【R-18】レッドキャップ 【後日談】 作:WhatSoon
「……何してるの?ピーター」
今日もピーターの部屋、ベッドの中、布団の下……二人、就寝する直前だった。
付き合い始めてから、性交渉とは関係なく一緒に寝る事が日常となっていた。
少なくとも、私が二日連続で休みの時はピーターの家に寝泊まりしに来ていた。
だから、日常なのだ。
それなのに……。
「ピーター?」
「え?いや、何でもない……よ?」
私に背を向けて、顔も合わそうとしない。
……何だが、寂しい気持ちだ。
手を伸ばして、ピーターの身体に触れる。
「ちょ、ちょっと、ミシェル……?」
グッと抱き締めて、密着する。
どうしてこうも、今日は距離を取ろうとするのか……分からない。
だから、私はピーターに対して己の好意をぶつけて──
「あ」
手が、硬い物に触れた。
「……ピ、ピーター?」
ピーターは、その、勃起しており、硬くなった男性器が……生地の薄い寝巻きを押し上げたていた。
「ご、ごめん、ミシェル……」
「う、ううん……?」
申し訳なさそうにするピーターに、首を振る。
……そうか。
これを私に悟られたくなくて、ピーターは私に向き合えなかったのだろう。
しかし、私とピーターは『性交渉は月に一度』という決まりを決めている。
ピーターは凄く気持ちいいかも知れないが、私は……いや、私も気持ちいいけれど、凄く疲れるのだ。
あんな事ばかりしていると、盛った猿みたいになってしまうと、強く自制しているのだ。
そう、ピーターと私は二週間前に致したばかりだ。
次に『する』のは来月だと、そう決めている。
なのに……ピーターは、今、勃起してしまっている。
出来ないのに、こんな状態なのだと……自分は我慢出来ないのだと思われるみたいで、嫌なのだろう。
しかし、それは生理現象だ。
……いやーな話だが、私は成人男性一人分の記憶がある。
だから理解している。
ピーターは悪くないのだ。
生物として当然の現象なのだから。
……それに。
ぐにぐに、と私は今、ピーターに体を押し当てていた。
……ピーターは私の事が好きだ。
性的にも、かなり好み、なのだろう。
そんな私が密着している状況は……今のピーターにとっては毒なのだろう。
「……その、えっと……」
言い訳を考えている情けないピーターの声に……私は嗜虐心を煽られる。
だって、ピーターは可愛いのだから。
背後から、さらに密着して……ピーターの耳元に口を持っていく。
「ピーターのエッチ」
「う、あ……」
そう囁くと、ピーターは凄く、情けない声を出した。
……普段、ベッドの上だと私の事をメチャクチャにする癖に、こういう所は気弱なのだ。
今はきっと『嫌われたくない』と怯えているのだろう。
……私がピーターを嫌いになる訳がないのに。
手を、服の下に入れる。
ピーターの筋肉質な肌を撫でて、楽しむ。
「あ、ちょ、あっ、ミシェ、ル……やめっ……」
私の事を止めようとしながらも、悶えている。
それは逆効果だ。
私は疼かせている。
手を止めて、また強く抱きしめる。
「ピーター」
「……う、うん?」
困惑するような声。
そして、少し期待するような声色。
「次の、エッチは……二週間後、だから」
「……そうだね」
一気に落胆するような声色。
隠しているつもりなのだろうけど、バレバレだ。
ピーター、前まではそんな事なかったのに、随分と性欲に忠実になってしまった。
誰の所為だろう。
……私か。
「……ピーター」
「……うん」
本番をするのは、ちょっと……約束を破るみたいだから、ダメだ。
だから──
「手と口でなら……その、気持ちよく、してあげよっか?」
ピクリ、とピーターの身体が動いた。
「い、いいの?」
「うん」
抱き締めているから分かる。
ピーターの鼓動音が大きくなっているのも……男性器が大きく、固くなっているのも。
