第1話 さよならロリータコンプレックス
ロリコン。
ロリータコンプレックス。
小児性愛者。
厳密には違うがペドフィリアなんて言い方もする。
要するに、年端もいかない少女たちの身体に興奮する輩の総称である。
世間一般では当然ながら鬼畜の所業として扱われ、犯罪者予備軍レースではぶっちぎりの一位をひた走る。
犯罪者の部屋からそれっぽい漫画やゲームが見つかろうものならマスコミはこぞって報道し、ネット民もお茶の間の視聴者も待ってましたと言わんばかりにロリコンを叩く。
ロリコンの全員が犯罪者になるわけではないが、少なくともロリコンじゃない人間は小児性犯罪は起こさない。
性犯罪に上も下もないと思うが、大人相手の性犯罪と、子供相手の性犯罪とでは罪の重さが違ってくるのが実情だ。
もちろん、誓って言うが僕は小児性犯罪者を擁護するわけではない。
犯罪を犯したものはそれ相応の刑法で裁かれるべきだ。もっと言えば、犯罪に至る前に抑止できるのが理想である。
しかし先述の通り、ロリコンへの世間の風当たりは強い。
ひとたび自分がロリコンであると表明すれば社会的地位を失うのは明らかだし、まだ何もしていないのに犯罪者のごとく扱われる。だからこそ世のロリコンは自分の性愛を誰とも共有せず、自分の中にひた隠しにするのである。
ロリコンは嗜好するだけで犯罪なのだ。正確に言えば犯罪ではなく、社会的犯罪。具体的な罪を犯さなければ罰はないが、社会的代償はしっかりと支払うことになる。
ひと昔前は堂々と出版されていたロリコン向けの写真集や雑誌も、今では所持するだけで処罰の対象だし、それ系の画像をスマホやHDDに保存していただけで犯罪と見なされる。
そういった具体的行為がなくても、女子小学生に挨拶をしただけで通報される世の中なのだ。世のロリコンたちの生きづらさといったら、もう推して知るべしである。
そんな中、僕たちロリコンに許されているのはただ「見ること」。それのみである。
見ると言っても、もちろん女湯や更衣室をデバガメするわけじゃない。それはロリコンかそうでないか以前に犯罪行為だ。
公共の場にいる小学生たちを密かに観察するのだ。服を着た女の子たちをただ漫然と眺めているだけでは、流石にまだ犯罪にはならない。
JSウォッチング。
僕は自らの趣味のことをそう呼んでいた。
やることは簡単。休日、子供たちが遊んでいそうな公園に繰り出して、小学生たちを観察するのだ。
何気なく公園で休憩するふりをして、公園内で鬼ごっこに興じる小学校高学年の女の子たちを観察する。
近頃の小学生たちは発育が良く、大抵の女の子たちは、少なからず胸が膨らみ始めている。
中には、本当に君小学生なの?と聞きたくなるような胸の大きな子まで存在する。
胸だけでなく、最近の小学生は脚も細く、くびれもある。
洋風の生活が根付いた影響なのか、白人少女のように腰高の高い子も多く、ひと昔前は学年に一人いれば良い方だったモデル体型の子が、今では標準にすらなっている。
たとえば今、僕の目の前では五年生くらいと思しき女の子たちが、広い公園全体を使って鬼ごっこしている。
鬼ごっこ。ドロケイ(地域によってはケイドロ)。氷鬼。影鬼。
どんなにIT化が進んでも、小学生ですら一人一台スマホを持つようになっても、子供たちの遊びは昔から変わらない。子供たちの心は十年前も百年前も変わらないのだ。
にも関わらず、今の小学生たちのなんと艶めかしいことか。
例えば、今まさに僕の前を走り去った黒髪ロングの女の子。
色白で、顔立ちは売れっ子子役のように整い、目鼻立ちもはっきりしている。
身長は140センチより少し高い程度しかないが、腰高はそれこそ白人少女のように高い。
白のホットパンツに隠れたお尻の膨らみも、黒いTシャツの胸元の膨らみも、大人の身体をそのままミニマムにしたような形だ。くびれなどまさに大人のそれで、胸の膨らみに至っては目測でAカップないしBカップはある。
