※この作品はR-18です。

ようこそ男女混浴特別試験へ   作:いろはす@

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第1話:夢の始まり

4月。オレたちは無事、2年生に進級した。不良品揃いのDクラスではあるが、いまだにひとりの退学者も出していない。幾つかの勝利を経て、徐々にみんなも団結し始めている。これならAクラスを目指す堀北の野望も、案外早く実現するのかもな・・・(他人事)

 

 

しかし油断は禁物だ。月城理事長代理やホワイトルームからの刺客に加え、あの南雲雅が生徒会長に就任したのだから。新しい実力至上主義を掲げる彼は、どんな手を打って来るのだろうか・・・

 

 

そして新年度早々、オレたちはその洗礼を受けることになったのである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おはよう諸君。急な話だが、今年度最初の特別試験を行うことになった。名付けて『男女混浴しりとり合戦』だ」

 

 

え???

 

 

茶柱先生の言葉に、耳を疑う。さすがにいまのは空耳だよな?

 

 

「試験内容は至って単純。事前の準備も一切必要ない。ランダムに選ばれた男女が同じお風呂に入り、しりとりで対決するだけだ。勝ち抜き戦で順位を決め、それに応じてクラスポイントとプライベートポイントが付与される。どうだ、簡単だろう?」

 

 

「ウソでしょ・・・」(驚愕♀)

 

 

「ウソだろ・・・」(歓喜♂)

 

 

唖然とするクラスメートたち。男子にとっては夢のような、女子にとっては悪夢のようなイベントだ。しかしこれって、わざわざ風呂に入る意味はあるのか??

 

 

だが、異性とふたりきりでの入浴。思春期の少年少女たちにとっては、まさに煩悩と戦う試練の場だな・・・現に、早くも山内や池は前屈みで机に突っ伏しているし。て言うか、もし間違いが起きたらどうするんだ?

 

 

「安心しろ。風呂場は湯気で満たしてあるから、何も見えんさ。尤も、勝負が長引けば、それも保証の限りではないがな」

 

 

つまり、丸見え(放送事故)もあり得る、と。

 

 

「念のため、ルールを説明しておく。まず、対戦中は常に相手の正面に居ること。背中合わせになるような行為は禁止だ」

 

 

どうやら学校側は是が非でも、間違いを起こしたいらしい。

 

 

「また、この試験を欠席した者は、所持するプライベートポイントを全額没収され、来月のポイント支給額もゼロとなる」

 

 

次々と埋められてゆく外堀。ホワイトルーム以上の理不尽さだな・・・

 

 

「そして、風呂の中で公序良俗に反する行為に及んだ場合は、即刻退学処分だ。もちろん、それでも大人の階段を上りたいと言うのなら、無理には止めん」

 

 

これは、下手をするとクラスが半壊しかねないぞ・・・

 

 

「せ、先生・・・その、お風呂と言っても水着の着用は許されるんですよね?」

 

 

みんなの気持ちを代弁して、平田が口を開いた。しかし。

 

 

「お前は実に愚かだな」

 

 

見事な返しの茶柱佐枝29歳独身。あと、久し振りに聞くな、それ。

 

 

「水着で風呂に入る馬鹿が何処に居る?持ち込めるのはミニタオル1枚だけだ」

 

 

「「「えええええぇっ?!!」」」

 

 

時を同じくして、他クラスからも阿鼻叫喚が漏れ聞こえてくる。ここは高度育成高等学校。日本政府が設立した、未来の我が国を担う人材を育てる超エリート進学校・・・だったよな?(再確認)

 

 

「たうわっ?!」

 

 

直後、コンパスの連続攻撃にクリティカルヒットされ、思わずオレは仰け反った。見れば、真っ赤になった堀北が、馬鹿でかいコンパスを手にしている。なぜだ?

 

 

「どうした綾小路。我慢出来ずに、もう暴発か?」

 

 

「清隆・・・いくらなんでも早すぎるぜ」

 

 

「きよぽん、キモい・・・」

 

 

待て待て待て!みんな、何か勘違いしていないか。オレはただ、堀北にコンパスで・・・

 

 

「最低ね。どうせまた、淫らな想像をしていて果(・)て(・)た(・)のでしょう?」

 

 

お前のせいだろ?!てか、彼女がこんな軽口を叩けるようになるとはな・・・入学当初を思えば、目覚ましい成長振りだ。しかし、どうも予想とは違う方向へ伸びているような気もする・・・育成法を間違えたのか?

