「落ち着きましたか、主?」
「……」
狭い個室の中、全裸の二人がそこにいた。直刃はトイレに座ってぼうっと虚空を眺め、紫羽はそんな直刃の血汚れを甲斐甲斐しく拭いていた。
血はなかなか落ちない。全て紫羽の血だ。直刃の目の前で紫羽はぐちゃぐちゃと肉片になった。
意識が過去に遡り、ぶるりと体が震えた。
目を腫らした直刃は何も言わず紫羽を抱きしめる。細いウエストに両手を回し、大きな爆乳に顔を埋める。
この短時間で色々ありすぎた。直刃にはとても受け止めきれないほどだった。
紫羽は「申し訳ありませんでした」と何度目かわからない謝罪をすると、そのまま直刃の頭を買ったばかりのゴワゴワのタオルで拭き始めた。
ここは『エイトビッチ』の男性用トイレの個室である。あの後手早く周囲の人間の記憶消去を行なった紫羽は、直刃を抱えて衣類やタオルなどをそのまま状態で購入し、今に至った。
紫羽はその間ずっと全裸だったのだが、不思議と呼び止められる事はなかった。
「……」
この個室に入ってもうかれこれ一時間は経つだろうか。流石に直刃も多少は放心状態から抜け出していたが、とはいえ心の傷は深かった。
もう何処にも行かないかと目線で紫羽に訴えると、紫羽は頷き微笑んだ。ぽふぽふとあやすように頭を撫でられると、直刃はホッとしたように息を吐き、両手の拘束を緩めた。
「さあ主、お次は下半身を拭きましょう? ゆっくりこちらに立ち上がってください……♡」
虚ろな目で直刃は頷き立ち上がった。狭い個室の中二人は密着するようになり、自然と体をこすり合せる。
肉付きの良い肢体がむちっと密着した。だがとてもいつものようにセクハラする気にもなれず、直刃は小さく息を吐いた。
これからどうするのと疑問の視線を向けると、紫羽は目をハートマークにして舌舐めずりをした。
「失礼します……♡♡♡♡」
大ボリュームの乳房をわざとらしく顔にぶつけてくると、そのまま誘うように体を沈めていく。柔らかな乳房が肩にあたり、胸板に潰れ、腹部に擦り付けられ、そして下腹部でぎゅむと押しつぶされた。
ガニ股に脚を開いた紫羽はメガネのレンズ越しに直刃を見上げる。その視線は欲情した獣のような視線だった。
「主、紫羽はずっとお側に居ます。もっとリラックスして……♡」
紫羽はいやらしい手つきで直刃の尻を揉み、そして陰嚢にも触れた。
さわさわと玉袋を揉みほぐしながら、乳房の間からぶるんと男根を取り出す。
二、三回扱くだけですぐにそれは硬くなった。もはや王としての情景反射であり、直刃の精神状態など関係なかった。
あらあらと嬉しそうな声をあげて、紫羽は亀頭にしゃぶりついた。暖かい口の中でペニスがビクビクと跳ねる。
「ああん、美味ひぃ……♡♡♡」
彼女は美味しそうに肉棒を頬張りながら、れろれろと舌で舐めまわす。どう見ても汚れを落とす動作ではないそれを目の当たりにした直刃は、我ここにあらずといった様子でその光景を眺めた。
紫羽は舌を突き出すとそのまま竿を伝って陰嚢を舐め始める。もちろんペニスを扱く事は忘れず、丹念に右手でしこしこと上下されていた。
「すーはー、すーはー……♡♡♡♡♡」
ぺちぺちと舌先で金玉を叩きながら当たり前のように鼻の頭をこすりつけて臭いを嗅ぐ紫羽。天にも登りそうな顔で、余った左手を使いぐちゃぐちゃと自分の股ぐらをかき混ぜていた。
「主の汗まみれの臭い、ああっ、たまらない……♡♡♡♡」
