娘の交換留学相手(11)がぐうシコ過ぎる件 作:かしわもち@ハーメルン
あの日の混浴以降、ジゼルちゃんと更に仲良くなったという自覚がある。
朝の日本文化講座では欧米人らしいボディタッチが頻出するようになったし、そもそもの隣に座る位置が、以前よりも10センチくらい近くなった。
パジャマの下はノーブラどころかタンクトップすら省略されている日があり、ボタンが一つないし二つ開いたパジャマの胸元から、豊満な谷間がチラチラと覗いていることすらあった。
既に乳首まで全て見られている間柄なのだから、今さら隠す必要もないという気持ちもわかる。文字通り本当に父親として受け入れてくれることはありがたいが、こちとらジゼルちゃんの谷間を見せつけられて、平静を保てるほど聖人君子じゃない。
事実、横で講義をしながら勃っていることは多々あった。
もちろん座ったままなので本人には気付かれていないが、ジゼルちゃんの肘が股間に当たりそうになって肝を冷やしたことは何度かある。さすがに隣で父親が勃起していたら、これまで築いて来た親子関係も完全に崩れるだろう。
「…………おはよう」
だいたい朝の七時半を過ぎると、仏頂面の凛花が二階から降りてくる。低血圧で朝の機嫌が悪いのは毎度のことだが、近頃はとくに機嫌が悪く見えるのは気のせいだろうか。
「オハヨウ! リンカ!」
そんな娘の不機嫌には気付きもせず、ジゼルちゃんが天使の笑みで挨拶する。
ジゼルちゃんの存在は凛花にとっても癒しになっているようで、彼女におはようのハグをされると渋々ながら凛花もちゃんとハグを返している。
娘が一人増えただけで、この華やかさ。
屈託のないジゼルちゃんの性格も影響しているのだろうが、凛花の反抗期前を思い出すようで微笑ましい。
「……何見てんの」
しかしながら、娘の父親に対する視線は冷たい。間にジゼルちゃんがいようがいまいが、反抗期は絶賛継続中のようだ。
「リンカ、キョウ、オマツリ!」
「お祭り?」
いつもより高いテンションで、スカイブルーの瞳を輝かせるジゼルちゃん。それもそのはず。今日は近くの神社で夏祭りが行われる日なのだ。
日本の伝統行事。祭り。
その単語だけで日本マニアのジゼルちゃんが興奮しないわけがなく、カレンダーに記した夏祭りの日を今か今かと待ち望んでいたのだ。
ちなみにこの手の行事、凛花は一切スルーである。小学生の運動会すら休みたいとボヤいている凛花のことだ。強制参加ですらない町の行事は全スルーが当たり前なのだが、今年はジゼルちゃんがいるので参加しないわけにはいかない。ジゼルちゃんは何より、凛花と夏祭りに行くことを楽しみにしているのだから。
「……まあいいけど。さすがに浴衣着るとまでは言い出さないわよね?」
私服で夏祭りに行く程度ならまだセーフ。しかし浴衣着用となれば絶対スルーなのが我が娘だ。本人は予防線を張ったつもりなのかもしれないが、残念ながらその試みは時すでに遅しだ。
「凛花にジゼルちゃん。今日は浴衣の着付けがあるから、寄り道しないで真っ直ぐ帰って来てね!」
「は? 何言ってんの!?」
既に準備万端の花憐が、ウキウキ気分で二人の娘に今日の予定を告げる。夏祭りがあると知った約二週間前から、花憐は二人分の浴衣を準備済みだ。
娘の反抗的な態度も何のその。満面の笑みを崩さない妻の表情に、せっかくだから実の娘も着飾りたいという母親の願望が透けて見えている。
そんな母親に、凛花もできうる限りの抵抗を試みようとしているようだが、
「ユカタ、スゴクタノシミデス」
朝からルンルン気分の天使の笑顔を見て、早くも抵抗を諦めたようだった。
凛花にとってジゼルちゃんは、もはや抗えない存在になっているようだ。ジゼルちゃんの浴衣姿のために、悪いけど犠牲になってくれ、娘よ。
☆ ★ ☆ ★ ☆
「…………何よ」
馬子にも衣装という言葉は、果たしてどう言う意味だっただろうか。
ちゃんと着飾ればどんな人間でも見栄えするという意味なら、今の心境にぴったりである。
しかしうろ覚えの記憶では褒め言葉のニュアンスではなかったような気もするので、その言葉を凛花本人に告げるとは躊躇われた。
まあ要するに、浴衣姿になった凛花は綺麗だったのだ。
