ソフトウエアトーク乗っ取りもの詰め合わせ 作:そのやまよーく
体育館ステージの上の熱気が壇の下まで伝わってくるような喧騒。軽音部のミニライブはそこそこの客入りを得て、成功と言っていい盛り上がりを見せていた。ヴォーカルの子が熱唱し、ドラムが情熱的なテクを披露すると、ギターがそれに流れるような伴奏をつける。今、彼女たちは今まさに青春の真っ只中にいた。
そして、それを観客に混じって携帯のカメラで撮影している生徒がいる。名前を金子憑助(かねこつきすけ)。その携帯のUIの中には、熱中するバンドの女子たちの脚や時折見せるパンチラが映し出されていた。金子の趣味はこういうラッキーなシーンのビデオを撮ることで、休日はコスプレイヤーのカメコをやっていることもある。
(へへっ、六花ちゃんの生足……これで今日のおかずには困らんな)
金子が秘かにせせら笑った。彼にとって彼女たちのライブはどうでもよくて、こういうお宝写真が全てだった。
「……ちょっと、君」
金子は急に肩を叩かれ、びくりとそちらを向いた。そちらには女子生徒がいる。三年生の夏色花梨(なつきかりん)、ツインテールになきぼくろがチャームポイントの、軽音部の部長だ。花梨は金子の携帯を唐突にひったくった。
「ああ"っ?!なにすんだよ、クソ女!」
「何をする、は、こっちのセリフよ。あんたね、あの子たちの脚、撮ってたでしょ」
演奏は続く。だが、観客の間でざわめきが生じていた。その中心は間違いなく金子と花梨だった。
「返せよ!」
金子は花梨に突っかかるものの、衆目の前であることもあり、あまり強くは出られないでいた。
「返すわよ。ちょっと調べさせてもらってから、ね」
花梨は携帯の撮影履歴を数枚確認し、肩をすくめた。
「このことは、先生に言うからね」
ぴしゃりと花梨が言い放ち、金子はたじたじになった。
「僕のだぞ!」
「ちょっと預かるわよ」
金子は追いすがるも、花梨が踵を返していく。それを追いかける勇気は金子にはなかった。
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「クソッ、あのガミガミ女……!」
金子はいらだちに任せて石を蹴り飛ばした。ライブはつつがなく終了し、金子をはじめ生徒は解散したのだが、携帯は花梨にとられたままだし、何より趣味を途中で中断させられた怒りが金子の中でずっと渦巻いていた。それに、先生に言いつける?それは困る。金子は大学の推薦を貰っているのだ。内申に響くのは、とても困る。
「……あ、金子、くん?いたいた」
そんな不機嫌真っ只中の金子を呼び止めたものがいる。
「あ"?」
金子がにらみつける。それは金子のクラスメイトの女子、阿川さつきだった。
「こわーい、そんなに睨まないでよ」
さつきが肩をすくめた。彼女はクラスでは決して目立つ存在ではなく、何処か陰気で、人と関わらないタイプの女子だった。金子は続けた。
「阿川、何の用だよ」
「いい話、聞かせたげようかってさ。ほら、金子くん、いますっごくむしゃくしゃしてるでしょ」
金子は不機嫌を隠さずにそれを無視して歩き出した。
「まあまあ、最後まで聞いてよ。夏色花梨さん、あの子に復讐したくない?」
金子の足がぴたりと止まる。
「なんだよ」
「あ、聞いてくれるんだ」
「ちょっとだけだからな」
「ん。金子くん、憑依って信じる?」
さつきが指を立て、金子が首をかしげた。
「憑依?なんだそりゃ」
「誰か別の人のカラダに乗り移って、そのカラダを奪い取ることなんだけど」
金子が再び歩き始める。さつきがそれに追従し、言葉を続けた。
「オカルトか?僕は興味ないぞ、そういうの」
「今の私、実は憑依されてるんだよね」
「は?」
金子はこの女、電波か?と疑った。さつきは続ける。
「さつきって、実は結構スタイル良いんだ。いつも猫背だから、目立たないけど。あと、うち太ももにほくろがあるんだよね」
さつきはまるで他人事のように言った。金子は足を速めた。
「だからなんだよ」
「今の阿川さつきは、俺が乗っ取ってるってコト」
さつきが表情を笑みの形に歪めた。そこにどこかうすら寒いものを感じ、金子は再び立ち止まった。
「もし、金子くんが良かったらだけどさ、方法教えてあげてもいいよ」
「ばかばかしい」
「そうかな……?」
追い付いたさつきが、金子の手を取り、自分の胸に手を当てさせた。柔らかな女子のふくらみ。金子は初めての柔らかさに困惑した。
「お前」
「普通の女子、こんなことしないよね?俺は見てみたいんだよね、夏色花梨みたいな正義感丸出しのバカ女が、ひどい目に合うところをさ。それに」
金子はごくりとつばを飲んだ。さつきがほくそ笑んだ。
「金子、お前のことはあんまり他人って感じがしないんだよね。常識人ぶったクズ、内側にめちゃくちゃ黒いものをため込んでいて、その発散に困っている」
