※この作品はR-18です。

セックスは最高の異文化交流   作:かしわもち@ハーメルン

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幕間 〜斉木拓真の憂鬱〜(エロなし)& 人物紹介

 大介が日本を出てから一週間近くが経った。

 

 たったの一週間。

 されど一週間である。

 

 大介とは小学校からの付き合いで、以降中学高校大学と同じ学校に通う、いわゆる幼馴染の関係だ。

 

 大柄で、朴訥なところのある大介は、女の子たちから「冴えない」と捉えられてしまうのか、徹底的にモテない。

 この前なんてついに百人目の告白相手から断られてしまい、傷心旅行を兼ねて世界一周旅行に出発してしまった。

 

「……ったく、それぐらいで海外になんて行くなよな」

 

 いつも大介と行くファーストフード店の席に座り、僕は一人溜息をついた。

 正直、男女のアレコレなんてタイミングと縁次第だと思っている。

 僕もこれまでに何人かの女の子と付き合ってきたが、そのうちの誰とも「運命」だの「赤い糸」だのを感じたことはないし、結局はタイミングと、両者の意向が一致しただけのことだと思っている。

 

 誤解のないように言えば、僕は今の彼女が好きだし、できるだけ長く一緒にいたいと思っている。

 けど、人生の全てを懸けて守りたい相手かと言えば、そうではない。

 もちろん何か危険があれば助けるし、命を張るようなこともあるだろうが、自分はこの子と出会うために生まれて来たんだと胸を張って言えるかと聞かれると、僕は即答できないのである。

 

 大介は自分がモテないことを気にしている。

 自分が童貞であることも気にしている。

 

 僕は声を大にして言ってやりたい。

 そんなことどうでもいいじゃないかと。

 

「……でも、言えなかったんだよなぁ」

 

 僕はテーブルの上で一人頭を抱えていた。

 側から見れば独り言ばかりをつぶやく変な奴に思えるだろうが、そんなことを気にしている余裕は僕にはなかった。

 

 僕は大介に何も言ってやれなかった。

 突然ロサンゼルスへの片道切符を取り出されて、ただただ親友の計画に唖然とするばかりだった。

 

(本当は……僕も付いて行きたかっただけかもしれないな)

 

 今になって思えば、僕はただ大介と一緒にアメリカに行きたかっただけなのかもしれない。

 だから出発から一週間、大介から何の連絡もないことにヤキモキして、そぞろな気持ちを抱えてしまうのだ。

 

「でも、いきなりロサンゼルスはないだろ……」

 

 あいつはいつもそういう奴だった。

 変なところで思い切りがよく、後先考えずに行動してしまう。

 それで失敗することも多々あったけど、あいつのそんな部分を僕がずっと尊敬していたことを、大介本人は知らない。

 

 しかし今回は日本ではない。海外なのだ。

 しかも銃規制のされていないアメリカ合衆国。

 よもや悪漢に銃口など突きつけられていないだろうか。

 白人の美女に騙されて、美人局のようなことをされていないだろうか。

 あいつはドジだから財布を落としても気付かずに、郊外のファミレスで呑気に生焼けのハンバーグでも注文しているかもしれない……。

 

 考えれば考えるほど、悪いイメージが浮かんでくる。僕もアメリカには一度だけ行ったことがあるが、僕らアジア人への人種差別もまったくなかったわけじゃない。

 もし大介が向こうの人たちにジャップだのモンキーだの、いちゃもんを付けられていたとしたら――。

 

「……なんだか胃が痛くなってきた」

 

 大介についてあれこれ考え過ぎるのはもうやめよう。このままでは胃薬がいくつあっても足りない。便りがないのは元気な証拠だ。

 

 今どき、海外への一人旅なんて女の子でもしている。

 あいつはメンタルは弱くても体は頑丈だから、ちょっとやそっとじゃ動じないだろう。

 

