ソフトウエアトーク乗っ取りもの詰め合わせ 作:そのやまよーく
僕は独り、お嬢様学校として名高いAHS女学院、その裏門の木の陰でスマホを見ながら時間を潰していた。
というのも、今日僕の友人が僕をここに呼び出し、びっくりさせてくれるということだったのだが、その内容には見当もつかず教えてもくれず、場違い感を誤魔化すためにソシャゲのデイリーミッションをこなしていた。
どれほどそうしていたのか、不意にかたい靴音が聞こえて僕は面を上げた。
「お待たせ」
涼やかな声。
僕はどきりとした。僕の目の前にいたのは、肩まで伸びたセミロングの髪、透き通るような白い肌に清楚な紺色のブレザーが良く似合う美少女。AHS女学院の生徒会長の彩澄りりせさんだった。彼女は学外でも有名人で、別の高校の僕でさえ知っている。それが、僕に声を?
「って、なんて顔してるのよ、貴方」
りりせがくすくすと笑った。そのしぐさは洗練され、一枚の絵画として部屋に飾りたいほどだった。
「あ、あの」
「別に緊張することないのよ。貴方、呼び出されたんでしょう」
僅かにはねたりりせの髪が風でそよぐ。彼女の使っているシャンプーの香りが僕の鼻腔をくすぐり、ムズかゆくさせた。
「あいつ……彩澄さんにご迷惑をお掛けしませんでした?本当にすみません、後で謝らせておくんで」
「その必要はないぜ」
「……ん?」
「ここにいるからな」
りりせが胸を張り、にこやかに笑った。僕は何が起きているのかよくわからず困惑した。
「よお。シケた面してんな。驚いたか?」
りりせがにやにやと口の端をゆがめながら、僕の肩を叩いた。
「あ、え」
「おまえ、こういうの好きだったろ」
たしかに。確かに僕はそういう妄想や創作をしていたが。他の人間のカラダを乗っ取り、好き勝手に使う。憑依乗っ取りなどと言われるTSの一ジャンル。僕は日ごろからそうした創作ジャンルで活動しており、友人ともそれを通じて知り合ったのだ。だが、これはまるで。
「それとも、こう言ってほしいのか?『私、彩澄りりせはあなたのご友人にカラダを乗っ取られて、好き勝手に操られています』、なんてな」
りりせの笑みが深まり、その美しさに邪悪とさえ言えるほどの影が差した。
「……驚いた。マジで驚いた。心臓が口から飛び出すかと思った」
僕はようやく合点がいき、いや全く合点はいっていないのだが、状況の把握ができて、少しばかり胃痛が和らぐのを感じた。
「俺もこんなこと本当にできると思ってなかったけどよ、マジで売ってたんだわ、憑依薬」
「マジかよ」
りりせがその場でくるりと回る。その靴がターンを刻めば、スカートが緩やかに舞い、カーテシーのように穏やかに落ちた。僕はその光景に見惚れていた。
「この薬、そんなに長く効かないらしいから、やるなら今だぜ」
「え、やるって」
「決まってるだろ。ラ・ブ・ホ行くんだよ」
りりせの繊手が僕の手を取り、彼女自身の胸へと当てた。りりせの胸は決して大きくはないが、ブラウス越しに柔らかな感触とにじみ出る体温、そして、彩澄りりせの高鳴る鼓動が伝わってきた。
「ほら、急げよ」
「わかった」
僕はいそいそと鞄を持ち、大股に歩き出したりりせのあとを追いかけた。といっても、彼女に迷惑がかかっては困るので、少し距離を取りながらだが。
「あ、会長!おつかれさまです」
「ありがとう。貴女もおつかれさま」
その間彼女を観察したが、その立ち振る舞いや言葉遣いは完全に彩澄りりせのそれで、とても中身が僕の友人になっているとは誰も思いもしなかっただろう。先ほどの出来事があった後でさえ、僕にも信じられない。今も彼女の胸に触れたときの感触が手のひらに残っていた。
僕はこの思い出は一生ものになると確信した。これから僕たちは彩澄りりせを汚すのだ。そのことに罪悪感と背徳感を覚えながら、僕の足取りははずんだ。
---
「ついに来ちまったな」
「ああ」
こぎれいなベッドルームを目の前にして、僕の心臓は高鳴りすぎて痛いほどだった。ましてや隣にいるのがあの憧れの彩澄りりせだとあっては。
「じゃ、ちょっくらシャワー浴びてくっか」
「いや、このままがいい」
「マジか、汗かいてるぜ?俺は別にいいけどよ」
「正直、そっちの方が興奮する」
りりせは目を輝かせた僕を見てうへえと呆れた声を出した。
