『あなた、ここがどこだかわかってやってるの?』
いつものように、僕が例のプラカードをぶら下げて立っていると、白人女性からかなり怒気を孕んだ声をかけられた。
三十代、半ばくらいだろうか。当然ながらブロンドヘアの白人。当たり前のように美人で、胸が大きくて、くびれも臀部も煽情的。
アメリカ人は大抵自己主張は強いものだけど、この人もはっきりとものを言うタイプであることは強めの口調からもよくわかった。
目鼻立ちがくっきりして、それでも日本人の感性的に行きすぎた“バタ臭さ”はなく、あくまで歳上の美人という表現がしっくり来る。
歳上であるのがわかるのは決して老けているからでなく、服装や仕草、口調などに、人妻であり母親であるオーラが滲み出ているからだ。セミロングの飾り気のないブロンドヘアは、子育てをする上での簡素さや動きやすさを重視した結果のように見えた。
どことなくだが、スタンレー農場のアリシアさんに雰囲気が似ているかもしれない。
おっぱいが大きくて、泰然自若とした美人で、学生よりもだいぶ雰囲気が落ち着いている。それでいて女盛りなのか、露出は多くないまでもくびれや胸元の自己主張、煽情さが二十代前半の女の子をはるかに凌駕している。
MILFというスラングを使うのは簡単だが、彼女にはそれ以上の魅力や溌剌さが感じられた。そんな巨乳人妻に、僕は叱責にも似た問いかけを受けていた。
「ここがどこだかわかって」というのは、当然ながら「こんな場所でそんなことをするな」というストレートな命令に直結する。
では「ここ」というのはどこかと言うと、ジョージア州の北にあるサウスカロライナという州で、もっと言えばそのサウスカロライナ州にあるフローレンスという街だ。
僕はアムトラックのフローレンス駅を降りた後、とりあえずタクシーを拾い、「この近くで一番人の多い場所」という漠然とした指示でこの場所に連れて来てもらった。
この企画を行うには、とにかく多くの人にこのプラカードの内容を見てもらう必要がある。フロリダのエヴァも、ジョージアのアシュリーさんもそういった数打ちゃ当たる作戦でSEXまであり付けたのであり、今回もより多くの人目に触れることは当然の流れだった。
しかしいざプラカードをぶら下げてみて、薄々気付いていたことがある。
それはこの場所がMagnolia Mallという、かなり大きなショッピングモールだということだ。
ショッピングモールということは、当然多くの人が行き交う。人が多いということは僕のターゲットである妙齢の白人女性も数多くいるということである。
そこまでは、いい。
確率論から言っても、僕がこのショッピングモールの出入り口に立つ最たる理由になる。
問題なのは今まで僕が「立ちんぼ」をしてきたマイアミやサバンナのストリートより、明らかに家族連れ、ひいては子供の数が多いということだ。
最初はみんな、珍奇なプラカードをぶら下げた日本人を物珍しげに見てくる。
大抵の場合、その内容を見た後は呆れたような態度を見せるのだが、こと意味のわからない子供たちにおいて、「あれなーにママ?」などと自らの親に質問する始末だ。
そんな場所で「立ちんぼ」を続けて、彼女のような子連れの母親からクレームが入るのは至極当然のことだった。
『ママ、その日本人と何話してるの?』
『マイクは離れてなさい。ママはこのお行儀の悪いアジア人に注意してるのよ』
彼女の後ろには、せいぜい八歳と五歳くらいの見目麗しい金髪兄弟が立っていた。
お母さんの怒気を孕んだ声。そして「アジア人」という他人行儀なワードチョイスに、無意識レベルのレイシズムを見て取る。まあこの程度をスルーできないなら欧米を旅行することなど不可能だが、問題はこの場の大義名分が完全に彼女の方にあることだ。
『子供たちの見てる前で何考えてるの。一刻も早くこのショッピングモール、いやサウスカロライナ州から出てってちょうだい』
彼女の怒気は尤もだ。
子供たちの多いショッピングモールで、明確にSEXを思わせる文言をぶら下げた男、しかもアジア人が立っている。
それだけでこの国では、というか多分日本でもだけど、不審者を通り越して犯罪者扱いされるのは目に見えている。
これまでは企画のために自分でも見て見ぬふりをしてきたが、客観的に見てこの企画は“ヤバい企画”なのだ。
それを理解しているからこそ、僕は“Sorry. Sorry.”と平謝りをして、この場を退散するしかなかったのだ。
「やっぱまずかったよなぁ……」
そそくさとショッピングモールを退散して、広い駐車場まで逃げてくる。このまま時間を見計らってモール内に戻るのも手だが、また彼女のようか教育ママに叱責を受けることは目に見えているので、そう簡単に戻ることもできない。
しかし僕はこの場所に来るまでにそれなりのタクシー代を払って来ている。ダメ元でも何かしらの爪痕を残したいと思うのは男というか人間のサガである。
「プラカードを伏せて、女の子たちに声を掛けるか……?」
見知らぬ国でナンパ男に徹する自分を想像する。正直、とても成功するとは思えない。これまでだって「YouTuberの企画」という名目があったから恥ずかしい思いにも耐えられたわけで、自分からただのナンパ男を演じるなど日本でもシャイの部類に入る僕にできるわけがない。
「お腹減ったな……」
考えてもみれば、昨日アシュリーさんと別れてから何も食べてない。せっかくショッピングモールに来たのだから、一旦企画のことは忘れて、アメリカの食事を楽しむのも悪くない。まあ一時的な現実逃避に過ぎないけど、人間どんなときも脳と心に栄養は必要だ。
「どうか、さっきの親子に会いませんように」
バツの悪い再会だけはないように願いつつ、僕はショッピングモールのフードコートコーナーに突入する。そこでザ・アメリカンという感じのハンバーガーセットを食べて、次の旅程をどうしようかと途方に暮れているときだった。
“Thief! Help me!”