青地に金魚の描かれた子供らしい柄だが、過度に大人っぽくなり過ぎず見栄えしている。
そもそも黒髪ロングの女の子というのは和服が似合うものであり、加えて和服用に髪を上げたりしていると、うなじが強調されて程よく艶かしくなったりする。
胸の大きさこそジゼルちゃんには及ばないが、ちゃんと膨らんではいるし、知らないうちに凛花も成長したんだなと思わざるを得ない。ワンポイントで添えられた紅色のかんざしに、花憐の本気度を見た。こんな格好で出歩いてナンパされたらどうするんだと思ったが、凛花はまだ小学五年生なのでさすがに杞憂かもしれない。
「凛花、綺麗になったな」
「う、うるさい」
てっきりセクハラだと蹴られると思ったが、思いの外しおらしい。多分浴衣だと裾が目立つから、思い切りのいい行動が取れないのだろう。いっそのこと毎日浴衣で生活してくれれば可愛らしいのに。そんなこと言ったら今度こそ本当に蹴られるだろう。
「はい、お待たせー」
花憐の声に振り返ると、ドアの前に浴衣姿のジゼルちゃんが立っていた。
白地に紫陽花模様という、凛花のよりも少し大人っぽい浴衣。腰の位置が高いと逆に和服は似合わないものだが、我妻ながらよくここまで着付けたと思う。
凛花と同じようなアップスタイルで髪を纏め、紫陽花と同じ紫のかんざしが添えられている。
普段は溌剌なところもあるジゼルちゃんだが、浴衣のせいかいつもより楚々とした印象が目立つ。和服の天敵である胸の膨らみもちゃんと抑えられており、文字通りの大和撫子が我が家のリビングに立っていた。
「ダディ、ニアウ?」
両手を広げて袖を垂らしながら、ジゼルちゃんが浴衣姿を披露してくる。凛花も十分美少女なので申し訳ないが、ジゼルちゃんの方が役者が上だ。もちろん娘二人に優劣を付けるわけにはいかないから、「二人ともとっても綺麗だよ」という無難な言葉で締めておいた。
「じゃあ、早速お祭りにいきましょうか」
ルンルン気分で二人の娘を先導する花憐。そんな母親に、ジゼルちゃんはふと疑問に思うことがあったようだ。
「マミーハ、ユカタ、キナイ?」
割と真っ当な疑問だと思う。
娘二人はここまで完璧に仕上げたのに、花憐自身は普段着のままだ。ジゼルちゃんとしては女性陣三人、浴衣で揃えたかった気持ちがあるのかもしれない。
「お母さんはHカップの胸がデカすぎて浴衣が似合わないの。察してあげて」
「り、凛花っ!」
顔を真っ赤にして抗議する花憐。決して太っているわけではないのだが、花憐は胸が大き過ぎることをコンプレックスにしているのだ。
逆に凛花は(本人は絶対に口に出しては言わないが)、母親に反して胸が慎ましやかなことを気にしているようである。
お互い無い物ねだりの母娘だと思うが、世の中往々にしてそういうものである。
「ワタシ、Dカップ。ユカタ、ニアワナイ?」
まさかの爆弾発言に、花憐と凛花が絶句する。女性だけの会話ならまだいいが、ここにはれっきとした男である俺がいるのである。
「ジ、ジゼ、パパがいる前で何言ってんのよっ!」
バストサイズを暴露した本人よりも遥かに狼狽えている凛花。混乱のせいか、一年前に「お父さん」に以降したはずの呼称が「パパ」に戻ってしまっている。
しかし、Dカップか。大きいとは思っていたけど、予想のCカップよりも上だった。確かアメリカと日本でブラカップのアルファベット表記は変わらないはずだから、ジゼルちゃんは正真正銘のDカップ小学生なのである。改めて口に出してみると、さすがに凄い。
だが覆水盆に返らず。凛花がどんなに狼狽えようとも、漏洩した機密情報は戻らない。しかも、事態はそれだけに留まらず、
「リンカノBカップハ、ユカタニアウ? ニアワナイ?」
一切の悪気なく、今度はもっと重大な機密情報を漏洩させるジゼルちゃん。父親にまさかのバストサイズをバラされた凛花が、完全に石になってしまっている。てか凛花、そんなに胸あったんだ。てっきりAカップかAAカップだと思ってた。
ちなみにその後、ただ聞いていただけの俺が凛花から酷いDVを受けたのは言うまでもなかった。
なんとも理不尽な話である。
☆ ★ ☆ ★ ☆
“Rinka! Come here!”
