明日香が妊娠した。
それは私にとって人生で最も衝撃を受けたニュースだったかもしれない。
私と明日香は大学時代からの親友で、共にバツイチ子持ちの旦那と再婚したという共通を持っている。
明日香はゆるふわロングのおっとりお姫様で、私はショートヘアでサバサバした女。
そんな対比も相まって昔からよく凸凹コンビとかプリキュアコンビとか言われたりしたけど、根幹の部分では馬が合うというか、二人揃ってほぼ同時期に子持ちの男と結婚したのも、そういう波長のようなものが合っていたからだと私は思っている。
そんな明日香と私には、もうひとつ共通点がある。
それは二人とも妊娠能力に乏しいということだった。
明日香も私も子供は好きだし、結婚当初から早めの妊娠を睨んでいわゆる妊活をしていた。
要するに、旦那とはいつもゴムなし中出しのセックスをしていたのだ。
しかし一年経っても、二年経っても、お互いに妊娠の気配はない。
旦那は共に前妻との子供がいたから、男の方に問題があるとは考えにくい。そう考えた私たちは、二人で一緒に不妊治療のクリニックで検査を行った。
そこで待っていたのは、二人とも妊娠能力に極めて乏しいという残酷な結果だった。
ショックを受けていたのはむしろ明日香の方で、泣きじゃくるあの子を私が慰めるという構図だったけど、私自身もそんな明日香を慰めることで、自らのショックを必死に押し殺していたんだと思う。
旦那との子供が作れない。
というか、私では子供自体を作れない。
そのショックの大きさは、実際に経験したことのある人間にしかわからないと思う。
私自身、家族に血の繋がりは重要じゃないと思ってたけど、いざ現実に直面すると想像以上に塞いでいる私がいた。
自分の遺伝子を後世に残せない。
それだけのことが、まさかに心にここまでの空虚感をもたらすとは思わなかった。
「私、自分の子供は諦める。幸いうちには紗夜ちゃんがいるし、たっくんと三人だけでも十分幸せだもの」
先に妊活に見切りをつけたのは明日香の方だった。明日香は旦那の連れ子に対して引け目があるのか、不妊治療を行うことに消極的だった。
そういった意味で、中身は以外と明日香の方がサバサバしている。
むしろ諦めが悪いのは私の方で、旦那と連れ子である息子の了解を得た上で、正式に不妊治療を開始していた。
先の知らせが舞い込んで来たのは、そんな矢先の出来事だった。
明日香が妊娠?
不妊治療もしてなかったのに?
自分でも浅ましいとわかっているけど、祝福よりまずその疑問が頭に浮かんだ。
明日香だって、自力で妊娠する確率はゼロに等しかったんじゃなかったの?
そういう気持ちが顔に出ていたんだろう。
明日香はバツが悪そうにしながらも、ひとつのウェブサイトを紹介してきた。
【どんな女性でも確実に妊娠させられる日本人男性紹介します。施術料は一回10万円のみです】
「何? このふざけた文言」
あからさまな詐欺サイトに、私は眉を顰めた。どんな女性でも妊娠させられるって、魔法じゃないんだから。そんなものあるんだったらとっくに試してるわよ。
「そ、そう思うでしょ? でもね、本当に私これで妊娠したの。エコー写真にもこんなにくっきり」
不妊治療中の私に赤ちゃんのエコー写真を見せるという行為については言及しない。それだけ明日香が興奮してるってことなんだろうから。
そんなことよりも私は、親友が何らかの詐欺行為に引っかかっているのではないか心配になった。
「いや、ありえないでしょ。たまたま天文学的確率で妊娠できたのを、その施術とやらのせいにしてない?」
一番考えられるのは、明日香が旦那とのセックスで奇跡的に妊娠したにもかかわらず、内容はわからないけどその詐欺商法の恩恵だと思い込んでいること。
明日香は昔から思い込みが激しいから、いつかこういう詐欺に引っかかるんじゃないかと心配していたのだ。
「ううん、違うの。だって妊娠検査薬で陽性が出た後だもん。最後にたっくんとえっちしたの」
「は?」
あまりの天然トークぶりに開いた口が塞がらない。
妊娠した後に旦那とセックスしたって。この子そこまで保健体育苦手だったかしら。
「……つまりあんた、旦那以外とセックスしたってこと?」
結局は、そういう結論にたどり着く。
旦那とセックスする前に妊娠したというのが本当なら、このエコー写真に写った子供の父親は旦那ではない。
でもまさか。私がそう思うのも無理はない。
だってこの子は彼氏と手を繋ぐまで三ヶ月もかかった子だ。そんな絵に描いたような純真女が、まさか旦那に黙って不貞行為を働くなんて。
「で、でもあくまであれは施術なの! 浮気とか不倫とか、そんなんじゃなくて、純粋に赤ちゃんが作りたくてしたことなの」
顔を真っ赤にしながら訳の分からない言い訳をする明日香。普通不倫の言い訳だってもう少しまともだが、この子の場合は説明が整理されてなくて言葉の意味さえもわからなかった。
「は、恥ずかしいけど、由貴ちゃんにならそのときの動画、見せてもいい。一回十万円だけど、妊娠しなかったらタダでいいって。もし興味があったら、その番号のサラって人に連絡取ってみて」
