娘の交換留学相手(11)がぐうシコ過ぎる件 作:かしわもち@ハーメルン
あれからもう三ヶ月。
ついに待ちに待った、交換留学生を受け入れる日である。
向こうのご両親、アップルヤード夫妻とは事前に国際電話で挨拶を済ませ、メールにて来日と受け入れのタイミングを入念に話し合った。
べつに外資系の企業に勤めているわけでもない俺は、大学卒業以来の英語に四苦八苦していたが、それでも一応は有名大学を出た身として、最低限の英語力は発揮できたと思う。
そもそも交換留学生の受け入れが決まった時点で、俺は死に物狂いで英語を勉強していた。
休日は家族全員で街の英会話スクールに通っていたが、平日の仕事終わりにガチのビジネス英会話スクールに通い、その英語力に磨きをかけた。
俺が日常会話レベルの英語なら難なく話せることは、家族には内緒である。
あくまで凛花と同じくらいか、少し話せる程度という風に装っている。
なぜそこまで本気で英語を会得したか。そんなことは同輩のロリコン諸君には理解できていると思う。
件の交換留学生少女と、懇ろな関係になるためだ。
ちなみに来日に先立って、アップルヤード一家の家族写真と直筆の手紙が送られて来た。
写真に写っているのは、恰幅の良い白人のお父さんと、美人の白人ママ。
その真ん中に映る小学五年生の女の子、ジゼルちゃんは――。
(超弩級の美少女じゃないか)
家族が目の前にいるのに、思わずそう呟きそうになったことを覚えている。
ご両親の身長がわからないが、縮尺で言えば背丈は凛花とそう変わらない。あくまでまだまだ小学五年生の女の子というのが、写真からも伝わってくる。
透き通った空色の瞳と、セミロングのゆるふわブロンドヘアー。映画子役のごとく端正な顔立ち。
まさに御伽噺のお姫様である。緑の草原で小鳥たちと戯れるのが似合いそうな、生粋のお嬢様だ。
「まあ、まるでお姫様みたいね」
俺とまるっきり同じ感想を抱く花憐。言葉少なではあるが、同い年の凛花もジゼルちゃんの可愛さに瞠目している。
その写真を見た瞬間、俺は心の中でガッツポーズをしていた。
これは引き当てたぞ。超が三つ付いても足りないくらいの“当たり”だ。
外国人留学生と聞いて美少女を期待したものの、実物は案外平凡というはよくあることだが、この写真はそんなあるあるを容易く一蹴する要素を秘めていた。
たまたま写真写りが良かったとか、そういうレベルじゃない。素材が一級品でなければここまでの写真は撮れない。加工ソフトありのスタジオ写真ならまだしも、これは何気なく撮られた感じの庭先での写真だ。
間違いなく、本物。
本物の白人ロリ美少女だ。
“N, nice to meet you.”
俺ら家族は、テレビ電話でも頻繁にやり取りをした。いきなり空港で初対面よりは、こうして画面越しでも会話を済ませた方が良いと思ったからだ。
テレビ電話でのジゼルちゃんは写真での溌剌そうな印象とは違い、だいぶシャイな女の子のように見えた。アメリカ人は感情表現豊かで日本人はシャイ。そんな世間一般の印象はあるが、今回に限ればうちの凛花の方がよっぽどサバサバしていて海外っぽい。
むしろジゼルちゃんの方が大和撫子で、見た目はともかく雰囲気は純日本人的な印象を抱かせる。
「ワタシハ、ニホンノ、ブンカガ、ダイスキデス」
一生懸命勉強したのだろう。かなりカタコトではあるが、ジゼルちゃんは真剣に日本文化への情熱を語っていた。
ジゼルちゃんが日本のことについて学んだのは最近のことだが、学校の授業で知った日本の奥ゆかしい文化に、彼女は強く興味を持ったという。
そこでタイミングよく、日本への交換留学の話が来た。ジゼルちゃんは一も二もなくその話に飛びついたのだと、ご両親であるアップルヤード夫妻は笑いながら話していた。
普段はシャイで自分の意見を言わない娘が、日本に対しては並々ならない情熱を持ち、真剣に交換留学への参加をお願いしてきた。
大事な一人娘を三ヶ月も異国に送ることに心配はあるが、ジゼルちゃんの真剣な眼差しに心を打たれて、アップルヤード夫妻は今回の交換留学を許可したという。
あなたたちが誠実そうなご家族で安心した、とお父さんは語る。それを聞いた俺は身につまされる想いだった。それこそ自らのロリコン癖を考え直さねばと思うほどであったが、ジゼルちゃんがカメラの前で「ヨ、ヨロシクオネガイシマス」と恭しく頭を下げた瞬間に、そんな理性は瞬く間に吹き飛んでいた。
(……デカくね?)
