エピソード1 フロリダ州マイアミ ~ボーイフレンド持ちの清廉美女~
ある日、自分の息子がYouTuberになりましたと言ったら、両親はどう思うだろうか。
大学卒業後に特定の職種に就かず、その日暮らしをしている息子が言うのだ。現実逃避もいい加減にしろと一喝されるに違いない。
坂上大介、二十四歳。
仕事、セックス。
そんなプロフィールを開示したら、ほぼ全ての人が頭おかしいんじゃないかコイツと思われるに決まっている。
しかし僕の仕事は実際のところセックスだった。サラ・アンダーソンという少女が斡旋してくれた白人女性(しかもほとんどが美女か巨乳、あるいはその両方)とセックスすることで日銭を得ている。
その人数は一日で五人を越えることもあり、結構な人数と生ハメ中出しをセックスして、僕は一人当たり三千円ほどの賃金をサラを通じて得ているのである。
僕の取り分が果たして全体の何割なのかは知るところではないけれど、白人女性とセックスできて逆にお金がもらえることを考えれば、かなり恵まれた環境にいると言える。
しかしこの仕事について両親に話せるかと聞かれたら、答えは絶対にノーである。
ちなみにこんな生活をしていて女性を懐妊させないわけがなく、僕は二十四歳にして、自分自身が認知しているだけで二十人近くの子供がいる。
その子たち全員の“パパ”をしているわけではないけれど、少なくとも僕との子供を妊娠して産まなかった白人女性は一人もいないという言葉を信じるなら、それこそ僕には百人近くの子供がいることになる。
子孫繁栄の本能から言えば、万々歳。
それ以外の社会通念から言えばど畜生である。
そんな生活をしていて、僕が刺されたことは一度もない。
女性たちは僕が好きなのではなく、僕のセックスが好きなのだから、関係に後腐れがないのは必然だとも言える。
サラ曰く、僕は一般の男性より少しだけ男性器が逞しく、少しだけセックスが上手い。
その“少し”がどれくらいかと言うと、それを仕事にして食べていけるくらい、だそうだ。
僕は自分自身のセックスに関して未だ懐疑的ではあるけれど、現にこうして平均1万円近くの日給を稼げているのだから、ありがたい話だと言える。
大学卒業前に行った就活はことごとく失敗し、僕はフリーター人生まっしぐらだった。
そこをサラの一声で今の仕事に就いたのだから、感謝こそすれ懐疑的になどなってはいけない。
しかしそれがどうしてYouTuberという至極現代的な仕事に繋がったかについては、少なからず詳細な説明が必要だと思う。
でも残念ながら、僕自身にも詳細な説明ができない。なぜなら僕は完全なる他人の意思で、この突拍子もない状況に身を置くことになったのだから。
「どうしてこんなことに……」
僕は今、フロリダ州はマイアミにあるマイアミ国際空港の入り口に立っている。
フロリダ州と言えば、少しアメリカの地理に詳しい人ならわかると思うが、南国である。マイアミビーチやシエスタキービーチなどが有名だ。イコールではないが、緯度的にも沖縄県と同じくらいの気候と言えばわかりやすいだろうか。
時期としては、六月。
同時期の東京に比べれば蒸し暑い感じだ。
そんな中で汗をダラダラに垂らしながら、僕は空港前の往来で一人プラカードを抱えて立っていた。
『メイン州を目指して旅をしてます。僕が“良かったら”、その良さに応じて旅の資金をください。旅に必要な物でも結構です』
プラカードには、そんな意味の英語が書かれていた。“良かったら”という部分がすごく曖昧だが、つまりはそういうことである。
その下にはサラが勝手に作ったYouTubeチャンネルのQRコードが記載されており、プラカードを一目見ただけで、僕が日本人“YouTuber”であることがわかるようになっている。
とは言っても、先述のように自分の意志でなったYouTuberではなく、勝手に“そう”されてしまったYouTuberである。
昨日の昼前、僕はほぼ何も聞かされぬままパスポートと共に連れ出され、このマイアミ国際空港にやってきた。
乗り継ぎも含め、所要時間はほぼ十六時間。日本とマイアミの時差が十三時間だから、時刻的には日本を出て三時間しか経っていない状況(こちらではまだ昼下がり)だが、時差ボケや気温湿度の差、空の色や雲の違い、そして周りに白人を含めた外国人しかいないという久しぶりの状況に、なかなか現実感が掴めずにいるのが実際である。
三年前の旅で、僕はロサンゼルスからひたすらヒッチハイクで広大なアメリカを東進していた。しかしなぜか途中でコスタリカ行きの国際便に乗ることになったので、この東海岸には未到達だった。
フロリダは南国ということもあり、気候も風土も全然違う。街路樹として普通に椰子の木も生えてるし、それこそ中米に来たような雰囲気もある。とくにマイアミはリゾート地なので、道を歩く外国人(ここでは僕が外国人)たちは心なしかセレブが多いような印象を受ける。僕が訪れた中部の州とはまるで違う。アメリカの州は日本で言う県ではなく、法律も文化も違う別の国だということを、今さらながらに実感する僕であった。
そんな異国の地で、また始まった旅。
前回は自分の意志で始めたものだが、今回は違う。突然始まったYouTubeの企画として、僕はメイン州という正直聞いたこともなかった州を目指すのである。
旅の目的、内容を整理しよう。
僕の目的は、ここフロリダ州はマイアミから、メイン州を目指すこと。
メイン州は地図で見ればわかるがカナダと隣接した州であり、アメリカ東海岸の最北端、最東端に位置する場所である。
行き方は自由。
前回みたいにヒッチハイクをしてもいいし、タクシーを使っても構わない。
ただし空路と海路は禁止で、必ず陸路でフロリダからメインまでの全ての州を通過する必要がある。
フロリダからメインまでの全ての州とは、ジョージア、サウスカロライナ、ノースカロライナ、バージニア、メリーランド、デラウェア、ニュージャージー、ニューヨーク、コネチカット、ロードアイランド、マサチューセッツ、ニューパンプシャーを意味している。
