西園楓さんは、僕の憧れの人だった。
大学ミスコン前人未到の四連覇の偉業を持つ文学部のマドンナ。
ショートヘアの似合うクールビューティ。
本人がEカップだと公言するボリュームのある胸。
それだけでなくスタイルも抜群で、身長が175センチあればモデルになっていたと本人も言っている。実際、彼女のプロポーションと容姿とオーラなら、間違いなくトップモデルになっていたと確信できる。
西園さんとは大学一年のときのクラスが同じで、かといって会話をしたことがあるわけではなく、ただ一方的に憧れる存在だった。
大学のクラスというのは高校や中学のそれとは違い、四六時中一緒に過ごすわけではない。授業は各々自分の好きなものを履修するし、単に大学初年度のオリエンテーションの為だけのクラス分けとも言える。
なので最初のオリエンテーションと任意参加の大学祭が終われば、クラスメイトの繋がりは消滅する。
ご多分に洩れず、僕と西園さんのわずかな接点もそこで潰えた。
僕は西園さんの「一応」クラスメイトという立場から、ただ大学の学部が一緒なだけのモブと化したのである。
いやまあ最初からモブだったんだけど。
だって僕のような童貞が西園さんのように美人で胸の大きい女の人と付き合えるわけがないから。
ただ遠くから、眺めてるだけで十分だったから。
「好きです! セックスを前提に僕と付き合って下さいっ!!」
だからその男が目の前に現れたとき、本当に気が狂ってると思った。
彼は同じ文学部の坂上大介という男。
ガタイが大きく、野人みたいな見た目をしており、陰ではネアンデルタールと呼ばれている粗野な男である。
どう見ても、僕と同じ童貞。
同じ、なんて括りすらされたくない。僕も彼も童貞だが、少なくとも彼よりは上のカテゴリーに位置していると自信を持って言えた。
それだけネアンデルタールの彼が、周りから馬鹿にされているということでもある。
そもそも彼は、こうやって西園さん以外にも色んな女の子に声をかけている。
しかもセックスを前提になんて、付き合うのはどうでもいいからとにかくセックスだけさせて下さいと言っているようなものだ。
それを西園さんだけでなく複数人にだなんて、見境がないにも程がある。
そもそも彼のような粗野な人間が西園さんに声をかけること自体許されないのに、いったい彼は、どういうつもりで彼女にあんな告白をしたのか。まさか自分が本当に彼女とセックスをできると思っているのか。
だとしたら思い上がりにも程がある。
自分が底辺に位置する人間であることを自覚しているのか。僕も君も、同じ底辺かもしれないけど、少なくとも僕は、西園さん以外の女の子なら普通に付き合える可能性を秘めている。相手が高嶺の花の西園さんだから付き合えないだけなのだ。
でも君はどうだ?
西園さんじゃなくても、同じ文学部の山中さんじゃなくても、君は十把一絡げの一般女子とも付き合えないじゃないか。
だってそうだろ?