「案外、海外の方が向いてるのかもしれないな……」

 

 常日頃から思っていた。

 大介がモテないのは、日本の女の子たちに見る目がないだけだと。

 あいつは確かに無鉄砲だし、初対面の女の子にセックスしようなどと言い出すとんでもない奴だけど、それはあいつが純粋で、正直者であることの証拠だと僕は思っている。

 

 雰囲気やシチュエーションを大事にする日本の女の子に、大介は選ばれないかもしれない。しかしもしかしたら感情表現がストレートな海外なら、あいつの人柄も受け入れられるかもしれない。

 もし百人の白人女性にセックスをして下さいと頼み込んだら、一人くらいは本当にしてくれる可能性だってある。

 

「ま、考えても仕方ないか」

 

 あいつは傷心旅行に行ったのだ。何も恋人探しが目的ではない。

 だからそんな心配はお節介というものだ。

 

「今頃どこで何やってんのかな……」

 

 小学校の頃から四六時中一緒にいて、こんなに長い間あいつと離れるのは初めてだった。

 おかげで夏休みにあいつと遊びに行こうとした計画が全部パーだ。だったら彼女と行けと思われるかもしれないが、その中には昔ながらのストリップ劇場や大人向けの秘宝館も含まれていたから、女の子を誘うには気が進まない。

 

「俺も今から追いかけてみようかなぁ……」

 

 とりとめもない計画を口にする。追いかけようにも今どこに大介がいるかわからないのだから、合流するのは土台無理な話だ。

 

 さっきも言ったように、あの日大介と一緒に行くと言わなかったことを、僕はひどく後悔していた。

 

 あいつとアメリカに行って、多少危険な目にもあって、それでも毎日馬鹿騒ぎして……きっと最高の夏休みになったはずだ。

 少なくともこうしていつものファミレスで時間を潰さなければいけないような、意味のない夏休みにはなっていないはずだ。

 

 あいつは僕の彼女のことを気遣っていてくれたみたいだけど、付き合って一年かそこらの恋人より、十年来の親友の方が大事だと言ったら、世の人々からは顰蹙を買うだろうか。

 

 でもそれも詮無い話だ。

 僕は大介に付いて行くと言えなかった。

 多分立場が逆なら、大介は迷わず付いて来ると言っただろう。

 そこが僕と大介の決定的な違いだ。

 こうと決めたら、迷わず目的に向かって突き進む。

 その結果多少周りが見えなくなってしまっても、男にはそうすべき時が必ずあると、僕は思う。

 

 要するに、僕に足りないのは男らしさなのだ。

 こんな過ぎたことにくよくよして、一人思い悩むような男ではなく、日本人の女の子百人に振られれば迷いなく日本を飛び出してしまうよな、爆発的なエネルギーを持った男に僕はなりたいのだ。

 

 あいつにはどこか、野生的な魅力がある。

 泰然自若としているわけではないし、どちらかというとシャイな部分もあるが、やるべきときは百パーセントの野性味を発揮できる。

 

「僕も少し見習ってみるか」

 

 思い立ったが吉日、僕はファミレスの席を立ち上がり、向かいの席に座っていた一人の女の子に話しかけた。

 背丈は小さめの、高校生か大学一年生くらいの可愛い系の女の子で、お店が空いているせいかボックス席に一人で腰掛け、英語か何かの勉強をしていた。

 

「え?」

 

 僕はそのボックス席の対面に座り込んだ。

 突然見ず知らずの男が相席をしてきたのだから、当然の女の子は戸惑っている。

 

 そして僕は、僕の思考では生涯言わなかった台詞を、女の子に投げかけたのだった。

 

「お嬢さん、よかったら僕とセックスしてくれませんか?」

 

 当然、女の子は目が点になっていた。

 周りに座っていた客たちも思わず振り返ってギョッとしている。

 

 正直、僕も今すぐこの場から逃げ出したかった。

 大介の奴、こんな言葉を百人に向かって言ったのか。強心臓にも程があるぞ。というかよく逮捕されなかったな!

