※この作品はR-18です。

僕と死神と王の証   作:はつのとうこ

27 / 65
二十七話

 

 

 

 

 

 

「おはよう、スグハ」

 

「……うん……おは、よう……」

 

 寝ぼけた声でそう返すと、アリアはニカッと笑った。昨日よりはよほど元気な、いつもの彼女の笑みだった。

 ホッとしてあくびをすると、とりあえず目の前に広がっている褐色の裸体を眺めた。いい凹凸加減で艶も良い、褐色肌のボリューミーな女体。考えるまでもなく手近にある巨乳に触れる。

 むっちりと肉の詰まった乳袋を確かめるように揉みほぐす。パツパツの巨乳にずぶずぶと指が沈んでいく。幸せだ。ずっと揉んでいたい。

 ゆっくりと脳に血が通い始め、徐々に覚醒する脳がもっともっとと快楽を欲する。

 もっさりとした動作で、許可も取らずに直刃はアリアの乳首に吸い付いた。ビンビンに勃起した突起を口の中で飴玉みたいに転がす。

 アリアは特に驚くこともなく、微笑ましそうに直刃の後頭部を撫でた。

 

「いつも思うんだが、それは寝起きの儀式か何かなのか? 朝起きるたびに誰かしらの乳をターゲットにしてはやってるけどよ」

 

 ちゅぽんと乳首を口から離すと、とろんとした目で直刃は苦笑した。アリアと目を合わせると、お互いに顔を近づけて軽く口づけする。

 

「……どうだろうね……気がついたら習慣になってたんだよね」

 

「なんだそりゃ」

 

「元は……朱雀さんが、その……毎朝おっぱいをぶつけてきたのが始まりだったんだけどさ……その内朱雀さんがっていうより僕がハマっちゃってさ」

 

 「アホっぽいな」とアリア。少し間を空けて「アホっぽいね」と直刃。二人は笑いあって、体をもっと密着させた。

 肉感的な太腿が直刃の腰に絡みつき、彼女の股間部の湿り気をペニスが敏感に感じ取った。

 

「……入れるよ」

 

「ああ、待ってたぜ……♡」

 

 亀頭がヌレヌレの花弁に沈む。カリ首を飲み込んだあたりで締め付けは万力のようになってきて、根元まで入る頃には絞め殺されそうなほどキツキツだった。

 直刃は呻いて腰を引くが、逃がさないぞとおまんこは直刃の腰を追ってきた。そしてそのままロックするように脚で腰を掴まれる。

 

「あ、アリア、だめだよ、す、すぐ出ちゃう……」

 

「たっぷり出せ。目がさめるぞ♡」

 

 ぬちゅぬちゅと腰を揺するアリア。淫壁が肉竿を抑えつけ、脈動するような動きで射精を求めていた。

 寝起きのペニスにこれは厳しい。竿肌がくまなくしゃぶり回されて直刃はあっけなく果ててしまう。

 意識が覚醒し始めると共に絶大な快楽に腰が飲み込まれる。

 

「あっ、ぁぁ、ぁぁぁぁっ……♡♡」

 

 びゅぶぅ、びゅ、っ、びゅびゅぅ。

 

 のろりとしたスピードで、ぶぴゅうと精子が漏れ出る。いつもと打って変わって勢いのない射精だが量は変わらず、ドプドプとアリアの膣内におびただしい量のスペルマが流し込まれた。

 

「んはぁぁぁぁぁ……♡♡」

 

 心の底から蕩けるような声でアリアが鳴いた。直刃はそれを背景に、無意識に腰を動かし始めた。

 腰を引こうとすると膣肉がきゅんきゅんとペニスを圧迫してくる。直刃はアリアの豊乳を揉み潰しながら、なんとか引き抜く。

 ある程度まで下がると、今度はずぶずぶとペニスを潜り込ませる。背筋がゾクゾクする快楽が直刃を襲い、頼みの綱のおっぱいがなければ気がどうにかなりそうだった。

 乳を揉んでなんとか正気を保ちつつ、アリアの表情を伺う。目元を緩ませてとろっとろに蕩けた彼女は目線が合うと待ってましたとキスをせがんできた。

 アリアは、皆がいるとそうでもないのだが――二人の時は割とキス魔なのだ。今もそうなのだろうと察した直刃はアリアの唇にしゃぶりついた。

 

「むちゅぅ、ちゅるっ、じゅぅぅぅっ……♡♡♡♡♡」

 