ショッピングモールに、甲高い女性の声が響く。人々の視線がその声の主に向けられるが、その声の主が指を差しているのを見て、今度はその方向に一斉に視線を向ける。
その方向に、風を切って走る大柄な男の姿があった。男は目深に帽子を被り、いかにも怪しげな黒いマスクをして、明らかに女性モノであるバッグを小脇に抱えて全力疾走していた。
どう考えても、ひったくり。
しかし勇敢な人間の多いアメリカでも、犯人がアメフト選手のようなガタイとスピードを持っていたら、おいそれと止めに入るわけにはいかない。下手に止めようと男の前に立ち塞がったら、そこそこの大男でも怪我をしそうな勢いだからだ。
案の定、道行く人たちは呆気に取られたせいもあってか、走り去るひったくりを男を見送るだけである。
男の走る方向に見えるのは、ショッピングモールの出口。そして出口付近でバイクに跨るもう一人の男の姿だった。
バイクの男は犯人の仲間。
そう考えるのが普通だ。
ひったくりの実行犯は仲間のバイクで逃走を図る。監視カメラはあるだろうが、顔を隠しているので捕まる保証はどこにもない。これは事実がどうかはわからないが、凶悪犯罪の多いアメリカでは窃盗程度の事件には警察も本腰を入れないなんて話も聞く。ここで男を見逃せば、おそらくバッグは二度と帰らないだろう。
“Move!(どけ!)”
ひったくりの実行犯が叫ぶ。
なぜかというと、自分でもよくわからないうちに、僕がひったくり犯の前に飛び出していたからだ。
なぜ?
自分でもわからない。
自分は今、お金に困窮して旅をしている身である。
あの女性だってバッグを奪われたら生活に困窮してしまうかもしれない。そう考えたら、どうにも立ち止まったままではいられなかったからだ。
しかし犯人の男は躊躇わずに突進してくる。いくら体の大きい僕と言えども、アメリカサイズの大男には容易く突き飛ばされる未来が見えた。
そうこうするうちに、男は数メートル手前まで近づいてくる。ひょっとしたら、死ぬかもしれない。僕が思わず目を瞑った刹那、しかし予見していた衝撃と激痛は訪れなかった。
“Wow!”
ほとんと悲鳴に近い、男の声。
目を開けると次の瞬間、床の上に大の字で倒れている犯人の姿があった。明らかに、何者かの手で“のされて”いる。
無意識のうちに、僕がやったのか?
そんな風にも錯覚したが、あるわけがない。僕以外の誰かがやったのだ。
では、いったい誰が?
考えるまでもない。サラが雇った、黒づくめの男だ。
“Are you O.K?”
『だ、大丈夫です……』
朝飯前と言わんばかりに犯人をぶちのめした黒づくめ男が、僕の無事を確かめ、何も言わずに早足で去っていく。
よく見ると入り口にいたバイク男と別の黒づくめ男にのされており、ひったくり事件はあっという間に解決を見せていた。
サラが雇ったこの男たちはこの企画中、僕を隠れて撮影するカメラマンであり、何かが起きたときのボディーガードでもある。
それはわかっていたが、まさかここまでプロフェッショナルなSPだとは思わなかった。あるいは大統領の護衛すらこなせるような連中なのかもしれない。
雇い賃も相当高いんじゃないのか?