 

 僕は自分の度胸を試そうとしたことを後悔しつつ、この場を丸く収める唯一の方法を考えていた。

 もしこの場で僕が逃げ出せば完全に変質者だ。

 逃げ出さなくても変質者には変わりないが、この場がもっとも丸く収まる方法は、僕がこの子にこっ酷く振られてしまうことだ。

 

(……ごめんなさい。私好きな人がいるので)

 

 こんな感じに彼女が誠実に僕を振ってくれれば、周りの人達は僕に同情の目を向けてくれる。僕もショボくれた振りをして店の外に出て行きやすい。

 

 無論、こんな保身を思索している時点で本家大介には遠く及ばないのだが、さすがの僕も我が身の可愛さを感じてしまう。お願いだから「この人変質者ですっ!」とか大声で叫ばないでくれよ。もしそうなったら僕の人生は終わりだ。

 

「…………は、はい」

 

 しかしあろうことか女の子は頰を真っ赤に染めて、僕の提案を承諾してしまった。

 勉強していた手を止め、恥ずかしそうに俯いている。

 

 予想外の出来事に今度は僕の目が点になった。女の子があまりに敵対心を抱かないので、周りの客も「なんだ元々カップルだったのか」と僕らへの興味を失っている。

 

 しかし誓って言うが、僕らは完全に初対面だった。

 初対面にも関わらず、彼女は僕からのセックス要請を承諾してしまったのだ。

 

 それから僕が彼女に事情(嘘八百を並べたもの)を説明して、自分に彼女がいることを含めてちゃんと理解してもらうまでに、優に二時間を要した。

 

 彼女はとても不満そうだった。

 まるで見ず知らずの僕との性行為を期待するような、不可思議なシチュエーションが生じている。

 

 別れ際にも彼女は僕をホテルに連れ込もうとしたが、当然僕は拒否した。結局、彼女が僕を解放してくれたのは、来週一度だけ遊園地でデートするという、とんでもない予約を取り付けた後だった。

 

「大介、僕はお前のようにはなれそうにないよ……」

 

 今は遠き、北アメリカ大陸を闊歩しているであろう友人に思いを馳せ、僕は今日の行為を反省した。

 

 女の子を、セックスになんか誘うもんじゃないな。




<ここまでの人物紹介>

坂上大介(21)

朴訥な容姿と大柄な体を持つ童貞大学生
百人の女の子に振られたことで、世界一周の傷心旅行に出る
英語力は一般的な大学生レベルだが、エロ用語に関しては詳しい

【能力……巨根、媚薬精子、超絶テク(無自覚)、硬さ◎】


斉木拓真(21)

大介の幼馴染で親友
イケメン
大介の母親のような存在

【能力……母性、親友>彼女、心配性】


キャサリン・マクブライド(27)

現役のハリウッド女優
オスカー像も獲得し、実業家としても活躍する
ポルノ動画流出のスキャンダルで仕事を失いかけるも、ダイスケとのセックスで本当の自分を知り、新たな道を模索する

【能力……超絶美人、金髪、爆乳、ドS、白人至上主義】


エリザベス・カーター(18)

ロサンゼルス郊外のファミレスで働く女子校生
従兄であるマイクに恋心を抱くも見向きもされず、傷心していたところをダイスケに抱かれ、メロメロになる

【能力……ツンデレ、金髪、恋する乙女、くたばれジャッ◯】


アマンダ・トレイシー(26)

全米を股にかける女性トラック運転手
ヒッチハイク禁止地区で立ち往生していたダイスケをピックアップし、フラッグスタッフまで運ぶも途中でタイヤがバースト
流れに任せてダイスケとセックスをすることになり、極上の快楽を知る

【能力……クール美人、黒髪、爆乳、働く女、ヒスパニック系】
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