「言いたいことはそれだけか?」
「ん。あとでSNS送るよ」
さつきはその場でくるりとターンし、金子から離れた。金子はというと戸惑いと手のひらに残った感触とでフリーズしており、彼女を追いかけることはなかった。
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ライブ後の片付けも終わり、静かになった軽音部の部室。そこで夏色花梨は思いあぐねていた。手元にあるのは金子の携帯でその中身を確認したのだが、中身は想像以上だった。想像をはるかに下回るゲス。それが彼女が金子に下した評価だった。
「あんなやつ、さっさと先生につき出さないと」
だが、この内容はあまりに胸糞が悪く、花梨は胃に重さを感じていた。
「少なくとも、あの子たちには伝えられないかな」
後輩の女子たちのことを考える。これを見たら、おそらく気分を害するに違いない。
「この件は、あたしが一人で片付けますか」
パイプ椅子に腰を掛けたまま、花梨は腕をぐっと伸ばした。花梨の豊かな胸元が強調される。
(まさか、あいつの言ってたことが本当だったなんてな)
金子はその光景を見ていた。幽体のカラダ、決して人に見えることのない魂だけの姿で彼はそこにたたずんでいた。当然、花梨は彼に気づくことはない。
(カラダから魂を分離する、確かにここまでは本当だったけど……)
金子はその先を思い出す。さつきが教えてくれたのは、自分の魂を抜き出し、他人のカラダを乗っ取る方法だった。金子は冗談半分でそれを試したのだった。
一歩一歩と花梨へと歩いていく。いや、歩くという感覚はなくて、音もなく近づいていくのだが、イメージが難しいので歩いているつもりになっている。
(クソ女、こうして見ると)
花梨は机に頬杖を突き、ため息をついた。憂いに満ちた横顔。
(めちゃくちゃ美人だな。今から、僕はこいつになるのか)
金子は花梨のすぐ背後に立った。花梨はというとそれに気づいた様子は微塵もない。チャンスだ、と金子は思い、花梨の背へと手を伸ばした。その手が花梨の身体を突き抜ける。
「……ひゃう?!」
花梨は急に背筋に寒気を感じ、縮こまった。風邪か、と思うが、それよりはもっと根源的な嫌悪。それに近いもので。
(へへ、このまま、入ってみるか)
金子は幽体を花梨のカラダに重ねていく。
「ぁ、やあ……」
花梨はようやく異変に気付いたのか、がたりとパイプ椅子から立ち上がる。自らの中に何かが入り込んでくる異物感、悪寒。インフルエンザの時よりもはるかにそれは気持ちが悪く。
「あああ、っ……やだ、なに、これ」
身体が寒くてたまらない。背筋から染みわたる寒気。花梨はそれに襲われていた。立ち上がったものの、がくりと床に膝をつく。
「たす、け……あたしの、なか、入って、こないで」
金子の幽体が花梨のカラダに完全に重なる。花梨は圧倒的な喪失感を得て、目の前が真っ暗になるのを感じた。それが夏色花梨の夏色花梨としての意識の最期だった。
その整った顔が糸の切れた操り人形のように首を垂れた。
「こいつの中、あったけえ」
金子はそれを声に出したつもりはなかった。だが、花梨の唇からそれが割って出た。金子は驚きながらも、理解した。彼の視野は今、花梨のものになっている。ならば、と腕を動かす。動いた。これまで重力から解放されていたのが、ずっしりと体中に重量を感じる。特に胸元は顕著だった。
「ははっ」
金子は、いや、花梨は笑った。
「成功した」
花梨が面を上げ、目にかかった前髪を払うと、花梨の髪のシャンプーの香りが匂いだつ。
「すげー、いい匂いだな」
花梨は立ち上がり、スカートのほこりを払った。机の上を見ると、PCに繋がれて中身を閲覧中の自分の携帯電話がある。危なかった。
「ざまーみろ、クソ女」
花梨はそれをケーブルから引き抜き、手に取った。これで金子の安全は守られた。だが、まだ腹の虫のいら立ちは収まらない。
「……そうだ」
花梨はひらめいた。PCのディスプレイの上にあるWebカメラをこちらに傾け、配信ソフトを立ち上げる。こいつを死ぬほど、死んだ方がいいと思えるほど、徹底的に辱めてやる。
「……あれ、なんで僕はこんなことを知ってるんだ?」
金子は、軽音部の部室のPCのソフトの配置や、起動方法をなぜか自分が知っていることに気づいた。
それどころか、金子は夏色花梨のことなら何でも分かるようになっていた。今日のミニライブでの憤り、金子、クソ野郎、携帯電話の撮影履歴、後輩の女子への心配、etcetc。
「こいつの記憶がみえるのか」
流石に見えたのは最近の記憶のみで、それより前になるとぼんやりと霧がかった感じになったが、まあ十分だろう。好都合だった。花梨は配信ボタンを押した。
