※この作品はR-18です。

賢者ちゃんと二人旅   作:Tコヤマ

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ガッツリなエロ展開は少し先になりそうです。
それまではR15くらいの話が多くなると思います。


不思議な食事

 

 

「昨日から思ってましたが、見慣れない料理を作りますよね、リリーの創作ですか?」

 

日が沈み、休む場所を確保した俺たちは食事の準備をしていた。

今日の日中、レッドボアを倒した時に切り出しておいた肉を、フィロの氷魔法で保存してもらっていたのだ、今はそれを調理している。

 

「いや、人に教えてもらったんだ、五年くらい前になるかな、『ジェイ』ってやつだったんだけど」

 

五年前、俺は『ジア王国』という国に居た、ジェイとはその国に行く途中で会った。

 

「どこの国の料理なんでしょうか」

 

どこかと聞かれて一瞬なんて答えようか迷った。

一応ジェイにその辺の話も聞いていたのだが、聞いた上でそれがどこなのか分からなかったのだ。

なのでヤツが言っていた事をそのまま言った。

 

「ジェイの故郷の料理なんだって、“極東の島国“とか言ってた」

「極東の、ですか?あの周辺の島は無人のものばかりと聞きますが」

 

極東周辺の島はどこも小さく人も住んでいない、俺もそう聞いていた。

フィロなら何か知ってるかもしれないと思ったのだが、そんな島国に心当たりはないらしい。

 

「そうなんだよな、なんかちょっと不思議なやつだったよ」

 

ジェイは気の良いヤツだったと思う、でもよく分からないヤツでもあった。

会った当初は自分の置かれている状況もあって、何とも思わなかったのだが。

 

「俺があいつと会ったのはジア王国に行く途中だったんだけどさ、その時の護衛にジェイと同郷だって言う魔法使いがいて、ジアからさらに西の村が出身だって言うんだよ」

「・・・極東の島国の話はどこに行ったんです?」

 

魔法使い曰く、二人はジアの西の村出身。

でもジェイ自身は極東の島国が故郷だと言う、よく分からない。

しかもそんな島国は俺もフィロも聞いたことがない。

 

「うん、俺にもよく分からない、気にはなったんだけど、故郷のこと知られたくないのかなと思ってさ。

料理も教えてもらってたし、変に突っ込んで聞くのも悪い気がしてそれ以上は聞かなかったんだ」

 

ジェイの作る料理は美味いものが多かった。使う調味料の中にも珍しいものがあり、その作り方も教わりたかったし、なによりその故郷の話をする時、ジェイは少し困った顔をしていた。

あまり詮索するような真似はしないほうがいいと思った。

フィロもこれ以上は何も分からなそうだと思ったのか、さっきからチラチラ気にしていたものの事を聞いてきた。

 

「この黒い液体は?」

「調味料、『しょうゆ』っていうらしいよ」

「初めて見ますね、舐めてみてもいいですか?」

 

いいですか?と聞いた時には既にしょうゆを指に垂らしていた。

それをチロッと舐めると「しょっぱい」と、簡単な感想を述べた。

 

「賢者ちゃんでも知らないか」

 

ジェイの謎はフィロでも分からないようだ。

 

「私も魔法だったら大抵のものは分かりますが、というかまた賢者ちゃんて・・・そんな呼び方する人初めてですよ」

「ごめんごめん、なんかフィロ可愛いからちゃん付で呼びたくなるんだよ」

 

フィロは可愛い、それは本心だ。

 

「・・・子供みたいだとバカにしてるだけでは?それに可愛いっていうならリリーだって、その・・・」

 

フィロが言いたいことは分かる、俺の顔が女っぽいとかだろう、昔ジェイにも言われたことがある、髪を切ってからはそう言われる事も減ったのだが。

にしてもバカにしたつもりは一切なかったのだが、それも本人に伝わらなければ意味がないだろう。

 

「女みたいだとは言われるね。

あーでもフィロをバカにしてるとかは本当にないですよ?

