※この作品はR-18です。

セックスは最高の異文化交流   作:かしわもち@ハーメルン

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女性視点 “Diana Socías” ⑥

「ほんと、あんたバカじゃないかしら」

 

 結局私は、一晩中この男に犯されていた。

 何度となくイかされ、何度となく中出しされて、私はただ素直に、こいつの奴隷としての役割を全うした。

 

 このハポネセスは思った以上の性豪で、私は何度も失神させられた。

 中出しされた回数は十数回を越え、私が絶頂させられた回数は、その三、四倍は下らなかった。

 

「住所教えなさい。ガキができたらあんたのとこに嫁に行ってやるわよ」

 

 十数回イかされた後ぐらいから、私はそんな馬鹿げたことを考えていた。

 あれだけ中で出されたのだ。私の子宮を下りて受精する気満々だったし、この男か私のどちらかが不能でない限り、確実に受精はしている。あとは着床するかどうかだが、それはもう神のみぞ知る世界だ。

 

 もし私がこの男の子供を孕んでいたら、お母様が「この男に付いて行け」と言っているのだと、私は自分勝手に解釈した。

 もし孕んでいなかったら、ソシアスの闇を背負ってひっそりと死ねと、お父様が言っているのだろう。

 

 そんな賭け、馬鹿げてると思う。

 

 そもそも自分の人生をそんな不確実なものに託すなんて、私らしくない。

 

 でももうソシアスはないのだ。

 ソシアスのボスだった私はもうおらず、これからは何もないまっさらな世界が広がっているだけ。

 

 ならばせめて最初の一歩ぐらい、サイコロを振って決めるのもいいと思った。

 

 私のソシアスという血筋自体が、生まれというサイコロの結果なのだから。

 

「ダイス、ケ……」

 

 多分そう読むのだろう。

 男から差し出されたパスポートには、そう記されていた。

 自分より一回り近く若い日本人の男に、まさかに人生を託すことになるなんて思いもしなかった。

 そもそも関わること自体がありえなかったのだ。それがソシアス解体の日に起きたこと自体、何かを示唆していると捉えても不思議じゃない。

 

「返すわよ。昨夜のセックス代には、これくらいじゃ足りないかもしれないけど」

 

 私はダイスケから奪った札束をそっくりそのまま突き返した。

 そもそも私の金じゃないし、仮にあの時点で私の金になっていたとしても、昨夜のセックスにはこれを全額支払うくらいの価値があった。

 

 少なくとも私は、思いもしなかった臺子(ダイス)をひとつ、手に入れることができたのだから。

 

 しかしダイスケは意味がわからないと言わんばかりに、鳩が豆鉄砲を食ったような顔をしている。

 まるで自分自身のお金を返されるのが、不自然だと言いたげな顔だ。

 

「いいからさっさと受け取りなさい。このままここに残られちゃ色々と不都合なのよ」

 

 私はダイスケに無理やり札束を握らせた。

 まさかこのアジトで日本人の青年と新生活を送る気はない。

 もしあるとしたら、まだ見ぬ東洋の島国。こいつの生まれ育ったハポンという国になる。

 

「ここでお別れよ。もしガキが出来てたら、違った未来も来るかもしれないけど」

 

 私はショットガンとナイフを持って、外への階段を登り始めた。

 

 受精はしたとしても、着床なんてそうそう起こらない。

 多分、おそらく、きっと、私は妊娠なんてしていない。

 

「まあ、今更アタシに昼の世界が訪れるかはわからないけど――」

 

 最後に一度だけダイスケの冴えない顔を見て、私は出口へと向き直った。

 

 多分これで見納め。

 

 でももし、これが見納めでなかったら――。

 

 ディアナ・ソシアスは、日本という国で新たなファミリーを作ることになるかもしれない。

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