南雲新会長の計略によって、オレたちはお風呂でしりとりをすることになった。(理解不能)
◎ CASEその1『裸の王様』
「ククク・・・つるぺたってのも悪くねえな。しりとりなんざほっといて、楽しもうぜ?」
「ふふふ・・・頭脳戦では勝ち目が無いと、自らお認めになるのですか?何とも情けない王様ですね」
「てめえ・・・あんまり調子に乗ってると、俺のドラゴンキャノンが火を噴くぜ?」
次の瞬間、なぜか強制排気ファンが作動し、ふたりの視界を遮る湯気が消えた。もちろん、学校側の仕業である。
「ぷぷっ・・・!はて?ドラゴンキャノンとは、まさかその豆鉄砲のことですか?」
「ぐはぁ?!」ボッキン!(心とキャノンが折れた音)
龍園翔、不戦敗。
◎ CASEその2『隠れヲタク』
「では宜しく頼む。こんな状況だが、紳士としての常識は弁えているつもりだ」
「こここ、こちらこそ、よ、よ、宜しくお願いします・・・あ、め、眼鏡が曇って何も見えないよぉ・・・」ジタバタ o(><;)(;><)o
「落ち着いてくれ。眼鏡を外せばいいだろう?」
「そそ、そうでしたね・・・すみません。では、失礼します・・・」スチャ
「なっ?!お、お前は・・・し、雫たん?!♥️」キューン(失神)
「ひぃぃぃぃ!ご、ごめんなさい・・・あ、あれ?」
葛城康平、不戦敗。
◎ CASEその3『放送コード』
「な、なんか恥ずかしいにゃ・・・あ、宜しくお願いします!」
「よ、よ、宜しくお願いするでござる・・・」
「にゃにゃ?ござる??まぁ、いっか・・・私が先攻だね。じゃあ、しりとり!」
「り、りんごでござる・・・」
「えっと・・・りんご、でいいんだよね?じゃあ、ゴマ!」
「ま?!ま、ま、まんk・・・」
「はいストぉーーーップ!!」
外村秀雄、反則負け。
学年全員が激戦を繰り広げる中、遂にオレも初戦を迎えようとしていた。他のお風呂ブースからは、女子の悲鳴や矯声が聞こえてくる。この学校はもうダメかも知れない。時折混じる野太い悲鳴は、龍園や葛城の声にも思えたが、まあ聞き違いだろう。
「次、2年Dクラス、綾小路清隆君」
名前を呼ばれ、更衣室に向かう。全てを脱ぎ捨てると、オレは戦場となるバスルームへ足を踏み入れた。事前の情報通り、室内は湯気が充満している。対戦相手の女子は、反対側の入り口からやって来るらしい。やがて、躊躇いがちに姿を現したのは・・・
「げっ!あ、綾小路・・・」
「お前か・・・」
オレの顔を認めて、棒立ちになる少女。そしてこのタイミングでなぜだか急に、立ち込める湯煙が薄まり始めた。(またも学校側の仕業)ゆえに彼女のスレンダーな身体のラインは、ほぼほぼ丸見えだ。もちろん、そのほかも色々と。一般的な男子高校生なら、全てを失ってでも突撃するシチュエーションだろう。(ダメ!絶対!)
だが、生憎オレに羞恥心や性的好奇心などという感情はない。目の前に、一糸まとわぬ無愛想な少女が居るだけだ。ならば、すべきことはただひとつ。
「じゃあ、早速始めるか」
念のため言っておくが、他意は全く無い。
「き、気安く話しかけるな!この変態!」
「全裸の時点でお互い様だと思うが?」
「う、うるさい!何なのよ・・・ふざけた試験をやる学校も・・・あたしのこんな姿を見といて無表情なあんたも!!」
叫ぶが早いか、彼女はハイキックを放ってきた。湯気が無ければ、すでに放送事故だ。しかし、ここは狭くて足元も定まらない風呂場の中。何も起こらないはずもなく・・・
「きゃ?!」
「あっぶな・・・!」
足を滑らせバランスを崩した華奢なその身体を、オレは咄嗟に抱き止めた。そう、彼女の背中と腰に手をまわし、ぎゅっと抱き寄せたのだ。(ギルティ)
「ひゃん♥️」ビクビクッ!(失神)
なぜか一瞬でぐったりしてしまった少女を、そっと床に横たえる。この状況、なんか既視感があるな。因みにいま、オレたちはお互い全裸、つまり裸である。重要なことだから、敢えて2回言ったぞ?