そんな疑問も抱く暇もないまま、男たちはまたどこかへ姿を消してしまう。
とてつもない電光石火に周囲の人たちが呆気に取られる中、少し遅れて、向こうから今回のひったくり事件の被害者が走ってくる。案の定、女性であった。セミロングのブロンドヘアで、三十代半ばくらいの白人女性……。
「『え?』」
お互いに目が合った瞬間、僕らは同じ反応をした。
今回のひったくり事件の被害者――。
その人物が、ショッピングモールの入り口で僕を注意した教育ママだったからである。
☆ ★ ☆ ★ ☆
『まさか……あなたに危機を救われるなんて』
年季の入ったステーションワゴンを運転しながら、金髪教育ママのエマ・シンプソンさんは呆れたような溜息を漏らす。
ワゴンの二列目にはマイクとジェームズという八歳と五歳の兄弟。僕は最後尾の三列目から、アメリカらしい広大な景色を眺めていた。
例のショッピングモールでのひったくり騒動。その犯人である大男二人を捕らえたのは、なぜだか僕ということになっていた。
あれだけ白昼堂々、黒ずくめたちが犯人をノックアウトするシーンが展開されていたのに、彼らの去り方があまりにプロフェッショナルだったためか、それともひったくりなど日常茶飯事のアメリカで通行人もそんな瑣末な事件の仔細などどうでもいいのか、警察官が駆けつけたときには、僕が大男二人を“のした”ことになっていたのだ。
遅れて来たエマさん本人は、黒ずくめの姿を見ていない。犯人が大の字で寝転んだすぐ横に僕が立っていたから、『まさか、あなたがらやったの?』というお決まりの展開になってしまったのである。
駆け付けた警察官二人は「本当にお前がやったのか?」と終始訝しげだったが、ショッピングモールの防犯カメラはなぜか知らないが故障していたとのことで、僕以外の人物が男たちをノックアウトしたという証拠はどこからも出て来なかった。
結局、ひったくり犯は僕が倒したということで決着がついた。僕は何度も否定しようとしたのだが、警察官たちの流暢すぎる英語について行けず、加えて子供たち二人の「お兄ちゃんが悪者をやっつけたの!?」というキラキラな視線に気圧されて、有耶無耶のまま僕が犯人逮捕の功労者ということで片がついてしまったのだ。
恩人(ということになっている)とはいえ、エマさんにとって僕が不審なYouTuberであることに変わりはない。本人は至ってドライにお礼を言ってその場を立ち去ろうとしていたのだが、
『助けてもらったんだからお礼くらいしようよ!』
『いつもママ、誰かに助けてもらったらちゃんとお礼しなさいって言ってる』
普段の教育熱心さが災いして、何かしら僕にお礼をしなきゃいけないという雰囲気になってしまったのである。
そのときのエマさんの「なんてことなの」という顔は印象的だった。差別まではいかないまでも、なんでこんな赤の他人のアジア人に施しなんてしなきゃいけないのよという心情は透けていた。
僕がエマさんの立場でも同じだ。
人種も言葉も違う見ず知らずの男を家に連れて行くだなんて、子を持つ親の観点から見ても遠慮したいところだろう。
しかもその男は、SEXをすることで生計を立てている明言していたのだ。是が非でもお茶を濁して、近くの駅で僕を下ろしたいに違いなかった。
『この近くにアムトラックの駅があるから――』
『ダイスケお兄ちゃん泊まるところがないんだって!』
『うちに泊めてあげようよ!』
兄弟のゴリ押しと見事な連携で、エマさんは何度も僕を下ろす機会を失っていた。
結局なし崩し的に、僕はショッピングモールから車で二十分足らずのシンプソン家に、お呼ばれすることになってしまったのである。
シンプソン家は、アメリカではよくあることだが、日本では値段が余裕で億を超えるくらいの広さを持つ豪邸だった。二階建てで、ガレージや駐車スペースもふんだんにあって、もしかしたら奥にはプールまであるかもしれない。
周りの家もみんなそんな感じなので土地代が安いのかもしれないが、それでも貧乏人がこの広さの家に住めるとは思えず、少なくとも中流階級以上であることは容易にわかった。
『いい? お兄ちゃんは宗教上の理由で、キリスト教を信仰をうちの家に入るわけにはいかないの。だから今夜はこの車の中に泊めるから、パパには絶対、このことを言っちゃダメよ』
僕が英語を聞き取れないと思ったのか、エマさんは超がつくほどの嘘をついて、僕を自宅に上げることを阻止した。そのあからさまな嘘はどうかと思うが、防犯の観点から、やはり見ず知らずのアジア人の男を、おそらく旦那さんもまだ帰ってない自宅に上げることはリスクが大きすぎる。母親として、それは賢明な判断だ。
『泊まる場所がないなら、今夜だけこの車の中に泊めてあげる。その代わり、絶対夫にはバレないように行動して』
絶対に僕を部屋に上げたくないエマさんが、断腸の思いで僕に提示した条件はこうだった。