正直聞いたこともなかった州もあれば、ニューヨーク州などの誰もが聞いたことのある州もある。首都ワシントンD.C.や経済の中心ニューヨークがあることも踏まえ、アメリカ開拓の歴史が東海岸から始まったことを考えると、ある意味で東側こそがアメリカ合衆国のメインどころだと考えることもできる。
そういった意味では、三年前の旅で取り残したものを回収するという意義を見出すこともできるけど、重要なのはその旅の内容があまりにシビアだということである。
今回の旅のルール。
それはプラカードの裏に、僕だけがわかる日本語で記されている。
1.この旅の資金は、セックスによってのみ得ることができる。それ以外の労働・寄付は一切禁止とする。
2.セックスに寄って得られる金銭は女性側が自由に設定し、その金額の10分の1が旅の資金となる。また、金銭の代わりに物品で対価を得ても構わない。ただしその物品の換金は禁止とする。
3.セックスができるのは、1州につき1回までとする。ただし複数人数でのプレイも1回とカウントする。
4.目的地のメイン州まで使用していいのは陸路のみとする。
5.旅の様子は常時撮影され、翌日には編集してYouTubeにアップされる。
どうだろうか諸君。
こんなルールで旅を続けられる人間が果たしているだろうか。
まず旅の資金がセックスでしか稼げないというのがありえない。
一応、日本ではセックスを生業としているけれど、アメリカでもそれができる保証はない。しかも日本での相手は全てサラが連れてきた相手で、僕から声を掛けて事を成すなどということはただの一度もしたことがない。
白人女性と日本人男性。
本来なら、僕の方からお金を払ってセックスをして貰う側である。それでさえほぼ100パーセント断られるのに、今回はその逆をやろうというのである。
そしてあまりにも鬼畜なのは、旅の資金が女性から貰った金額の10分の1というありえなさ。
僕が日本で貰っている金額は、セックス一回につき3,000円。そのうち元手がどれぐらいかはわからないけど、仮にサラと僕で折半だとして6,000円。その10分の1だから、僕は毎回6ドル以下の資金で旅を続けないといけないことになる。
しかもこの“仕事”ができるのは1州につき1回。
これでは一日一回の食事を賄うことすらままならない。
それどころか1州につき600円しか稼げないのだから、この極貧状態で絶えず北進を続ける必要がある。
毎回ヒッチハイクが捕まればいいけれど、捕まらなければ僕はその分飲まず食わずで過ごす必要があるのだ。
旅の軍資金はまったくの0からのスタート。
それがいかに過酷なことか、海外に行ったことがない人間でもわかると思う。
ちなみに僕の胸には、YouTuberがよく使う小型カメラがぶら下げてある。
これで撮影した動画を編集して毎日アップすると言うのだが、こんなものに本当に需要があるのかはまったくの謎である。
一応、監視役は存在し、旅の安全は保証されているというが、それだっていつどこで誰に見られているかわからないという不安に繋がる。
こんな底辺YouTuberのやりそうな企画で、果たして旅が存続できるのかは疑問である。
そもそもこういう企画は動画の再生数に応じて旅の資金が支給されるものだと思うのだが、今回はそういったバックもなし。己の身だけで旅の資金を稼ぐ必要がある。
絶対に無理だと思うのだが、無一文なので帰りの旅費さえ存在しない。本当にこのままメイン州まで行くか、少なくとも帰りの航空チケット代を稼ぐまで、僕は日本には帰れないのである。
アマンダやリズには早く帰って来ないと殺すとまで言われているのに、いったい帰国はいつになるやら、まったくと言っていいほど見通しが立たない。
“Good luck.”
“Do your best.”
道行く外国人たちから様々な励ましの言葉を頂くが、その全てが冷やかしである。
僕がYouTuberであることは一目でわかるようになっており、興味本位でプラカードを読んでくれる人は、この旅の目的をすぐに理解してくれる。
さすがにYouTubeの発祥の国ということだけあって、YouTuberという存在そのものに対しては寛容だ。
しかしその内容を理解した途端、日本人のお前が? 正気か?という顔をされる。
中にはあからさまなスラングで挑発してくる人間もいた。言葉ははっきりとは聞き取れないけど、猿は猿山に帰れぐらいのことは普通に言われてる気がする。
久々のナチュラル差別。白人、黒人、ヒスパニック、様々な人たちが行き交う中で、僕たちアジア人のヒエラルキーが一番下だという現実を久々に痛感してしまう。
僕の周りには、エナやリズ、アマンダやキャサリン、エミリヤ、ディアナさんなど、僕に対して好意的に接してくれる外国人たちはいるけれど、それはあくまで僕のことを良く知る人たちに限った話で、旅先では僕はアジア人という大きな括りで判断されてしまうのだ。
世界を旅するのは好きだけど、欧米圏を旅する上では絶対に避けられないナチュラル人種差別だけは、やっばり受け入れられないなと思う。もちろん、僕のような人間にも気さくに接してくれる人はたくさんいるけどね。
「ダメか……」
結局一日中プラカードをぶら下げて立っていたが、僕とセックスをしてかつお金を払ってくれるなどという奇特な女性は一人も存在しなかった。
そもそもこの国では、誰かのアクションを“待つ”という行為そのものが是とされない。
何かをして欲しいなら自分から声を掛けるのが当たり前であり、それが文化として染み付いている。ただプラカードをぶら下げて「僕はYouTuberです」と主張したところで、誰一人興味を持ってもらえないのである。
とはいえじゃあ片っ端から女の人に声をかけて、暗にではあるが僕とセックスしてお金を下さいなどと勧誘していては、本当に警察を呼ばれてしまう。
こんなことは言いたくないけれど、僕はアングロサクソン系の白人ではなく、英語すらろくに喋れない東洋人なのだ。警察に通報される可能性はぐんと高まる。そもそもこのプラカードをぶら下げているだけで警察にチラチラと見られて、五回も場所を変えたくらいである。
“Are you a YouTuber?”