伊吹澪、不戦敗。
「で、何してるんですか?」
伊吹の身体を寝かせたオレは、防水カーテンの向こうへ呼び掛けた。
「てへっ・・・見つかっちゃった 綾小路君のエッチ!」
悪びれた様子もなく出てきた彼女は、オレの方へと這い寄り、
「にゃにって、きみのふぁいたるひぇっくだよ?らってふぁたしは、ふぉけんしつのひぇんひぇいなんらから!」
(何って、君のバイタルチェックだよ?だって私は、保健室の先生なんだから!)
そこまで言うと、彼女は咥えていたアイスキャンディーを口から抜いた。あぁ、見ての通りの状況だが、何か問題でも?(ノットギルティ)
「お風呂場に潜む・・・ケホケホ!隠れるのって暑いんだもん!だから冷たい物が欲しかっただけだよ」
「それで、暑いとスマホが動画モードになるんですか?」
「ぎくぅ?!」
激しく動揺する星之宮先生(全裸)からスマートフォンを取り上げ、素早く動画データを消去する。このひとは、明日のYahoo!ニュースにでも載りたいのだろうか?
「あーん!お姉さんの楽しみを奪ったなぁ?!許さないぞ?ぷんぷん!o(*`ω´*)o」
「紛らわしい行為はやめて下さい。危うく、貴女の教師生活が終わりになるところでしたよ?」
「むぅ~!もっと狼狽えてよぉ」プクー
マジでこの学校はもう、ダメかも知れない・・・
「は、離して!綾小路君の初めては私が・・・!」
意味不明な言葉を叫びながら、警備員に引き摺られていく星之宮。それを見送り、オレは風呂場に戻った。すでに伊吹の姿もない。しかし、あれだけ鍛練を重ねている彼女が、まさかよろめいただけで失神してしまうとは・・・オレの抱き止め方が悪かったのだろうか?(その通り)
「
急を聞いて駆け付けた茶柱先生が、あっさり頭を下げる。これは、何かあるな。
「いえ。それで彼女は懲戒免職ですか?」
「コホン!それについて相談なんだが、お前は今日、星之宮とは会っていないし見てもいないよな?その代わり、定価1000万ポイントのスクール水着を無料でどうだ?」
つまり、口止め料に海パンひとつ・・・どうやらオレには、拒否権も選択肢も無いらしい。
「分かりました。オレは今日、星之宮先生に全裸を盗撮されたり、咥えられそうになったりなんてしていませんよ」
「貴様・・・」
にわかに危険な空気を纏う担任教師。なるほど、それがあんたの本気か。だが甘いな。その程度の殺気、オレには効かな・・・
「単刀直入に聞くぞ。年上は好きか?」
「たうわっ?!」
「は、離せ!綾小路の初めては私が・・・!」
意味不明な言葉を叫びながら、警備員に引き摺られていく茶柱。それを見送ると、オレは再び
・・・そしていま、オレは変わらず全裸でしりとり合戦を続けている。え?口止め代わりの水着?