まず基本的に、車からは一歩も出ないこと。
近所で変な噂が立つのもごめん被りたいとのことで、日没まで――とくにご主人が帰宅する夜八時までは荷室の毛布にくるまって微動だにしないことを厳守とした。
トイレは歩いて1マイルほどのところにある公園のトイレを使用すること。タイミングが合えばエマさんが夜中に夕食を持ってきてくれること。ご主人が出勤する朝七時までには車から出て、二度とシンプソン家に近づかないこと。気のせいか、恩人とはとても思えない扱いを受けている気がするが、まあ実際に僕は恩人ではないので、それをあれこれ言う権利はどこにもない。
むしろ問題になるのは、僕の方の“ルール”である。
ひったくり云々の件があったとはいえ、僕が受けているのは一宿一飯の恩義だ。
しかし今回の企画では、僕はSEX以外ではヒッチハイクも含めて一切の施しを受けてはいけないことになっている。つまり僕がエマさんの車に乗った時点で取引は成立してしまっているのだ。
要するに、僕は是が非でもエマさんとSEXしなければならないのである。
でないと契約の不履行になる。不可抗力だから仕方ないという理論はサラには通用しない。このヒッチハイク“前借り”の時点でサラが動かないのは、何か面白そうな映像が撮れそうだと踏んでいるからに違いない。しかし実際に面白い映像が撮れなければ、僕はどんな仕打ちを受けるのかわからない。自分の身を守るために、僕は何が何でもこのエマさんとSEXしなければならないのだ。
(どうしよう……)
とはいえ、あのエマさんの態度を見る限り、とても身体を許してくれるとは思えない。そもそも初対面の印象からして最悪なのだ。彼女は僕に嫌悪感以外のものを何一つ抱いていないだろう。
チャンスは、彼女が夕食を届けにくるタイミング。
しかしそれすらも保証されているわけではない。あの様子だと約束を反故にする可能性はいくらでもある。考えても見れば日の沈んだタイミングで外に出て、数秒とはいえ夫以外の男の二人になるなんて、賢明な成人女性が取る行動とは思えない。
(無理かなぁ……)
サラからのむごい仕打ちに恐怖しながら、僕は荷室の毛布にくるまる。いつご主人が帰ってくるかわからないという恐怖は、僕の身体をガチガチにさせた。考えてもみれば事情を何も知らないご主人に見つかったら、その場で射殺ということも十分ありうる。ここはそういう国なのだから。
『エマ、マイク、ジェームズ、帰ったぞー』
しばらくして玄関の方から、知らない男性の声が聞こえた。幸いご主人は荷室の不審者の存在には気付かず、そのまま家族の待つ自宅へと入って行ったようだ。
しばし、静寂。
家の中からは団欒の笑い声が響き、美味しそうな夕飯の匂いが鼻腔をくすぐる。
「僕も日本に帰りたいなぁ……」
ここに来て、突然のホームシックだった。僕にも日本に残してきた恋人たちと子供たちがいる。決して道徳的な関係によって築いた家庭ではないけれど、それでも僕にとっては愛する家族だ。
一夫多妻の白人ハーレムという、なんの因果か出来てしまった関係だけど、僕にはもうあの家は、立派に帰るべき団欒になってしまっているのである。
こうして一人海外で過ごしていると、無性に寂しくなってしまう。せめてエヴァかアシュリーさんが隣にいれば寂しさも和らぐだろうけど、二人は今、僕の腕の中にはいない。
「お腹減ったな……」
時刻はもう深夜の二時。
この分だと、エマさんが夕食を持って現れることもないだろう。僕は旅のルールを履行できないまま、サラから酷い罰を受けることになる。例えば、三年間缶詰でサラの連れてきた白人女性と次々SEXしまくる刑とか、そういうのだ。
「こんなことなら、さっさとゴールするべきだったな……」
僕には、飲まず食わずでとにかくメイン州にゴールするという選択肢もあった。エヴァとアシュリーさんから貰ったお金を全額移動費に注ぎ込めば、かなりの北に行けていた計算なのだ。
無理やりとはいえ、いくらかは企画を盛り上げないといけないと気を遣ったことが災いした。そうすれば今頃、日本に帰れる算段くらいはついていたかもしれないのに……。
「おやすみ、エナ、リズ」
最初に思い浮かんだ二人の名前を呟いて、僕は狭いワゴンの中で眠りに就く。もうご飯なんてどうでもいい。一刻も早く愛する女性たちのところに帰りたい。
そんな風に強く願いながら、僕は車窓からサウスカロライナ州の夜空を見上げながら、深い眠りについたのだった。
それから、どれくらいの時間が経ったのだろうか。
何の前触れもなく、僕は目を覚ましていた。
場所は狭いワゴンの中。身体が変な姿勢で固定されたいるのですぐにわかる。窓の外はまだ真っ暗で、少なくとも夜は明けていないと伝わってくる。
問題なのは下腹部を包む、生温かな生き物みたいな感覚だった。
(え……?)