比較的ゆるめなTシャツを着ていたジゼルちゃんの胸元。写真ではゆったり目のワンピースを着ていたのでよくわからなかった身体のライン。
一瞬ではあるがカメラに確実に映し出されたジゼルちゃんの“谷間”に、俺は度肝を抜かれていた。
時間にして、コンマ数秒のレベル。
でもカメラは確実に、小学生少女の魅惑の花園を映した。
どう見ても、おっぱいである。
最近ようやく膨らみ始めたばかりの凛花のAカップではお話にならない。どう考えてもたわわに膨らんだ谷間が、ネット回線を通じて我が家のパソコン画面に映し出されたのである。
アメリカ人だから、白人だから全員が全員スタイル抜群とは俺も言わない。
数々の洋ロリ画像――場合によっては洋ロリポルノ画像を見てきた俺は、白人であっても日本人の女の子とそうスタイルの変わらない女の子を何人も見てきている。
しかし傾向として、白人の小学生の方がスタイルがいいのは事実である。
白人でもつるぺたはいるし、もちろん巨乳の子もいる。その巨乳の割合というか、簡単に言えば細身でも胸の大きな子というのはやはり海外の方が多い印象だ。
ロリ巨乳と呼ばれる女の子は大概ガタイがしっかりしているが、白人ロリには細身なのにおっぱいが大きいという奇跡みたいな女の子が存在する。
目の前のジゼルちゃんがまさしくそれだった。
細身で、シャイそうな美少女なのに、胸元のそれは凶悪。アメリカではこれぐらいの子は珍しくないのかもしれないが、日本では明らかにクラスでも一番級のロリ巨乳である。
もちろん巨乳と言っても、EカップもFカップもあるわけではないだろう。
そういうカップ数の子は背も高く、ガタイもある程度大きい。ジゼルちゃんの身長でEカップもFカップもあるなんてことはありえない。
でも、だからこそ際立つ。
凛花と背丈はほとんど変わらないのに、胸だけ大きい。チラ見しただけだが、こぶし大はありそうなおっぱいだった。
そんな女の子が、我が家に来る。
我が家に来るだけでなく、三ヶ月間衣食住を共にするのだ。邪な気持ちになるなという方が無理である。
しかしながら、それを家族や本人に気取られるわけにはいかない。
あくまで優しいパパを演じつつ、少しずつジゼルちゃんと打ち解けなくてはならないのである。
「コ、コンニチハ」
空港の到着ゲートに降り立ったジゼルちゃんは、写真や映像で見るのと寸分違わぬ美少女だった。
いや、むしろ現物の方が遥かに美人だと言っていいくらいだった。
ゆるふわのセミロングは眩しいくらいの金髪だし、肌の色も透き通るほどに白い。まだ小学生だから肌がきめ細かいのは当たり前だけど、ここまで透き通るような肌を実現できるのかと圧倒された。
顔のパーツパーツがとんでもなく整っていて、つんとした鼻梁も瑞々しい花唇も、彼女がまるで別の生き物であるかのように錯覚させる。
極め付けは日本人にはまずありえない空色の瞳で、月並みだが本当に宝石のようだなと思った。
背丈はやはり凛花と同じくらいか、少し高い程度。にもかかわらずなんと腰の位置の高いことか。
手前味噌だが凛花もかなりスタイルの良い方だと思う。しかしジゼルちゃんと並べると、人種の違いでここまで違うのかと驚かされる。
“Nice to meet you, Rinka!”
俺や花憐と対面したときは終始緊張した面持ちだったジゼルちゃんだが、やがて凛花の姿を見つけるとパッと表情に花を咲かせた。
実は凛花とジゼルちゃん、テレビ電話のやり取りを通じてかなり仲良くなっており、凛花のたどたどしい英語とジゼルちゃんのカタコトの日本語を通して、かなりの意思疎通ができるようになっていた。
「やっと会えたね、ジゼ」
どちらともなくハグをする小学生二人。凛花も他人に対してそこまで胸襟を開く子ではないが、ジゼルちゃんとは不思議と馬が合うのか、既に愛称を使って話す仲である。
自慢の娘が、海外の女の子とこんなに仲良く……。子供が生まれて涙腺が緩くなった昨今、そんな光景だけで目元が潤んでしまうが、まずはご両親への挨拶が先だ。
“Glad to see you, Mr.Appleyard. Mrs Appleyard.”
“Hi, Taichi. I'm glad to see you, too.”
ジゼルちゃんのご両親であるマイケルさんとアンジェラさん夫妻とも、俺はそこそこ仲良くなっていた。二人とも俺と花憐よりひと回りは歳上だが、とても気さくな白人夫婦である。
夫妻は三日ほど観光で日本に滞在した後、母国アメリカに帰国する予定だ。
もちろんジゼルちゃんは望月家に残り、我が家の娘として暮らすことになる。
そこからが本番。
いかにして、このジゼルちゃんと“お近づき”になれるかである。
とはいえご両親の前で生唾を垂れ流していたら国際問題に発展しかねない。
アップルヤード夫妻は俺らを信用して大事な一人娘を託すのだ。
それは俺らにも言えることで、この夫妻を信用して、三ヶ月後は自分たちが大事な一人娘である凛花を預けるのである。
同類はわかる――という理屈が成り立つがどうかはわからないが、俺の感覚ではマイケルさんはシロである。まず凛花に欲情するようなタイプではない。
まあそんな判定をしている時点で俺個人の心の中は真っ黒なわけだけど、それだけこの“取引”がお互いの信用の上で成り立っているということである。
少なくも夫妻の前でジゼルちゃんの胸をガン見することなどないよう、俺は自分自身に強く言い聞かせる。
夫妻が無事帰国したら、俺はこのジゼルちゃんと、ひとつ屋根の下で生活することになるのだから。
【挿絵】ジゼル 作・柏野ぼん様