ああ、確かにそれは貰った。ただし女子用のワンピース型をな。(爆)あれを着て人前に出るくらいなら、むしろ潔く裸を選ぶさ。は?オレが女体化すればいいんじゃないか、だって?無表情な茶髪の美少女・・・そんなストーリー、いったい誰が読むんだ・・・?(需要急拡大中)
「では、これより決勝戦を行います」
「はっ?!」
進行を担当する上級生の言葉で、オレは我に返った。何か悪い夢を見ていた気がする。(気のせい)いつしか周囲のブースは静まり返り、人影もない。どうやらなんとか、勝ち残ったらしいな・・・
風呂場に入り、決戦に備える。今回はオレが先攻だから、さっさと決めてしまおう。相手が誰であろうと、最後にオレが勝っていれば、それでいい。
程なくして、湯気の向こうから現れたのは・・・
「一之瀬・・・」
「綾小路君・・・」
優しすぎる彼女が、どうやって勝ち上がってきたのだろう?その戦い振りは知る由もないが、彼女が優勝を狙う動機はおそらく・・・
「うん、私はマルチプロテクトポイントが欲しいの。こんな試験で誰かが退学させられるなんて、絶対おかしいよ・・・」
湯煙に霞む一之瀬が、涙を浮かべて言い募る。
やはりな・・・自ら優勝してマルチプロテクトポイントを獲得し、退学処分者を全員救済するつもりだったのだろう。いかにも善人の一之瀬らしい発想だ。
「甘い、と思う?」
ああ、そのやり方じゃ、早晩お前は行き詰まる。そう答えるのは簡単だ。しかし、なぜかオレは返事を躊躇った。自分でも理由はよく分からない。
「あれ?う、ウソでしょ・・・」
と、不意に彼女が狼狽えた。またしても、湯気が薄くなり始めている。このままじゃ、再びの丸見え劇場待ったなしだ。
「ど、どうしよう!これじゃ、その・・・み、見えちゃうよ?!」
そう言われても、オレにはどうすることも出来ない。その間にも、少女の身体はどんどん露になってゆく・・・
「なっ?!」
気付けばオレは、真っ正面から一之瀬に抱き締められていた。ば、馬鹿な・・・こんなにあっさり、他人の接近を許してしまうとは・・・いい加減、オレも焼きが回ったか・・・
これでもし彼女がホワイトルームの刺客だったなら、確実に犯られて・・・ケホケホ!殺られていた・・・
「い、一之瀬?」
「動かないで!こ、こうすればお互い、色々見られなくて済むかな、なんて・・・」
なるほど、考えたな。でも、まさか男子相手に毎試合これをやってきたのか・・・?
「ま、まさか?!そんな訳ないじゃない・・・君だけだよ。ボソッ あ、綾小路君のバカぁ!!!」
叫ぶと同時に、更に密着してくる一之瀬。もう、ほとんど合体寸前だ。(BPO案件)汗に濡れた白い柔肌と、湿り気を帯びたストロベリーブロンドの髪。そして直接伝わる鼓動に、胸をくすぐる熱い吐息。そして彼女から立ち上る、噎せるような甘い香り。それらを全身で感じながら、しかしオレは戸惑っていた。体の奥底から込み上げて来る、初めての衝動に。
感情なんてもの、自分には分かりっこないと決めつけていた。ずっと、他人なんてただの駒だと思っていた。勝つことだけが全てだと信じていた。だが、いまオレは確かに彼女のことを想っている。オレの内面が、一之瀬帆波という存在で満たされてゆく。そうか、これが、これこそが・・・
性欲というものなのか。(台無し)
「いいよ・・・」
「え?」
微かな囁きに、思わず聞き返す。
「綾小路君となら、私・・・」
「なっ?!そ、そんなことをしたら、ふたり揃って退学処分だぞ?」(猿芝居)
「ううん、大丈夫だよ。バレさえしなければね」
そのやり取りで、ようやく気付く。そう言えば、学校側はどうやって、公序良俗に反する行為の有無を確認しているんだ?
「そう。だからこのお風呂場だけ、監視カメラをダミーに付け替えておいたの」
見事な対策法だ。最初に考え付いたのはいったい誰なんだろう?(棒読み)ようこそ監視カメラ付きのお風呂場へ。この学校は色々ともうダメだ・・・
「・・・ちなみに黒幕は?」
もう、答えは出ているようなものだが。
「うん、星之宮先生だよ」
チエ、貴様・・・(サエちゃんの口まね)
「じゃあ始めよっか、私たちのしりとりを。先攻は綾小路君だよ?」
気を取り直して明るく言った一之瀬は、右手を素早くオレの身体へと走らせた・・・
「ひゃん♥️」
「ん。私の勝ちだね」
想定外の攻撃に、思わず声が漏れる。しかも『ん』で終わる声が・・・その日、オレは遂に初めての敗北を知ったのである。
そして、初めて味わう虚脱感に身を任せながら、ぼんやりとオレは考えていた。果たしてこのエピソードは放送出来るのだろうか、と。
次回最終話:これが本当のR-18版です。閲覧注意・・・