タリン空港と聞いて、それがどこの国の空港なのかわかる人は、日本にはそれほど多くないだろう。
いわゆるバルト三国の最北に位置し、フィンランド湾に面した、北海道の半分ほどの共和国。
この説明を聞いても、多分ピンと来る日本人の方が少ないかもしれない。
実際問題、僕もシャルルドゴール空港で地図を見るまでは、その国の正確な位置を知らなかった。
エストニア共和国。
人口132万人のこの国は、僕にとってヨーロッパで三カ国目。この旅では七カ国目の異国だ。
世界地図を見ればすぐにわかるが、位置としてはほとんどロシア。東欧と言って何ら差し支えない場所だ。
海を越えれば北欧はフィンランド、国境を跨げばすぐロシアという場所に、僕はイギリスのときとはまた違う高揚感を持って降り立っていた。
パリでの拓真“たち”との国際電話。
本音を言えば、すぐさま日本に引き返すべきなのだろう。
僕が妊娠させてしまったかもしれない、複数の白人女性たちへの責任を果たすため、僕は一刻も早く日本に帰るべきなのだ。
しかしその仁義を振り切って、今僕はここにいる。
罪悪感もある。
正直、落ち着かない。
でも僕はこの旅を始める前に、絶対に訪れると決めていた国が二つある。
それがこのエストニアだ。
その理由はただ一つ。
この国が世界で一番、美女が多い国とされるからだ。
この理由を聞かれたら、多分僕は拓真に殴られるだろう。
妊娠させてしまったかもしれない女性たちには刺されても仕方がない。
でも僕は、一生に一度でいいから、この世界で最も美人の多い国の景色を、この目に収めたかった。
エストニアの女性とセックスをする。
そんな恐れ多いことは思わない。
ただ眼福にするだけでいい。
この世界にはこんなにも美しい人がいるのに、日本人百人に振られたくらいが何だと、自分を勇気付けるために。
(まあ……これまで出会った女の子たちも、かなりの美人だったけど)
思い返すと、僕がこれまでセックスした女性たちは、超がつくほどの美人たちだった。
とくに初めてセックスしたロサンゼルスの娼婦さんは、ハリウッド女優と見紛うほどの美人さんだった。
それ以外に、リズやアマンダさん、アリシアさんやキャロルなど、旅行前は到底僕ごときがセックスできるはずがないと思える美人がたくさんいた。
フリーセックスの文化もある。
お金を前提としていたであろうセックスもある。
しかし一歩日本を外に出れば、僕もこれだけの美人とセックスできるのだと、この旅は教えてくれた。
あとはエストニアの街を歩く美人を目に焼き付けて、シベリア鉄道でウラジオストクまで渡って、素直に日本に帰るつもりだ。
ある意味でこれは、僕にとっての執行猶予。
エストニアとロシア。
この二カ国を数日で満喫し、今回の旅とはお別れだ。
それなら先は、妊娠の責任だったり、養育費だったり、様々な現実的な問題が僕の前に立ちはだかる。
その壁を、果たして僕が超えられるかどうかはわからないけど、しでかしてしまったことへの責任は取らないといけない。
もしかしたら大学を中退し、すぐに就職して、給料の大半を養育費として支払うだけの人生が待っているかもしれない。
でもそれは覚悟の上。
覚悟しているからこそ、エストニアとロシアという猶予期間を設けたのだ。
拓真や、リズたちには悪いとわかっているけれど、この二カ国は僕にとって、人生にけじめをつけるための旅なのだ。
「なんか、映画に出てきそうな街並みだな……」
空港からはトラムと呼ばれる路面電車が出ていた。赤と白の縞模様で、近代的なフォルムの電車だったけど、窓の外に見える世界は映画そのものだ。
白壁と赤い屋根。中世ヨーロッパを思わせるパッチワークのような街並みが続いている。
線路沿いには近代的な建物もあるけれど、旧市街と呼ばれる地区は圧倒的な異国情緒で満ちていた。