 唾液が混ざりあって、甘い匂いが鼻腔を突き抜ける。配下の死神達に大変好評な『ゆっくり大好き朝ピストン』を行いながら、舌を絡ませ合う。尚、命名はいつもの彼女である。もはや何もツッコム気は起きなかった。

 

「ちゅ、ちゅっ、んぁっ、んっ……♡♡♡♡♡」

 

 ピストンを続けながら、段々と目が覚めてきた直刃はアリアを下に敷くように覆いかぶさる。一瞬で正常位になった二人は相変わらずキスを続け、ズボズボと蜜壺を抜き差ししていた。

 

「アリアっ、アリアぁっ……」

 

「んんっ、ぁぁっ、スグハっ、良い♡♡ 朝チンポ良いっ♡♡♡♡♡」

 

「アリアのおまんこ、気持ちいいよっ……ちんちん潰れちゃいそう……っ」

 

 射精したばかりだというのに、直刃はもうすでに射精欲が爆発していた。肉棒で膣内をかき回し、強烈に腰を打ち付ける。

 

「んぁ、あっ、あんっ、ああっ……♡♡♡♡♡♡」

 

 直刃の動きから射精が近い事を見抜いたのかアリアの動きも積極的になっていった。一突き一突きをアシストするように腰を浮かし、肉付きのいい女体で直刃の性欲を受け止める。

 好きなだけ出していいぞと受け身のアリアに直刃はぽっと顔を赤らめた。言葉を失うくらいに綺麗で可愛い彼女を全力で愛そうと腰に力を入れる。

 直刃は顔の赤さを誤魔化すように腰を振り立てる。雌孔をほじくるように肉棒を動かし、玉袋が硬く収縮し始める。気持ちのいいおまんこはこの世のものとは思えない快楽を直刃に供給し続け、もう射精は目前だ。

 

「んぅ、チンポビクビクしてるっ♡♡ スグハぁっ、もう出るのか……♡♡♡♡」

 

「くっ……だ、だってアリアが気持ち、ぅっ、良すぎでっ……」

 

「我慢するな、出せ、おまんこにいっぱい出せっ……♡♡♡♡♡♡」

 

 蟹挟みのように脚で腰を拘束し、無慈悲な快楽を容赦なく肉壺で与えてくる。直刃は逆らう事なくペニスを立たせ、また自身も欲望に逆らえずピストンを続ける。

 お互いに体を抱きしめあい、パンパンと肉の鳴る音を響かせる。乳房に顔を埋め、直刃は鼻息を荒くしてふんふんと膣を貫く。

 もはや寝起きとは呼べず完全に覚醒した直刃は、いつもの通り大きな怒張で容赦無くアリアを蹂躙する。待ち望んだ快楽にアリアは大きく身を震わせた。

 

「アリア、イっちゃった……?」

 

「ま、まだイってない……でもっ、あはぁっ♡♡ も、もうイきそうだ……♡♡♡♡」

 

 それを聞いてますます興奮する。「一緒にイこうね」と頰にキスをすると、アリアはこくこくと必死に頷き、レロレロと口を開けて舌を動かしていた。もっとキスさせろという事なのだろう。

 まるで娘をあやすような気分になりつつ、しょうがないなぁとお望み通りキスをしてあげる。彼女は顔が近づくと満足そうに鼻を鳴らし、キスをすると感極まって体を跳ねさせた。

 ぶるんぶるんと直刃の胸板に乳房がぶつかる。グイと下から掬い上げるようにしてその膨らみを掴むと、ぎゅうぎゅうとこねまわす。アリアの鼻息が一気に荒くなり、くぐもった悲鳴が口を通じて直刃の体に響いた。

 乳房を揉み、前後運動をさらに加速させる。手の中でぷにゅりと形を変えるスライム肉をしつこく揉みまくり、その反動で閉まる膣をくまなく味わう。男根が根元から先端までずっぽりと膣肉に包まれ、じゅるじゅるとしゃぶりつくされる。直刃の精巣が激しく燃え上がる。

 愛おしい。自分の欲望だけしか考えていない乳揉みにも彼女は馬鹿みたいに感じてくれる。その上直刃もお返しに気持ちよくしてやろうと膣道を目一杯動かしてくれるのだ。これで愛おしく成らない訳がない。

 有り余る興奮を女体にぶつける。

 

「で、でちゃう……でちゃう……アリア、二発目イクよっ……!!!!」

 

「んっ、ああ♡♡ 出せ……♡♡ 今日の分がなくなるまで全部出せ……♡♡♡♡」

 