「服は脱がせろよ?精液がかかると、洗うの苦労するんだからな」
「わかった」
りりせがベッドの横のハンガーラックにブレザーを掛けて埃を払う。そのしぐさと友人の乱暴な口調の落差がすでにたまらなかった。りりせの指がネクタイを解き、ブラウスのボタンを一つずつ外していく。彼も見せ方が分かっていて、その合間に軽く身をよじり彩澄りりせの恥じらいを演出した。
「……もう、そんなにじろじろ見ないでよ。恥ずかしいわ」
「今の、マジで最高」
「だろ?先月のバイト代全部使った甲斐があるってもんだぜ」
りりせの手がスカートのファスナーを下ろし、すとんと足元に落とす。それを綺麗にハンガーに通していく。僕の期待が最高潮に達した。
目の前にはりりせさんが下着姿でたたずんでいた。白磁の肌とはこういうことを言うのだろう、シミや汚れを知らないそれが僕の目を焼いた。
「おいおい、お前、全部脱いだらそのまま死ぬんじゃねえか?鼻息荒くて眼鏡曇ってるぜ」
「あ、うん……鼻血出そう」
りりせがけらけらと笑った。
「だから、そのままヤりたい」
「贅沢なやつだな。ま、それくらいならいっか。俺も着衣の方が好きだしな」
のしり、りりせがベッドに足を掛け、シーツにたわみができる。僕はそれに追従し、彼女の身体に腕を回した。ガラス細工を扱うように、細心の注意を込めて。
「へえ、お前、意外にやるじゃん」
「だって、あのりりせさんだぞ?恐れ多いんだよ」
「そのくせにやることはしっかりやるのな、ウケる」
僕はりりせの首筋に、ブラジャーのすぐ上の胸元にキスをした。僕の思う、恋人とのセックスのシミュレーションを全力でぶん回した。
「あはは、くすぐってえ!けど、悪い気はしないな」
「次、顔、キスしてもいい?」
「当然だろ」
僕はりりせの頬にキスをした。ナチュラルメイクのファンデーションの味がした。そして、待ちに待ったりりせの唇。僕はそこに自分の唇を重ねた。
「……ん、む」
そこへ僕の唇を割って彼女の舌がねじ込まれる。僕は一気に頭に血が上るのを感じた。りりせの舌が僕の口内をえぐり、歯茎をしゃぶる。僕は恐る恐るとその舌に自分の舌を絡めた。息も詰まるほどのディープキス。それを僕たちは楽しんだ。
息継ぎの限界に達し、僕たちは一度顔を離した。その遠ざかる唇の間を唾液のブリッジが繋ぎ、そして途切れて落ちる。見つめるりりせの頬がりんごのように赤く紅潮していた。その瞳は潤み、心地よさと期待に満ちていた。
「……キスって、すっげえな」
「本当に、本当にすごかった。僕たち、本当の恋人みたいで」
「うわっ、今の最高に気持ち悪いよお前」
僕たちは悪びれず笑った。
「次は、胸弄ってくれよ」
りりせが背中を見せた。ブラジャーのホックがある。これを外せと言っている。僕は震える指先に苦労しながら、それを外した。りりせの控えめな胸が圧力を脱してわずかに膨らむ。振り返ったりりせの裸の上半身は芸術品のようにきれいだった。ピンク色をした乳首は使い込まれていないことが明白で、まさに紅一点だった。
「触るね」
りりせは頷いた。彼自身、緊張しているのだ。僕の指先が乳房に触れたとき、そのカラダがわずかに震えるのが分かった。僕はその肌に吸い付く感触に夢中になり、こらえきれずに次の瞬間にはそれをわしづかみにしていた。りりせが短く息を詰める。手のひらの中でその乳首が硬くなっていくのを感じる。感じているのだ。僕は調子に乗り、りりせの胸を揉みほぐした。
「あ、う……お前、めっちゃ上手いな。彼女いたことあんのか?」
「いや、これが初めてだけど」
「もっとやってほしいけど、ちょっと急ごうぜ。多分、あと2時間は持たないと思う」
僕は名残惜しくりりせの身体を解放した。りりせがレースに縁どられた上品なショーツを静かに下ろしていく。その手つきはたどたどしく、彼女のカラダの初心さを容易に想像させた。
僕の股間はすでに爆発寸前に膨らんでおり、学生服のズボンに大きなテントを張っていた。
「俺がおろしてやるよ」
ショーツを脱ぎ終わったりりせが僕の股間にかがみこみ、ジッパーを下ろした。すると、トランクスの隙間から怒張した僕のいちもつが勢いよくまろびでた。
「うっほ、すっげ」
「あんまりじろじろ見ないでくれないか、めちゃくちゃ恥ずかしいんだけど」