そんなときに声を掛けてくるのは、決まって親切な人か金品目当ての犯罪者である。
街灯の下でしょぼくれて座っていると、とある女性に声を掛けられた。アルトとソプラノの中間くらいの透き通った声に顔を上げると、純白人という出立ちの、大学生くらいの女性が僕を覗き込んでいた。
正直、驚くくらいの美女だった。
サラサラのブロンドセミロングで、瞳の色はブルー。
南国らしく黒のタンクトップにスキニージーンズと薄着で、白人美女らしい真っ白でたわわな谷間が露わになっている。
決してバタ臭くなく、すっきりとした顔立ちの美女。白人の美女でも日本人受けするタイプと日本人受けしないタイプがいるが、この子は間違いなく前者だろう。
アメリカ人のみんながみんな、彼女みたいな美人なわけじゃない。しかしこのクラスの美女が一般人の中に普通に混じっている。それがこの国、ひいては欧米圏の凄いところだと思う。この顔とスタイルで日本人だったら、まあ間違いなく有名な芸能人になれる。
当たり前だが、そんな美女が僕とセックスするために話しかけてくるはずはない。
先述のように、この子は親切な助言をするために話しかけてきた。キリスト教社会特有のホスピタリティというか、歯に衣着せぬ感じで、はっきりと意見を言ってくる。
『悪いけど、この企画は上手くいかないと思うわ。正直言って私、あなたにセックス的な魅力を感じないもの』
グサリと刺さるような事を言ってくれるが、これはあくまでこの子の親切心ゆえだと確信できる。なぜなら彼女の視線はまっすぐで、本当に哀れなYouTuberへのアドバイスとして言ってくれているのが伝わるからである。
彼女の言葉や仕草に、侮蔑の類は1ミリもない。でもだからこそある意味で残酷であった。日本人がセックスでアメリカを旅するなんて無謀よ。あなたが筋肉質でルックスのいい白人男性ならわかるけど。そういうことは言われてないけど、実質はっきりと言われている。アメリカ人らしいハッキリとした態度で、早くもこの旅の意味は否定された。
じゃあだからといって、すぐに辞められるわけではない。帰りの旅費は今のところゼロだし、こんな序盤で辞めると言ったら発起人であるサラに何を言われるかわからない。それこそ極寒のシベリアで同じ企画をしろと言われる可能性だってある。
「アイシンクソートゥー」
今さら僕の冴えなさを否定する理由はどこにもない。僕がプラカードをぶら下げて立っていたところで、誰かがセックスしてくれることなどありえない。
『誰かにやらされてるの?』
『否定はできない……かな』
『YouTuberも仕事としてやるのは大変そうね』
『普段はこんなことしてないんだけど』
『そんなカードぶら下げてるってことは、普段はそういう仕事してるの? ええっと、ポルノ俳優とか』
『……まあ、似たようなものかもしれないです』
外国人の女性たちと三年近く一緒にいて、これぐらいの英会話ぐらいはできるようになった。
とはいえ彼女の言葉は僕なりに解釈した意訳であり、本当にこういう意味の言葉を言っていたかどうか定かではない。僕の言葉も、多分彼女の側から見れば「ワタシ、ハタラク、シナイ、フダン」ぐらいのカタコト英語にしかなっていないと思う。
『セックス、得意なの?』
『わからないな……』
『こんなこと聞いていのかわからないけど、今までに何人と寝たの?』
『多分……500人くらいだと思う』
それはcrazyねと彼女は苦笑する。まあ多分信じてくれてないと思うけど、これでもかなり過少申告した方だった。あんまり数えてないけど、多分正確に数えたら2000人ぐらいとセックスしてると思う。
『私、彼氏がいるし、あなたに協力しあげることはできないけど、夕食ぐらいは奢ってあげられるわよ。レストランとかは無理だけど、ファーストフードくらいなら買ってきてあげる』
聞いていて、なんて天使なんだろうと思った。
アメリカ人の中にも多分、こんな風に僕を差別したりせずに、誰にでも親切にできる人はいるのだろう。
しかしその申し出を受けると企画倒れになってしまうので、残念ながら断るしかなかった。
『本当にセックスでしか稼げないの? 本気で馬鹿げてると思うわ』
サラの考えた企画に対し、彼女は本気で憤っているように見えた。このルールでは僕は、水一つ貰うにも女性とセックスしなければならない。あくまでセックスの対価としてでなければお金も物品も貰えないのだ。
『どこまでだったらセックスにカウントして貰えるの? 例えば私が手でしてあげて、夕飯をご馳走するんだったらそれはセーフなの?』
『た、多分、大丈夫だと思うけど』
なんかもはや、目の前の彼女とこの企画の発案者であるサラとの対決のような様相を呈してきた。
正義感が強い女性ならではというか、単純にサラの考えたメチャクチャな企画が許せないという感じだ。
“Put out your penis.”
