星歌の方が気持ちいい」
「もう一回」
「星歌の方がッ!?」
バチュン! バチュン!
釘打ち機の如く打ちつける腰。
何かが込み上がってきて、言葉が中断。
「もう一回」
「あ! ん! せ、星歌の方が気持ちいい!」
フンっとどや顔。
更に腰の速度を速め、更に肉棒を締め上げて来た。
「イキそう!!」
「あん! いいよ! 一緒に」
イク、イクイクイクイㇰッ!!!!
目の前がチカチカする。
腰が抜けそうになる。
もう自分がどうなってるか分からない。
気持ち良い......。
「ん、ちゅ、れろ」
「んんん......」
「明日香カワイ」
「うん」
「もう一回やろ」
「......うん」
もう何でもいいや。
それから、本能のまま交じり合った。
「ちゅ」
行為が終わった頃には自分が自分じゃなくなっていた。
身体を起こし、肩の上から手を回し優しくキスする。
「おい、汚いぞ」
「ん、ちゅ......」
前と同じ気持ちよさ、同じ快感、それなのに前と今では何故だか心地よさが違う。
何故だか分からないが、初めて真に気持ち良いと思えたのだ。
それは、普段の自分とはかけ離れた気持ちにさせ、気分を高揚させる。
気持ちよかった。
ポワポワして、フワフワして、前と違う感じ。
星歌可愛い。
もっとしたい......。
一種の酩酊のような状態になった自分では普段と違う行動をするようで、ついさっき自身の精液が含まれていた口にも関わらず、躊躇する事無くその唇に合わせる。
「ん」
「ちゅ、れろ......気持ちよかったか?」
「うん......もっとしたい......かも」
「ちゅる......私もしたいけど」
口づけを交わしつつ、時計に目を向ける星歌。
それにつられて僕も視線を移すと、そこに刻まれた時刻は二時を丁度過ぎた頃。
「仕事? だって時間まだ――あ」
言葉の途中、抱き着いた僕を持ち上げ立ち上がると、再びソファに腰を下ろし、足を跨らせるように座らせ自身は両手を広げて背もたれに両肘をかける。
「新しいバンドのデモ音源聞いたり、スケジュール組んだり、店長は色々やることがあるんだよ」
「ふーん......」
離れたくないな......。
星歌の甘えたモードが終了したと思ったら、今度は甘えたスイッチが完全に入ってしまった僕。
スラスラと業務内容を話している彼女に再び抱き着き、肩にアゴをのせる。
その姿はまるで母親に甘える子供のようで、星歌も星歌でまんざらでもない様子で「仕事に行かないと~」と言いつつも引き離すことなくそのままテレビを観賞し始めた。
「お尻に根が張った?」
「張った」
「仕事は?」
「行く」
「じゃあ離れる?」
「......まだいい」
やった。
肩からアゴを離し、喜びをそのまままたキスをしようと――
「ただいまー!」
「「ッ!?!?」」
抱き着いた状態で文字通り身体が跳ね、ソファから飛び降りた。
幻聴でも気のせいでもない。
これは間違いなく。
「虹夏ッ!?」
あり得ない程焦る星歌。
僕を抱きかかえ、途中僕の服を拾い上げながら奥の自身の部屋へ飛び込む。
「時間稼ぐから着替えてッ!」
声を押し殺し、ながらそう言い残すと全裸のまま部屋を後にした。
「お姉ちゃん!? なんて格好してるの!!」
「そ、ソファに飲み物零したんだよ」
「だからって――」
そんな声を耳にしつつ、急いで着替え始める。
メイド服を脱ぎ捨て、シャツを着る、そしてズボンを履く時に焦りからかバランスを崩し壁に身体が激突してしまった。
!?!?!?!?!?
「何今の音?」
「音? 音なんてしたか?」
上擦ってる! 声が上ずってるよ星歌さん!!
「......お姉ちゃん何か隠してない?」
「な!? 何も隠してねぇよ」
「嘘絶対隠してる。お姉ちゃんの部屋に何かあるでしょ?」
マズいマズいマズい!!!
か、かかか隠れないとこのまま見つかったら。
『お姉ちゃんこれって』
『誤解だ!』
『全裸でなに言ってるの! 幾ら姉でも未成年となんて......警察に電話を』
ピーポーピーポー。
『きょう未明、東京世田谷区でライブハウス経営の――』
それだけはダメぇぇぇッ!
「隠れないと、でもどこに」
「だから何もないって!」
「それは私が判断します」
もう時間がない!
メイド服を掴むとクローゼットを開き、そこに飛び込む。
それと同時に、大きな音を立てて扉が開かれた。
「ほら、何もないだろ?」
「......怪しい」
「おい、散らかすな」
クローゼットの隙間から見えるのは服を着た星歌がアタフタする姿と、ベッドのシーツを捲り上げ何かを探している訝し気な表情の虹夏。
鼓動の高鳴りが最高潮に達し、今にも飛び出そうな心臓を両手で口を塞ぎ、惨事を回避。
身体を極限まで小さくして、少しでも発見させる要素を減らす。
そして、その間はクローゼットの中に目を向け見つかった際に切り抜ける要素に目ぼしを決めておく。
大丈夫、気付――
「え? 明日香君? え? ............何で?」
「......あぁ」
終わった......か?
次回『#8 共感出来ない』みでくだ――おえぇッ!!
感想、評価貰えれば執筆速度UPします。