それを聞いて「なんだ貧乳じゃん」と思う人間もいるかもしれないが、身長140センチ、細身の小学生のAカップはかなりだ。Bカップともなるともはや巨乳と言っても差し支えない。
それが数メートル先の目の前で揺れていれるのだから、ロリコンとしては眼福の極みである。
「ちょっとくるみ、今絶対タッチした!」
僕のような大人の視線にも無警戒で、友達と鬼ごっこに興じる黒髪ロングの女の子。
同世代の中でもどちらかと言えば雰囲気は大人っぽいが、公園を無邪気に駆け回る姿は児童そのものだ。
黒髪ロングの子以外の発育も結構優秀で、この子のようにモデル体型の子もいれば、下手したらCカップぐらいありそうな女の子もいる。
ここにいる全員が、紛れもない子供だ。
しかし僕たちにとっては、紛れもない性の対象である。
どう見ても子供なのに、おっぱいが膨らんでいる。
小学生なのに、後背位で犯したくなる下半身をしている。
僕たちロリコンの原動力となるのは子供たちのギャップだ。
見た目は子供なのに、要所はしっかりと大人への階段を昇りつつある。
無邪気な子供なのに、身体の方はしっかりとセックスの準備を整えている。
いわゆるギャップ萌えの究極点。
無邪気で無垢な女の子がふと屈んだ瞬間、胸元にそれなりの谷間が見えたら、それだけでもう一ヶ月は事足りる。
そういう変態が僕らだ。
今更それを否定するつもりはない。
今日は豊作。
目の前で遊んでいる女の子たち、どの子でもいけそうな気がする。
でもだからといって、ここで無粋な盗撮などは行わない。
近頃ではスマホで子供たちを盗撮する輩もいるが、それはれっきとした犯罪行為だ。
あくまで見るだけ。
録画は脳内で。
それがJSウォッチングの鉄則だ。
撮影はご法度だし、子供たちに声を掛けるのもNG。
そもそも僕は、不審者に思われない為に一日ごとにウォッチングする公園を変えているのだ。
その結果、今日まで回った公園の数は二百を越える。
晴れた土日は歩いて公園まで出向き、日がなベンチで日向ぼっこをしているせいか、33歳の今でも健康診断はオールAだ。
しがないサラリーマンで、彼女なしの独身。
どこにでもいるロリコンだ。
顔立ちはまあ平均だと自分では思っている。
少なくとも公園のベンチで座ってるだけでは通報されないレベルの身なりだ。
性格は気弱で寡黙。どれぐらい気弱かと言うと、不良の小学生男子たちに1000円をカツアゲされたことがあるくらい。まあ徹底した平和主義者だと言い換えさせて欲しい。
趣味は前述のようにJSウォッチング。
少子化が叫ばれる昨今、それでも逞しく成長する現代のJSたちを見守るのが生き甲斐だ。
しかしそんな僕にも、近頃なんとも拭い難い悩みがある。
(今の小学生、ガード硬過ぎだろ……)
どんなに発育の良い小学生を見つけても、あるいは発育が良ければ良いほど、所謂ラッキースケベの確率は極小に近い。
これも昨今のロリコン糾弾の風潮ゆえか、小学生の子供を持つ親たちも、小学生たち本人も、世の中にロリコンという性癖を持つ男たちがいることを熟知している。
ガードの硬い服装をするのはもちろんのこと、胸の膨らみかけた女の子たちはほぼ100パーセントスポーツブラやジュニアブラを身に付けている。
思えば僕がロリコンに目覚めたのは、小学六年生の頃に参加したボーイスカウトのキャンプで、違う学校の女の子の膨らみかけおっぱいを目撃したことが原因だった。
白のハーフパンツに、黒のノースリーブという格好でキャンプに参加した女の子は、明らかに胸が少し膨らんでいた。今考えるとAカップぐらいの大きさだったと思うが、それでも小学生男子には十分な大きさだ。
そもそも当時同世代の女の子はみんなつるぺただと信じ込んでいた孝太郎少年は、ノースリーブの隙間からチラチラと覗く横乳に衝撃を受けた。
そう。その少女はブラをしていなかったのである。
スポーツブラやジュニアブラはおろか、キャミソール代わりの中シャツすら着ていない。ノースリーブの下は直でおっぱいだったのである。
