※この作品はR-18です。

セックスは最高の異文化交流   作:かしわもち@ハーメルン

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エピローグ「マイクとエヴァとの会話」

「そう言えば、例のバカなYouTuber今日は見かけねーな」

 

 ダイスケと別れた後、マイクと街を歩いていると、ふと彼の話題になった。

 

 ――僕が“良かったら”、その良さに応じて旅の資金をください。

 

 そんなバカげたプラカードをぶら下げていた彼のことを、マイクは心底見下している。べつにマイクだけじゃなく、普通のアメリカ人がそうだろうから、とりとめてそれを注意しようとは思わない。

 

 でも私は心の中で「でも彼は本当に凄かったわよ」と、小さく反論してみせる。

 

「さすがに諦めて帰ったか。猿は猿らしく島国でじっとしてろっての」

 

 その悪様な言い方は、さすがに私も少しむっとした。この国に人種による区別があるのはわかってる。でも流石に、猿という言い方は聞き捨てならない。

 

「ひょっとしたら、本当に相手が現れて動画が撮れたのかもよ?」

「は、アイツが? そんなことあるわけないだろ」

 

 私の言葉の反撃を、マイクは一笑に付す。

 彼があのプラカードに書かれた行為を達成できたとは微塵も考えていないらしい。

 

「わからないわよ? 実は彼が有名なポルノ俳優で、とんでもないテクニックを持ってるかもしれないでしょ?」

 

 あくまで澄ました態度で、一般論を用いてマイクを嗜める。

 実際に私が彼とSEXして、その“とんでもないテクニック”を身をもって体感したことは、もちろんマイクには内緒だ。

 

「あるわけないだろ。ジャップはみんな粗チンだ」

 

 とりつく島のないマイクを見て、私はこれ以上彼を嗜めることを諦めた。基本的にはいい恋人なんだけど、人種問題に関してはリベラルじゃないのよね。

 

 私はマイクの恋人だ。

 その恋人を裏切る気持ちは毛頭ない。

 

 昨夜はまあ、彼のペニスになす術なく蹂躙されたけど、だからといってマイクを捨てるとか、彼の目的地であるメイン州まで彼を追いかけるなんてことはしない。

 

 でももし、今夜マイクとSEXしたら、私は彼とのSEXを思い出さずにいられるだろうか。

 ううん、多分無理。

 あの逞しすぎるペニスの形とか、信じられない硬さとか、腰使いの力強さとか、そういうのを思い出して、絶対にマイクと比べてしまうと思う。

 

 これはもう、彼とSEXしたからには仕方のないこと。

 

 だって彼はあまりにも逞しいから。

 あまりにも私たち女のことを知り尽くしているから。

 彼のSEXは、あまりにも異次元だから。

 

 だから私は、彼との夜を思い出してしまうんだ。

 

 願わくはもう一度彼と――なんて思わないわけではないけれど、それは夢物語。

 

 でももし、万が一にでも彼から連絡が来るようなことがあったら、私は彼の誘いを断る自信がない。

 ううん、本当は確信してる。

 彼から連絡が来たら、たとえマイクとの予定があっても全部キャンセルして、彼との夜に身を任せるって。

 

 ――愛してるわダイスケ。

 

 そう言った私の心に偽りはない。

 彼自身の一部に、彼のSEXもまた含まれていると考えたとき、私は彼を、愛してると言わざるを得ない。

 

 だって彼とSEXしたとき、今までの人生でダントツで幸せだったから。

 

 生まれてきた意味を、彼とのSEXに感じることができたから。

 

 だから私は、これからも叶わぬ恋を続けるのだろう。

 マイクとこれからも付き合い続けて、たとえ結婚することになっても、マイクとのSEXを終えた夜に、彼とのSEXを思い出すことになるのだろう。彼だったら、あと六時間は続いてたって。

 

「信じられねーよな。世の中にはアジア人と付き合う女までいるんだぜ?」

 

 多分、私の友達のケイトのことを言っているのだろう。彼女には半年前から、中国系の彼氏がいる。

 

「そう? 私は、日本人とのSEXも好きだけど」

「は?」

 

 わざと雑踏に紛れるタイミングで、マイクに聞こえるか聞こえないか微妙な声で言ってみる。案の定マイクはきょとんとして、私が言うはずがないと思っている言葉に眉を顰めている。

 

「そんなことより、早く映画に行きましょ? あ、私しばらく全然お金ないから、今日のチケット代は奢ってね」

「え? あ、ああ……」

 

 煙に巻かれたような表情のマイクの腕を取って、映画館に向けて歩き出す。多分マイクは聞き間違いだと思っている。彼は私の元カレが、全員白人だって知ってるから。でないと私が日本人とSEXしたみたいになってしまうから。

 

「でもエヴァ、貯金なかったか?」

「お金に困ってる友達がいて貸してあげたの。困ったときはお互い様でしょ?」

「まあ……そうだけど」

 

 マイクは結構素直な人間なので、私が咄嗟についた嘘を信じてくれる。

 もし私があの日本人YouTuberとSEXして、その評価として有り金全部差し出したなんて知れたら多分激昂するだろうけど、言わなければ花なのだ。

 

 私とマイクの関係はこれからも続くし、私もそれでそれなりに幸せになれるだろう。

 

 でもまあ、昨夜しこたま精液を子宮に注がれて、私のお腹が彼の赤ちゃんを宿していたら、さすがにマイクにはごめんなさいするしかないけどね。

 

 それはきっと、神様だけが知る話。

 昨夜の濃厚すぎるSEXのことを知るのは、私と彼と、神様と、

 

 多分、YouTubeの視聴者たちになるのかしらね。

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