君は紛れもない底辺なんだから。
僕も含む底辺の中の、そのまたさらに底辺なのだから、彼女に可能性があるなんて、思うことすら罪なんだ。
「鏡見て言ってる?」
案の定、西園さんの答えは辛辣だった。
しかし、事実である。
ミスコン覇者の西園さんとネアンデルタールの彼とでは釣り合えるはずがない。それこそ彼女が言うように、鏡を見てから考え直せという話である。
でもこれは、僕が言われていたかもしれない言葉でもある。
仮に僕が西園さんに告白しても、同じだ。
周りからは同じようなことを言われるだろう。鏡を見てから言えと。僕と西園さんでは釣り合わない。ネアンデルタールと西園さんが絶対釣り合わないように、僕もまた西園さんとは、住む世界が違うのだ。
それなのに、
『あぁっ、ぁんっ、大介っ、それすごいっ、そのぶっといチンポで私の奥そのまま抉ってっ――』
パソコン画面の中で、西園さんとあのネアンデルタールが、セックスをしていた。
有料の配信サイトで、海外サイトだから当たり前だがモザイクすらかけずに、あの西園楓さんが、あのネアンデルタールのおぞましい男性器に貫かれている。
簡単に言うと、後背位。
僕が見たいと思っても絶対見ることのなかったたわわなおっぱいを、薄桃色の美しい乳輪と乳頭ごと揺らして、あのネアンデルタールに後ろから腰を突かれている。
そしてとんでもないことに、西園さんは彼の行為を拒否していない。
自らネアンデルタールのネアンデルタールペニスを迎え入れて、恋人以外の男には絶対見せることのない、感じ切った表情を全世界に発信している。
どうしてこんなことになっているのか。
僕の頭は大いに混乱した。
なぜ坂上大介が西園楓さんとセックスできているのか。そのセックスを、どうして西園さんは拒否しないのか。どうして。どうして。どうして。
『楓、ここがいいの?』
『あぁんっ♡ これ凄いっ――大介のチンポ、おまんこに擦れて気持ちいいっ♡』
僕の脳は、情報処理能力がとっくにオーバーしていた。
どうして西園さんはこの男とセックスしている。
どうして坂上は彼女を呼び捨てにしているのか。
どうして彼女は、こいつとのセックスを拒否しないのか。
それどころか、自ら気持ちいいという言葉を口にするのか。
もはや、この世の終わりだ。
西園さんがあんな野人のチンポを受け入れるなんて。後ろからEカップのおっぱいを鷲掴みにされても文句ひとつ言わないなんて。文句を言うどころか、その形の良い乳首をツンと尖らせているなんて。あんなにも色っぽい、女の感じる顔を見せているなんて。
『ああっ、もうイキそうっ、お願い大介っ、そのまま私のおまんこで中出ししてっ、あなたのマシンガンみたいな精液で、私子宮でイかされたいのっ――』
まさか西園さん、ゴムも着けずにこいつとセックスしてるのか?
そんなことしたら絶対妊娠する。こんな野人のザーメンが濃厚でないはずがないからだ。
君が後世に残す美しい遺伝子を、こんな汚れたオスの遺伝子で穢してはならない。
――やめろ、やめるんだ
僕は有料課金してまで、そのメッセージを打ち込んだ。
しかし最悪なことに、あいつとのセックスに夢中な彼女はそれに気付かない。
目にも止めない。
それだけこの男のチンポが気持ちいいからだ。
『射精って言ってもまだ準備が』
『ああだめっ、もうイキそうっ!!』
準備がということは、この男は西園さんにゴム無し挿入していながら、まだまだ射精には程遠いということか。西園さんは今にもイキそうな顔をしているのに。どうしてこの二人には、こんなにも大きな技量の差があるんだ。
『ああっ! 上反りチンポっ、気持ちいいところに全部当たるっ!!』
その答えは、あまりに感じ過ぎた彼女が、四つん這いの角度を変えることで、判明する。
画角が変わったことで映し出された、西園楓さんの女性器。
その秘部が咥え込んだ男のモノが、とんでもない太さをしていたからだ。
「なんなんだよ、これ……」
西園さんの割れ目が咥え込んだ坂上大介のペニス。