思えば、今回の旅でじっくりと景色を見ることはあまりなかった。
旅路を振り返ると、どうしても裸の白人女性たちが出てきて、各地で食べた料理や体感した景色は薄れがちだ。
そもそも、何の因果か訪れた国々で現地の女性たちとセックスすることになったけど、本来はそう言った俗世から離れて、世界の広さを知るのが目的の旅だったはずだ。
美人を見るという目的もあるけれど、今回ようやく旅らしい旅ができて、僕は精神的に充実していた。
旅の途中、二度も銃口を突きつけれて、船の上から泥川に飛び込んで、路地裏で柄の悪いガイジンたちに絡まれて、そんなことが旅行の全てではないはずだ。
元より、人よりも多すぎる性欲が今回の事態を招いた。
この国に限って、僕が女性に誘われることはないと思うけれど、エストニアとロシアでは絶対にセックスをしないと、僕は改めて心に誓ったのだった。
「とりあえず、街並みウォッチングと行きますか」
これまでの旅ではいつも、空港や駅に降り立ってすぐ何かしらのトラブルに見舞われていた気がする。
サラによる美人局事件を皮切りに、馬に乗ったアリシアさんとの出会い、ディアナさんによる監禁事件。
街並みの異国情緒を満喫する暇もなく、僕は非日常的な出来事と出会い頭にぶつかり、何の因果か複数の白人女性たちとセックスすることになった。
幸いこのエストニアでは空港から旧市街に至るまで、さしたるトラブルもなかった。
公用語であるエストニア語もロシア語も、僕はほぼわからないけど、大抵の人たちが英語を話せたし、肝心要の女性たちに関しても、何か問題が起きることはなかった。
これまでの欧米諸国の女性たちは、どちらかと言えば肉感的というか、有り体に言えば女性フェロモンむんむんの方たちが多かったのに対し、エストニアの女性たちはすらっとしていて、モデル体系の人たちが多い。
エストニアは多くのトップモデルを輩出するモデル大国でもあるように、身長の高さも体系のスリムさも他の欧米諸国とは一線を画している。
その分なんだか声をかけづらいというか、決してこちらの女性たちがお高くとまっているわけではないけれど、崇高すぎてこちらの方が気後れしてしまうのだ。
美人も多いし、スタイルも良い人が多いけれど、おいそれと頭の中でまぐわえる感じではない。
ある意味で今の僕にとっては、ちょうどいい距離感の国だった。
「全体的に教会が多いんだな」
どちらかと言えば平坦なパリとは違い、タリン旧市街は石畳の坂が多く、歴史のありそうな建物が所狭しと並んでいる。
かといって東京の下町のようか雑多さはなく、全体的にはやはり瀟洒だ。
街そのものが世界遺産というのもあり、教会や修道院、聖堂が至るところに存在するのもあって、街全体がどちらかといえば厳かである。
まだまだ秋は程遠い季節。人々の軽装や空の青さに夏の残り香を感じる。
世界遺産ということもあり、あたりには観光客らしき人々も多数いた。
とある広場の片隅に、そんな観光客をターゲットに商売をしている人物がいた。
絵描き。
これまでも、ヨーロッパの至るところで見かけた人種だ。
路上に自らの描いた水彩画を並べ、道行く人に声をかける芸術家の卵。
日本でも路上でアクセサリーなどを売る商売人がいるけれど、決して儲かるものではないだろう。ほとんどの人が気にも留めないか、軽く一瞥をくれるばかりで、お目当てである世界遺産の街並みに崇敬の吐息を漏らしている。
場所が場所なだけあって、ほとんどの絵描きさんはタリン旧市街の風景画を売っている。
その中にあって一人だけ、風景が意外の絵を売る人物がいた。
How much?と声をかけるのが憚られるのは僕が異文化の人間だからではないだろう。
勇気のあるナンパな欧米観光客は気軽に声をかけられるかもしれないけど、僕のような元来シャイな人間には、目を合わせるのすら憚られる人物がそこにいた。
“How is it?”