生まれて初めて見る膨らみかけのおっぱいに僕は目が釘付けになった。
その日は子供たちみんなでカレーを自炊していたのだが、流し場で野菜を洗う少女の横に、僕は用もないのに張り付いていたことを覚えている。
少女が屈むたびに顔を出す膨らみかけのおっぱい。
もちろん横乳が少し見える程度だが、本来あるはずがない(とこっちが勝手に思っていた)ものが少女の胸にあるという事実が、そして全体の三割にも満たないまでもそのものが見え隠れしているという現実が、僕にとんでもない興奮を生み出した。
見えそうで、見えない。
その神域の究極点、突端を捉えるところまではいかない。
べつに焦らされているわけではない。いくらノースリーブでもそもそも横からおっぱいは見えない。でも子供にはよくあることなのか、成長期を見越してやや大きめの服を着ていたせいか、少女の胸は通常よりもかなり見えやすくなっていた。
そして念願の瞬間が訪れたのは、火起こしや下準備が全て終わり、少女が沸騰する鍋に具材を注ごうとしたときだった。
焚き火の熱さを避けたせいもあっただろう。鍋に対してかなり腰が引けた体勢で具材を注いだ少女のノースリーブが、これまでにないほど大きく下にたわんだ。
その瞬間、少女の斜め前という絶好の位置に陣取っていた僕は、少女の右乳房の全容を捉えたのである。
拳サイズに膨らんだ、真っ白なおっぱい。
その当時の僕は、小学生の女の子の胸には、僕たち男の子と同じような乳首がついていると思っていた。要するに、乳頭が全然膨らんでいない子供の乳首のことだ。
しかし少女のそれは、予想に反してしっかりと膨らんだ乳頭だった。丸く膨らんだおっぱいに比例して乳輪も乳頭もしっかりと膨らんだ、まさしく大人のような乳首だ。
薄い桜色をした瑞々しい乳輪と乳頭は、丸く膨らんだ乳房全体と合わせて、もはや紛れもないおっぱいだった。
僕と同じ小学生なのに。
あんなに柔らかそうなおっぱいが、胸元に付いているなんて。
その出来事が、僕が膨らみかけの乳房に傾倒した瞬間だった。子供なんだから同じ年頃の女の子に執着するのは当たり前と思われるかもしれないが、自分自身が歳を重ねていっても、僕の性的対象の女の子の年齢は変わらなかった。僕はロリコンのまま大人になったのである。
閑話休題。
要するに、当時はそれだけ女の子たちが無防備だったのである。
もちろんブラを着けている女の子は当時もいたが、どちらかと言えば「着けている子もいる」程度で、ノーブラでおっぱいを揺らしている女の子というのも確かにいたのである。
でも近頃の世相なのか、最近の小学生たちのガードは鉄壁だ。
胸が膨らみかけていてジュニアブラもスポブラもキャミ代わりの中シャツも着ていない子はまずいないし、屈んだ瞬間に膨らみかけの谷間が覗くこともまずない。
それこそ、垂直に屈んでも胸元が見えない服が一般的で、少女たちの膨らみかけの胸はこれでもかと言わんばかりに死守されている。
逆にそれで膨らみかけおっぱいの価値が高まるとも言えるが、いかんせん絶無なのだ。
二百箇所以上もの公園を回って、少女の乳首どころか谷間すら拝めた瞬間も一度もない。
僕があのボーイスカウトキャンプで体験したような出来事は、今の世の中ではまさに皆無なのである。
「今度は
はしゃぎながら駆け回る、黒髪の少女。
目測Bカップの胸元は間違いなく揺れているが、その全容を捉える方法はどこにもない。
それこそ少女の入浴等を盗撮するしかなくなるが、犯罪行為に手を染めてまで自らの欲望を完遂する覚悟もない。そもそも彼女の家がどこなのかも知らない。
今の世が三十年前なら。
そんな反実仮想を抱いてしまう。
これが現代でなく昭和の時代なら、あの子もきっとノーブラで、ふとした瞬間に小学生にしては大きめな谷間が見られたかもしれない。
でも今の小学生の発育の良さは今の時代だからこそだ。僕が子供の頃はこんなにスタイルの良い女の子たちがゴロゴロいるなんてことはなかった。
無い物ねだり。
Cry for the moon.