「出るっ、ありあっ、おまんこの中に出すよっ……!!」

 

「んぁっ♡ あっ♡♡  ちんぽびくびくしてるぅ♡♡♡ おまんこの中でびくびくしてるっ♡♡♡♡♡♡ スグハ、もうイくぅっ♡♡♡♡ 朝っぱらから二回も中出しされてイクっぅぅぅっ♡♡♡♡♡♡」

 

 一際大きく腰を突き上げると、ガツンと衝突音を膣内に鳴り響かせて亀頭を子宮口にぶつける。アリアの背筋がピンと伸びきり、互いに情けなく喘ぐと、そのまま絶頂へと達してしまう。

 

 びゅっ、びゅっ、びゅびゅびゅぅぅっぅぅぅ。

 

 先ほどとは比べ物にならない勢いでスペルマが排出され、脳内と膣内を真っ白に染める。しかも止まらない。気持ちよすぎる。

 じゅっぷじゅっぷと射精しながら腰を揺する。アリアがやめてくれと懇願するような声で鳴いた。

 彼女は絶え間なく流し込まれる精子にあへあへと軽い絶頂を繰り返し、今尚射精中の亀頭に子宮を殴られる度に体を跳ねさせた。

 そのまま腰を優しく振っていると、アリアの小刻みなエクスタシーに誘われて第二の絶頂が直刃を襲う。

 

「んぐぅっっっっぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!♡♡♡♡♡♡」

 

 射精が止まりかけた瞬間、突然勢いを取り戻した精子が膣内をさらに埋め尽くす。膣口からどろどろと溢れるザーメンが如何に直刃が大量に子種を産みつけたのだと物語っていた。

 気持ちのいい絶頂が終わりなく続く。直刃は意識を朦朧とさせながらへこへこと腰を振り、精巣にある精子を出し尽くそうと亀頭を雌壺に擦り付けていた。びゅくびゅくと長い射精が、今やっと終わろうとしていた。

 アリアも白目を剥きながら、それでも大好きな主にもっと気持ちよくなって貰いたいと膣を締める。エクスタシーの最中、考えることはただ直刃の事だけ。

 二人とも言葉もなく手を重ね合わさると、一度体を大きく震わせて、そのまま抱きしめあった。

 

「アリア、気持ちよかったよ……」

 

「ああ……」

 

 雌孔がスペルマに埋め尽くされる。精子だか愛液だか判別の付かないドロドロの液体を雁首でかき出しながら、ちゅむちゅむと射精後の敏感な性器を甘やかすように雌肉が引っ付いてくる。

 固く手をつなぎ合わせ、快楽を爆発させる。腰砕けになりそうな下品なキスを繰り返しながら、きつく締まる膣の中を優しくシェイクする。愛しい気持ちが止まらない。求める気持ちが加速度的に増えていく。

 

「んぁっ♡♡♡ っ、す、すぐはっ♡♡♡♡ ザーメンまみれの、ちんぽが、ああんっ!!♡♡♡」

 

「アリア、ごめん、止まらないよ……」

 

「ふっ、んっ♡ 我慢するな♡♡ 今日の分のせーしは、あんっ、全部注いで、いいんだぞっ!!♡♡♡♡」

 

 いまだ硬さを失っていない剛直が、スピードを上げてアリアに襲い掛かった。

 ぐりんとアリアの体をひねり、滑り込むようにして彼女の背に抱き着く。そしてすかさず彼女の片足を持ち上げ、ふんふんと肉感的なヒップに下腹部をたたきつける。

 いやらしい肉付きの太ももを激しく揉みしだきながら、うなじに顔を埋めて一心に腰を振る。よがり狂う彼女に際限なく欲情し、求めるがままに褐色の美女を貪る。

 

「あっ、ああっ、ああっ♡♡ んはっぁ、はぁっ、あああああっっ♡♡♡♡」

 

 たぱたぱと肉がぶつかり、心地よい振動が直刃のピストンを促進させる。一突き一突きに、ぷるんと肉が揺れ、乳が揺れ、アリアが喘ぐ。たまらない感触に雄たけびを上げて、愛する人の子宮口を猛追する。

 アリアが大きく鳴いた。気を良くした直刃は大粒の汗を垂らしながら腰を突き上げた。

 

「んぅっ、すぐはぁ、きすぅ♡♡♡♡♡ きすさせろぉ♡♡♡♡♡♡♡」

 