結局、向こうから英語で話しかけられてしまった。
その人物が売るのは、風景画ではなく似顔絵。
目の前にいるお客さんの絵をその場で描き、サービス料も込みでお金を貰うというタイプの商売だ。
せっかくエストニアまで来たのだ。よほど法外な値段でなければ、一枚ぐらい描いてもらうのも悪くない。
僕は自分自身の容姿にまったく自信がないけれど、その等身大の自分を描いてもらうことに価値があるという気もする。
しかし僕には、プリーズというたった一つの英単語が紡げなかった。
なぜなら目の前の絵描きさん――彼女が、想像を絶するレベルの美人だったからだ。
「あ、あの――」
この国の美女は、背が高く、スレンダーで、モデル体型が多いことはさっき説明した。
彼女もまたすらりと脚が長く、今は路上にマットを敷いて座っているが、立ち上がれば僕よりも背が高いことは容易に伺い知れた。
涼やかなショートヘアはブロンドだが、あからさまな金髪ではなく、どちらかと言えば栗色に近い。
キュートな顔立ちは端正だが、それより何より顔の小ささに驚く。八頭身とはよく言うが、日本人でも顔の大きい方の僕と比べると雲泥の差だ。もとい、比べることすらおこがましい。
これが同じ人間なのかと思うほど、細く、流麗で、輝いていて、尊くて。賛美と称賛の言葉をおおよそ全て当て嵌めて差し支えない女性は、おそらく僕とそう年齢は変わらない。
これまで会った白人女性たちもみんな綺麗だった。綺麗なだけでなくおっぱいも大きくて、対面するだけで邪な欲望がむくむくと湧き上がった。
しかし彼女は、彼女の威容は、僕にそんな気すら起こさせなかった。
たとえば聖女に邪な気持ちを抱いてはいけないように、僕自身の本能が、この子を穢してはならぬと訴える。
それこそ、話すのすら不釣り合い。
今すぐ踵を返すのが正解なのに、彼女の透き通るような瞳は僕を捉えて離さない。
蛇睨みなんて言葉があるけれど、それとは真逆。
彼女の瞳があまりに美しすぎて、僕はその場を一歩も動けなかった。
“Take it easy.”
そうこうするうちに、彼女は鉛筆で画用紙に下書きを始める。本当は断るつもりだったのに、タイミングを逸した僕は彼女のデッサン対象になってしまった。
楽にと言われたが、居づらい。
本来芸術とは美しいもののためにあるべきののに、絵を描く彼女が何よりも美しくて、描かれる僕が木訥で、平素で、醜い。
美女と野獣の組み合わせに、道行く人たちが訝しんでいる。
そりゃ、これだけ見た目に落差があれば目立つだろう。エストニアはあまり僕らアジア人への差別色は薄いように見えるけど、白人と黄色人種という組み合わせは、やはり世界的に見たら稀有なのだ。
居心地は、良くない。
でも彼女の姿を、デッサンに集中する真剣な表情を見ているだけで、エストニアに来た価値は十分にあったと思えた。
サンプルで並べられた色々な人たちの似顔絵も、その人の特徴や魅力をよく捉えていて、活きいきとしている。
絵の技術についてはよくわからないけれど、人を描くということについて、彼女が特別な才能を持っていることはよくわかった。
“It's complete.”
そうして、描き上げられた僕の似顔絵は――。
「これ……」
似ていない。
というのが僕の感想だった。
とても写実的で、特徴はよく捉えていると思う。それこそ絵を見るというより、イラスト化された写真を見ているような感覚だ。
多分、道行く人にこの絵が似ているかと尋ねたら、十中八九、似ているという答えが返ってくるだろう。
でも僕自身。
この世で一番僕のことを知る僕自身は、この絵に対して「違う」という感想を突きつける。
外見的なことはわからない。
でも内面は、この絵に描かれている僕の内面は、現実の僕とあまりにもかけ離れている。
僕は傷心旅行という名目で旅に出たのにも関わらず、行く先々で女性と交わり、あまつさえ妊娠させてしまったかもしれない野獣だ。
とても醜く、
描くのに値しない、そんな取るに足らない存在のはず。
でも彼女の描く僕はとても純粋で、透き通っていた。
見た目はパッとしなくても、心は美しい人だと、この絵を見た人は思うだろう。
違う、これは僕じゃない!
思わずそう叫び出しそうになった自分を寸前のところで抑える。
たかだか二、三十分前に出会っただけの女性に、僕の内面なんてわかるわけがない。それこそお客さんを喜ばせる商売だ。実際よりも何かしらを美化して描いても責められるようなものじゃない。
でも完成した絵は、僕の今の心情とあまりにもかけ離れていて、とても手放しで称賛する気にはならなかった。
もちろん、彼女の貴重な時間を割いたのは僕だ。お金は言い値で払うけれど、この絵を日本に持ち帰る気にはとてもなれなかった。
“Don't you like it?”