僕は僕で、現代の発育の良い小学生たちの身体を、服の上から拝むことに幸せを感じるしかないのだ。
今の発育のまま、女の子たちがロリコンの目線に無防備な世界なんてあるわけない。
だから僕は、今日もJSたちをウォッチングする。
お気に入りの女の子を見つけ、その姿を、今しかない膨らみかけの瞬間を、心の目に焼き付けるために。
「
そのときだった。僕がずっとウォッチングしていた黒髪ロングの少女が、鬼ごっこの最中に道路脇の縁石に躓いて、車道側に飛び出してしまったのである。
折悪く、そこにお決まりのごとくトラックが突っ込んでくる。
普通ならば、もう奇跡を祈るしかない状況。
今から少女に向かって駆け出しても、到底間に合わないシチュエーションだ。
しかしただ一人、僕だけは違った。
ずっと少女を、というか少女のおっぱいを視線で追いかけていた僕は、少女の行く先に躓きやすそうな縁石があるのも、もっと言えばその先にそれなりのスピードのトラックが走行しているのも、しっかりと見えていた。
大人は子供を守るもの。
ロリコンのお前が何を言っていると思われるかもしれないが、僕はこの法則が万国共通、どんな社会においても適用されるものだと信じている。
たとえ目の前にいるのが、一期一会、赤の他人の小学生女子であっても、危険が迫っていれば身を投げ出して守るのが大人だ。
否、ロリコンだからこそ、成長途中の少女たちを尊ぶ人間だからこそ、子供たちは性欲の対象であっても決して手を出していい存在ではなく、全身全霊で守るべき相手だと、僕は思う。
だから僕は、自分でも気付かないうちに道路に向かって飛び出していた。
三十路越えとは思えない短距離走のスピードを発揮して、無我夢中で縁石から道路に跳躍して、少女の華奢で小さな身体を、守るように抱きかかえた。
中空で、甲高い急ブレーキの音が響く。
少しでも少女を守れるように、頭を守るように抱き抱える。
ロリを守るために死ねるのなら、ロリコンの本望だ。
そんな風に思いながらも、胸板にかすかに柔和な感触を感じてドギマギしていたのは、実に僕らしい最期だなと思った。
★ ☆ ★ ☆ ★
「おお勇者よ、死んでしまうとは情けない」
「へ?」
目が覚めると、目の前に女神然とした女性が立っていた。
自然にはありえない蒼髪で、白人なのか日本人なのかもわからない感じの美人。おまけに巨乳。身なりもまさしくギリシャ神話の女神みたいな服装だ。
彼女が立っているのは、闇――としか形容しようがない空間だった。
単純に暗室にいるだけなら、彼女の姿がはっきり視認できていることと矛盾する。
無限に広がるブラックホールのような漆黒の中で、彼女一人だけ文字通り女神のように浮かび上がっている。
「こほん、失礼。設定を間違えました。おお孝太郎よ、死んでしまうとは情けない」
女神(らしき美人)が言い回しを訂正しているが、こちとら状況をまったく理解できていないのでツッコミを入れることすらできない。
真っ暗闇な世界。
いささかチープな気もするが女神然とした女性が佇むシチュエーションに、ここが死後の世界であるという安易な結論に行き着く。本当は否定したいけれど、そう考えてしまった方が楽な自分がいた。
「僕は、死んだんですか?」
安直な結論に身を委ねつつ、僕は目の前の女神(仮)に尋ねる。
この世のものとは思えない美貌を携えた女性は、わずかばかりに逡巡しつつも、
「まだ確定はしていません。あなたは今、生と死の狭間の世界にいるのです」
安っぽいラノベみたいな設定を語られた。
昔からの日本文化に言い換えれば三途の川というやつだろうか。僕は今、所謂「生と死の狭間を彷徨っている」状態らしい。
だったら最初の「死んでしまうとは情けない」のくだり嘘じゃんと思ったが、存在そのものがツッコミ対象の彼女に無粋なツッコミはやめておいた。
「結論から言えば、あなたは九死に一生を得ます。しばらく入院することになりますが、また元通りの生活を送れるようになるのです」