 

 

「ふーん。堀北さんって、そ(・)う(・)い(・)う(・)の(・)OKだったんだ。なんか意外だな~♪それとも、相手が綾小路君だからかな?」

 

 

「なっ?!はぅぅ・・・」プシュー

 

 

櫛田の爆撃(ツッコミ)を受けて轟沈する堀北。やはり、まだまだか・・・

 

 

「そ、それよりも先生!水着をポイントで購入出来ないんですか?!」

 

 

なおも平田が食い下がる。正常な感覚の持ち主なら、当然の反応だ。

 

 

「いや、出来るぞ」

 

 

じゃあ最初に言ってくれ・・・心の中でツッコむオレと、平田の顔に灯る僅かな希望の光。

 

 

「えっと・・・まさか、それって全員分ありますよね?」

 

 

この学校に居る以上、穿った見方をしてしまうのは仕方あるまい。

 

 

「ああ、もちろんだ」

 

 

「なら買います!」

 

 

「わ、私も!」

 

 

「俺も買う!!」

 

 

「ふはははは!実に醜いねえ。私は見られて恥ずかしいところなど無いから、水着など不要さ。いくらでも視姦してくれたまえ」

 

 

垂らされた蜘蛛の糸に縋る、健全な青少年たち。若干1名、露出狂が混じっているみたいだが。

 

 

「ほぅ・・・だが、本当にいいのか?」

 

 

対して、僅かに口角を上げる茶柱先生。彼女があの顔をする時は、ろくなことが起こらない。(学習済み)

 

 

「あ、当たり前じゃん!だいたい、は、裸で男子とお風呂とか有り得ないし!」

 

 

ちらりとこっちを見ながら叫ぶ、軽井沢恵(初めての手駒)。オレだって、裸で女子とお風呂とか有り得ないし!(半キャラ崩壊)

 

 

「わかった。では、学校指定のスクール水着がひとつ1000万ポイントで購入可能なんだが、何人分用意すればいい?」

 

 

「・・・」

 

 

「転売屋かよ・・・」ボソッ

 

 

呻くような誰かの呟き。転売屋とは、何のことだろうか?少なくとも、ホワイトルームでは習わなかった単語だ・・・そして全裸入浴が決定的となり、沈黙するクラスメートたち。今回は、自分が勝つ姿が全く想像出来ない。

 

 

「質問があります」

 

 

すると、静まり返る実力至上主義の教室に、凛とした声が響いた。

 

 

「なんだ。言ってみろ、堀北」

 

 

真っ直ぐ茶柱先生を見詰める堀北鈴音。立ち直りが早すぎる。あと、あのでっかいコンパスはどこにしまったんだ?

 

 

「今回の試験は簡単だと先生は仰いました。ならば公序良俗にさえ反しなければ、退学者は出ないと解釈して宜しいのでしょうか?」

 

 

ほぅ・・・さすがだな・・・全裸トピックばかりに目が行くが、おそらくはあの南雲が考案した特別試験だ。単なる乱痴気騒ぎだけの筈がない。

 

 

「いい質問だ。結論から言うと、下位20名は退学処分となる」

 

 

「!!」

 

 

一瞬で教室の空気が変わる。確実に退学者を出すための試験。きっと南雲にとっては、実力の無い者たちをふるい落とす手段でしかないのだろう。

 

 

「ただし、救済方法はあるぞ」

 

 

「そ、それは?!」

 

 

「慌てるな、平田。優勝者のみに与えられるマルチプロテクトポイントを使えば、退学処分者全員を救うことが出来る。だだし付け加えておくと、このマルチプロテクトポイントは、2000万プライベートポイントに交換可能だ」

 

 

要するに、この公序良俗に反する変態試験で優勝すれば、他クラスへの切符を手にすることが出来る訳だ。そして、その権利を捨ててまで、退学処分を受けた者たちを救うのか否か。全ては優勝者の一存にかかっている・・・なるほど。いかにもヤツの考えそうな舞台装置だな。

 

 

「・・・説明は以上となる。試験は本日午後、ケヤキモールの温泉施設を貸し切って行う。なお、この特別試験は過去にも行われたことがあるから、内容に関して余計な心配は無用だ」

 

 

全裸の高校生男女を、ひとつのお風呂に放り込む。どこをどう拡大解釈したら、心配無用という結論になるのだろう?

 

 

「先生。前回この試験を行った時は、どんなことが起こったんですか?」

 

 

少しでも情報を集めようと、茶柱の言葉尻を捉えて切り込む平田。さすがだ。

 

 

「ふむ・・・確か、男子の人数が半分に減ったクラスがいくつも出たな」

 

 

「キモ・・・」

 

 

「馬鹿だわ・・・」

 

 

「山内君と池君がいる時点で、もうダメだよ・・・」

 

 

Dクラスに漂う諦めムード。そろそろ、エンディングテーマ『人芝居』が流れ始める頃か・・・

 

 

「では諸君男女混浴しりとり合戦』を始めようか」

 

 

ドヤ顔で告げる茶柱。これほど締まりのない決めゼリフだと、逆にリラックスして臨めそうだ・・・(錯乱)そしてここに、激戦の火蓋が切られたのである。




次回予告:湯煙の中、一糸まとわぬ戦いが始まる・・・生き残るのは、誰だ?
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