その感情が伝わったのか、彼女が心配そうな顔をする。絵描きにとって、自分の絵を否定されることは自分自身を否定されることに等しいだろう。それがどれだけ失礼なこととわかっていても、僕は実際の自分より遥かに綺麗な自分の絵を素直に受け取るわけにはいかなかった。
“One more chance?“
焦った彼女は、再び僕を被写体に絵を描き始める。しかし何度描いても、絵の僕は僕とかけ離れていた。
もはや執着とも呼べるフェイズに入った彼女は、周囲から観光客がいなくなってからも繰り返し僕の似顔絵を描き続けた。
何枚も何枚も。
僕が僕と思えない似顔絵を描き続けて、気付けばすっかり夜になっていた。
「オ、オーケーオーケー。イッツイグザクリーミー」
痺れを切らした僕は、適当なお世辞を言ってこの場をやり過ごそうとした。これこそまさに僕だ。英語の文法が合ってるかはわからないけど、それが伝われば十分だと思っていた。しかし、
“No. It's not over yet.”
それが適当な感想だということにすぐに気付いた彼女は、画材道具をリュックにまとめて、そのまま僕の手を引いて歩き出した。
英語でdarkとか色々言ってるから、ここはもう暗いから他に移りましょうと言っているらしい。
そんなことはさすがの僕もごめん被りたかったけど、彼女が掴んだ僕の腕を離す様子はない。
芸術家という人種が普通の人間と違うということを僕は初めて実感した。
彼女はこと絵に関しては常識外の執着を見せる、無類の絵描きバカと呼べる人種らしかった。
しまったと後悔しても遅い。あれよあれよという間に僕らは住宅街に移り、僕は彼女の自宅と思しきアパートの一室に連れ込まれてしまった。
まさかのお持ち帰り。
しかも持ち帰られる方。
予期せぬ事態にドキマギしたが、ここで彼女が服を脱いでSEXでリベンジよという風には到底ならない。
“Let's continue.”
再び床に画材を広げた彼女は、僕を見据えて似顔絵を描き始めた。
美しい女性の部屋と言っても、絵描きの部屋はまさに絵描きの部屋で、簡素なソファとベッドを設えた以外は、画材やらキャビネットやらが並ぶ絵具臭さの充満するアトリエだった。
まさに、芸術家の部屋。
まさかエストニアに来て、こんな目に遭おうとは。
“How is it?”
部屋で最初に描き上げた絵もまた、僕とは似ても似つかなかった。それでも彼女が嘆息する間もなく次の絵を描き始めようとするので、僕は正直に思ったことを伝えることにした。
「アイムノットビューティフル。アイムノットピュア。アイムノットプレシャス。ディスピクチャーイズノットコレクトアブソリュートリー」
僕はこんなに美しくない。純粋でもないし尊くもない。この絵は絶対に間違ってる。
それが僕の正直な答えだった。
この世の何よりも醜い僕にこの絵は相応しくない。
僕に絵心があろうがなかろうが、それだけは間違いないと断言できた。
しかし、
“You are beautiful. You are pure. You are preciously. My picture is correct absolutely.”
僕が言ったそのままの言葉を、否定形で返された。
それが芸術家の持つ自信なのか。彼女は自分の絵が絶対的に正しいと疑わない。
そんなのはただの欺瞞だと言い返したかったけど、それを意味する英語が思い浮かばない。
“You are lovely.”
彼女は真剣な目で、僕を見つめた。
イギリスでもそうだったけど、lovelyとは単に可愛らしいという意味ではなく、愛するに値するものという意味があるらしい。
僕には自分自身が到底lovelyに値するものには思えない。
でもこの世で一番lovelyに値する女性に、真っ向からlovelyであると断言されて、僕は自分で自分がわからなくなってしまった。
“And cute.”
ふいに作られた天使のような笑みに、自分が思いきり子供扱いされていることに気付く。
歳はほとんど変わらないように思うのだが、彼女の方が背が高いのもあって、近所のお姉さんにからかわれているような感じがした。
“Be confident. You are very wonderful.”
自信を持ってと言われても、持てる要素なんて一つもない。
僕はこれまでの人生で自分を素晴らしいと思ったことなど、ただの一度もない。
その自信のなさが伝わったのか、そのこそ近所の小さな子を勇気付けるように、頭をそっと撫でてくる。
これまでの女性たちとはまるで違う行動に、僕がドギマギしたのは言うまでもない。
完全に扱い。まさかエストニアでお姉ちゃんができるなんて。
そう思っていた僕に、予想外の出来事が降りかかる。
「え――」
be confident.