それはまるで、洋ピンの黒人男優のようであった。西園さんがあいつのモノを咥え込むといより、あいつのモノが西園さんの小陰唇を押し拡げて、無理やり出し挿れされている感じだ。
にもかかわらず彼女は苦痛ではなく、快楽な表情を浮かべている。それは彼女が日常的に、このとんでもない巨根の持ち主とセックスしている証拠であった。
『ああっ! すごいっ!! 大介のチンポが一番気持ちいいっ!! この世の誰よりも気持ちいいっ、私もうっ、あなたのチンポの専用奴隷だからっ、好きなときに呼び出して、好きなときに中出ししていいからっ、だからこれからも、このぶっといチンポで私のおまんこかき混ぜてぇっ!!』
あの西園さんとはとても思えない、淫猥な言葉。
しかし発しているのは紛れもない西園楓さんであり、発させているのは紛れもない坂上大介だ。
あの二人が、正式にお付き合いをしている。
お付き合いどころかお突き合いまでして、あのプライドの高そうな西園さんが、専用奴隷という言葉まで口にしている。
まさに、この世の終わり。
我が世の悪夢。
僕が唯一馬鹿にしていた童貞男が、あの西園さんをチンポで手懐けてしまうなんて。
『ああっ、もうイキそうっ! 大介も出してっ、あなたのザーメン、西園楓の無防備おまんこにぶちまけてっ――』
西園さんの要望に応えるように、ネアンデルタールがピストンのストロークを深くする。
西園のおまんこに出し挿れされる野人ペニスの、なんと長いことか。
こんなの、目測で僕の2.5倍以上ある。
こんなペニスに、包茎の僕が勝てるわけない。顔、名声、学力、全てで負けてないはずなのに、まさかチンポでこれほどまでに完敗するなんて、僕の男としての自信はめちゃくちゃだ。
『あぁんっ、イクっ!! ご主人様の生チンポで今日もイクっ! 私の子宮に、ご主人様の奴隷である証いっぱいマーキングしてっ! 坂上大介の濃厚ザーメンでっ、楓のおまんこ幸せにしてぇっ!! ああっ!! イクっ!!!」
西園さんの「絶叫」に合わせて、坂上がただでさえ激しいピストンをさらに激しくする。
とんでもない野獣のピストンでイキ散らかした西園さんは、最後坂上の容赦のない中出し射精に、歓喜の喘ぎ声を上げていた。
『あぁあっ!! 大介の精子来てるっ!! 子宮に凄いの来て、頭の中真っ白になるっ♡』
西園さんの細腰を両手で掴みながら、坂上が容赦なく中出しをしているのがわかる。
中の様子はわからないが、金玉もあれだけ立派なものが二つもぶら下がっているのだ。出される精液も相当なはず。
その馬みたいな種付けが、西園楓さんのおまんこを直撃しているのである。
『あぁっ……まだ出てるっ……大介のおちんぽミルクっ、いっぱいっ……』
あの坂上に中出しされながら、西園楓さんがその余韻に浸りまくっている。
まるで、結婚式の最中のような至福の表情。
この男のセックスは、ここまで女の子を幸せにしてしまうものなのだろうか。
「僕も……いっぱい出たよ」
気付けば僕は、自らのチンポを握って激しく射精していた。
ティッシュを取る余裕もなかったので、キーボードとマウスが精液まみれだ。
あの坂上に犯される、西園さん。
屈辱的すぎる光景だけど、長年夢見てきた西園さんの艶姿は、この世の何よりもエロく、美しかった。
僕はせめて、この感想を彼女に伝えたかった。
かつて君のことを好きで、憧れて、でも告白すらできなかった童貞男が、君のセックス配信を見てとんでもなく射精したこと。
見てくれるのは思わなかったけど、僕はその文言をコメント欄に打ち込んだ。
『ありがと。佐々木くんにいっぱい射精してもらえて、私も嬉しいわ』
まさかのレスがあり、動揺してしまう僕。
しかもカメラ目線の微笑みつきで、彼女は包茎チンポ丸出しの僕を見つめている。
ファンサ、と呼ばれる行為なのだろうか。
あと先考えず本名を乗せたことが功を奏したのか。
彼女が僕のことを覚えてくれているはずがないけれど、それでもあの頃の西園さんが僕に言ってくれているようで、それだけで僕の心は救われたような気がした。
たとえ、彼女の気まぐれのファンサでも、彼女のことを好きでいてよかった。
そう思った。