年季の入った漁船の甲板で、一人の少女が小首を傾げていた。
健康的な褐色肌で、肩ぐらいまでの黒髪をした、あどけない少女。
歳は高校生ぐらいだろうか。くるりとした黒い瞳と、楚々とした端正な顔立ちは、子供の無邪気さと大人っぽさを同居させた不思議な雰囲気を醸している。アメリカにいた白人の女の子と、中米の女の子ではまた見た目が違うので、実年齢はよくわからない。
真っ白なワンピースを風になびかせて、少女は不思議そうに僕を見ていた。
それもそのはず、
――Colombia。
僕は漁船を、ヒッチハイクしようとしていたからだ。
コスタリカのサンホセを出発して早五日。ヒッチハイクを乗り継いで、僕はパナマのコロンという町までやって来ていた。
地図を見ればわかるけど、パナマを半分ほど越えたところにある、カリブ海側の町である。
僕はこの旅の期限を、夏休みの終わる九月末までと定めている。
しかし事故とノリで南米を目指したはいいものの、そう簡単にヒッチハイクは成功せず、日々無駄な宿泊費と食事代を空費していた。
夏休みは有限だ。
このまま空港からヨーロッパに向かう方法もあるが、せっかくなので南米のコロンビア辺りまでは行きたいという思いもあった。そうすれば少なくとも、この旅で北米と南米、二つの大陸を訪れたことになる。
とはいえ車のヒッチハイクでは拉致があかないので、僕は手近な民間船をヒッチハイクして、一気にコロンビアまで進もうとしていた。
その結果が、「この人何言ってるんだろう」という少女の顔である。
いかにも無垢そうな少女でこれなのだ。普通の人なら「おとといきやがれ」も十分ありうる。
僕は逃げるようにその場を立ち去ろうとしたが、
「エスペラ!」
少女が僕を止める仕草をしたので、その場で立ち止まるしかなかった。
少女は甲板を伝って操縦席らしき場所まで歩き、誰かにスペイン語で何かを話していた。
それからしばらくして、
「げ」
いかにもガラの悪そうな、ヒゲモジャの中年男性が顔を出した。
おそらく四十代半ばくらいの現地人で、短パンとシャツといういかにも南国らしい格好だが、もっさりとした胸毛と中東人を彷彿とさせる黒髭が、彼の迫力を倍加させていた。
さっきの女の子は娘さんだろうか。堅気ではありそうだが、陽気というには程遠そうな見た目で、警戒を崩さないそぶりで僕のことを見ている。
もとい、睨んでいる。
殺される――と本能的に僕は思った。
日本の漁村ならいざ知らず、ここは言わずと知れた中米の漁村。
コスタリカで僕が受けた仕打ちを考えれば、船のヒッチハイクなどいかに無謀かわかりそうなものだが、長旅の疲れの中米独特の強い日差しが、僕の思考力を簒奪していた。
「パピィ――」
身振り手振り、どうやら少女は父親を説得してくれているようである。
キャロルのときもそうだったが、どこの国にも天使のような女の子はいるものだ。
瞳の色や肌の色、言葉は違っていても、僕には目の前の少女がキャロルと同じ天使に見えた。
しかし普通に考えれば、僕がこの船に乗せて貰える可能性は万に一つもない。
終始お父さんの顔が険しいのもその証拠。少女の説得も虚しく、僕は再び陸路のヒッチハイク生活を強いられるはずだった。
「アボルダ」
お父さんが、立てた親指で船の後ろを指差した。このジェスチャーが万国共通で、僕の捉え方が余程間違っていなければ、乗れというサインにしか取れなかった。
「本当に……?」
唖然とする僕を他所に、漁船が近くの桟橋に幅寄せされる。
おそるおそる船に飛び乗った僕は、ヒゲのお父さんの似合わない笑顔で漁船に出迎えられ、
「え――」
後頭部への殴打と共に、あっさり意識を失ったのだった。