その言葉と同時に、彼女の瑞々しい唇が、僕の唇に押し付けられた。
それがキスだとわかるまで、優に十秒以上要した。
いったい何故。
何故彼女が僕に。
“Oh...…”
混乱する僕に対し、今度は彼女の方が顔を赤らめ、視線を逸らす。
ずば抜けた美女にキスをされ、すっかり興奮した僕の股間が、ズボンの上にテントを作っていたからだ。
張っ倒される。瞬時にそう思ったが、彼女は優しく僕のズボンを下ろし、既に硬くなった陰茎をその場に露出させた。
“Ei voi olla totta.”
驚きと共に発せられた言葉は、おそらく今日初めて呟かれたエストニア語。
今は全くわからないけれど、この場において言葉など何の意味も持たないことを、僕はこの旅を通じて知っている。
“Please tell me your name.”
滑らかな手で僕の男根を手コキしながら、彼女が名前を尋ねる。戸惑いながらもDaisukeと答えると、彼女もまた“I'm Ena.”と答えてきた。
エストニア美女の、手コキ。
ある意味で一番望んでいた展開だけど、エストニアの美女に手コキされて嬉しいという感情は不思議なことに希薄だ。
むしろこのエナに男として認められたという事実がこの上なく嬉しい。
これまではほとんどアクシデントとして女性とSEXしてきたけど、エナとのそれは何かが違う気がした。
その何かの正体は全然わからないけれど、性欲と共に何か別の感情が自分の中に生まれるのを、僕は感じた。
「ブ、ブロウジョブ」
せっかくだから咥えて欲しい。そんな僕のお願いを、しかしエナは首を振って断わる。
“It's too big for me.”
手のひらで懸命にシゴキつつも、彼女は僕のそれを咥えようとはしない。
これまではSEXとフェラはセットのようなものだったけど、エナにとっては違うらしい。
ある意味で、プラトニックなSEX。
それこそこの旅はサラのフェラで始まったから、僕にとっては新鮮極まりない経験だった。
「エナ――」
“Daisuke...”
できるだけ優しいSEXを心がけながら、彼女の小ぶりな胸に手のひらを重ねる。
小ぶりの――と言ってもDカップぐらいはたるだろうが、エナの乳房を揉みしだく。
これまでのように乱暴にではなく、優しく、撫でるように。
弾力のあるおっぱいを揉むと、彼女の体がびくんと跳ねる。できるだけ丁寧に彼女のブラを外すと、可愛らしくも美しく胸が姿を表した。
貧乳とは思わない。
むしろアマンダさんやステイシーさんが大きすぎただけだ。
程よい大きさで、形の良い乳房は、美術室で見た石膏像の胸部によく似ていた。
“Oh...”
彼女の股ぐらに手を伸ばすと、エナは途端に恥ずかしそうな顔をする。
これまでの女性はみんなSEXに積極的だったのに、エナは僕の行為をとても恥ずかしがった。下着越しに触れたエナのそこはしっとりと濡れていて、最後の布を剥ぎ取ると形の良い無毛の秘部が表れた。
“No...”
恥ずかしがって拒むエナに、僕は少し強引にクンニをする。割れ目に沿って可愛らしいクリトリスを舐めると、彼女の細い身体が跳ね、やがて抵抗は失われた。
“Ah!! Daisuke!!”
丹念に、丁寧にエナのpussyを舐める。
恥ずかしがる態度とは裏腹に中からは次々と透明な愛液が溢れてきて、少なからず彼女が感じているこたが伝わってくる。
僕もまた、興奮の度合いが高まる。
そのまま挿入しようと、亀頭を入り口にあてがうと。
“No. Please wear a condom.”
とてもストレートな表現で、ゴムを着けるように促された。
当然と言えば当然のこと。ゴムを着けたって妊娠のリスクがあるのに、ゴムなしのSEXなんて御法度だ。これまで生ハメし放題だったので、僕はエナの言葉にハッとさせられた。
しかし、
「アイウォントトゥフィールユーダイレクトリー」
君を直接感じたい。
鏡を見てから言えと言いたくなるセリフが、自然と口から溢れてきた。
もちろん断られると思ったが、真剣な眼差しでエナの瞳を見つめ続けると、
“Just for tonight.”
顔を赤くしたエナが、予想外のOKを出してきた。
念願のエストニア美女とのSEX。
否、これはエナとのSEXだ。
他の誰でもない、絵描きを夢見る純粋な女性との。
“AAAHHH!!”