LINEでWebサイトのURLと、かなり重い動画ファイルを送ってくる明日香。
言っていることはかなり怪しいが、本人が私のことを想ってサイトを紹介してくれているのはわかる。
昔からそういう子だし、もし騙されているとしても、この子は騙されているという自覚をそもそも持たない子だ。
だからこうして、100パーセントの善意で詐欺サイトまがいのものを紹介してしまう。
「誰いないところで、動画だけでも見てみて。私が由貴ちゃんにここを勧める理由、きっとわかると思うから」
躊躇いつつも、心の奥底では自信がありそうな面持ちの明日香。そんな親友をどう説得して、やり込めるか。
理解不能の事態に頭を抱えながら、私は一応その日の夜に、明日香の送ってきた動画とやらを見ることにした。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇
「さっさと始めてちょうだい。私、一時間以上ここにいるつもりないから」
結論から言えば、私は明日香を言いくるめることができなかった。
そればかりかあろうことか、都内の某ホテルに呼び出されて、明日香の言う「施術」とやらを受けようとしている。
坂上大介という男。
ごく普通の大学生のようだが、明日香から送られた動画に映っていた彼は異様だった。
『ああっ♡ 凄いっ♡ たっくんのセックスとは比べ物にならないくらい気持ちいいっ♡♡』
一言で言うなれば、性豪。
あの明日香があんな風に乱れるなんて、そうとしか説明できない。
これまで自分が経験してきたセックスとはまるで別物。私たち夫婦の行為が単なる児戯だって、動画一本で思い知らされた。
【どんな女性でも確実に妊娠させられる日本人男性紹介します】
そんなアホみたいな謳い文句も、あるいは本当なのではないかと思い込ませる説得力が、あの動画にはあった。
この男の子供を孕みたいという、心からの欲求。それが動画の明日香からは感じられた。
私は今の旦那に、あれほどまでの欲求を抱くことがあっただろうか。
せいぜい、できれば子供が欲しい。
その程度の感情ではなかったのか。
きっと、それではダメなのだ。
この男の精子で孕まされたいという、心からの欲求。
しかもこの一回で確実にという覚悟。
そんな切実な欲望を抱くからこそ、女の妊娠能力が極限まで高まる。
決して科学的ではないけれど、本能的に解らせる力が、あの動画にはあった。
あの動画というか、この男のペニスと、セックスに。
「こっちがお金払うのに書類選考なんて、舐めた真似してくれるわね」
この男と会うに際し、全身の写った写真、身長、体重、スリーサイズなど、ありとあらゆる身体情報を送るよう指示された。
中曽根(なかそね)由貴(ゆき)、25歳。
身長167センチ、体重53kg。
Eカップ。
大学のミスコンで四連覇したことがあるので、スタイルと顔立ちには自信があった。
ちなみにその際に運営側が勝手に作ったキャッチコピーは、
濃紺のショートヘアに、凛乎とした顔立ちの超絶クールビューティー。透き通った瞳につんとした鼻梁。
抜群のモデルスタイルと魅惑的な胸元、未踏峰の処女雪のような白肌。史上初のミスコン四連覇に死角なし。
である。
当時は何考えてるのと思ったけど、大学時代はそんな風に持て囃された女の子だったというわけだ。
そんな私に対し、書類選考紛いの要求。
向こうの言い分は「口コミで申し込みが殺到しているので相手を厳選する必要がある」だそうだが、お金を払う相手に対して失礼にも程がある。
最終的には、全身の写った全裸写真を送れとまで言われて、私はさすがに憤った。
憤ったけど、あの男とセックスする日本人の動画を何本も見せつけられて、渋々従っていた。
悪用されたらどうするのとは、あまり考えなかった。
いや、考えないように誘導されたというのが正しいのかもしれない。
彼とセックスすれば確実に妊娠できる。
そんな洗脳めいた考えに汚染されていた可能性もあるけれど、まあ明け透けに言って全部言い訳である。
彼とセックスできれば妊娠できるかもしれない。
それが二割。
あと八割は、単純にこの男とセックスしたかったのだ。
人生で一度も見たことないような巨根。
野性のライオンを思わせる激しい身体使い。
この男に組み敷かれた女たちの激しい喘ぎ声。
私の旦那なんて足元にも及ばないオス。
それが私のこの男に対する評価だ。
明日香がこの動画を見ればわかると言った意味がよくわかる。
この男とセックスする機会を前にして、見送るなんて女としてありえない。
裸の写真でもオナニー動画でも何でも送るから私を採用して欲しい。
それがサラという仲介役の女からの当選メッセージが来るまで私が本気で抱いていた感情だ。
でも実際、こんなモノ扱いするような選定をされて、屈辱に思わないわけではない。
あわよくばセックスで一泡吹かせてやろう。そう本気で思っていたのに、
「デカすぎ、じゃないの……これ……」
坂上大介の前で跪いてその男根をシゴき始めたとき、私には到底無理な行為だったと思い知らされる。
この男に、一泡吹かせる?