そしていつの間にか、また白人女性の前でpenisを出す流れになってしまう。今回はかなり特殊な流れだが、それでも突拍子のない流れで陰茎を露出する羽目になってしまったことに変わりはない。
『ホ、ホントにいいんですか……?』
あまりに急な流れで緊張してしまう。彼女は見ての通り美人だし、おっぱいも大きい。まさかこんな美女が、僕のアメリカ二回目の最初の相手になるだなんて。
構わないわ。その代わりあとでこの馬鹿げた企画者に文句を言う機会をちょうだい――そんな面持ちで対峙した彼女に、僕はさらに度肝を抜かれた。
最初から見上げる体勢だったから、わからなかった。いざ立ち上がってみると、彼女の身長は僕よりも高いのだ。
間違いなく、180センチ以上ある。バストが目線の位置とは言わないまでもそれに近い高さにあるし、脚だって信じられないほど長い。見た目はめちゃくちゃ華奢なのに、これだけタッパがあれば体重は60キロ以上あるかもしれない。一応補足しておくが、60キロ以上あってもガッツリモデル体型である。
白人女性と日本人女性の印象を分けるのは、やはり第一にその身長の差である。
アジア人より身体が大きいからこそ、同じ比率でもバストやお尻の容積は大きくなるし、全体的に巨乳だという印象を受ける。その上腰の位置もアジア人よりかなり高いので脚がとても長いという印象に繋がるのである。
彼女はその最たる存在で、例えば日本人の比率ならEカップくらいのバストでも、単純な容積では2〜3サイズ上くらいの大きさを備えている。
西園楓さんとかはこれぐらいのサイズのおっぱいだけど、多分目の前の彼女のバストは、僕の手のひらではとても収まり切らないだろう。
そんな白人美女が、僕にペニスを出せという。
信じられない気持ちでいっぱいだし、首から下げたカメラでがっつり録画も録音もされてるしいいのだろうかと思うが、その実彼女は、僕のペニスに興味があるわけではない。あくまで彼女は、企画者であるサラに文句が言いたいだけなのである。
彼氏もいると言うし、果たしていいのだろうかと思うが、こんな美女にペニスを出せと言われて断れるわけがなかった。
一応企画のルールで、行為の前にはフルネームを聞くことになっているので尋ねると、彼女は躊躇うことなく、
“Eva Stone.”
という本名を告げたのだった。
そんなエヴァの前で、おそるおそるズボンを下ろす。アメリカはフリーSEXの国と言うけれど、彼女がそんな文化を踏襲しているようにはとても見えない。
あくまで僕への親切心と、サラに対する頑なな正義感が災いして、“そうすることになってしまった”という印象である。
ボクサーパンツ一枚になると、さすがにここまでするのはまずかったかしらという気持ちが表情に滲む。
しかしここまで来て後に引けないのはお互い様だった。僕はここが路上であることも忘れ、マイアミの美女Evaの前で剥き出しの陰茎を露出したのだった。
“Oh, my god.”
それは僕が、過去に数百回は聞いたセリフだった。僕の陰茎を初めて見たときに、白人の女性が決まって言うセリフだ。
おそらくアジア人の男イコール小さいという先入観があるから、少し大きいだけでもかなりの巨根だという印象を受けるのだろう。彼女にもそういう先入観が影響したのか、かなり誇張した表現で、
『こんな凄いの……正直見たことないわ』
蒼い瞳を丸くしながら、ひたすら僕の陰茎を凝視していた。
正直、白人の美女に見られているというだけで緊張する。ただでさえいつ人が来てもおかしくない往来なので、そういった意味での緊張感も生まれてしまう。
『まあポルノ俳優なんだものね。マイクのより大きくて当然よね……』
自分に言い聞かせるように、エヴァが自らの胸をポンと叩く。マイクというのはさっき言っていた恋人のことか。僕のペニスは、いささかマイクよりも大きいらしい。
『悪いけど、手でするだけで勘弁してね。こんなのとしたら絶対、私頭おかしくなるから』
何かを誤魔化すようにそう言って、エヴァが地面に膝をつく。エヴァの綺麗すぎる顔が股間付近に来て、緊張しないわけがない。しかもエヴァも緊張した面持ちで、顔を少し染めながら僕の陰茎を見つめている。
多分、彼女は後悔している。
勢いに任せて、こんなことをすると言ったことを。
彼氏以外のペニスを射精させるなどという、とんでもない依頼を引き受けてしまったことを。
しかし今さらもう遅い。
そんな感覚を抱いているのか、一向に行為の中止は願い出ない。正直、やっぱり冗談と言って去るだけだと思うのだが、彼女は僕の陰茎の前に跪いたまま顔を背ける様子がない。
『言っておくけど、彼氏以外にはこんなこと、普段は絶対しないから』
自らの貞淑性を主張しながら、エヴァのすべらかな手が僕のペニスを持ち上げる。
あのエヴァの手が、あろうことか僕のチンポに触れたのだ。
その瞬間、久しく忘れていた白人女性を屈服させたいという感情が湧き上がるのがわかった。
例の世界旅行の後半に入っていた、あのモード。
白人美女相手ならいくらでも射精できるという感情が、僕の全身を支配するのがわかった。
『日本人って、みんなあなたみたいな大きさしてるの?』
軽くシゴきを開始しながら、エヴァが上目遣いで聞いてくる。正直その手がめちゃくちゃ気持ち良くて、早くも僕は硬さを生み出しつつある。
『わ、わかんないけど、周りでは僕が一番大きいと思う』
『そ、そうよね。日本人がみんなこうなら、私これから日本人の男性と話すとき顔見れなくなるわ』
そんな他愛のない会話の中で、エヴァの手が確実に僕のペニスを気持ちよくしていく。
正直、もう既に勃っていたが、そのことについてエヴァは何も言わない。
しかし僕のペニスが完全にそそり立ったタイミングで、これ以上触れずにいるのは限界だと判断したのか、
『……正直に言うわ。私、口でもしたいって思ってる。あなたのこれ、blow jobさせてもらってもいい?』
まさかのエヴァからのご奉仕のお願い。
僕としてはこんな美女に咥えてもらえるのは嬉しいけれど、彼氏持ちの女の子がそんなことをしてもいいのだろうか。そんな余計なお世話とも言える僕の気遣いが彼女にも伝わったのか、