私は手を解き、掛け布団を押し退けた。
折り畳んで……ベッドの側に掛ける。
「ミ、ミシェル……」
ピーターはと言うと、行儀良く座って、私の方を向いていた。
……ちょっと笑える。
「……しないの?」
「す、するよ……」
そう聞くと、ピーターは慌てて服を脱いだ。
……何だか、やっぱり可愛い。
ピーターがパンツを脱いだ瞬間……暴力的なほど、脈打つ……ペニスが顕になった。
……手や口でするだけなら、私は脱ぐ必要はない。
けど……私も寝巻きを脱ぎ捨てる。
サービス、という奴だ。
ショーツは履いたままだけど、上は……全て脱いだ。
ピーターの視線が、私も乳房に落ちる。
私の顔に視線を戻す。
また、落ちる。
……隠してるつもりなのだろうか。
頬を緩めて、ベッドから降りる。
ピーターは視線を私に向けて……足を、ベッドから下ろした。
腰掛けている状態だ。
そうすると、余計に……男性器が強調された。
そして、ピーターが何かに気付いたように口を開いた。
「あ、
「いいよ、手と口、だけだから」
私は手を伸ばして、ピーターも男性器に触れた。
「う、ぁっ」
ピーターが情けない声を出すと同時に、ピクリ、と動いた。
……普段はゴム付きで触れているから、直接触れるのは初めてだ。
……ふぅん、こんな感じなんだ。
「あっ、う」
撫でる。
握る。
擦る。
「ちょ、ちょっと待って、ミシェ、う」
優しく触れて、そのまま握った。
そして、ゆっくりと上下に手を動かす。
「あ、ぅ」
ピーターの手が私を止めようとして……それでも止めたくないのか、宙で彷徨っている。
私が強く握ったり、男性器の先頭部分に触れると……一際強く、反応する。
……これ、凄く可愛いかも。
癖になりそうだ。
「ピーター、気持ちいい?」
「う、んっ。うん、凄く……い、いいよ」
「良かった」
開いているもう片方の手で、睾丸に触れる。
「うぁっ、そ、それ、まずいかも」
「……気持ちよくない?」
手で優しく、睾丸の感触を確かめる。
ころころと、痛くならないように繊細に触れる。
「ち、ちがっ、気持ちいい……けど」
「なら、良かった」
左手で睾丸を弄りながら、右手で男性器を擦る。
ピーターが汗をかき始めている。
手の感触が、少しぬるりとした気がした。
つまり……ピーターは今、我慢しているという事だ。
……ぞくぞくと、私の中にある嗜虐心が煽られた。
少し早めに、彼の男性器を上下に擦った。
「ちょっ、ミシェ──
「いいよ、
そして先頭を弄った瞬間──
「うっ、う……くぅ……」
精液が飛び出した。
私の手に掛かり、飛び散らないように手で抑える。
……うわ、凄い量だ。
白濁とした液体が手の中で溢れる。
指と指の間に入って……糸を引く。
少し、ぷるぷるとしている。
……鼻を近付け──
「……う、くさい」
私がそう言うと、ピーターが苦笑した。
「ごめん?」
「ううん、別に……」
そして私は口を開けて──
「え?」
舐めた。
「うわっ、ミシェル、何して──
「……まずい」
とんでもなく生臭い。
こんなもの飲めた物じゃない。
んべっ、と手の中に吐き出すと……ピーターは変な顔をした。
「……どうかした?」
「い、いや……その仕草、凄く……エッ、いや、良いなぁって」
「……そう?」
私は枕元にあるウェットティッシュを手に取って、手を拭う。
……手を嗅ぐと、まだ精液の臭いがした。
ピーターに視線を向ける。
「……気持ち良かった?」
「う、うん。凄く良かった」
恥ずかしそうに笑うピーターからは、世辞や嘘は見当たらなかった。
……本気で、気持ち良かったのだろう。
それは良かった。
しかし、一つ気になる事があった。
「自分で『する』よりも?」
「……うん」
随分と溜めたな。
アレだろうか、自慰行為をしているという事を、私に知られたくなかったとか?