もしバカにしてるように感じるなら、ちゃんと賢者様って呼ぶようにしますから」

 

嫌われたくはないからな。

 

「まあ・・・違うなら構いません、変に気を使われるのもそれはそれで、アレですし、気にしないでください」

 

アレ、か、変な気遣いは居心地が悪いとかそんな感じだろうか。

気にしないでと言ってくれてるし、親しみや愛情が伝われば大丈夫そうかな。

 

「いいの?」

「いいです」

「分かった、気を使い過ぎないようにするよ」

「はい、そうしてください」

 

そう言って微笑むフィロ。

まだ彼女との距離感は掴みきれていない、でも巷で賢者様と呼ばれて褒めそやされるような態度は俺に求めていない気がする。

俺ももっと仲良くなりたい。

 

「あのね、今まで気を使ってて言えなかったんですが」

「なんです?」

「おっぱい揉んでいい?」

「もっと気を使ってください」

 

にべもなかった。

 

バカな俺の発言に「まったくもう」とか「火を使ってる時にふざけないでください」とか言いつつ、出来上がった『しょうが焼き』の匂いに期待の表情を見せる。

 

「はい、どうぞ」

「ありがとうございます」

 

二人で「いただきます」と言って肉を頬張る、口に合うだろうか。

 

「うん、美味しいですね、これは」

 

足りない食材もあって、教わったレシピ通りには作れていないが、気に入ってくれたようだ。

本当は米も欲しいところだが。

 

「なんて言う料理なんですか?」

「これは、しょうが焼きだね」

「しょうが?」

「うん、センカの根本をすり潰して、しょうゆと一緒に肉を焼くだけなんだけど、どうもこのセンカの事らしいよ。

 

ジェイ曰く厳密には違うもので、しょうがと似てるからセンカで代用してるのだと言う。

フィロにもそう言うと。

 

「へぇ、そのしょうがというのもどこかの街で売ってるかもしれませんよね、見つけたら本物のしょうが焼きも食べてみましょう」

 

一応フィロも料理はするようで、この料理に興味があるようだ。

 

「いいね、それと米と一緒に食べるのが美味しいから、今度試してみよっか」

 

米としょうが焼きの相性は素晴らしい。

残念ながらここに米は無いためしょうが焼き定食は提供できない、米が無い分味付けも少し抑えている。

 

「お米ですか、なら次の街に着いた時に食べてみましょう、私たちの旅で米を持ち運ぶのは難しいでしょうし」

 

ふむ、これは今後も一緒に旅を、と言う事なのだろうか、まあ断る理由なんてない。

俺も可愛い子と旅が出来てありがたい。

そんなことを思っていると「というか“それ”」と言って俺の手を見てきた。

 

「器用ですね」

 

フィロの言う“それ”とは俺が持ってる『箸』の事だろう、この辺りで箸を使って食事をする人は殆ど居ない。

 

「これもジェイに教わって練習したんだ」

 

そう言って最後の肉を箸でつかんで口に運ぶ。

「ごちそうさま」と言って箸を置くと、フィロはこれにも興味があるようで「ちょっと使ってみても良いですか?」と聞いてきた。

 

「いいよ、どうぞ」

 

見よう見まねで箸を持つも、どうやって指を動かせば良いか分からないようで、肉をつかめずずっとカチャカチャさせている。

「うっ」とか「あぁっ」とか言いながらしばらく頑張ってみるが結局箸で肉を食べるまでには至らなかった。

 

「だめです、うまく掴めません」

 

思うようにいかず諦めて箸を置くと、

 

「何でわざわざこんな使いにくいもので食べるんですかね、食べるならフォークで十分ですよ」

 

と身も蓋もないことを言って最後の肉を食べる。

俺も最初はそう思った。

だがここで少し意地悪なことを言いたくなった、昔ジェイに言われたことだ。

 

「食べ方雑だよね」

 

ジェイに『リリ食べ方雑な』と言われてイラッとした記憶。

急に何だと思って見てみると米の一粒も残っていないジェイの皿、俺の皿にはフォークで潰されてくっついてしまっている米が何粒か残っていた。

暗に『お前の皿汚いな』と言われた気がして、それが妙に悔しくて箸の使い方をマスターしたのだった。

俺の言葉にフィロが動きを止める。

 

「・・・雑?」

 

食べ終えた俺の皿には肉の一欠片も残っていない、対してフィロの皿には小さな肉の破片がほんの少しだけ残っていた。

皿を見つめるフィロ、目が据わっている。

まずい、と思った。

 

「ごめんなさい」

 

俺は反射的に謝っていた。

 

「・・・いえ、別に?確かに少しアレですし」

 

いけない、やはりこういう事は基本言わないほうが良い気がする、自分が言われてムッとしたのに。

食べ方なんてその地域ごとで様々だ、綺麗に食べるのが良しとされる場所もあれば、そうじゃない場所もある。

というかそもそもフィロの食べ方も言うほど雑ではないのだ、むしろ綺麗なほうだ、これで雑なんて言うのはイチャモンでしかない。

フィロとはこれからも二人で行動する、飯だって食う、その度に皿の綺麗さばかり気していたら楽しめるものも楽しめない。

身も蓋もない事を言われて意地悪したくなってしまったか?