ゆっくりとエナの秘部を貫く。こんなことを言うのがナンセンスなのはわかってるけど、これまでの女性よりだいぶキツいpussyだと思った。
もちろん処女だったキャロルやシルビアほどではないけれど、経験はかなり浅いpussyだと感じた。
むろん僕のpenisだって、経験豊富ではないけれど。
「アイラビューエナ」
エストニア美女の締め付けに、不思議の愛の言葉が漏れる。これまでSEXの途中に自分から、こんな言葉をささやいたことがあっただろうか。
これまでもこの言葉は呟いてきたけど、どちらかと言えば女性の側が連呼してくるので返しの意味で言ったことの方がずっと多い。
“You are...beautiful...”
愛の言葉を返す代わりに、エナがもう一度僕に美しいと呟いてくる。
彼女のpussyに包まれると、不思議と気持ち良さより心地よさの方が優った。
まるでSEXを通じて自分自身を認められているような、そんな感覚。
僕は僕自身のことを決して美しいとは思わないけど、他でもないエナがそう言うなら、あながち嘘ではないのではと思えてくる。
「エナ……」
少し腰を動かすだけで、彼女は余裕がなさそうだった。それでも、彼女が気持ちよくなっていることは伝わってきた。
多分ここでいつものような激しいピストンを開始すれば、これまでの女性のように激しく喘ぐエナが見られるだろう。
そんなエナを、見たい気もするし、見たくない気もする。
そんな板挟みの気持ちを抱えたまま、僕は終始ゆっくりとした腰の動きで、エナとの優しいSEXを続けた。
“Daisuke……”
エナが激しく喘ぐことはなく、僕が野性を剥き出しにすることもなかった。
最後、エナは細腰をびくんと震わせて絶頂し、僕は彼女の真っ白なお腹に射精した。
物足りなくないと言えば嘘になる。
でもそのときの射精は、これまでのどのSEXよりも満ち足りたものだった。
理由はよく、わからないけど。
僕はエナとのSEXで、何か大切なものを掴めたような気がした。
◆ ◆ ◆
その夜、僕らは互いの将来について英語で語り合った。
互いの将来と言っても、僕らが一緒になるとか、結婚するとか、そう意味の将来ではなく、僕らそれぞれの未来の話だ。
エナの夢は、画家になること。
路上で絵を売る姿を見ればわかるように、彼女はまだまだアマチュアだ。
収入のほとんどはアルバイトによるものだし、お金持ちのパトロンがいるわけでもない。
それでも彼女はここタリンで絵を描き続け、プロの画家を目指すのだという。
僕の夢は、大したことない。
とりあえず日本に帰り、大学を卒業して就職すること。
具体的な仕事は決めたないけど、表舞台には立たない裏方の仕事が合っているとは思っている。
他愛のないことをソファの上で一晩中語り合った後、エナに「さっきのSEX手加減してたでしょ?」と見破られた。バツが悪いながらも頷くと、エナが僕に抱きついて、耳元で囁いてくる。
“Please go all out.”
本気でしていい。
その言葉に、僕は少しだけ身構えた。
確かにこれまでのように、激しいセックスをエナにもすることは可能だ。
その方が僕だって気持ちいいし、不完全燃焼にならずに済む。
しかし内心では、本気で乱れるエナの姿を見たくないというのもあった。
さっきのような優しいセックスにもまた喜びはある。清楚でお淑やかなエナが、本能をさらけ出す姿は見たくない。
これまでの僕の失敗は、本能の赴くまま、欲望の赴くままにセックスしたことだ。
白人の美女たちを、一晩中、あるいは三日三晩に渡って犯し続け、何の躊躇いもなく中出しした。
それはそれは気持ちのいい、夢のような時間だったけど、その結果が今回の事態を招いた。
できればエナには、そんな乱暴なセックスをしたくない。
本能剥き出しの僕を見て欲しくない。
beautifulと言ってくれたエナの蒼い瞳を、野蛮なオスへの失望で曇らせたくない。
“I like much harder.”
激しいのが好き。
その言葉が、僕に気を使ったエナの優しさだということはわかってる。
彼女はさっきの優しいセックスでも余裕がなかった。もしいつもどおりの激しいセックスをしたら、この少女は壊れてしまうかもしれない。
“Please be confident.”
それでもエナは、僕に向かって微笑みかける。
日本で全くモテなかった、自信を喪失した僕に、気にせず自信を持てと囁いてくる。
あなたのモノは逞しいわと。
これで私の奥を突いてと。
まるで筆下ろしをするお姉さんみたいに、エナは不似合いな積極性を発揮する。
それが彼女の柄でないことはわかってる。彼女が無理して言ってるのも。
それでも、
“I love you, Daisuke. Please give me yours.”