 半泣きになりながらアリアは首を後ろに反らして唇を突き出してくる。直刃はまたもしょうがないなぁと笑い、要求されるがままに口を差し出した。

 

「んんっ、ぷはぁっ♡♡、んじゅ、ちゅっ、しゅぐはぁ♡♡♡♡ しゅぐはとのきしゅ、しゅきぃっ、んぷっ♡♡♡♡  んんんっ、はむ、ちゅう、ぴちゃ、っぅ、ちゅ♡♡♡♡♡♡」

 

 ぶちゅうと吸い付いてくる愛犬のような彼女に微笑みながら、直刃も負けじと彼女のコケティッシュなリップに吸い付く。キス前と比べ物にならなほどの締まりになった膣を肉棒で突き回し、抑えの効かなくなった獣性が直刃を支配する。

 

「はっ、はっ、はっ……!!」

 

「あはっ、ああ、もう、いくっ♡♡ すぐはぁ、いきそうだっぁ♡♡♡♡」

 

 僕もだよと伝えようとしたが、その思考は肉欲にかき消される。返答すら満足にできない状態の中、射精へと駆け足で進んでいく。

 ありったけの力でむちむちの太ももを揉み、ありったけの力で腰を振るう。寝起きからハードすぎる運動に直刃は息を荒げ、そろそろ限界を悟る。

 膣が精子を搾り取るようにぐいぐいと肉竿を締め上げてくる。ハメ込んだ雌孔はグチュグチュと卑猥な水音を鳴らし続け、子種はまだかと愛液をこぼし続ける。

 我ながらペースの考えない射精だが、これは彼女がエッチだからに違いない。妙な言い訳をしつつ、直刃は射精の準備を始める。

 

「んほっ、ぉぉぉっ、おおっ、ほぉおっ♡♡♡♡ バカになるぅっ、ちんぽでバカになるぅっ♡♡♡♡♡♡♡」

 

「馬鹿になってもずっとちんぽハメてあげるからな。離さないよ、アリアっ……!!」

 

「離さないでくれっ、直刃っ♡♡♡♡ ずっとチンポ汁送り続けてくれっ♡♡♡♡♡」

 

 怒張を更に硬くすると、もう止められないピストンが暴走し始めた。この半年間毎日繰り返した高速ピストンを繰り返し、ただアリアに気持ちよくなって欲しいがために熱烈なキスを続ける。

 ベッドはまるでおねしょしたように汗と愛液と精液でベタベタになっていた。その上で狂ったように肉棒が前後し、いやらしい花弁がズボズボと貫かれている。

 連続射精のせいで敏感になったペニスが、ひときわ大きく波打つ。射精を感じ取った膣内が搾取の構えを取った。

 ああ、出る。

 言葉を介さなくてもお互いに分かっていた。

 だから、直刃は子宮口を目掛けて思いっきり肉棒を突き上げたし、アリアは亀頭を目掛けて腰を思いっきり下げた。

 ずちゅんと完璧にタイミングのあった二人は最大級の絶頂を迎える。

 

 どびゅぅ、びゅぅ、びゅびゅびゅぅぅぅぅぅぅっっっっ!!!

 

 

「んほぉぉぉおおおっっ!!!♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡」

 

「ぐっ、ううっ……!!!!」

 

 気がどうにかなるような、エクスタシー。

 二人はぎゅっとくっついて離れないまま、放心状態だった。

 

 

 

 

ーーーーーーー

 

 

 

 

 

 その後、二度ほど膣内出しして、パイズリを三回ほどした後、流石に喉の渇きと空腹を感じた直刃は、部屋の壁の時計に目を向けた。

 時刻はもう十一時になるかという頃合いだ。直刃は冷や汗をかいた。

 みんな自分が起きてくるまで朝食を待っているとしたら申し訳なさすぎる。死神達は皆従順だし、十分あり得る話だ。

 すぐに直刃はアリアと寝室を出ようとした。それもなるべく迅速に。

 けれどそれは出来なかった。アリアが駄々をこねて動かなかったからだ。

 

「アリア、みんな待ってるよ……」

 

「いや、悪りぃ眠いからパス。なんか作っといてくれ」

 

「もう、アリア……」

 

 粘ってはみたものの、結局、疲れたから寝ると布団を被ってしまったアリアを置いて、直刃は寝室を出た。アリアに対して甘すぎるとは自分でも思うが、昨夜の事を鑑みると彼女はそんなに寝れてなかったのではなどと邪推してしまう。それほど傷ついているように見えたのだ。