りりせの荒い鼻息がくすぐったい。どっちが女の子か、分かったもんじゃないな、と僕は思った。
「ん、む」
そこが急に温かいものに包まれた。りりせが髪をかき上げて首筋に流しながら、僕の息子を口に咥えんでいた。舌がカリ首の下の敏感な個所をくすぐり、緩やかなグラインドでそれをなぞりあげていく。僕は股間に血流が集中し、目の前が若干暗くなるのを感じた。出る、と思った時にはすでに精を放ち終えていた。
「ごちそうさま♡」
ちゅぷり、とりりせの口が僕の男根をしゃぶりぬいた。その唇にぷるぷるとした白濁液が載っている。それをりりせの舌が舐めとった。そのエロさがすさまじくて、一発放った後だというのに僕のそこは再び奮い立った。
「お前……」
りりせの喉が動いた。僕のを飲んだんだ。僕の鼓動はすでにドラム演奏もかくやという高鳴りを見せていた。
「へへ、苦かった」
りりせが苦笑いをした。僕は彼女が愛おしくてたまらなくなった。これまでは世界の違う人間として隔意を感じていたのが、急に同じ世界の住人になった気がして、彩澄りりせを人間として愛おしく思った。
「じゃ、そろそろ本番行くか」
「どっちからする?」
「うーん……」
りりせは悩み、そして僕の身体をベッドへと押した。
「やっぱ憑依乗っ取りは女性上位だろ」
「お前、最高だよ」
僕は賛辞を送り、おとなしく押し倒された。見上げるりりせの生まれたままの姿は迫力満点で、実に壮観だった。その股を伝う一筋の雫。それに僕は目を奪われる。りりせもそれに気づいたようで。
「ん、ああ、これな。さっきのでカラダも準備ができたっぽいんだわ。すげえよな、お前のチンポ。りりせさん、処女なんだぜ?」
「こんなこといいたくないんだけどさ」
僕が遠慮がちにしていると、りりせが首をかしげた。
「別にいいだろ、俺とお前の仲だし」
「そうじゃなくて……りりせさん、実は淫乱だったりして」
りりせが考え込むように瞑目した。
「んー、どうだろう。オナニーはそんなにやってないっぽいけどな」
「すごいな、そんなこともわかるのか」
「ちょっと集中する必要あるけど、最近の記憶なら大体な」
りりせが僕のちんぽに手をかけ、僕の上に跨った。
「じゃ、行くぜ?」
「ああ」
りりせが腰を落としたのが見えた。僕の下半身にずしりと重みが来て、そして、性器が生温かな粘膜に包まれる。そして、何かをぶち抜く感触があった。
「……つ、あっ」
りりせの目元に涙がにじむ。その身体が震え、悶えるように身を反らした。
「おい、大丈夫か」
「つーーーー、痛えぇぇぇ」
「やっぱ、処女破るのって痛いのか」
つと僕の腹の上にりりせの血液が流れてくる。僕は心配になったが、押し倒されているうえに彼女に乗られているので、特にできることはなかった。
「めっちゃ痛い。鼻にニンジンねじ込まれたような感じで、すごくジンジンする」
りりせが涙を拭い、すんと鼻を鳴らした。
「でも、めっちゃ嬉しい。お前と身体の相性がいいっぽくて、こいつのカラダが喜んでるのが分かる」
「それはなんだか、嬉しいな」
「まあ、だから、今日はこれで勘弁してくれよ。痛くて楽しむどころじゃないんだ」
「……あ」
「……お前さあ。今、出しただろ」
「ごめん」
そういえば、途中のコンビニでゴムを買ったことをすっかり忘れていた。
「まあ、俺のカラダじゃねえし、安全日だから多分大丈夫だと思うけどさ」
りりせはよいしょっと僕の上から退き、そのまましなを作って囁いた。
「そういうの、良くないと思うわ。女の子のこと、なんだと思っているのかしら」
僕はりりせの蔑みを受けて、股間が再び復活するのを感じた。
「はいはい、時間ねえし今度な。次はお前も金出してくれよ?」
「わかった」
僕の、僕たちの夢のような時間がもうすぐ終わろうとしている。僕はシンデレラではないが二十四時の鐘が鳴ってしまうと犯罪者になってしまうので、いそいそと起き上がり撤退の準備を始めた。その間、りりせの着替えの途中で何度か写真を撮った。これで当分おかずには困らない。
「後で俺にも寄こせよ、それ」
りりせが笑い、僕が笑って頷いた。
「扱いには注意しろよ、りりせさんに迷惑がかかるからな」
この光景だけを切り取れば僕たち二人は恋人同士のように見えただろうな。そうであればよかったのに。だが、まだ機会はある。僕はおとなしく次の機会を待つことにした。