意識がはっきりしていくにつれ、下半身がスースーした感覚に襲われていることがわかる。僕は今、ひと様の車の中で、あろうことか下半身丸出しの状態になっているのである。
しかしそれだけに飽き足らず、ギンギンに冴え渡った股間の感触。僕は寝ぼけてズボンとパンツを脱いだだけでは飽き足らず、よからぬ夢を見てチンポをギンギンに勃起させてしまっているのである。
早く、起きてチンポをしまわないと。
そんな焦りはあるが、陰茎を刺激する何者かの感覚が僕の覚醒を阻害する。竿の先端から根元三分の二くらいまでかけて、生温かな何かが覆いかぶさっている。生温かな何かは時折蛇のようにヌメリとした何かを裏筋やカリに巡らせ、まるで僕を射精させるかのような意図的な動きを披露する。それだけでなく、根元や玉袋を誰かの手が包み、揉み込んでいる。下半身を包む圧倒的な快楽に突き動かされて、僕はゆっくりと瞼を上げた。
月明かりの下、鮮やかなブロンドヘアが上下にゆっくりと揺れている。僕の肉竿を口に含むのは、紛れもなく教育ママのエマさんだった。事故? 間違い? いや、明確にオーラルプレイだ。僕の怒張した勃起チンポを、明らかにエマさんがフェラしていた。
夢?
真っ先に思い浮かんだ選択肢がそれだった。
エマさんとSEXしなくてはと強く思いながら眠りについたから、こんな感触の生々しい夢を見ているのではないかと。
“I'm sorry...”
僕の覚醒に気付いたエマさんが伏し目がちに謝罪する。しかし問題の手コキやフェラは一切止む気配がなく、むしろその行為は躊躇いのないものになっていく。
『ご主人と比べて、どうですか?』
『く、比べさせないでちょうだい。人種が違うんだから、penisだって違うのは当然よ』
顔を真っ赤にしながら、それでも手コキフェラをやめないエマさん。夢という可能性を強く考慮して、僕は横柄な態度を取っていた。怒られる可能性も考慮したが、エマさんは母親の威厳はどこへやら、penisを咥えることだけに全身全霊を尽くしている。
いったいどうしてエマさんがこんなことを?
そんな疑問が支配するよりも早く、僕はこの女性を征服したいという願望を自覚していた。サラサラのブロンドヘアを掴んでより根本を咥えさせ、ブラ越しのおっぱいに手を伸ばして、授乳期を二度終えたであろう乳首をカップ越しに摘む。
『触り方……慣れ過ぎだわ。どうしてこれだけで性感帯がわかるの……?』
フェラを続けながら、僕の指におっぱいを委ねるエマさん。人妻とは思えない豊満な弾力が僕の手のひらを押し返し、僕は今、自分が白人女性のおっぱいを揉んでいることを自覚した。
『エマさんのおっぱい、見せてもらってもいいですか?』
『……エマでいいわ。今夜だけはエマって呼んで』
ミセス呼びを拒否して、自らシャツとブラを剥ぎ取る二児の母。
露わになったバストは、見事なまでの巨乳で、ピンク色の綺麗な乳輪と、型崩れしない見事な形を保っていた。
『こっちも……あなたの好きにしてもらっていいかしら』
そのまま彼女は、ズボンもショーツも剥ぎ取って、とても綺麗なpussyを露わにした。経産婦とは思えないピンク色のpussy。誘われるがまま僕はシートに仰向けになり、その顔の上に、エマさんは自らの秘部を乗せてきた。
“Ah...!”
突如として始まった顔面騎乗とクンニ。
僕はエマさんの入り口やクリトリスを躊躇いなく舐めまわし、奥へ奥へと舌を突っ込んでいった。
“Ah! Ah!”