俺の馬鹿野郎。

 

「フィロ、ちょっと言い過ぎでした、本当にごめん、許してください」

「何ですか?急に謝ったりして、許すも何も、本当のことでしょう?あなたの食べ方は綺麗ですね、私も見習わなければいけませんね」

 

謝罪を受け入れてもらえない。

怖い。

 

「ではすみませんが、このお肉、今日の所はお願いします」

 

そう言うとフィロは皿を差し出してきた。

 

「えっと、お願い・・・ですか?」

「残ったお肉を食べていただけますか?私はまだお箸が使えませんから、お手数おかけして申し訳ございませんが」

 

声の調子にいつものような心地良さが感じられない、加えて丁寧すぎるほど強調された敬語に心がざわつく。

これは敬語であると同時に怒りと拒絶の意思表示ではないか?

これはもうただのお願いではない。

 

『雑で悪かったな、じゃあその得意の箸で綺麗にしてくれよ、お前にしか出来ないんだからよ』

 

と言いたいのだ。

焦燥感で胸がやけるようだった、変な汗がジットリと体にまとわりつく。

たまらず、すがり叫ぶように謝った。

 

「フィロ・・・!ごめんなさい・・・本当にもう、許してください・・・」

 

「・・・」

 

黙ってジッと見つめてくるフィロ、表情は無い。

 

「お願いです・・・」

「私は何をどう許せば良いんですか?」

「・・・えっと・・・言い過ぎた、というか難癖をつけてしまったので、それを許して欲しいです、ごめんなさい」

「難癖、というと?」

「・・・雑、と言いました」

「・・・」

 

もう一度黙るフィロ。

そのまま数秒経過すると。

 

「そうですね、あれはちょっと、アレでした」

 

あれはちょっとアレ、フィロはちょくちょくアレっていう。

 

「はい・・・許して欲しいです」

「・・・分かりました」

 

今までずっと俺の目を射抜くように見ていたが、ここでやっと視線を外してくれた。

ようやく許しを得たのだと思えた。

 

「良かった・・・」

 

ちょっと泣きそうだった。

 

「まあ・・・私も少し意地になりすぎました、その・・・すみません」

 

そう自重気味に言うフィロ。

 

「いえ、俺の方が感じ悪かったですし・・・でもフィロは怒ると怖い子です、これからはもう少し畏敬の念を忘れずにいようと思います」

 

愛情と共に、畏怖と敬意を持って接しよう、そう思った、本当に。

 

「畏敬って、そんな・・・というかリリーの反応もちょっと過敏過ぎだと思いますよ?」

 

そう言われても仕方ないような気もするが。

 

「そう、かな」

「そうですよ、確かに雑って言われてムカッとしましたよ?、でも私が怒る前にすぐ謝ったでしょう?」

 

謝った、俺のイチャモンのせいで目が据わったフィロを見た瞬間、やばいと思って即座に謝った。

 

「あんなに早く謝られたら、私の怒りはどこにぶつけたらいいか分からないじゃないですか」

 

まあ、確かにそうかもしれない、怒りの矛先が無くなったら怒りたくても怒れない、そうなると飲み込むか八つ当たりするしかなくなる。

いや、ただフィロの場合はどうだろう?

少し思うところがあって聞いてみる。

 

「・・・じゃあ、もしあの時すぐに俺が謝らなかったら、どう怒ってた?」

「どうって・・・」

 

考えるフィロ。

 

「目に見えて分かりやすく怒ってた?」

 

人が怒る時は、怒りを露わにするか、静かに怒るかだ、この場合フィロはどっちの怒りをみせただろうか。

 

「・・・いえ、多分黙って怒ってた気がします」

 

なんとなくだが、そんな気がした。

 

「じゃあ・・・」

 

やっぱり即座に謝るしかなかったんじゃないだろうか、そう思ってフィロを見る。

 

「・・・」

 