 あれほど寝起きからセックスしたのだし、少しは元気になったのだろうか。直刃は微笑みながら廊下を進む。

 

「みんな、遅れてごめんなさい……!!」

 

 リビングに降りると、既にテーブルには死神達が着いていた。

 慌ててみんなに頭を下げると、それぞれが微笑を浮かべて問題ないと首を振った。直刃はもう一度ごめんと謝った。

 懸念通りみんなを待たせていたことに肝を冷やしつつ、ふと見回して雷歌の姿が無いことに気がつく。

 

「氷室さん、雷歌は……?」

 

「下の階の空き部屋に……ですが、今近づくのはオススメしませんわ」

 

「えっと、どうしてって聞いてもいいかな?」

 

 直刃は胸にもやもやしたモノを湧き上がらせながら、雷歌について考えてみる。どう考えても先日の不定の悪魔の件だ。

 アリアと同じく、しかも彼女は一番近くで護衛していたとあって、落ち込みようは相当なのかもしれない。一応慰めてはみたものの、昨日は結局アリアと寝てしまった。ほったらかしにした罪悪感が心に冷たく刺さる。

 

「ええ、マスターの考える通りですわ」

 

 尋ねるというよりも確認に近い直刃の言葉に、氷室は頷き目を伏せた。直刃もそれっきり何も言わず、心の中で重い息を吐いた。

 彼女に関しては気にするなと言っても無理な話だろう。初代死神の話の通りなら、逆の立場で考えてみると落ち込むのも至極当然だ。

 直刃は死神達に何度も気にするなと言った。結果自分は生きているし、ならば何も問題無かったというのが直刃の考え方である。

 覆水盆に返らず。これは直刃がこれまでの人生の中で深く学んだ事だ。終わった事は仕方ない、前を向くしか無いのだ。

 もちろん、今これを雷歌の前で説いたところで効果は無い。彼女には相応の時間の経過と、そしてこれを帳消しにするような成功でも収めなければ気は晴れないだろう。

 

「王としての、有用性……」

 

 昨日の初代死神の言葉が蘇る。それは端的に言えば直刃が存在する事で生じるデメリット、それを超える有用性――つまりメリットを示す必要があるのだ。

 王として、死神を使いこなす。これが直刃の考える中で最もまともなメリットだ。もう一つ思いつく物もあったが、それはみんなに反対されるのは目に見えていたので直刃は胸に秘めておくことにした。

 ともかく、目下最優先なのは雷歌だ。死神の王の試練も気になるが、もしかするとその試練は既に始まっていて、これがその試練の一環なのかもしれない。悠長にほっとけば治るなどと抜かしていれば、不適格と見なされて死ぬかもしれない。どうにかしなければ。

 

「マスター、ご飯食べよう?」

 

 むぎゅうと朱雀に抱きしめられ自分の世界から引っ張り出されると、直刃はごめんねと謝りながら食事の席に着いた。

 直刃は今までの思考を振り払い、小さくいただきますと手を合わせた。

 それを見て死神達も主人に習って手を合わせると、各々朝食に手をつけ始めた。

 

「……」

 

 表面では、直刃は笑みを浮かべて朱雀の作ってくれた朝食を食べた。あくまで自然に、いつも通りに。

 ――が、考えるのは雷歌の事ばかりだ。食卓に彼女がいないだけで、胸にポッカリと穴が空いたような寂しさ。

 僕が、僕があの時気絶なんてしなければ、こんなことにならなかった。そう思うと雷歌がいたたまれない。彼女は僕が原因の事件に責任を感じているのだ。

 直刃の手は止まっていた。

 

「マスター……」

 

 氷室が心配そうに直刃を見つめ、次いで朱雀と紫羽も同じく心配そうな視線を送った。

 心配ないよと微笑む気力は、直刃には無かった。空虚な笑みを見せても、彼女達にはお見通しだと思ったから。

 朱雀が音を立てて立ち上がった。

 

「……マスターにそんな顔させるなんて、許さないんだから」

 

「朱雀さん、やめて。僕も悪いんだ」

 

「マスターに悪い所なんて無いですよ。あのクソ発電機が悪いに決まってます」

 

 「待っててください、首根っこ掴んででも連れてきますから」と、朱雀はリビングから勢いよく飛び出ていった。玄関への扉とは別の――下の階へと繋がる、もう一つの扉だ。いまだ直刃は入った事はない。

 朱雀を止めるべきだったのかもしれない。だがそれですら正しい選択なのかどうか、今の直刃には分からなかった。

 

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。