溢れ出る白人美女の愛液。甘ったるい声を隠すこともせず、エマさんは僕のクンニに全身を委ねていた。
“Can you insert your cock in my back...?”
その細腰を淫靡にくねらしながら、挿入をおねだりしてくるエマさん。その時点で、これはもう多分夢だろうと決め込んでいた僕は、人妻相手だろうがゴムなしだろうが、躊躇わらず入り口に竿を押し当て、女性の願いのまま、人よりは長い竿を彼女の奥に沈めていった。
“AHH!!”
彼女の真っ白な背中が弓形に反り返る。人妻とは思えない膣壁の締め付けが、僕の勃起チンポをダイレクトで包み込んだ。十分に濡れた白人のpussyは、僕の陰茎をこの世で最もいやらしい感触で咥え込んでくる。
『なんてdickなのっ、主人のと全然違うわっ』
『エマ、気持ちいい?』
『当たり前でしょ! 間違いなく人生で一番のdickだわっ!』
夢であることをいいことに、僕はゲスっぽくエマさんを攻め立てた。車の揺れが外に聞こえるとかそんなことは関係なく、僕は容赦なく下から二児の美人母を突き立てる。
“Ah! This is amazing!”
さすが白人人妻。下から突き上げるだけでバストがばいんばいん揺れている。お尻の肉も柔らかくボリュームがあって、まさに豊満な大人の女性とSEXしているという実感が湧く。
『俺のチンポはどうだエマ』
“Ah! It's so amazing that I don't understand! Why is it so amazing even though you're Japanese!”
容赦なく下からスパンキングしながら、人妻のおまんこを堪能する。自分に都合が良すぎる夢に対して自分自身呆れるが、ここまで股間への感触がリアル淫夢もないので、僕はこの束の間の幻想を堪能することにした。
“Ah! It's too deep!”
『ここがいいんだろ?』
“Ah! That’s good! This is the first time I've had such a great sex!!”
肉と肉がぶつかる乾いた音が車内に響く。まさに夢心地のSEXに、僕は早くも子種を放出しそうになる。
“Ah! Cuming!! I'm cuming by the cock of a man who's not my husband!”
『俺もイクぞ! このまま中で出すからな!』
“Ah! No! It's not! Please forgive me for creampie!”
『ああっ!』
形だけの懇願を無視して、人妻の子宮に精液をぶちまける。エマさんのpussyは射精に一瞬遅れて強く締め付けてきて、僕の睾丸の中の子種をミルク搾りのように的確に搾り出してきた。
『こんな射精……初めてだわ……』
お尻の大きな下半身を痙攣させながら、エマさんが天井を仰いで息を切らす。僕は眠気で意識が薄れそうになりながらも、その夢の中で、本能に任せて八回もエマさんに中出ししていた。
気付けば、朝。
朝七時までには車を出るという約束もすっぽかし、僕はすっかり寝入ってしまったようだった。
『起きて。主人は仕事、息子たちもスクールバスで学校に行ったわ』
意識がまだ冷め切らぬ状態で、後部座席のドアが開く。エマさんだ。すっかり眠りこけてしまった僕に呆れ果てているのかと思いきや、彼女は僕に、思いもよらぬ提案をした。
『朝ごはん、できてるわ。主人は夜まで、子供たちも夕方まで帰らないから、家の中で休んでていい』
「え?」
いったい何の心変わりか、あれだけ僕を警戒していたエマさんが僕を家の中に招き入れてくれる。そんなことをしても、彼女には何のメリットもないと思うのだが、
『昨夜のあなた……凄かった。できれば今日はベッドの上でして欲しいのだけれど、あなたの都合はどうかしら。もちろん、ちゃんと報酬も渡すわ。あなたのアレに見合うようものを、私に用意できるかはわからないけど』
恥ずかしそうに提案する彼女に、僕はいまだにわけがわからないといった感じでキョトンとする。その反応に、彼女は英語が通じていないと感じたのか、今度はよりはっきりとした英語で、僕の目をまっすぐに見つめて、
『子供たちが帰ってくるまで、家の中であなたとSEXしたいの。夜はまた車の中で、その次の日はまた家で、あなたの精巣の気が済むまで、私の本能の気が済むまで、私とSEXし続ける契約、結んでもらえないかしら』
何かの冗談かと思った。
あるいはまだ夢の延長かと。
『あっ!! やっぱりあなたって凄いっ♡』
しかし事実として、僕はそこから三日間連続エマさんとSEXし続けたから、これが冗談でも夢でもないことは軽く証明されてしまったのだ。
いったい何の経緯でこんなことになったのかはわからないけど、白人人妻美女とのSEXがあまりに気持ち良すぎて、僕は全てがどうでもよくなってしまったのだ。
SEXは、麻薬。
白人美女とゴムなしで繋がったら、悲しいかな、男はエンドレスで腰を振るようにできているのである。
☆ ★ ☆ ★ ☆
“Ahh!! OH MY GOD!! DAISUKE!!”