その美しくも妖艶な微笑に、僕は覚悟を決めた。
もしこのセックスでエナを妊娠させたら、必ず彼女を迎えに来る。
どんなに冴えなくても、どんなにモテなくても、きっと彼女を幸せにしてみせる。
そう心に決めながら、
“Ahh!!”
今日はじめて、僕はエナの最奥を突いた。
自分の知る限り、女の子がもっとも感じるスポットだ。
エナの新品同様のpussyが、僕のナニを締め付けてくる。ステイシーさんやアリシアさんのような、絡みつくようないやらしさはないが、ぎこちない締め付けと僕の背中に絡みついてくる手脚が、この子を守らなければという義務感を掻き立てる。
僕の全てを受け入れてくれた女性に、僕は全力のセックスで応える義務がある。
「エナっ! エナっ!!」
“AHH!! Uskumatu!!
正常位というより、いわゆる種付けプレスで長身の白人女性を犯すと、彼女はこれまでにないような激しい喘ぎ声を上げた。
やはりさっきのセックスでは声を抑えていたのだ。
あくまで、優しいセックス。
でも今回のセックスは、僕も彼女も本気だ。
“Mis see on!? Mis sugu see on!?”
激しく身悶えながら、エナが綺麗なショートヘアを振り乱す。
こんな清楚な美人でも、セックスのときはこんな色っぽい顔を見せるんだなと、僕はエナの身体に腰を打ちつけながら思った。
気持ちいい。
やっぱり白人女性との本気セックスは気持ちいい。
さっきの優しいセックスも幸せだったけど、こっちのセックスの方がもっともっと幸せだ。
互いの一番敏感な部分を連結させ、全身全霊をぶつけ合うセックスは、言葉も何もいらない、最高の異文化コミュニケーションだ。
“AH!! Daisuke!! Sa oled hull!! Ma ei tea!! Ma ei tea!!”
騎乗位の体勢でエナを下から突き上げると、彼女の形の良い乳房が激しく揺れる。
エナが上のはずなのに、主導権は完全に僕が握っていて、僕が突き上げるごとにエナが真っ白な背中を反らせて甲高い声を上げる。
まるで、セックスが上手くなったような気分だ。
しかし勘違いすることなかれ。僕は童貞を失ってから一ヶ月しか経っていない半童貞だ。
白人の美女を乱れさせる力などあるわけがなく、あくまでこれはエナの優しさによる演技なのだ。
“AHH!! Su peenis on hull!! Su seks on suurepärane!!”
それでもエナの乱れようを見ていると、男として悪い気はしない。
まるで長身の白人美女をセックスで屈服させたような、そんな気分になる。
エナの乱れる姿を見たくなかった?
いや、本当は見たかったのだ。
彼女が僕の上で腰を振り、本能を剥き出しにする姿を。
“AHH!! Väga suur!!”
本能剥き出しで乱れても、エナはエナのままだった。
あの優しい顔立ちも、美しい身体も、何一つ変わっていない。
僕はセックスをすることで、女の子を変えてしまうような恐怖を感じていた。
リズだってアマンダさんだって、最初はそんな素振りなかったのに、いざセックスを始めると淫らな女性に豹変する。
最初はそれが白人の文化だと思っていたけど、洋モノのアダルト動画を見ても、あそこまで白人女性は乱れたりはしない。
まるで僕のセックスに、魔法のような何かがかけられているような疑念。
テクニックが凄いなんて思わない。
僕よりペニスの大きい白人男性や黒人男性はごまんといるだろう。
にもかかわらず僕とセックスした白人女性は、みんな人が変わったように僕とのセックスを求め始める。
僕はそれが怖かった。
彼女たちのセックスはもちろん気持ちいいけれど、同時に不安を駆られる部分もある。
でもエナとのセックスは、これまでの女性たちとのセックスとは違った。
エナはちゃんとエナのままだ。セックスの快楽に乱れつつも、時折あの優しい微笑で僕の心を包み込んでくれる。
僕はちゃんとエナを見ている。
エナもちゃんと僕自身を見つめてくれている。
それこそが本当のセックスだと、僕はようやく理解できた。
“AH!! Daisuke!! Ma olen kummitus!! Ma olen kummitus, Daisuke!!”