荒い息で臭いを嗅がれながら凄まじいバキュームで玉袋の皮に吸い付かれる。ちゅぱちゅぱと飴細工のように袋皮を舌でいじられ、咀嚼するように袋をまるごと甘噛みされる。直刃は言い様のない快楽に身をよじるが狭い個室に逃げ場はない。
「あうっ、あっ……!」
情けない声が出る。紫羽はそれに気を良くしたのか再び肉棒にしゃぶりつくと頭を前後させた。
えげつないほど喉の奥までペニスが突き刺さると、じゅぽじゅぽと前後運動。縦横無尽に舌で竿肌を舐め回され、喉の奥で亀頭をぎゅうと締め付けられる。
思わず腰が前に出る。亀頭が喉の奥に突き刺さり「うぶっ」とえづく声が聞こえたが、構わず紫羽の頭を掴むと、直刃は彼女の呼吸など気にせずに腰を振り立てた。
「んごっ、んぐ、んぐぅ、んっ、ぉっ……♡♡♡♡」
家畜のような声で紫羽が鳴く。よだれと涙をぶちまけながら、それでも見上げてくる紫羽の目は欲情が伺えるほど淫猥な形をしていた。
背筋がゾクゾクして、直刃は腰が止まらなくなる。唾液混じりのくぐもった声を聞きながら性欲のままに紫羽の口内を犯す。
激しい動きははたから見れば紫羽を虐待しているようにしか見えなかっただろう。事実、直刃を突き動かしているのは性欲と、ふつふつと突然湧き出してきた確かな怒りだった。
どうしてあんな事があったのにこんなにいつも通りで平然としていられるのだろう。その疑問はすぐに怒りへと変わった。
自分でも八つ当たりだという事は理解している。けれども目の前で一度死んだ彼女はケロッとしていまも自分の性器を舐めているのだ。なんだか馬鹿にされているみたいで面白くなかった。
紫羽は目の前にいるのに、直刃の不安は増していた。紫羽が死んだ瞬間が頭から離れない。
ガツンガツンと前歯に下腹部を押しつけるように腰を突き出す。興奮を抑えず、全開で紫羽の口内を犯す。彼女はその都度喘ぎ、ふごふごと苦しげな呼吸を漏らす。
制御できない腰の動き。人間であれば窒息死も考えられるほど強いピストンに対し、紫羽はぴちゃぴちゃと股から淫蜜を垂らして目にハートマークを浮かべるだけだ。
目を合わせると、もっと直刃が望むように動かせと、そう言われた気がした。
直刃は早く射精しようと、更にスピードを早めた。その分ペニスに伝わる快楽は尋常ではなく、すぐに直刃は射精する羽目になった。
人生初のイマラチオはなんとも心地よい支配感と、よくわからない寂しさに満ちていた。
「ぐぅっ……!!!」
「んんぐぅ……!♡♡♡♡」
ハイペースで腰を振っていたからか射精の勢いは凄まじいものだった。紫羽の髪束を握り締めながらびゅーびゅーと射精をする。
「んく、んく、ごく……♡♡♡♡」
運動終わりのスポーツ選手のように紫羽は精子をがぶ飲みする。どろみのある直刃の精子をスポーツドリンクか何かと勘違いしているのかと思うほどの飲みっぷりだった。
その間も竿肌を舐めまわし続け、尿道に詰まったスペルマも軒並み吸い取られてしまった。
「ぷはぁ……♡♡♡」
やがて全てを嚥下すると、紫羽はむわりと口をあけて大きく息を吐いた。
大満足と顔に現れた状態で彼女は淫靡に笑った。そして亀頭にこびりついた精子をめざとく舐めとりながら、肩を押して直刃を優しく便座に座らせる。
「さて、こちらもお願いしますわ……♡」
むんと発情した淫らな割れ目が直刃の眼前に差し出された。女性らしい丸みの足の間から、ひくひくする膣口がトロリと雌蜜を垂らし、いっそうの興奮を誘う。