ほんと、自分の無警戒さには呆れて物も言えない。
◆ ◆ ◆
船のエンジンが聞こえる。
爆音には水の音が混じり、地面も激しく揺れている。
目覚めると、そこは船の上だった。頭上には日本ではありえない満天の星空。
それだけなら最高のクルージングだが、案の定、僕は船の甲板に縛り付けられていた。
足は自由だが、上半身のほとんどを荒縄でぐるぐる巻きにされ、動くことは不可能だった。
どうやらまた僕は拉致監禁されてしまったらしい。ズボンのポケットの膨らみも薄いから、おそらく現金は奪われてしまった後だ。
(身ぐるみ剥がされて……か)
この場合、服を着ているだけでありがたかったが、そもそもこの長旅で破れまくったジーンズとTシャツは、一銭にもならないと判断された結果だろう。
(まだ殺されていないということは……)
多分、この先のどこかで無一文で放たれるのだろう。
船のエンジン音を聞きながら、僕は意外と冷静に判断していた。
この先僕が現地の警察に駆け込んで、彼の犯罪を立証することはまず不可能だ。
それなら万が一捕まったときのリスクを避けるために、価値のなくなった僕は生きて野に放つ。
まあ無一文で言葉も通じない国に放たれた僕が、果たして生きていけるかどうかは不明だが。
偏見だけで物を言うが、多分これが、この辺りでは普通の考えなのだろう。裕福な外国人旅行者に隙があれば当然金を奪う。それが彼らの生活を豊かにする上で当たり前の判断だ。
むしろそんな場所に無警戒でやって来た僕に非がある。こうして海外を旅して知らない文化に触れるたび、僕は自然とそう考えるようになっていた。
もちろんそれで、この状況に納得できるかは別だけど。
(これからどうしようか……)
操舵室には明かりが付いている。船が動いていることも考えると、あのヒゲ顔の男が操舵していると考えるのが自然だ。
船の大きさを考えれば、他に乗組員がいるとは考えにくい。いるとすればそう――。
「カヤド」
しっーというジェスチャーをして、あの黒髪褐色肌の女の子が僕の前で身を屈めていた。
おそらく彼女は、僕を解放しようとしてくれているに違いない。
父親はどうあれ、多分彼女は善人で、天使だ。父親にバレないようこっそり縄を解き、可能ならば奪われた金銭も取り返して、僕を逃がそうと考えているのだろう。
なんて健気な子だろうと思った。
さっきまでの僕の偏見をまとめて薙ぎ払うような、生き証人がここにいる。
彼女は細腕を僕の後ろ手に回し、必死に縄を解こうとしてくれている。
しかし、
「コモコモ」
彼女の華奢な腕では、思うように縄が解けない。懸命に結び目に手を伸ばすが、きつく縛られた結び目びくともしないのが現状である。
そして、
(うわぁ……)
彼女が身を屈めてもがくたび、真っ白なワンピースの開かれた胸元から、少女とは思えない豊満な谷間が顔を出している。
さすがは中米。
顔はあどけないティーンエイジャーでも、身体つきはダイナマイト級だ。本人が身じろぎするたびぷるぷると震え、膨らみのその柔らかさを物語っている。
そしてあろうことか、僕は、
「デベルダ……?」
ズボンの上から、これでもかというくらい股間を勃起させていた。
先程まではなかったはずの膨らみ少女のお腹に当たり、さすがに事態を把握される。
いくら見た目が幼いと言ってもこの膨らみの意味はわかっているようで、彼女は操舵室の明かりに微かに照らされた甲板で、あからさまに顔を紅潮させていた。
ほんとに申し訳ない。
僕を助けようとしてくれた善人に対して、まさか劣情を催すなんて。
しかし彼女の身体はそれだけ魅惑的だった。
年恰好はキャロルだが、スタイルが一段階ダイナマイトだ。