彼女の平穏な言葉に、僕はひとまず安堵した。このシチュエーションそのものが死後の世界である可能性も否定できないが、ひとまずそういうことにしておいた。
しかしそうなると、疑問に思うことがある。
「助かるのにどうしてこんな世界に?」
助かることが確定しているなら、こんな中途半端な狭間の世界とやらに連れ出される必要性もない。
僕は一刻も早く覚醒して五体満足の無事を確認したいのだが。
「よくぞ聞いてくれました!」
女神はその真っ白な手のひらをパシンと合わせて、向日葵のような笑みを作った。
もしかしてふざけてるだけなんじゃないかと思ったが、さっさと現実世界に戻りたいのでスルーする。
「全知全能の神は、あなたが行った善行にいたく感嘆致しました。幼い少女を守るために自らの命を投げ出す行為に、主は相応の対価を捧げよと仰っています」
「対価って……」
突然そんなことを言われても、僕は自分が当たり前と思う行為をしただけだし、そもそもの原因が不純だ。だって小学生の身体に欲情するために公園に行ってたんだし。
それがバレたときのことを考えると安易に対価なんて貰えないし、昨今のブームに則ってチート能力ありで異世界転生でもさせられたら目も当てられない。
「いらないですよ、対価なんて」
だから僕は女神の申し出を突っぱねた。
強欲な人間なら、目の前のナイスバディのあなたとセックスさせて下さいとか、女子小学生ハーレムが作り放題の世界にして下さいとか、いくらでも頼めることはあったのだが、根っからの気弱さが災いしたのか、自分の性欲がきっかけの行為に、無闇に対価を求める気はならない。
「まあ、なんて殊勝な。なんでもいいんですよ? 今すぐ私とアナルファックしたいでも、全盛期のキャメロン・ディ◯スと中出しセックスしたいでも構いません」
あんた本当に女神か!
思わずそう叫びたくなったが、早くこのわけがわからない状況から解放されたかったので、厳に言葉を慎んだ。
対価なんていらない。
いらないが、強いて願うとすれば、僕がこうなってしまったそもそもの原因を取り除きたいとは思う。
僕がこうなってしまったそもそもの原因。
JSウォッチングなどという不健康で不道徳な趣味を持つ原因。
それすなわち、僕のロリコン癖だ。
「この世から、ロリコンという性癖を消し去って下さい」
この世からロリコンがいなくなれば、僕のような事情で命を失いかける人間もいなくなる。
そもそもロリコンという歪な性癖がなくなれば、女の子たちが大人の不審者に怯えることもない。
「そんなことでいいんですか?」
案の定、女神はキョトンとした表情を黒の世界に浮かべている。
この女神は本当に僕とアナルファックするつもりだったんだろうか。だとしたら彼女は僕以上の変態だ。
「ええ。いいんです。ロリコンという哀れな性癖を、この世から綺麗さっぱり消し去って下さい」
一片の迷いもなく、僕は自らの願望を告げた。
ロリコン趣味のない世界で、僕は平和な日常を送る。
自らの性癖がバレて社会的信用をなくすのを恐れるのも、何かの弾みでタガが外れてお巡りさんの厄介になるのを恐るのも、もううんざりなのだ。
「……わかりました。あなたの願いを聞き入れましょう」
テコでも動かない僕の覚悟を察したのか、最終的には女神も僕の願い受け入れてくれた。
これでもう、ロリコン趣味から来るありとあゆる問題から解放される。
小学生のガードが硬くてヤキモキする日々とも、小学生のおっぱいが見た過ぎて悶々とする日々ともおさらばだ。
「さようなら僕のロリコン性癖……二十年以上ありがとう……」
薄れゆく意識の中で、長年連れ立ってきた性癖に別れを告げる。
目が覚めたら、きっと僕はもう小学生のおっぱいには興奮しなくなっていることだろう。
それが正常。それが当たり前。
僕はようやく、真っ当な大人としての人生を歩めるのだ。
ロリコンのいない世界。
然して、僕の願いは実現するに至った。
僕の思っていたのとは、少しだけ違う形で――。