その日、僕は当たり前のようにシンプソン家のリビングでエマさんとSEXしていた。
エマさんはリビングのテーブルに両手をついて、当然だが全裸で僕のイチモツを受け入れていた。
普段は家族団欒の場での、立ちバック。
しかも見ず知らずの日本人相手の、どこからどう見ても浮気SEXだというのに、エマ・シンプソンは躊躇うことなく喘ぎ、叫び、その豊満なバストや柔らかな尻肉を小刻みに揺らしていた。
僕は長身の白人女性の細腰を両手で掴み、日本人女性相手より明らかに高い位置でのピストンを強いられていた。
しかし絡みついてくる白人おまんこがあまりに気持ち良くて、そんなことはお構いなしに無我夢中で腰を前後上下に振っている。
普段は、澄ました教育ママという感じだったのに、SEXのときエマさんはあからさまにメスの顔、快楽に没頭する女の姿を晒していた。
二児の母でも、SEXには全力。
さすがはフリーセックスの国アメリカだが、三日間も昼間と夜中のSEXを続けて、よく体力が尽きないなと感心してしまう。もちろん、僕だって同じことが言えるわけだけど、ピストンのたびに激しく揺れる白人女性の尻肉や、僕の手のひらでは到底おさまらないくらいのbig boobs(巨乳)をこねくり回していると、休憩などしていられないという気になってしまうのだ。
“Ah! OH MY GOD!! OH MY GOD JAPANESE!”
さすがにそろそろ企画に戻らなくてはと思うが、こうも積極的に人妻に求められると、どうにも下半身が疼いてしまう。スタンレー農場のアリシアさんやロンドンのステイシーさんもそうだったけど、女性は歳を増すごとに性欲が増すというのはおそらく本当のようだった。
“Ah!! CUMING! I'M CUMING JAP!!”
お決まりのJAPという蔑称も、互いの性欲を高めるための道具でしかない。
僕はJAPの分際で白人の人妻を犯している。
エマさんは白人女性でありながら日本人の男に犯されて、絶頂している。
その事実が僕らのSEXの快楽を、極限まで高めてくれているように感じる。
「ああっ! 出すよエマっ!!」
“AHH!!”
当たり前のように、エマさんの子宮に精液をぶちまける。こんなことをして妊娠しないのか本当に心配になるが、この中出しがあまりにも気持ち良くて、僕もエマさんも自制できないというのが本音だった。
ホント、白人女性への中出しは、この世界の何よりも快楽に満ちている。
『エマさん、僕そろそろ……』
拙い英語で、出発の旨を告げる。しかしエマさんは後背位で連結したまま、僕のイチモツを離そうとはしない。
『ダメよ、あと二十回中出ししてくれたら考えてあげる』
しかしそのたびに、こうしてエマさんに断られている。旦那さんとSEXレスだったことは何度か聞いたけれど、これはいくらなんでも“ハマり”すぎではないだろうか。
『二児の母親をこんな状態にした責任、取りなさい。そのカメラで撮ったものもどうせ配信するんでしょう? 全世界にあられもない姿を配信されるなら、頭がおかしくなるくらい気持ちよくしてもらわないと割に合わないわ』
Crazyになりたいという希望通り、エマさんは極限までSEXの快楽を求めてくる。僕もできる限り希望に応えようと激しく腰を振るが、そのたびにエマさんが母親らしからぬ――有り体に言えばとんでもなくエロい姿を晒すので、本当にサラはこんなものまで配信するのかと不安になってしまう。
でも、サラならやる。
しかもなぜかエマさん本人もSEX動画の配信には積極的で、旦那さんにバレたら破滅だと思うのだけれど、本人の方がむしろ配信して欲しいとカメラ越しに懇願しているのだ。
アメリカ人女性のSEXに関する情熱はここまで凄いのか。改めて日本との違いに頭がくらくらするけれど、これはあくまで個人の自由、文化の自由なので、僕に何かしらの反論をする権利はない。
『あっ! またイクぞっ!』
それから僕らは家の中で数えきれないくらいSEXをして、休憩を挟んで二十回以上――おそらくは三十回近く、中出し種付け行為を愉しんだのだった。
『私はまだまだあなたとしたいけど、これ以上は生活に影響が出るわ』