難しい顔で黙るフィロ。

互いに沈黙して数秒経った後。

 

「・・・はぁ、確かにそうですね・・・リリーが謝っても謝らなくても、私はああいう怒り方をしてたと思います・・・」

 

そうか。

 

「それにしても」

 

ジトッとした目で俺をみる。

なんだろう、何かした覚えはない・・・はずだ。

 

「随分人を見透かすようなこと言うじゃないですか」

 

そ、そんなこと言われても・・・

 

「見透かすだなんて・・・ただ、何となくフィロならああいう時どう反応するかなって考えたら、静かに怒りそうだな、と」

 

明確な根拠はない、でもそう思った。

 

「なんか、気にいりません」

「なっ、なんかって!そんな・・・」

 

必死にフィロが何を思って何を考えてるか想像していたのに、でも気に入らないと言う、一体どうすればいいのだ。

 

「ふん」

 

口をへの字にして、つーん、という感じで俺を見るフィロ。

人の感情は難しい。

 

「フィ、フィロは難しいですね・・・」

「そんな簡単な人間だと思わないで下さい」

 

腰に手を当てて、『分かったような気になるな』とでもいうようにフフンと笑いながらそう言うフィロ。

 

とその時、茂みの方からガサッという音が聞こえた気がした。

 

「・・・」

 

音が聞こえた場所に意識を向ける、茂みから何かの気配がした。

いつでも動けるように気を引き締める。

 

「リリー」

「うん」

 

フィロも即座に魔法が放てるように、腕を前に掲げている。

気配の方向に集中する。

すると、ガサッという音と共に茂みが小さく揺れて、何かがピョンと飛び出した。

 

「・・・」

 

出てきたのは四十センチ程の草色の毛玉、素早いけれど攻撃的ではないウサギの魔物。

 

「グラスラビットだね・・・」

「はい・・・」

 

特にこっちを気にする様子もなくジッとしている、俺たちも止まったまま見つめていると。

 

「あ」

「あ」

 

またガサッという音と共に同じ色の毛玉がもう一つ飛び出した。

二匹のグラスラビット、すると後から出てきた毛玉がもう一匹の背中に飛びつく。

そして飛びついたと思うと今度は、腰を素早くシュシュシュッと振るわせた。

振り終えると二匹はサッと離れて、そのまま茂みに戻って行った。

 

「・・・」

「・・・」

 

唐突に交尾を見せつけられた俺たちの間に妙な空気が流れる。

 

「・・・結界、張り忘れてました」

「そっか・・・」

「つがい、ですかね・・・」

「ですかね・・・」

 

二人で警戒を解き、立ち尽くす。

時間的にはそろそろ休む頃合いだ。

 

「あー、その・・・そろそろ休みますか・・・?」

「うん・・・もう時間だしね」

 

この空気の中フィロとくっついて寝るのかと考えたら変な気分になりそうだった、冗談でも胸揉んで良い?とか言える気がしない、絶対息子が起立してしまうから。

だから俺はそれ以上考えることをやめてフィロの腕の中で眠りについた。

当然すぐには寝れなかった、背中にはあの柔らかいフヨフヨが当たっているのだ。

彼女のえっちな姿が脳内に召喚されそうになる、それを必死で振り払い、ゆっくり時間をかけて落ち着いた。

いつしか俺は眠りについていた。

 

 

 

 

 

「リリー」

 

フィロに呼ばれて意識が戻る。

目をこすり少しの間ボーッとする、暖かくて気持ちが良い。

 

「・・・リリー、もう少し寝ますか?」

「いえ・・・気持ちよくてボーッとしてしまいました、交代しましょう」

「じゃあ、いいですか?」

「うん、フィロもゆっくり休んで」

「分かりました、あとはお願いします」

 

二人で場所を変わる、昨日のようにフィロを後ろから抱えるように抱きついた。

 

「・・・当たり前のように触りますね」

 

触る、というのは当然胸である。

 

「そりゃあ、ダメって言われませんでしたから」

 

そう言ったあとで『あ、これは言わなければよかったか』と思った。

 

「へぇ?ダメって言ったらどうするんです?」

 

やはり言わなければよかった。

 

「まって今のなしです、後生ですから、ね?お願いします」

 

「後生って・・・大袈裟ですよ」

「だって見張り中の楽しみといいますか、癒しなんですよ、これがなくなってしまったら俺は悲しいです」

 

そうだ、これは俺の癒しだ、今後も旅をする中でこれがあるのと無いのではモチベーションに大きな差がでるだろう。

最初から触らせてもらってなければ別になんともなかったと思う、だがもうそうではない。

一度与えられたものを取り上げられるというのは大変ショックなものだ。

 

すると懇願する俺にフィロは交換条件を出してきた。

 

「・・・なら、一つ私のお願いも聞いてください、リリーだけ癒しの時間があるのはずるいです、等価交換を」

 

一体何を要求されてしまうのだろうか。

 

「俺にできる事?」

「・・・二の腕を触らせてください」

 

二の腕?俺の?