『悪いけど、今マイクのことは言わないで。私は今あなたのdickとしてるんだから、他の人の話題を出すのは失礼でしょ?』
そんなこと言ったらマイクに対してその何倍も失礼なんじゃないかと思うが、さっきも言ったように断る選択肢は僕にはない。
エヴァクラスの美女が、まさか親切心が絡むとはいえ、自分からblow jobを申し出てくるだなんて。
『わ、わかった……エヴァに僕のdick、咥えて欲しい』
僕が赤面しながらお願いすると、エヴァは僕の顔を真っ直ぐに見つめながら、そそり立った陰茎をその形の良い唇の中に沈めていった。
エヴァの唇が、舌が、僕の怒張した陰茎の表面を這う。生温かくて湿り気のあるものが僕の男根を包み込んだ。このシチュエーションだけで十分射精しそうだが、エヴァはさらにフェラチオのストロークを深めていく。
『エ、エヴァ――』
全部とは言わないまでも、僕のペニスを半分近く咥えて、フェラをしていくエヴァ。
その清楚な見た目よりもかなり激しく、いやらしく、エヴァのお口は僕のチンポをどんどん気持ちよくしていく。
『まだ、全然射精しないの?』
休憩を含めて、エヴァが上目遣いで尋ねてくる。
正直射精したい気持ちはあるけれど、この三年のセックス生活を経て僕は以前よりも遅漏になった。射精したくても、ただのフェラぐらいではイけなくなったなのが実情だ。
『わかったわ。私も早く、終わらせた方がいいと思うから』
「え?」
すると何を思ったか、エヴァは自らの胸でパンパンに膨れ上がったその黒のタンクトップをその場で豪快に脱ぎ捨ててしまった。
途端に露わになる、ピンクのブラとそのたわわすぎるおっぱい。シリコンの気配など微塵もない天然巨乳を、アジア人である僕の前で惜しげもなく披露した。
そして、
『人が来たら恥ずかしいから、早く射精してね。地面を汚すといけないから、言ってもらえればあなたの全部飲むから』
信じられないことを言って、ブラのホックを外すエヴァ。
その途端に、エヴァのたわわすぎる白人おっぱいが全て露わになった。
重力が加わってもなお張りと形を失わない丸い塊。
あまりにも鮮やかすぎる乳輪と乳首は色も形も完璧で、僕のオスとしての生殖本能をこれでもかというほど刺激する。
そんな素敵すぎるバストを使って、エヴァは、
『マイクにもまだ、一回もしたことないわ。これであなたのdickが気持ちよくなるといいんだけど』
ゆさゆさと激しく、僕のチンポをパイズリし始めた。
肉厚で柔らかい白人美女のバスト。まさしく白人女性のおっぱいという感触が僕の陰茎を挟み込み、ぱふぱふと信じられない柔らかさで僕のペニスを押してくる。
そんなものでチンポを挟まれて、シゴかれて、気持ち良くないわけがない。
「エ、エヴァ……」
エヴァのおっぱいがあまりにも気持ち良すぎて余裕が持てない。エヴァもそれを感じてくれているようで、白い頬をほのかに紅く染めて、ノンストップで僕のチンポをパイズリし続けている。
骨盤のあたりに、エヴァの綺麗な乳首が当たっている。触覚の上でも視覚の上でも、こんなおっぱい責めに耐えられるわけがない。
「エヴァっ! もう出るっ!」
日本語で限界を叫ぶと、エヴァがパイズリをしたまま僕の亀頭をぱくりと咥える。それでもなおおっぱいシゴきを続けながら、エヴァが僕の股間に顔を埋めた。
そして、
『んんっ――!』
マイアミの巨乳白人美女、エヴァ・ストーンの口の中に、僕はありったけの精液を放出した。彼女が彼氏持ちだとわかっていても、止められるはすがない。
他人のモノへの、全力の射精。
それもまた背徳感になって、全身を伝播する快楽信号が何倍にも膨れ上がる。
女性の口の中に精液を放出するという背徳。支配感。次々と溢れてくるザーメンを、エヴァは涙目になりながら全部飲み込んでくれた。
まさか、こんなことになるとは思わなかったけど、これでエヴァは僕に夕食を奢る権利を手にしたことになる。
『ごめんなさい。私、あなたとここでセックスしてもいい? 自分でもなんでこんな気持ちになってるかわからないけど、あなたのモノに貫かれたくてたまらないの』
あまりに予想外のお願いに固まる僕。
だってそうだ。目的はあくまで僕に夕食を奢る権利を得ることと、企画者であるサラに文句を言うことだったはず。
それがまさか、サラの企画にそのまま沿うような形になるなんて。
これじゃあ企画者の思うツボだよと言おうとしても、そんなのわかってるから言わないでと主張するかのように、エヴァが僕のセリフを遮る。
温かいとはいえ、道端。
そんな場所で見知らぬYouTuberとセックスするなんて正気じゃない。
エヴァは頭ではわかっているようだが、なぜか心では吹っ切れているように見えた。
その証拠に彼女は、残っていたスキニージーンズもショーツも全部剥ぎ取って、僕がしょほくれていた街灯のポールにそのまま手をついた。
途端に露わになる、エヴァの薄ピンク色の割れ目、白人美女らしくパイパンで、あまりにも綺麗なpussyが僕に向けて差し出される。
白人らしく大きなお尻に、あまりにも長い脚。
多分こんな白人美女が僕とセックスすると知ったら、世のレイシストたちは世界で最も馬鹿げた行為と彼女を糾弾するだろう。
しかしエヴァは躊躇わず、自分が他の彼氏のモノであるという自覚さえも捨てて、ただの冴えないアジア人でしかない僕にこう言った。
『あなたのdick、私の中にちょうだい。その信じられないくらい逞しいので、私の奥をかき回して』
余裕のない表情で、エヴァが僕におねだりする。
その真っ白で綺麗なお尻を突き出して、ピンク色のおまんこですら剥き出しにして、あろうことか僕にセックスをお願いしている。
こういう光景を、僕はこれまでに何度も見てきた。
しかしそれでもなお、僕は自分自身にセックスにおける天性の才能があるとは思わない。
僕はただ、運が良かっただけ。
でなきゃこんな白人美女と、立て続けにセックスなんてできるはずがない。
だからこそ、僕は神に感謝する。
こんな背の高い白人美女と、セックスする機会を与えてくれたことを。
“Oh, it's coming in...”