ワンピースという無防備な格好をしている分余計にそれが際立つ。
いわゆるロリ巨乳。
顔立ちは子供なのにスタイルは抜群というギャップが、僕の中にこれまでにはなかった感情を芽生えさせる。
「ぺ、ぺるどん……」
覚えたてのスペイン語で、なんとか彼女に謝罪する。
しかし一度反応した男根は鎮まる方法を見失い、その捌け口を求めている。
たじろぎ、視線を泳がせていた少女だったが、持ち前の善人さを発揮してなのか、このままでは脱出もままならないと判断したのか、
「ああ……」
たどたどしい手つきで、ズボンの上から僕の股間を摩り始めた。
決して慣れた手つきではない。
でも処女ではおそらくない。
その絶妙なちぐはぐさが、かえって性の刺激を掻き立てる。
根元から先端まで、たどたどしい手つきで擦り終えた少女は、何度も躊躇いながらも、僕のジーンズのファスナーを下ろし、
「ムイ……グランデ……」
船上の空の下に硬くなった僕の屹立を露出させた。
大いに迷いながらも、少女は再び僕の棒を、今度は直接摩り始める。
無垢な少女のたどたどしい手コキが、僕の脳髄に快楽信号を飛ばす。
そして彼女は、縛られたままの僕の下半身に顔を埋め、
「ああ――」
そのあどけない口で、僕の屹立を咥え込んだ。
少女の温かく滑り気を帯びた口腔が、僕の男根の四分の一を咥える。
しかし大きさ的に咥え込むのは不可能と判断したのか、今度は舌を使って亀頭やカリ首を刺激し始める。
フェラをするチュパチュパという音は、エンジン音と波音に掻き消される。
しかし思いのほか激しいフェラの快楽は、僕の中のオスを確実に刺激していく。そして――。
「ああっ!」
そのまま彼女の口の中に、僕は精液をぶちまけた。
ここ数日旅の疲れでオナニーすらしていなかったので、思いのほか大量だった。
その全てを、彼女はなんとかその可愛らしい口で受け止めた。
とはいえ飲み込むことは難しいようで、涙目になった彼女は操舵室の父親に見つからないよう中腰で端まで駆けて行き、つわりのごとく僕の精液を吐き出した。
当たり前のことなのに、その光景は男として結構傷付いた。
とはいえ半ば無理やり口内射精したのは僕なので、不平を言うような権利はないはずだ。
しかしそんな僕の表情を察したのか、彼女は再び僕の前によろけながら近づいてきて、
「え?」
口の中にまだ残っていた僕の白濁を、自らの手のひらに吐き出し、
あなたの精液が嫌いなわけじゃないと言わんばかりに、改めて生産者である僕の目の前で、おちょこ分ほどの精液を嚥下してみせた。
ごくんという音が聞こえてきそうな艶めかしい光景。
彼女の口元に付着した白濁液の残りも、すっかり上気した顔も、彼女の「やり遂げた」という表情も、夜の海の景色と相まって、神々しいという気さえした。
呆気に取られる僕を他所に、再び彼女は僕に跨る。
縄を解くなら後ろ側に回った方が良いと思いつつも、無我夢中な彼女に悪くて何も言えない。
そしてそんな彼女に、僕は再び劣情を催し、
「アッ!」
あろうことか彼女のスカートの中に向けて、剥き出しの男根を屹立させた。
ピンポイントで当たってしまったのか、彼女が耳元で色っぽく叫ぶ。
先端に当たるのはまさしくぱんつの感触だが、不思議と湿り気を帯びているのがわかる。
ほとんど身動きは取れないが、僕は下半身で微妙に角度を調整して、
「アアッ!!」
(……あ、入った)
まんまと彼女の膣内に、剛直を挿し込むことに成功した。
男根の表面を、湿り気を帯びた少女の膣壁が包む。
膜はないようだったが、経験が浅いのかやはりキツイ。