ゴクリと唾を飲み込み、直刃は何も言わなかった。言ってどうなるとも思わなかった。
紫羽は直刃のその態度を肯定とみなしたらしい。歓喜に満ちた顔で身を震わせると、腰を下ろした。
ずぶり。肉棒が一瞬で雌壺に飲み込まれた。瑞々しい女体が直刃の体に押し付けられ、顔面から乳房にぷにゅんと飲み込まれていく。
「あはっ……♡」
フチなし眼鏡の内側に、淫獣の眼が見開かれた。彼女は両手で直刃の後頭部を抱きしめ逃さないように拘束すると、膣を慣らす事もせずゆっさゆっさと腰を上下させる。
大洪水になった膣がにゅるにゅるとペニスを飲み込み、そして吐き出す。際限なく溢れる愛液が下腹部に付着していく。
紫羽の膣内は魔窟だ。入り口は天使のように優しく柔らかな感触であふれているのに、奥に入ると途端にキツく締め上げてくる。亀頭が押しつぶされそうな地獄のような子宮口近くはとても耐えられるものではない。直刃は不規則な呼吸を強いられ、射精堪えるのに精一杯だった。
「主、我慢なさらないで。紫羽の中に全てを吐き出して……♡♡♡♡♡」
耳元で淫魔の囁き。視覚情報は乳房で埋め尽くされ、一層研ぎ澄まされた聴覚が脳内に伝達する。魔術でも使っているのではと思うほど淫靡で性欲に訴えかけてくるその言葉は、推測するに紫羽の思惑通り肉棒がさらに大きくなる事となった。
ずちゅずちゅ。にちゅにちゅ。耳から伝わる音はエロスのみ。加えて胸の谷間は酸素が薄く、次第に気持ちいいとしか考えられなくなってくる。
直刃は窮屈な谷間の中で舌を出すと、乳肌を所狭しと舐めだした。魔性の魅力に満ちた柔らかさに身も心も奪われる。
「ああ、主ちんぽきもちいっ……♡ おまんこ蕩けるぅっ……♡♡♡」
「ううっ、と、とれちゃう……!!」
締め付けは天国であり地獄であった。竿肌に与えられる快楽は絶大で、今にもペニスが取れそうなほど締まりが凄い。直刃は虚空に手を振り回し、そして歯を食いしばってなんとか耐える。
紫羽は目敏くその動作を見つけるとがしっと両手を拘束し、自らの胸元に強引に引っ張る。されるがままの直刃の両手には大質量の乳房が握らされた。
「主、早く吸ってください……♡♡♡ 乳首ビンビンに膨らんで、破裂しそうです……♡♡♡♡♡」
無遠慮に乳房を握ると、ぷしゅっと液体が飛び散る音を感じ取れた。紫羽の肉体から随時送り込まれる絶望的な快楽に顔をしかめながら、直刃は背を反らしてぷっくり膨れた乳首に目標を定めるとかぶりついた。
「んあああぁぁぁぁっっ……♡♡♡♡」
勢いよく乳汁が噴出し、口の中に甘い香りが広がる。左右の乳首に交互に吸い付くが勢いは収まらず、紫羽は激しく体を振動させてあへあへと喘ぐのみだ。
直刃は容赦なく腰を突き上げた。競走馬にムチを入れるみたいに子宮を小突き回す。
「んん、あああああああっ、ぁぁぁぁっ、あんっ、あっ、ああっ♡♡♡♡♡」
ぷしゅっぷしゅっと乳首と膣口から液体が飛び出る。相当気持ちよかったのか紫羽は珍しく言葉も上げられずに直刃に犯されている。
突けば突くだけ反応をしてくれる紫羽に、直刃の嗜虐心が膨れ上がった。
直刃は前歯で紫羽のこりこりの乳首を甘噛みする。弾力のあるそれを形が変わるまで噛み潰す。
「んおおおおっ!!!♡♡♡♡♡♡♡♡」
大きく女体が跳ねた。尚も乳首を噛んで離さない直刃、余計に乳首は引っ張られ噴水のように乳汁を噴出した。
いやいやと首を振るように紫羽は抵抗するが些細なものだ。直刃は見えなかったように振る舞うと次の手を打つ。
