※この作品はR-18です。

鈴木君 その後   作:大仁 裕

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原作を読んで、鈴木君のその後が気になりアフターストーリーを探してみたところ、こちらで面白い作品に出会うことができました。そして、少し違った切り口で鈴木君のその後を描いてみたいと思い投稿しました。

原作はいろいろな捉え方をされていますが、佐藤君のハーレムという設定を除けば、割と学園あるある話だと思えてきたので、その線で鈴木君のその後を追ってみたいと思います。

鈴木君を客観的な視点から捉えるため、また実際の学園生活には同性の友達は欠かせないだろ、ということで男性キャラを追加しています。平凡な日常を描きたいと思っているので派手な展開はないですが、お付き合いいただければ幸いです。


モテる男はいけ好かない

山本は、今週に入ってからとあるクラスメイトの様子が気になっていた。

2年になってから同じクラスになった男子だ。話をしたことはないが、なんかいいヤツっぽい。

だが、彼の周囲にはいつも女子がいて、それがなんとなくいけ好かない。山本にとって、クラスメイトの鈴木はそんな奴だった。

 

クラス替えの後、山本は密かに同じクラスの委員長が気に入っていた。好きというのかどうかは分からないが、なんとなくいいな、と思った。が、特に話をするきっかけがあるわけでもなく、時々チラ見するだけの毎日を過ごしていた。

 

ある日、他の人の仕事を引き受けることになった委員長に鈴木が声をかけ、それ以来鈴木は委員長とも仲がいいようだ。山本も、委員長が時々他のクラスメートの仕事を引き受けるのは知っていたし、手伝おうと声をかけようと思わないでもなかった。でも、委員長はそれで良しと考えている風でもあったし、余計なことをして嫌われたら、と考えると声をかけることに二の足を踏んでいた。結局、何もせずいるうちに、鈴木が委員長に声をかけて仲良くなってしまった。後悔しないでもない、ちょっとモヤッとする。だが、鈴木に下心がなく、単に困っていた委員長を助けた以上のものではないように思える、そう思いたい。

でもやっぱり鈴木のことはいけ好かない。

 

佐藤が他校から転入してきてから、委員長と鈴木、いや鈴木の周りにいた3人と鈴木の様子に変化があった。佐藤が現れるまでは、3人の中心に鈴木がいたが、最近は佐藤を3人が囲んで話をしている。イケメンで転校初日から女子が周りにいる佐藤も、やっぱりいけ好かない。

 

ある月曜日の朝、鈴木がすっかりやつれた表情で登校した。今まで、なんとなくいけ好かない奴程度の関心しかなかったが、これは3人の女子との間に何かがあったのだと直感した。鈴木と委員長の間に何かがあったのならワンちゃんあるかも、という思いもあるが、単純に何があったのか気になる。声をかけてみるか、そんな気にもなる。今度は、声をかけずに後悔はしたくない。とはいえ、今まで話をしたことのないクラスメートだ、どう話を切り出したものか...。

 

 

体育倉庫の一件以来、鈴木はみき達3人とは気まずい雰囲気になっており、自分からは話しかけることなく数日を過ごしている。一方、彼女たちも気まずいのだろう、鈴木には声をかけることもなく、佐藤を囲んで話をしている。

 

鈴木がこの世の絶望をすべて引き受けたかのような顔をして登校した週の水曜日、昼食を一人で取る鈴木に山本が話しかける。

「鈴木、最近元気ないね。」「ハーレムの3人も最近佐藤にべったりだし」

ハーレムという言葉に反応してムッとする鈴木

「ハーレムだって?」「あの3人とはそういうのじゃない!」

「ハーレムとは言い方が悪かった、スマン。だた、今週に入ってから鈴木はそうやって落ち込んでるのが気になってな。最近仲が良かった女子たちとも距離をおいているようだし、何があった?」

「うるさいな。山本には関係ないだろ?」

「そんな言い方をしなくてもいいだろ? まあいいや、じゃ、よくわからんが元気出せよ。女のことぐらいでクヨクヨすんな」

「だからそんなんじゃないって」

失敗だったか? 山本はそう思いながらも、再アプローチのタイミングを考えていた。

 

 

次の日の体育の時間、ちょっとした待ち時間に山本が鈴木に話しかける。相変わらず落ち込んだ様子の鈴木。

「実はさ俺、委員長のことちょっといいと思ってたんだ。」「でもお前と仲良くなって、ちょっと複雑な思いだったんだ」「だから...」

鈴木と委員長が別れたのなら、自分にもチャンスがあるかもしれない、その前に鈴木に委員長への気持ちを聞いておきたい。と、そんな話をする。

「最近急に話しかけてくるようになったのが不思議だったんだ。そんな理由だったのか」

と軽く苦笑しながら答える鈴木。

「でも、委員長のことはもう無理だと思う、委員長はすでに佐藤のモノになってしまっているから。」

「え? あの二人は付き合っているのか?」

「付き合っている...」

付き合っているという表現に違和感を覚えつつ鈴木は続ける。

「あの二人は付き合っている...んだな」「それに、あの二人は、あの二人だけじゃないけど、もう彼奴等は...」

想定していたこととはいえ委員長が佐藤と付き合っていると聞かされてショックを受ける山本。そして、何か含みのある鈴木の言葉が気になった。

「その、『もう』どうなっているんだ?」「知っている範囲でいいから教えてくれないか?」

鈴木は少し考えてから

「わかった。でもここで話すような内容ではないから放課後。そうだな、人のいないところで話すよ。」

「分かった、じゃあ駅前の喫茶店でどうだ?」

「いや、学校の人間に聞かれたくない、川縁がいいか」

石川順と最後に話をした場所を思い出して苦笑しながら鈴木は言った。

 

 

放課後、「例の」川縁にて鈴木は佐藤のハーレムに関する顛末の全てを語った。

「......」

山本は鈴木の話に絶句した。あまりにも想像を超えた話だった。山本が「いいな」と思った委員長はもういない。それどころか、佐藤のハーレムには、少なくとも6人もの女子が参加していることを、山本は受け止めきれずにいた。というより、にわかに信じ難いという思いと、信じたくないという思いの両方があった。だが、今週に入ってからの鈴木の様子から、その受け入れがたい話が、多少の誇張はあるにせよいくらかの事実を含んでいることは間違いないことは納得した。

山本は、どこにも持っていきようのない気持ちをなんとか鎮火しつつ、ようやく「分かった」とだけつぶやいた。

そして、そのまま鈴木を一人残して歩いて去っていった。

 

一方鈴木は、今まで心の中にとどめておいたものを外に出したことで、少しだけ気持ちが楽になるのを感じた。問題は何も解決していない、だが人に話せば気持ちが楽になる、というのは案外本当なんだ、そう思うくらいの余裕が生まれた。

そして、なぜこんな事になってしまったのか? そもそも自分自身、どうなることを望んでいるんだろう? これからどうすればよいのだろう? どうしたいんだろう?そんなことを考え始めていた。

 

 

 

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