 

「えっと、いいけど」

 

それだけ?と思ったが、何となく口には出さなかった。

 

「今触る?」

「・・・リリーが良ければ」

「構わないよ、直接触りたいって事だよね?

 

そう聞くと、コクリと頷いた。

 

「じゃあちょっとまってね」

 

袖の長い服を着ているため、直接触るとなると袖から腕を抜かなければいけない。

俺は左腕だけ袖から引き抜いて「いいよ」といってフィロが触りやすいように腕を少し前に出した。

多少鍛えてはいるものの、ムッキムキというわけではない、体脂肪も少しはある、多分二の腕には薄く脂肪が付いてると思う、それをフィロが控えめにフニフニと触った。

 

「・・・」

 

少し触っていると、一旦手を離してモゾモゾと体を捩りながら左に回転するように動きだした。

そして真横を向くと動きを止めて、また触り出す。

触りにくかったのだろう、体を左に90度回転させて俺の左腕が自分の真正面に来るように動いたようだ。

 

フニフニ

 

正直ちょっとくすぐったい、だが拒否するほどでもないので好きにさせる。

そうして一、二分ほど触っていると、手を離して前に向き直った。

あまりお気に召さなかっただろうか、そう思っていると。

 

「ありがとうございます・・・また触ってもいいですか?」

 

いいも何も好きにしてくれていい。

 

「もちろん、いつでも触ってもらって構いません」

 

そう言いながら俺はまた胸に手を置いた、フィロは何も言わなかった。

“等価交換”

俺の二の腕とフィロの胸が等価だとは全く思わないが、彼女にとっては何か価値のある事だったのかもしれない。

 

「あの・・・揉まなくていいんですか?」

「え?」

「え?」

 

唐突にそんなことを聞いてきた。

ていうか揉んでいいの?何で?

 

「いや・・・私もリリーの腕を揉んだので、てっきり揉まれるかと思ったのですが」

 

揉んだら揉まれても仕方ないという法則でもあるのだろうか。

もしくは、揉んで良いのは揉まれる覚悟のあるやつだけだ、とか?

 

「あーっと、寝れないかなと思いまして、でもフィロが良ければ少しだけいいですか?」

 

ちょっと嘘をつく、寝れないだろうと思って揉まなかったわけじゃないのだ。

 

「・・・程々に、お願いします」

 

よし、では程々に揉ませていいただこう、と思った瞬間ある考えがよぎった。

フィロは俺の腕を直接揉んだ、そう、直接だ。

そして俺の腕を揉んだから自分も、と言った。

ならその理屈で言うと俺も直接揉んでいいのでは?

どうする、言ってみようか。

だがここまで考えて問題が生じた、息子が起立しそうになっている。

もし本当に直接オッケーなんて事になったら確実に立ち上がってしまうだろう。

となると彼女の腰辺りにコイツをグイグイと押し付ける事になってしまう、それはいけない。

俺はすんでのところでとどまった。

 

ムニムニ

 

柔らかい、フィロは小柄で童顔だが胸は結構大きい、俺の手では若干収まりきらないくらいの物を持っている。

それを優しく揉んだり少し持ち上げてみたりする、そろそろ一分は経過しただろうか。

あまりやりすぎるといけないな、そう思って手を止めた。

なんとなく他も触りたくなって、お腹に手を置いた。

しばらくするとフィロの寝息が聞こえてきた。

そして夜は更けていく。

 

暗く静かな夜が続く。

夜明けまであとどれくらいだろう。

辺りは寒く、けれど俺は今暖かかった。




ジェイは転生した日本人です、リリオンの過去回で出てくると思いますが、今後の話でジェイが二人と深く関わるかは分かりません。

とりあえずこの世界にも転生や召喚などがあります。
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