少し、恥ずかしいのだろうか。
「ピーター?」
「な、何かな?」
「私もしてるから、大丈夫」
ピーターが目を瞬いた。
「え?何を?」
「
私の言葉を聞いて、ピーターは顔を見る見るうちに赤くした。
きっと、私の自慰行為を想像しているのだろう。
「……そ、そっか」
照れ臭そうに、頷くピーター。
また嗜虐心を煽られてしまう。
「私はピーターの事を想って……してるけど。ピーターは?」
凄く意地悪な質問だ。
顔を赤くしていたピーターが、顔を青くした。
「い、いや、それは……」
「ふぅん」
意図的に軽蔑する目を向けると、ピーターが慌て出した。
「い、いや、違うんだよ。その、えっと……え、う…………エッチな写真集を見て、してる」
項垂れたピーターを見て、背筋をなぞられたかのような心地がした。
下腹部の辺りがキュッと引き締められたかのような感覚。
頬を緩めて……ピーターに顔を近付ける。
そのまま、頬にキスをする。
口は……さっき、精液を含んじゃったし、勘弁しておいてやろう。
自分の精液を味わいたくはないだろうし。
「ミシェル……」
「ピーターにも、私で……自慰、して欲しい」
束縛するような言葉だ。
だけど、これは……まぁ、本音でもある。
ピーターは顔を真っ赤にして、黙って頷いた。
だけど、想像だけで自慰しろ、というのはピーターには少し可哀想だろう。
枕元の、ピーターのスマホを手に取り……彼に手渡した。
「え?ミシェ──
「する時、エッチな写真が欲しいんだよね?」
そう囁いて、私は自分の胸を……手で、少し持ち上げた。
そんなに大きくはないけれど、形は良い……筈だ。
扇情を煽る仕草に、ピーターが頬を赤らめた。
そして、私がスマホを渡した理由に気付いたのか、それを──
「撮って?」
カメラモードにして、私へ向けた。
「……あ、顔はダメ、だから」
パシャリ、と写真を撮られた。
「それと……誰かに見せても、怒るから」
「み、見せないよ」
ピーターがスマホを枕元に戻そうとする。
……一枚だけ?
なるほど、遠慮しているのだろう。
私は自分のショーツに指をかけて、脱ぐ下ろした。
「え、あ……」
「ピーター、もっと撮っても良いよ」
それから、凄く恥ずかしい撮影会が始まった。
私が何度も素人なりにポーズを取って、それをピーターが撮る。
パシャリ、パシャリ、パシャリ。
……気付けば、ピーターの男性器がまた大きくなっていた。
「あ、ありがとうミシェル……その、大事にする」
「……何だか、大袈裟」
私がそう言うと、ピーターは苦笑しながらスマホを机の上に置いた。
そして、全裸になった状態で二人で向き合う。
……下腹部が疼く。
私も濡れている事が、ピーターにはバレていないだろうか。
……ちら、と視線を向ける。
ピーターの目は私の性器に向いていた。
……あ、バレてるみたい。
意固地になっているのが、少し……どうでも良い気がしてきた。
「ピーター、
「え?」
「……お願い」
「う、うん」
ピーターが棚にしまっていた避妊具の箱を取り出して……私に渡した。
……何て鈍いのだろう。
私は箱を開けて、ゴムの小袋を一つ取り出した。
ビリビリと開けて──
「え?ミシェル、その今日は……しないんじゃ──
「…………」
ゴムでピーターのペニスを覆った。
人に付けるのって結構難しいな、なんて思いながら。
ピーターは上で理性的な言葉を言いながらも、下は全く理性的ではなかった。
それを言えば、私も理性的ではないのだけれど。
ゴムをつけたピーターを押し倒して……上に跨る。
「ミ、ミシェル……」
困惑するような、期待するような……まるで子犬のような目に私は頬を緩めた。
覆いかぶさり……胸元に顔を埋める。
「一回だけ、しよ?」
「……う、うん。分かった」
そんなに嬉しそうにしないで欲しい。
私は自分に言い訳が出来なくなってしまう。
指で自分の性器を広げる。
……もう準備なんて必要がないぐらい濡れてる。
そそり立っているピーターの性器を押し当てて……体重を乗せる。
「う、くっ」
「ん、ん……っ」
互いに嬌声を漏らしながら、奥まで……届いた。
あぁ、全く。
結局、最後までしてしまっている。
何とも自制心のないカップルだろう。
ピーターのペニスを挿入したまま、私はピーターの胸元に顔を近づける。