今度は対面座位になって、僕らは見つめ合いながら、互いの体温や性器の感触を確かめ合う。
僕らはもう、わかり合っている。
言葉は通じなくても、互いの歩んできた道は知らなくても、重なり合った部分から、相手の気持ちが伝わってくる。
愛している。
国によって言葉が違う、その気持ちを伝え合わなくても、
僕らはセックスを通じて、互いの愛し合う気持ちを感じていた。
自信を持ってとエナは言った。
今なら持てる。
エナをこんな気持ちにしてあげられるのなら、
僕のチンポも、僕のセックスも、そんなに捨てたものではないのだと。
“AH!! Daisuke!! Ole nüüd!!”
迫りくる射精の気配に、さすがに一度はペニスを抜こうとするも、エナにダメと唇を塞がれる。
これまでもこんな風に、色んな女性に中出ししてきたけど、この射精は何かが違う。
ちゃんと、相手を妊娠させるためのセックス。
二人のこれからを、ちゃんと約束した上での、同意の取れた中出しだ。
“AH!! Ma olen kummitus!!”
僕の背中にしがみつき、おまんこを締め付けてくるエナに、僕は誠心誠意を込めて射精した。
僕の精液が一滴も溢れないように。
エナの子宮を、ちゃんと精液で満たしてあげられるように。
僕はゆっくりと確実に、彼女の子宮口を捉えながら、ゆっくりと子種を注ぎ込んだ。
「ああ……」
長い長い射精だった。
これまでのどの射精よりも長く、気持ちの良い中出し。
僕が射精するたび、華奢な身体をびくんと震わせながらも、エナは僕と抱きしめ合うことをやめなかった。
彼女の小ぶりなおっぱいが、僕の胸板に押しつけられる。
互いの乳首が擦れ合って、僕らは恥ずかしそうに顔を見合わせた。
エナを愛している。
僕は心からそう思った。
◆ ◆ ◆
“I will be waiting for your call.”
急いで日本に帰らないといけない。翌朝、エナの家で朝食を食べた後にそう告げると、彼女は少し寂しそうな顔をしつつも、わかったわと受け入れてくれた。
ここまでの関係になったのだ。本来は責任を取るのが筋だし、彼女の方もそれを望んでいることが伝わってきた。
でも日本での問題を解決するまでは……その気持ちがあることも事実だ。
もし、彼女たちが全員妊娠しているのなら、僕は責任を取らないといけない。
その上でエナにも責任を取るなんて、虫の良すぎる話だとわかっているけど。
「必ず迎えにくるから、待ってて欲しい」
恋人――なのかどうかはわからない。そういう関係になった女性に対し、僕は日本語で想いを告げた。
卑怯かもしれない。
無責任かもしれない。
しかし僕が、このまま彼女を蔑ろにすることは絶対にないと思えた。
彼女のセックスは安らぎをくれる。
一時はそれが、気持ちの良いセックスとは同居しないものと思ったけど、彼女との本気セックスは快楽の中に明確な安らぎを含んでいた。
彼女が運命の相手だから?
それを確かめるすべは僕にない。
確かなのは、僕がエナに対して恋愛感情を抱いていること。
エナがその気持ちを、全身で受け入れてくれていることだ。
このまま、彼女と音信不通になることは絶対にない。
日本での問題が片付いたら、必ずエナに連絡を取って、
彼女に、結婚を申し込もうと決めたのだった。
36〜37日目 パリ北駅〜ガルニエ宮〜シャルル・ド・ゴール空港〜タリン空港〜タリン旧市街
【移動距離】1625km(ヨーロッパ通算2110km)
【手段】徒歩、ロワシーバス、飛行機、トラム
【所持金】€736(+$5,190)
【支出】
モンマルトルで買ったクロワッサン -€4.5
ロワシーバス(ガルニエ宮〜シャルル・ド・ゴール空港)運賃 -€11.5
パリ〜タリン航空券 -€233
トラム(タリン空港〜タリン旧市街の路面電車)運賃 -€3
Enaの家で食べた朝食 -€0
Enaに払った似顔絵代 -€10
262
【残金】
€474(+$5,190)
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ダイスケがヨーロッパで抱いた白人女性
イギリス
Jessica Heathrow(24)
Silvia Stanton(12)
Stacy Stanton(30)
フランス
Emily Claudel(18)
エストニア
Ena Claus(22)
合計5人