すっかりと疲労し、栄養ドリンクを駆使してまで三日間のSEXに興じていた僕らだったが、僕も僕で企画があるし、エマさんもエマさんで母親業があるということで、家族が休みになる土曜日の前日に、このSEXだけの宴を終わらせることにした。
『絶対また、私の前に現れてね』
最後のSEXの後、エマさんは何度の僕のチンポにキスをしていた。
その姿が最初に見たときの教育ママ然とした雰囲気とかけ離れていて、あらためて女性というものは、いつまでたっても女なんだなと実感してしまう。少なくともレスになってしまった数年分の快楽は、僕のpenisで補完してあげられただろうか。こんなに豊満な身体つきの女性なら、僕なら毎日だってSEXしてあげられるのに。
『悪いけど、家計は全部夫が握っているから、お金を渡すことはできないの』
サウナカロライナ州の州境を越えたフェア・ブラフという町で、エマさんは僕を下ろしてくれた。
この企画において、僕はセックスにおいてのみ報酬を得られることになっている。
報酬は金銭でなくても構わず、エマさんは三日三晩の宿泊地と食事、そしてノースカロライナ州への送迎という形で、その報酬を払ってくれたことになる。
それだけで僕にとっては十分なのだが(実際エマさんとのSEX自体めちゃめちゃ気持ちよかったし)、本人はそれだけでは納得がいかない様子で、どうにかしてメイン州までの僕の旅をバックアップできないか思案し続けていた。
いや、ここまで送って頂けただけで十分ですよ。
そんな言い回しを英語でどう言えばいいのだろうと思案している間に、エマさんはどうやら、何かしらの“答え”を見つけてしまったようだった。
『これ、あげるわ。元々新しい車に替えるのが決まってて、妹に譲る予定だったけど、どうせそう遠くないうちに壊れると思うし、あなたの旅が終わったら売って鉄屑にでも変えて』
「は?」
事態をまったく飲み込めぬまま、僕はその場で固まった。多分聞き間違いだろうと必死に今の言葉を頭の中で否定していたが、エマさんが涼しげな顔で今乗ってきたステーションワゴンの鍵を手渡してきたので、今のが聞き間違いでも何でもないとわかる。
エマさんはなんと、SEXの報酬として僕に車をあげようというのである。
『い、いやこんなの貰えないですよ! 高価すぎるし、そもそも僕免許持ってないし!』
『あら、免許ないの? じゃあこっちに自動車学校やってる知り合いがいるから、紹介してあげる』
あれよあれよという間に誰かに電話をかけたエマさんは、僕に住所と電話番号を書いたメモを手渡した。本気でこの人は、僕に車を譲る気なのだ。
『で、でも家までエマさんはどうするんですか!? ここからフローレンスまで結構ありますけど』
『こっちに妹が住んでるから、送って貰うわ。あげる予定の車がダメになったって伝えないといけないし』
『フ、フットワーク軽すぎでは……』
呆気に取られる僕をよそに、エマさんは妹さん(この人もかなりの美人だった)が乗って来た車に乗って、家族の待つサウスカロライナ州まで帰って行ってしまった。
その去り際、エマさんが僕に残した言葉がこうである。
『本当はあなたの旅について行きたいけど、子供たちのことも愛してるから。だからまた、どこかで会えることを信じてるわ』
教育ママと女の顔を半々に持つ雰囲気で、僕の首に腕を絡めてくるエマさん。旦那さんのことは愛してないの?と不躾なことを聞くと、エマさんは呆れたように笑って、
『あんな凄いSEXしておいて、女の心を奪えてないでも? 今後旦那とSEXすることはないも思うけれど、もしまたすることがあったら、絶対あなたの凄すぎるSEX思い出して物足りないって感じると思うわ』
旦那さんへの気持ちも、ついでに言うと僕へのそれについても明言せず、エマさんは大人の女性の余裕を見せる。本当はもっと彼女とSEXしたかったけど、ここはそこそこ車通りや人通りの多い道路脇の駐車場だったので、さすがにそれは自重しておいた。
いや、嘘である。
本当は近くの公衆トイレで三回くらいSEXしたし、もっと言えば到着した妹さんも巻き込んで姉妹丼まで決め込んでしまった。
後日、その妹さんとのSEXがノースカロライナ分に該当するとサラからお叱りを受けたけど、持ち金を全額没収するという条件で何とか見逃してもらった。
なぜなら僕が次のSEXで得た報酬は、この旅においてなくてはならないものだったからである――。