舌を伸ばして……舐めた。
「あ、それ、や、やばっ」
「んぅ……ん……気持ちいい?」
腰をゆっくり、振りながら……ピーターの胸を……乳首を舐める。
普通は逆だろうけど、今はそうしたい気分なのだ。
ぬちゅ、ぬちゅと下品な音を立てながら腰を振る。
普段は、私がピーターに犯されている。
だけど今日は……私が、ピーターを犯している。
凄く、気持ちいい。
舐めながら、手を握って、腰を振る。
指を絡めて、呼吸を荒げるピーターを犯す。
「あっ、はぁっ、ミシェル、これ、すごっ」
愛おしい。
可愛い。
エッチだ。
メチャクチャにしたい。
腰を振るう速度を上げれば、ピーターは悶える。
私も凄く気持ちよくて、イッてしまいそうだから……諸刃のような物だけど。
「ミ、ミシェル……キス、したい」
ふと、ピーターがそんな事を言った。
……母性本能、というのか、むずむずとする。
「……さっき、精液口にしたけど──
「い、いい。いいから……したいんだ……」
やばい。
ピーターは可愛い。
それは知ってる。
カッコいいのも知っている。
だけど、今、これ程に可愛いと思った事はない。
何でもしてあげたくなる。
そんな気分だ。
顔を近づけて、舌を絡める。
くちゅ、くちゅと唾液を混ぜ合わせる。
身体の中も外も、全部まぐわう。
手が伸びて、凄い力で抱きしめられる。
負けじと私も抱きしめ返す。
今日は私が主導する。
したいのだ。
ぐりぐりと股間を押し合てれば、気持ち良すぎたのか手が緩む。
その隙に私は上半身を上げて、ピーターから離れた。
「……す、ごく、綺麗だ」
「……そう?」
私の裸を見たピーターがそんな事を言うから、照れる。
……っ、ダメだ。
ペースを握らせまいと、腰を振るペースを上げる。
ぐちゅぐちゅと、淫美な音を響かせて……ピーターをメチャクチャにする。
彼の口から嬌声が漏れる。
「うっ、あっ、あっ」
「……ん、ふふ、気持ちいい?」
自分も快楽で気が飛びそうなのに、自信のあるフリをして挑発する。
……返事もできないピーターに満足して、より強く、速く腰を振る。
「あ、うあっ、ミ、ミシェル、これ、だめだって……!」
「んっ、う、くっ、ふっ、ふふ」
笑いながら嬌声を溢しながら、ピーターを犯す。
ペースを上げて……ピーターの身体が痙攣し始めた。
イきそうなのだろう。
私はピーターの胸に手を当てて、勢いを強めて──
「イくっ……!」
ピーターが短く声を出した瞬間──
彼の手が、私の腰を掴んだ。
「え?」
そして、そのまま……強く、己の腰に向けて強く押し当てた。
深い。
深い部分に、ピーターの陰茎が当たる。
自分では想定していなかった、急な刺激。
それに私は──
「ひゃぁっ……!」
悲鳴のような嬌声のような言葉を漏らした。
想像だにしないタイミングでの強烈な刺激。
それは私の、ピーターに対する優位という心地よさを全て打ち砕き、一気に絶頂へと導いた。
「うくっ!イ、っくぅ……ぅう、ぅ、うう……!」
涙を流し、唾液を溢し……膣の中でピーターの付けたゴムが膨らんで行くのを感じた。
ゴムを付けてなかったら、絶対、私の奥に沢山出して……孕ませるつもりだったのだ。
それを自覚すると、余計に疼いて……小刻みに小さな絶頂を繰り返させた。
我慢していた分、それは重く、強く、響く。
大きな汗の滴が垂れて──
「あ、ひっ」
ぷしゃ、っと、いう音がした。
「「あっ……」」
私は人の家のベッドの上で、漏らしてしまったのだ。
◇◆◇
「ピーター……ごめんなさい……」
「え?いいよ、いいよ……仕方ないから。生理現象なんだから」
「うぅ……」
深夜。
洗濯機を消音モードにして、シーツを洗っている。
凄く恥ずかしい。
情けない気持ちでいっぱいだ。
全裸のまま、洗面所で……蹲る。
ピーターが頭を撫でてくれる。
慰めも、少し辛いものだった。
「……それに、今日のミシェル……すっごく、その……えっと」
「下品だった?」
雰囲気に流されて、酷く欲情していたのは認める。
幻滅されても仕方ないとすら思っていた。
しかし、ピーターは首を横に振った。
「いや……えっと、良かったと思う。うん」
「……そっか」
酷く気まずい空気の中。
全裸の二人で……ぐるぐると回る洗濯機を眺めていた。
バカ二人。