年の割に大きな男根を力ませると、淫裂がひしゃげる勢いで腰を突き上げる。根元まで沈ませるとぴくぴくと膣内が痙攣を始め、そして紫羽の総身が激しくのけ反る。
逃がさない。
とっさに紫羽のくびれた腰に手を置き、ぐいと押し下げる。逃げようと浮き上がった腰は再びペニスの地獄に堕ち、狂ったように蜜液を吐き出した。
強烈なペニスの締め付けに直刃は全身を硬くして堪える。柔らかなマシュマロおっぱいを握り潰し、その先端の乳首を嚙み潰し、頑なに射精するまいと根性で耐える。
けれど限界は訪れた。魔窟のような雌壺は絶頂に待ったを掛けれるような生易しいものではない。絶え間ない快楽に負け、びゅうびゅうと亀頭から雄汁を吹き出す。
鈴口の奥から一度精子が飛び出ると、その先頭に引っ張られるようにして玉袋にて製造された子種が勢いよく射出される。
どびゅっ、びゅぶるるるるっ。
「んっ、ちん、ちんぽじるっでてるっ、おまんこのなかでちんぽ汁があふれてるっ♡♡♡♡♡」
「うあっ……!!!」
びゅぐぅっ、びゅるるるるるっ。
二人は互いの体をかき抱いて身悶えた。震えが止まらず、両者は性器から驚くほどの液体をまき散らして絶頂を繰り返す。
換気のされない個室、二人は汗まみれで体を密着させ、性欲に溺れる。
ひと段落したのか、紫羽の雰囲気は休憩を求めていた。ぎちぎちと締め上げてくる膣内は打って変わって優しく撫で回すようなものになっており、射精したばかりのペニスがふわふわの膣肉に癒される。
「……っく!」
それでも、焦る直刃は、射精も満足に終わる前に直刃は紫羽の体を持ち上げようとした。
精子が残らず魔力に変換された感覚があった。まだ紫羽の全てを満たしていないのだ。早く射精しなければ。
魔力が無くなれば、紫羽の死が現実になるかもしれない。それだけは避けなければならない。
気がつけば涙が浮かんできた。
「紫羽さん、死なないで……!」
汗まみれの女体をきつく抱きしめる。離したくない、離れたくない。もう二度とあんな光景は見たくなかった。
魔力が無くなれば、死神も人も大して変わらない。いつ悪魔達が襲ってくるかもわからない。急がなければ。
もがく直刃を、紫羽がゆるりと抑える。
優しい手つきで頭を撫でられ、見上げれば彼女は静かに微笑んでいた。
「落ち着いてください、主」
「で、でもっ……!」
チュウ、と額に甘くキスをされる。不思議と気持ちが落ち着いてくる。
惚けた顔の直刃に紫羽は問うた。
「――主、死神の王は辛いですか?」
答えづらい質問だった。
けれども答えない訳にはいかなかった。
「うん……」
「もう、逃げたいですか?」
ゆっくり頷くと、彼女は畳み掛けるように尋ねてくる。
「……うん」
紫羽の声が心に突き刺さった。情けない主人でごめんと、心の中で何度も謝る。
紫羽がゆっくりと息を吐いた。直刃は目を伏せ、次の彼女の言葉を待つ。
そして、直刃は己の耳を疑った。
「主、ならば捨ててしまいましょう。無理をする必要はないのです、死神達を諦めれば良いだけ」
「――え?」
自分でも間抜けな声だったと思う。でもそれどころじゃなかった。
「紫羽さん、それってどういう意味……?」
「もうこれ以上傷つく主はたくさんです。死神の王をやめ、二人で静かに暮らしましょう」
「どうやって、そんな……」
「――紫羽は貴方と共に居たいだけ。それだけなのです」
紫羽の瞳はギラギラと輝いていた。