「ちょ、ちょっと待ってよジゼ!」
なんだかんだの紆余曲折を経て、ジゼルちゃんを含めた我が望月家は神社の夏祭りを満喫していた。
神社の境内に並べられた露店にジゼルちゃんが瞳を輝かせていたのは言うまでもなし。そんなジゼルちゃんに振り回される凛花も、嫌々ながらも夏祭りを楽しんでいるようである。
「やっぱり、二人に浴衣着せてよかったわ。この会場に来てる中で、間違いなく二人がツートップ」
自らの着付けを自画自賛する花憐。これだけの人混みがいてツートップは親バカが過ぎるが、実際問題、凛花とジゼルちゃんは抜きん出て見目が整っている方だとは思う。
とくにジゼルちゃんに関しては、浴衣姿の純白人少女ということで人目を引くのか、すれ違う人たちの多くが振り返って我が家の金髪天使を二度見していた。
花憐が選んだ浴衣のセンスも、あまり褒めそやすのはどうかと思うが群を抜いて高かった。
「二人ともー、あんまり遠く行くと迷子になるからねー!」
花憐が叫ぶ向こう側で、娘たちはどんどん遠くに行ってしまう。周囲はかなりの人混みで、ともすれば一瞬で彼女たちを見失ってしまうくらいごった返していた。
まあ、仮に迷子になってもうちからすぐ近所の神社だし、そこまで心配する必要はないと思うが、他所様から預かった娘さんを異国の地で迷子にするわけにもいかないので、俺は人混みをかき分けて二人のところに進んでいく。
人波をかき分けてかき分けて、その時点で俺は、二人の姿も花憐の姿も見失っていることに気が付いた。
「おいおい、まさか俺が迷子かよ」
連れを全員を見失い、一人きりの状態に苦笑する。この分だと後で凛花に何を言われるかわからないな。
“Daddy!!”
しかし程なくして、ジゼルちゃんと落ち合うことができた。どうやら彼女も凛花とはぐれてしまったようで、我が望月家は全員がもれなく迷子になったことに気付く。
『またはぐれるといけないから、手繋ごうか』
“O.K.”
さりげなく差し出した手を、とくに躊躇いなく繋がれる。こうして二人手を繋いで境内を歩いていると、ジゼルちゃんもまだまだ小学生でしかないことを思い知らされる。
背も低いし、手のひらだって小さい。それこそ凛花と手を繋いでいるのと似たような感覚になったのだが、
“Daddy...”
不安そうな声に振り向くと、辺りの人混みが先程よりも密度を増していた。アメリカの田舎で育ったジゼルちゃんは、こうした人混みには慣れていないのだろう。俺とはぐれないように、必死に手にしがみ付いている。
『もっとくっついていいよ』
“Thanks, dad.”
正直、他意のない言葉だった。俺は自分の娘がはぐれないように、そばに来るよう促しただけだ。
しかし、
「――っ!」
俺とはぐれぬよう、必死に腕にしがみ付いてくるジゼルちゃん。おそらく本人は気付いていないのだろう。気付く余裕すらないのかもしれない。浴衣越しのジゼルちゃんのおっぱいが、がっつり俺の肘に押し当てられていた。
信じられないほど柔らかい。
それでいて、経産婦の花憐とは比べものにならないほどの弾力がある。
まさかこんな人混みの中で、ジゼルちゃんのおっぱいを押し付けられることになるとは、今朝の段階では思いもしなかった。
意図せずDカップという数値を知ったジゼル・アップルヤードちゃんのバスト。
この膨らみはDカップの名に恥じない、実に立派な感触だった。ボリュームが明らかに他の小学生よりも大きい。
(ジゼルちゃん、もしかしてノーブラなのか?)
浴衣越しでもここまでおっぱいの感触がわかるのは、ノーブラでしかありえない。確かに以前の講義で、和服のときは下着を付けないというルールをさり気なく紹介したことがあるが、まさか本当に実践するとは。そもそも着付けをしたのは花憐なのだから、ジゼルちゃんはそんな花憐の静止すら振り切って、和服=ノーブラの形式を実現したことになる。
まさに、日本文化の鬼。
この会場でおっぱいが膨らんでいるのに下着を付けていない浴衣姿の女性は、おそらく日本人ですら一人もいないというのに。
でもそのおかげで、俺はジゼルちゃんのおっぱいの感触を満喫できている。少女の膨らみかけのDカップが、もはや常に俺の肘に密着している形だ。
彼女の日本文化に対する情熱に感謝しつつ、俺は凛花たちを探すために人混みの中を進んだ。
しかし、
“Daddy, wait!”