ポールに手を付いてこちらを向くエヴァに、僕は怒張した男根を沈めていく。彼女のいやらしい感触の小陰唇が、少しずつ僕の亀頭を包み始めた。
背の高い白人女性にはよくあることだが、背が高いのに増して脚が長いので、ほとんど背伸びでもしないとちょうどいい位置に挿入口が来ない。
それをさりげなく、彼女に腰の位置を落としてもらいながら、僕は奥へ奥へと侵入していった。
当たり前だが、ゴムなんかしていない。それでも文句ひとつ言わず、エヴァは僕の男根を受け入れる。アメリカ人の肉襞がモノに絡みついてきて、どうぞこのまま擦り上げてと誘ってくるようだった。
振り向いた彼女の表情には余裕がなく、僕のモノで苦悶や懊悩に似たものを作っている。
しかし拒否を示すような仕草は何ひとつなく、まっすぐに僕の目を見つめている。
なんて綺麗な顔立ちなんだろうと思った。
白人の女性のみんながみんなこうではない。むしろ彼女ほどの容姿は全体の1パーセント以下だ。
信じられないほど背が高く、脚も長く、白い肌もありえないほど綺麗で、お尻のボリュームもバストの大きさも鮮やかな薄ピンク色の乳輪乳頭も、文句の付けどころがひとつもない。
そんな彼女が今、綺麗なpussyを剥き出しにして僕の怒張したpenisを咥え込んでいる。
果たして、こんなことがあっていいのだろうか。
そんな風に思っても、エヴァの膣壁の気持ち良さが、全ての懸念や畏怖を忘れさせる。
こんな気持ちのいいおまんこに絡みつかれて、今さら後戻りなどできるわけない。
“Ahh!!”
後戻りできないなら、あとはもう前進しかない。
繋がったまま腰を引いて反動を作った僕は、容赦なく子宮口に男根を突き立てた。
とたんに更に強く絡みついてくる肉襞。雄と雌が己の全てを曝け出して行うセックスという行為を、僕はあろうことかこんなにも美人の白人女性と始めてしまったのだ。
こんなに冴えないアジア人なのに――そんな杞憂は、エヴァのpussyにチンポを抽送するだけで、あっという間に消し飛んだ。
“Oh, no! What is this?”
僕がpenisを出し入れするだけで、エヴァが甲高い声で叫んでいる。さっきまであんなに澄ました表情で、人種リテラシーの高そうな親切な女性だったのに、僕が腰を打ちつけてその豊満な尻肉を激しく揺らすだけで、本来恋人にしか晒してはいけないはずの、女としての姿を路上というとんでもない場所で晒している。
“Ah! Oh, my god!!”
恋する乙女のように頬を紅く染めながら、エヴァが僕の抽送を受け入れる。絡みつくだけでなく、激しく締め付けてくるエヴァの膣壁。最初は遠慮していた僕だったが、彼女が何の抵抗もなく下半身を差し出す姿を確認して、この気持ち良すぎるセックスを愉しまなければ損という欲望にまみれた結論を見出した。
“Awesome! Awesome dick!!”
背の高い白人美女が、僕のピストンを受けて柔らかな尻肉を揺らしている。そのまま後ろから手を回し、たわわすぎる真っ白なおっぱいを鷲掴みにしても、エヴァは文句一つ言わず僕のピストンに身を任せている。それどころか、自分からも腰を動かして僕とのセックスに協力の意思を示していた。
“I don't know this dick! Is this the porno actor 's dick?”
英語で何かを叫びながら、僕とのセックスに没頭するエヴァ。僕が日本人であることも忘れて、自分に彼氏がいることも忘れて、僕の勃起ペニスを膣壁でぎゅうぎゅうと締め付けてくる。
形もボリュームも完璧なエヴァのバストは、薄桃色の先端をかすかに勃起させて、揉みしだく僕の手のひらを絶妙な弾力で押し返してくる。
手のひらに乗せて支えるだけで、とんでもないボリュームだとわかる。バランスで言えば日本人女性の巨乳とさほど変わらないのに、身体自体が大きいため乳房そのものの容積はとんでもないものになっている。
“Oh, no! What's with your sex? Professional sex is so different!”
僕が気まぐれで抽送の深さや速さを変えるだけで、エヴァはアメリカ人らしいオーバーな反応を見せる。まるで僕がセックスの神様にでもなったみたいに、僕のセックスが凄いと連発した。
“Oh, no! I can't do it anymore! There's no way this sex is not good! I'm sorry, but I'm going to come by your dick!”
英語で何かを宣言して、エヴァが街灯のポールに手をついたまま前を向く。それを本気で突いていいと解釈した僕は、これまでの二倍くらいの激しさで、それこそ往来に下腹部とお尻がぶつかり合う乾いた音が響くくらい、エヴァの子宮口を全力で突き上げた。
“Oh, my god!! What a dick is this!!”
「エヴァのおまんこ、気持ちいよっ!!」
“Ah!! COMING!! COMING JAP!!”