そんなの絶対に不可能だ。何なら私が泡を吹いて倒れる可能性だって全然否定できない。
こんな逞しいペニス相手に、私にいったい何ができるの?
(拓矢(たくや)のとは、何もかもが違う)
中曽根拓矢は私の旦那の名だ。
年齢は私より三つ上なだけだが、前妻と作った五歳の息子がいる。
旦那とのセックスに不満を感じたことはない。むしろこれまでの彼氏の中でペニスは一番大きいし、長持ちな方だ。
包茎なんてつまらないものでは断じてないし、経験人数もそれなりに豊富らしいから、女をイかせる技術も心得ている。
でも、
「ああ……由貴さん、そのまま金玉も舐めて下さい」
「うるさいわね、いちいち命令しないで……」
そう言いつつ、素直に逞しい金玉を舐めてしまう。その行動で、坂上大介がどんなペニスを持っているか察して欲しい。
この男のペニスには、女を従わせる力がある。
視覚においてまず女を圧倒し、触覚において誘惑、嗅覚において発情させる。
竿もカリも幹も亀頭も、異次元。
逞しいオスの匂いを嗅ぐだけで、頭がクラクラする私がいた。
明日香が霰もなくフェラしたこのペニスを、私も早く気持ち良くしてあげたいと思った。
この男を気持ちよくできるかどうか。
それが私たち女において、最も重要な指標だと思った。
「気持ちいい……?」
言われずとも、男の硬くなったペニスをパイズリする。
パイズリとは言うが、私のEカップではほぼ添えるだけに近かった。それではHカップの明日香に劣っているようで悔しいから、硬くなった乳首で必死に男のカリをシゴいた。
「んっ、あっ――」
もちろん、それで気持ち良くなったのはむしろ私の方だった。亀頭に乳首を擦り付けているだけなのに、天国にも昇るようか心地になる。
このままではいけない。そう思いつつも完全に勃起した乳首を五分近く男のカリに擦り付けて、私は次なるご奉仕に入る。
「あっ、由貴さんそれいい……」
情けない声を上げる男の乳首を、私はチロチロと舐め上げ続けた。
こんなこと、拓矢にもしたことない。
でも男を満足させるためには、私はどんなことだろうと率先して行わなければならない。
ベッドの上に寝転んだ男を手コキしながら、乳首を舌先で舐め続ける。余った手は男のアナルに回して、躊躇うことなく肛門の奥まで指を突っ込んでマッサージした。
「由貴さん、いくよっ!」
「きゃっ――」
ほとんど予兆もなしに、信じられない量の精液を顔や身体に発射される。
これだけの距離があるのに、まさか射精の衝撃を感じることがあるなんて思わなかった。
チンポの匂いも凄いけど、ザーメンの臭いは桁違いだ。少し嗅いだだけで頭が朦朧としてくる。
全身ザーメンまみれになっても、不快に感じることは何もない。むしろもっとかけて欲しいとすら思う私がいた。
それにこの量と勢いの精液、子宮に直接浴びたらどうなるの?