突然、腕にしがみ付いていたジゼルちゃんに歩みを止められる。何事かと思い下を見ると、ジゼルちゃんが歩きづらそうに下駄を引き摺っていた。
そう。ジゼルちゃんは下駄履きだったのである。歩きづらいからと凛花はスニーカー履きだったが、ジゼルちゃんは断固として日本人らしい出立ちを選んだ。よく見ると、真っ白な足の親指と人差し指の間が、見事に赤くなってしまっている。
「あちゃちゃ、鼻緒擦れだな」
“Hanao-zure?”
履き慣れない下駄であちこち走り回ったため、ひどい鼻緒擦れになってしまったのだろう。この分だと、人混みの中をかき分けて進むのは無理だ。
『いいよ、パパがおんぶするから。遠慮せずに乗って』
『でも……』
『大丈夫だよ。ジゼルなんてまだまだ軽いから』
往来で戸惑うジゼルちゃんだったが、自らの足で歩くのは無理と判断したのか、素直に俺の背中に乗って来た。
背中に十分体重が乗ったことを確認して、そのまま体を持ち上げる。もちろんこのおんぶという行為には、効率という面を重視した意味もあるけれど、当然ながら幾ばくかの下心も含まれている。
(背中……やば――)
案の定、背中に押しつけられる無抵抗の膨らみ。ジゼルちゃんの二つの膨らみが、ジゼルちゃんの35キロ程度の体重と共に遠慮なく背中に乗せられている。
どう考えても、おっぱいの感触。
しかも肘のようなピンポイントではなく、背中おっぱい全体が押し付けられている。背中に当たる弾力がもはや、異次元だ。
(ノーブラのおっぱい、ヤバすぎだろ)
巨乳なら花憐のそれで慣れている。しかし境内を歩くたびに柔らかそうに揺れるそれは、とても小学生の感触じゃない。
しかもジゼルちゃんの位置は自分が思うように調節できるので、もはや背中でおっぱいを自由に揉んでいるような状態だった。
ちょっとした段差とともに前後に揺れる膨らみ。気のせいかもしれないが、ジゼルちゃんの乳首が当たっているような感触もする。ノーブラで浴衣を着れば擦れて当たり前だが、鼻緒擦れと同時に、中の方でとんでもないものが擦れている可能性すらあった。
“Daddy, more slowly...”
もしかして、乳首が擦れて感じてる?
もはやそんな風にすら捉えられる反応に、俺が年甲斐もなく高揚したのは言うまでもない。間接的にであれ、俺がジゼルちゃんの膨らみかけの乳首にマッサージしていることになるのだから。
このまま、抱っこに切り替えて少女の胸に顔を埋めたい。
そんな衝動にすら襲われるが、さすがにこの往来でそこまで変態めいたことができるわけもなかった。
「あ! ジゼちゃん! あなた!」
程なくして、俺らは花憐と凛花と合流できた。二人ははぐれてからすぐに合流できたらしく、以降ずっと俺たちのことを探していたらしい。
「ジゼに変なことしてないでしょうね? てかその体勢が既にヤバくない? ジゼの両親に連絡するわよ」
「いや、不可抗力だろ」
娘の手厳しい指摘をなんとか振り払い、身の潔白を主張する。俺はジゼルちゃんには指一本触れてない。触れたのは無防備な背中だ。
「鼻緒擦れに気付けなくてごめんなさいね。帰りはタクシー呼ぶから」
「キニ、シナイデ、ママ」
浴衣に合わせて下駄まで用意したことに責任を感じる花憐。対するジゼルちゃんも自分のせいだと思っているのか、心なしか元気がなかった。
「でも……」
「ダイジョブ。ワタシニハパパ、イルカラ」
「え、このままおんぶなのは決定事項なの?」
家までは歩ける距離だと言っても、そんなに近くはないんだけど、他でもないジゼルちゃん本人が望むなら、家までおんぶを続けるのもやぶさかではない。だって家までの約二十分間、背中にジゼルちゃんのバストを感じ放題なのだから。
「なんか、お父さんいやらしい顔してる」
「そ、そんなわけないだろ!」
凛花の冷たい目線に耐えつつも、結局俺たちは歩いて家に帰ることになった。
もちろんその間の二十分間、俺の背中は至福の感触に包まれ続けていたわけだが。