もはや定例となった蔑称を叫んで、エヴァのpussyが激しく収斂する。最近では、彼女たちがセックスの最中に使う“JAP”は必ずしも蔑称ではなく、日本人のペニスに屈服させられてイキますよ、という一種の褒め言葉なのではないかと思い始めた。
でなきゃ“JAP”と罵る相手と、なおもセックスを続けようとする行動に説明がつかないからだ。
ある意味僕ら日本人の男は、日本人だからという理由で過小評価されている。そこで人並みのセックスを提供できれば、善行をする不良の理論で、普通よりも良く見られるのだ。
だから僕は、ある意味で恵まれている。
べつにチンポもセックスも大したことないのに、こうして信じられないくらい美人でスタイルの良い白人女性に、セックスが良いと言ってもらえるのだから。
“Ah! It's still going on!”
それでもまだ射精できない僕は、休まずにエヴァへのピストンを再開する。エヴァの下半身が絶頂で痙攣しているのはわかるが、こんな気持ち良すぎる白人おまんこを前に、射精せずに終わらせられるはずがない。
“Ah! Oh, my God! The Japanese cock is awesome!”
ある意味で観念した様子のエヴァが、僕のピストンに再び身を委ねる。もう好きにしてという意味合いのジェスチャーに、僕は彼氏持ちの女性でも遠慮なく生のチンポを出し挿れする。
“Oh, my God! Japanese sex is the greatest in the world!”
たわわなバストを激しく揺らしながら、真っ白なお尻で僕の腰を受け続けるエヴァ。お尻もおっぱいも、信じられないくらい柔らかい。こんな女性の身体を好きにできるなんて、やっぱりまたアメリカに来て良かったと思った。
“AHH!! I'M COMING AGAIN!!”
数十秒ごとに絶頂するエヴァ。それでも僕のチンポは満足しない。こんな極上の白人美女、簡単に解放するなと本能が告げている。
“Why are you so like a beast?! This is definitely not going to be the opposite!”
自らの欲望を満たすため、僕はエヴァの身体を犯し続ける。長身の白人美女を立ちバックで組み敷いて、快楽だけに身を任せた腰振りを連発する。
「アイルカムインサイドユー!!」
I'll cum inside you.
私はあなたの中に射精します。
初対面の外国人女性とセックスするときに、自衛のために覚えた英会話だ。
セックスのたびにこの言葉を言って、O.K.を貰えたら中出しする。NOなら絶対に外出しする。そういうルールを自分の中で決めているのだが、今のところ拒否されたことは一度もない。こちらの女性たちは、やはりゴムなし中出しことが本当のセックスだと認識しているようだ。
“Oh, come on! Your sperm, pour it into my uterus!”
そして目の前のエヴァもまた、僕の中出しを許可してくれる。彼氏がいるのに、僕は日本人なのに。そんな疑問は過らないでもないが、やはり白人美女に種付けしたいという欲望には勝てない。
「このまま中で出すよ!!!」
日本語で高らかに宣言して、なおも無防備なエヴァを確認する。
本当に出していい。万が一もあるのでしっかりと確認して、僕はエヴァの子宮をロックオンする。最も的確にスペルマを注ぎ込める位置に鈴口をセットして、睾丸の中に溜め込んだザーメンを、迷うことなく放出する。
“Ah! It's coming!”
一番奥でピストンを止めて、ありったけの精液をエヴァの子宮に注ぎ込む。その間もエヴァこ膣壁は激しく収斂して、僕のペニスを搾乳のように搾り取ってくる。
一滴も漏らさないように、確実に受精させるように、僕はエヴァの下半身をがっちりチンポで固定しながら、生物種としての種付けの儀を継続したのだった。
“Ahh... Japanese sperm...”
柔らかなお尻を小刻みに震わせながら、しっかりとした腰をガクつかせながら、エヴァが絶頂の余韻に浸っている。
僕もあまりの気持ち良さに腰を落としそうだったが、男として女性を支える義務があるので、ポールに掴まってなんとかそれを耐える。
その影響か、エヴァの白く温かい背中と、僕の胸板が密着する。まるで恋人同士のようなスキンシップと、エヴァのサラサラなブロンドヘアの感触に、思わず彼女を好きになってしまいそうになる。というかこんな美女とセックスして、果たして好きにならない男がいるのだろうか。
一戦を交えた後の男女は、決まって精神的な距離も近くなる。相手に恋人がいようと、夫がいようと、それは変わらない。エヴァもまた同じような気持ちを抱いているようで、中出しを終えた僕の顔を恥ずかしそうに見つめながら、
『……物凄く、よかったわ。マイクには悪いけど、今までのセックスで断トツだった』
アメリカ人らしくストレートに、僕のセックスを褒めてくれる。良ければ良いとはっきり褒め、悪ければ悪いと明確に指摘してれる。この国の文化は、正しくYESとNOの二択だった。
中出しについて何も言わない。許可したんだから当然と言わんばかりに、ペニスを抜いた後のpussyから、零れ落ちる精液をハンカチで拭いている。このハンカチはもう使えないと思ったのだが、エヴァは「何度でも洗って使うわ」と恥ずかしそうに微笑んでくれた。
これで、エヴァとのセックスも終わり。
ファーストフードを奢るとか奢らないとかの話も有耶無耶になった。と、思ったのだが、
『よかったら、夜ご飯をご馳走させてくれないかしら? 近くに私のアパートがあるから、そこでひと休みしない?』
二回目のアメリカ旅行で、僕はこれが誘われているのだと理解できるくらいには成長した。
彼氏がいるんじゃないの?
そんか無粋な質問は飲み込んで、快く彼女の善意を受け入れる。だって元々、エヴァは僕にご飯を恵むために声をかけてきたのだから。
でも、
“Oh, my god! It's awesome!”