うちの学校の軽音部はSNSに配信チャンネルを持っている。そこは結構好評で、学外の視聴者も多い。そこにつながった。
「ハロー、元気してる?」
花梨はカメラに向けてピースをした。
「今日はライブきてくれて、ありがとね」
「だから、今日はご褒美に、あたしのとっておきのところを見せてあげる」
花梨がWebカメラから離れ、全身が見える位置の椅子に移動した。
「じゃーん」
花梨は椅子に腰かけ、脚を組み、パンツが見えるか見えないかギリギリのきわどいポーズをとる。ぴこぴこと配信にコメントが飛んでくる。
「じ、つ、は、あたし……」
しゅるりとリボンを解き、ブラウスのボタンを上から外していく。紺色のシックなブラジャーがあらわになる。
「うっほ、でっか」
「……めちゃくちゃ淫乱クソ女なんだよね♡」
花梨は豊満な胸を寄せて、カメラに向けた。配信へ集まってくるコメントが過熱し、視聴者のどよめきを表すように試聴数が上下する。
金子はそれに気をよくして花梨の脚を開き、スカートをたくし上げた。そこには白い無地のショーツが眩いばかりに見えていた。
「みんな、見てるー?今から、あたし、夏色花梨のいつものオナニーを見せるね♡」
花梨の頬がかっと熱くなる。それは頬だけではなくて、全身にじんわりと興奮という名の熱が伝っていた。試聴数が増加する。
「まず、ショーツの上からマンすじをなぞるんだけど……」
その通りに実演する。花梨は恥ずかしさとともに、下半身に血流が集中するのを感じた。花梨のしなやかな指がショーツの股布の上から、その下に隠された秘密の場所を描きなぞる。
花梨が興奮のあまり、熱い息を吐いた。
「んっ、クリちゃんが勃起してきたかな?そしたら、これをクリクリっと」
花梨にとっては勝手知ったる場所をピンポイントに刺激した。じんわり、ショーツに染みが浮かぶ。金子は一時復讐のことを忘れ、感動した。これが花梨の、女のカラダなのかと。今の時点でさえ空恐ろしくなるほど気持ちが良いのに、まだ先があるのだ。花梨の肩が、クリトリスへの執拗な攻撃により、ぶるりと震える。
「はい、おまんこの準備ができました♡」
花梨の良く張った声が、わずかな震えをおびている。花梨は身体をくねらせながら、ストリップじみた動きでショーツから徐々に足を抜いた。試聴数がかつてない数値を記録していた。
「ふひひ、これが花梨のおまんこだぞ♡」
充血してピンクがかったそこはぷっくりと膨らみ、割れ、その隙間から汁をこぼしていた。金子はその感覚に興奮しきっており、もっと奥を探検したいと望んだ。
花梨が近くの机にあったボールペンを手に取り、それで割れ目をなぞる。そのたびに花梨の脊椎を甘い衝撃が満たした。
「か、ぁはっ……」
これを入れたら一体どうなってしまうのか。金子は全く見当もつかなかったが、ここで引き返すという選択はなかった。花梨がボールペンのキャップの先を侵入させた。中は深く、どこまで続くか分からなかったが、花梨は膣肉をボールペンでかきわけ、えぐった。
「この女、普段からこんなことやってんのか……正義面して、とんだ淫乱女だぜ」
金子は口調を装うのも忘れて喜びに満ちたつぶやきを上げた。
「んんっ、あぅ……いいっ、おまんこ、いいっ♡」
花梨の指がボールペンを巧みに操り、スイートスポットをぐいぐいえぐる。花梨の、金子のカラダの芯に切なさが溜まっていく。ボールペンの軸はすでに花梨の愛液でどろどろに濡れそぼっていた。配信に課金チャットのバブルが乱れ飛ぶ。そして唐突に終わりの始まりが訪れる。累積した快感貯金が天井を打ち、花梨の脳髄をしびれさせた。震えが止まらない。開いた足がばたばたとはねる。
「ぴぎっ♡きた、っ♡きたきたきたぁ♡女の子のっ♡女の子の気持ちいいやつ♡びりびりってぇ♡おまんこキュンキュンして♡指止まんないよぉ♡」
花梨の指先はすでにボールペンどころかそれを握る指さえも膣にねじ込んでおり、ぴちゃぴちゃと足元に愛液の水たまりを作っていた。だが、まだ先がある。そのカラダが急に緊張し、一気に弛緩する。花梨のおまんこが盛大に潮を噴き、不運な書類をびちゃびちゃに濡らした。
「……はーっ♡はーっ♡はーっ♡」
花梨は肩で息をしながら、快感の波でけだるくなっている顔をPCの配信画面へ向けた。不適切なコンテンツの配信によるアカウント停止。どこまで見られたかは知らないが、まあいいだろう。金子にとってはもうそんなことはどうでもよかった。
「女の子のカラダって、こんなに良かったんだ♡」
花梨の目に欲望の陰が再び宿る。
「決めた。お前のカラダは、もう僕のもんだ。この綺麗な顔も、声も、唇も、胸も……おまんこも。ぜんぶ僕のもんだ」
金子はさつきの気持ちが分かったような気がした。こんな快感、一度味わってしまったら、もう忘れられない。
「これからよろしくね、花梨ちゃん♡」
ここから夏色花梨の第二の人生が始まった。