そんな疑問が頭の中を渦巻いて、気付けば私は精液の残った男のペニスをお掃除フェラしていた。
早く、勃起して欲しい。
そう思いながら渾身のフェラを披露すると、男のモノは瞬く間に力強さを取り戻した。
「動画を見てわかってはいたけど、本当に絶倫ね」
嫌味で言ったつもりだけど、頭の中には賞賛しかなかった。むしろこの言葉を愛の告白と受け止められても構わない。それだけ私は、この男のペニス、もといデカチンポに惚れていた。
「あっ、ああっ――」
間髪入れず、騎乗位で男のペニスを挿入する。
事前のイメージトレーニングで挿入時に躊躇っては負けだと判断していた私は、男の逞しいものを一気に奥まで突き込んだ。
(こんな深いの……知らないわよ――)
あまりに太いペニスで奥を直接キスされたとき、躊躇おうが躊躇わなかろうが、こんなモノに勝てるわけないと、私の中のメスが敗北を認めた。
もう、好きにしなさいよ。
こんなデカチンポに勝てるわけないでしょ。
「ああっ! 凄いっ♡」
男に好きなように下から突き込まれ、ほとんど数秒ごとに絶頂する私がいた。
いったいどうしてこんな勝ち目のない体位を選んだのか自分でもわからないけど、もうどうでもいい。コイツの逞しいチンポがあればそれで。
この逞しいオスのチンポがあれば、女としてのプライドも何もいらない。今は拓矢への気持ちも忘れていい。
「ああっ♡♡ デカチンポ凄いっ♡♡」
サラという女にビデオ撮影されているのはわかっていたが、私はただ一心不乱におっぱいと髪を振り乱して、男のピストンに身を委ねるしかなかった。
これを見た女がどう感じるのかはわからないけど、私の本気の喘ぎ声を聞いたら、きっと何万円積んででもこの男の犯されたいと思うだろう。
だったらもう、好きなだけ見なさいよ。
この男のチンポがどんなに凄いか、私が無修正のセックス動画で証明してあげるから。
「ああっ!! イッてるのにまたイクっ♡♡」
この男とのセックスに絶頂の終わりはない。
イッている最中にまたイかされる。絶頂の引き際に更なる絶頂が襲ってきて、イッてない状態がどんなだったかすら忘れてしまう。
きっと明日香も、こんな風にイかされたのだろう。明日香だけでなく、他の女も。
勝てるわけないでしょ。
こんなデカチンポのセックスキングに。
何度射精しても無尽蔵にザーメンを精製できるような魔人に。
だからもう、いいわよ。
さっさと一回目の中出しで妊娠させて、あとはオナホールとして好きにイかせまくって。
そしたらもう、私は至上の幸せを味わえるから。
女に生まれてきてよかったって、カメラの前でもサラって女の前でも誓ってあげるから。
だから早く、あんたのザーメンおまんこにぶちまけて。
これまであんたが他の女にしてきたように、当たり前のように種付けしてよ。
それがあんたの仕事なんだから。
私の依頼なんだから。
だから途中でやめたら許さない。
この気持ち良すぎる生ハメチンポやめたら殺すから、一滴残らず私の子宮に中出しなさい。
「ああっ! 出すよ由貴っ!!」
どさくさ紛れに呼び捨てされて、子宮の奥がキュンと熱くなる。
呼び捨てでも何でもいいから、さっさと引き金を引いて。ついでに私を性奴隷にしてもらっても構わないから、早く濃厚ザーメンおまんこにぶちまけて。
「ああっ! 射精るっ!!」
「――ああっ!!」
直後、頭の中に広がったのは真っ白な世界。
快楽を遥かに超えた快楽が私を襲い、一瞬にして子宮の中が念願のもので満たされる。
勢いとか量とか、そんな次元じゃない。
この男に中出しされた。
その事実だけで、私はこの世に生まれてきて良かったと本気で思った。
「ああっ♡ 大介のデカチンポ気持ちいいっ♡♡♡」
そこから先はもうよく覚えていない。
後から送られて来た動画をみて、ああ、私こんなエロい言葉叫びまくってたんだと思った。
あとこれだけ気持ち良くなっても人って死なないんだとも。
こんな動画、旦那に見せたら卒倒されるけど、もちろん見せることは絶対にない。
産婦人科で妊娠を告げられたと言ったときは、拓矢も連れの息子も、心の底から喜んでくれた。
私が何も言わなければ、それだけの話。
坂上大介のデカチンポとセックスは私だけでなく私の家族をも幸せにした。
きっとそれだけのことなのだろう。
決して誰も不幸にはならない、無辜の関係だ。
ちなみに拓矢が三人目(私が産むという意味では二人目)の子供を欲しがったら、私は問答無用でまたあの男に依頼するから、そのことは恨まないでね。
これは、私と明日香だけの秘密。
まさか明日香と竿姉妹になる日が来るとは、カケラも思ってなかったけどね。