エヴァのアパートに着いてから、結局僕らはセックスしかしなかった。
ベッドの上で、今度はエヴァが上になって、やっぱりゴムなど装着せずに、お互いの一番敏感な部分を重ね続けた。
途中、アパートの下の階の住人から苦情が来たけれど、今夜一晩だけだから許してとエヴァが強引に押し切っていた。
いったい僕のセックスのどこにそんな価値があるのかはわからないけど、翌朝になるまでエヴァは僕のcum insideをリクエストし続けた。
昼前に二人同じベッドで仮眠を取って、三時から約束があるのだというエヴァと一緒にアパートを出た。その約束の相手は彼氏のことなのでは?と思わないでもなかったが、マイアミから出ているというシャトルバスのバス停に僕を案内するまで、エヴァは有無を言わせず腕を絡めてその豊満なバストを押し付けて来たので、僕は何も言えなかったのである。
とはいえバス停に案内されても、僕は乗車のためのお金を1セントも持ち合わせていない。そんな考えが顔に透けていたのか、それともエヴァが初めからそうしようと決めていたのかはわからないが、
『あなたが良かったら、その良さに応じてお金を払うのよね?』
別れ際、エヴァは僕すらも忘れていた今回の旅のルールを確認した。
僕が良かったら、その良さに応じたお金を貰う。良かったらというのは明け透けに言えばセックスのことであり、僕は自分のセックスに応じたお金を相手女性に貰うことになっている。
とはいえ、そのうちの旅の資金になるのは十分の一。仮に数千円のお金が貰えたとしても、とてもシャトルバスに乗るようなお金は確保できないのだ。
『この金額が、昨夜のあなたに見合うとは思わないけど、これが今の私に出せる全額よ。実はこれ払うと明日からの生活費はなくなるんだけど、それは何とか友達を頼って工面するわ』
ATMでお金を下ろして来たエヴァが、剥き出しのまま僕にそれを差し出す。こっちには封筒に入れてお金を渡すという文化がないから、あまりに明け透けすぎて戸惑いを隠せない。しかし僕が戸惑っているのは、お金が剥き出しだからだけではない。
『本来なら、これの二十倍は出したいの。昨夜のあなたにはそれだけの価値があったから。でもそれだけの額を借りる当てなんてないから、この金額で許して欲しい。これで足りないなら、後日振り込みでもなんでもするわ。いつでもこの番号に連絡して』
僕に手渡した“札束”の上に、電話番号の書かれたメモを乗せるエヴァ。
いまだ戸惑う僕に、彼女は名残惜しそうな表情で、そっと優しく口付ける。そして僕自身も忘れていた首に下げた小型カメラに向かって、
『本当に凄い経験だったわ。日本人の男相手に、まさかあんなにイクなんて。少し恥ずかしいけど、昨夜の映像を見ればわかると思うわ。彼がどれだけ凄いか。日本人のセックスが、間違いなく世界で一番だってことが』
アメリカ人らしい大袈裟なジェスチャーで、エヴァが必死に何かを訴える。しかもあろうことか、先程の電話番号の書かれたメモをカメラのレンズにしっかりと写して、
『またマイアミで同じような企画やるなら、絶対にこの番号に連絡してね。彼が相手ならポルノ動画デビューしたって構わないわ。昨日の映像も、恥ずかしいけど彼のためなら自由に使っていいから』
僕や視聴者というより、その先にいるサラに向かって、エヴァは何かをお願いしていた。
しかし彼氏であろう人物から着信が来て、何かを諦めたような仕草をしたエヴァは、
“I love you, Daisuke. Your sex was supreme.”
まさかまさかの愛の告白をして、人混みの中に消えていった。まさか彼氏持ちの白人美女に“I love you.”と言われると思わなかったから、僕はしばしその場で呆然としてしまう。
もしかしてエヴァはサラが用意したサクラなんじゃないのか?なんてことも思ったが、それを示唆する証拠はどこにもない。
前回も今回も、結局僕は白人の女性とセックスしてしまう。もはやそういう定めなんじゃないかと、僕が思った次の瞬間、
“Give it to me.(それを寄越せ)”
突然、黒ずくめにサングラスの屈強な男たちに取り囲まれ、僕はたった今貰ったばかりのお金を奪われてしまった。流石は犯罪大国アメリカ。往来で札束なんか見せたら一発だ。
「か、返せっ!」
当然取り戻そうと躍起になるが、僕のリーチでは札束に手が届きすらしない。子供が大人にぐるぐるパンチ状態である。
しかしそんな風にジタバタしていると、黒ずくめの中でも一番屈強なタフガイが、何枚かのお札を返してくれた。あだ名をつけるなら、◯◯ネッガーという言葉がぴったりの出立ちである。
「え?」
突然の出来事に更に呆気に取られる僕。盗られるのまだわかるけど、返されるのは流石にわからない。そんな狐につままれたような心理をこの白人タフガイが読み取ったのかどうかは定かでないが、
「ジュウブンノイチ。クライアントトノトリキメネ」
絵に描いたようなカタコト日本語を告げて、黒ずくめのタフガイたちが去って行く。僕の首から小型カメラを奪って、新しいものに替えて行くのも忘れない。
「いや、あいつらサラの手先かよ……」
安心なのか呆れなのか、急に体の力が抜けてしまう。彼らはサラに雇われた男たちで、彼らは今回の旅の取り決め通り、僕から報酬の九割を奪っただけなのだ。
サラが旅の安全を保証すると言ったのも、彼らが常に僕の周りにいるから。となると昨夜の情事も近くで観察されていた可能性が高いが、それに関してはもはや何も言う気にならない。
とりあえず、企画は無事継続中というわけだ。
僕はサラの思惑通りアメリカの女性とセックスして、メイン州という聞いたこともないゴールを目指すことになる。
なんだか色々と納得できないが、乗ってしまったからには最後まで完遂しよう。
企画のルールに従うなら、これ以上フロリダ州でセックスをしても報酬は貰えないから、次のジョージア州を目指す必要がある。
「はぁ……」
とんでもないことになったとため息を吐きながら、おそらく北東であろう方角を見つめる。
こんなめちゃくちゃな旅が果たして上手くいくのか、一抹も十抹も不安を抱えながら――。