さすがにティーンエイジャーと思いつつも、このままではさすがにまずいと思いながら、僕は必死に冷静さを取り戻そうと深呼吸する。しかし、
「え?」
なぜか蕩けきった顔をした少女が、自ら腰を振り始める。
ワンピースの中の健康的な腰をグラインドさせ、あろうことか僕の男根を貪っているのだ。
さっきまでは無垢な少女だったのに。
彼女は無我夢中で、僕の上で本格的な騎乗位を始める。
ティーンエイジャーの締まりのあるpussyが、僕の男根を搾り上げる。
少女の細腰は痙攣しながらも、何度もロデオのごとく上下運動を繰り返す。
(マジかよ……)
やがて少女は自らワンピースを脱ぎ捨て、その豊満なボディを星空の下に曝け出した。
彼女が必死に腕を回し、黒いブラジャーまで剥ぎ取ると、途端に褐色肌の豊満な乳房が飛び出てくる。
やはりキャロルよりも大きい。
乳頭も乳輪も健康的で、何よりティーンエイジャーならではの張りのあるおっぱいが、腰の上下運動に合わせて生き物のように揺れている。
お尻もまたあまりに魅力的だった。
さすがは中米と言わんばかりの健康的な巨尻が、セックスの動きに合わせて激しく揺れる。
腰は細く、それでいて胸とお尻は大きくて、まさに中南米の美少女を犯している感じだった。
「んんっ――」
少女は、自ら僕の顔に乳房を押し付けてきた。
途方も無い柔らかさが顔面に押し付けられ、幸福の中で窒息しそうになる。
しかし僕は彼女のリクエストに応え、その大人らしい乳首を赤ん坊のように咥え込んだ。
「ンッ――!」
乳首を軽く噛むと、少女の身体がびくんと震える。
もはや船の動きで揺れているのか、セックスで揺れているのかわからない、
僕らは波の動きとセックスの動きで一緒になって、船との一体感を満喫していた。
僕は今縛られているのに、なんで中米美少女とセックスしているのだろう。
しかもコスタリカのときと二回も続けて。
少女がスペイン語で何かを叫んでいる。ほとんど操舵室に聞こえかねない大きさだが、彼女はもう気にしてすらいない様子だ。
「ああっ! 出るっ!!」
少女の豊満な乳房にむしゃぶりつきながら、僕は彼女の中で壮大に果てた。
二射目とは思えない量の精液が、彼女の子宮に注ぎ込まれる。
同時に少女の方も果てたのも、弓なりに沿った上半身で見て取れた。
ぐったりとした少女が、耳元で何かを囁く。
それから体感で一時間、僕らは船上でのセックスを続けた。
結局荒縄を解くことは叶わず、僕は翌朝当初の予定通り、コロンビア近くの港で解放された。
当然ながら無一文で――と確信していたのだが、鞄の中に現金とパスポートはそのまま残されていた。
おそらく、少女が父親に見つからぬよう、こっそり戻しておいてくれたのだろう。
いずれ事態に気付いた父親が驚きの声を上げるだろうが、そのとき僕はもうコロンビアへの国境を渡っている。
バレたときの少女の身が心配だが、おそらく二人は本当に親子のようなので、そこまでの心配はないだろう。
僕を安全な場所に逃がした上で父親に説教する少女の姿すら浮かんでくる。
結局、あのセックスの意味はわからずじまいだったけど、久しぶりの射精による満足感と、旅が無事に再開できた僥倖を抱えて、僕は人生初の南米の地へと足を踏み入れるのだった。
29〜30日目 サンホセ市街〜コロンビア国境
【移動距離】750km(中南米通算753km)
【手段】ヒッチハイク、船
【所持金】$8,382
【支出】4泊分の宿泊費-$323
5日分の食費-$153
ヒッチハイクでボッタクられたチップ-$200
【残金】$7,706
【これまでの経験相手(中南米)】2人
Diana Socías(29)
Mia Armenta(17)