【R-18】レッドキャップ 【後日談】 作:WhatSoon
ピーター視点のリクエストがあってのでピーター視点。
僕の恋人、ミシェル・ジェーン=ワトソンは可愛い。
優しく、賢く、愛らしい。
あまり、お喋りではないけれど、その静かな雰囲気も好きだった。
……と、テレビの前に居座り、ポップコーンを貪る彼女を見て思った。
キャラメル味の瓶詰めのポップコーンだ。
彼女はスマートフォンを僕のテレビに繋いでいた。
色々、そういう機器を自身の給料で購入して、僕の部屋に置いている。
夜更かししたい時は、動画配信サービスのサブスクリプションから映画を上映しているのだ。
何故、夜更かしをするのか?
今日から一週間、ミシェルが休みだからだ。
いや、僕は途中でバイトあるけど、連休中は僕の部屋に入り浸るらしい。
迷惑だなんて思っていない。
寧ろ、凄く嬉しい。
……ふと、僕の視線に気付いたのか、ミシェルが僕を見た。
「……ピーターはこれ、面白くない?」
どうやら、僕が画面を見ていないのは、映画がつまらないからだと思ったようだ。
「いや、そんな事ないよ」
僕が彼女を見ているのは、別に映画が面白くないからじゃない。
……あー、いや、映画も少し面白くないかも知れないけど。
よく分からないミステリーものだけど、本当によく分からない。
僕の頭が悪いのか、それとも観客を置き去りにしているのか。
後者だと信じたい。
「……ん、じゃあ……もしかして、これが食べたい?」
彼女がポップコーンの入った瓶を僕に向けた。
「……うん、貰うよ」
そうじゃないのだけれど、そういう事にしよう。
ミシェルは少し天然、なのかも知れない。
まぁ、そこも彼女の良いところだ。
勘違いすら、善性と謙虚さが原因なのだから。
僕は口の中にキャラメル・ポップコーンを放り込んだ。
うっ。
甘味の暴力が口で暴れている。
……これ、少し食べただけで胸焼けしそうだ。
また、ミシェルを一瞥する。
ばりばり、むしゃむしゃと食べている。
……本当に甘いものが好きなのだなぁと染み染み思う。
……こうやって、二人、並んで──
何をする訳でもなく、ただ同じ時間を過ごす。
それも良かった。
大きな出来事がなくても、僕は彼女と一緒にいられるだけで幸せだった。
彼女が穏やかでいられるだけで、僕は嬉しかった。
緩やかな時が流れる。
僕は彼女の容姿が好きだ。
その髪も目も、声も。
だけど、それ以上に中身が好きだ。
優しさも、穏やかさも……僕を少しだけ、特別扱いしてくれる所も。
何より、彼女との空気感が好きだった。
甘えてくる事も、甘えたくなる事もあるけど……互いに何も言わずに、寄り添う事を許容する独特な空気……それが好きだった。
「……ミシェル、喉渇かない?」
「……ん、私が用意しよっか?」
僕の言葉に、彼女が立ちあがろうとした。
「いや、僕が行くから良いよ。何か欲しいものある?」
僕は首を振る。
気が利き過ぎるのも考えものだ。
「それじゃあ……オレンジ」
「OK」
僕のうちの冷蔵庫、その中身を彼女は把握している。
お互いに料理はしないけれど、それでも飲み物や冷蔵品に関しては入っている。
ミシェルも時々、僕の家に来る前にチョコレートを買ってきて、冷蔵庫に突っ込んでいる。
棚からグラスを二つとって、キッチンに置く。
トクトクと、音を鳴らしてオレンジジュースを入れる。
「はい、ミシェル」
「……ん、ありがと」
礼を言いながら、彼女がグラスを受け取った。
……うん、ここも好きな所だ。
彼女は礼を欠かさない。
嬉しかったり、助かったり、そういった事があったら必ず礼を言う。
僕だけにじゃない。
知らない人にも礼を言う。
誰にでも優しい所が、僕は好きだった。
……ミシェルの側に座る。
彼女が今着ているシャツは僕のお下がりだ。
だから、少し大きい。
ちら、と素肌が覗く。
仄かなピンク色が見え──
……視線を逸らす。
最近、少し困っている事がある。
僕と彼女が性交渉をするようになって半年。
毎日してたらバカになってしまうからと、月に一度……という縛りで性行為をしている。
勿論、ちゃんと避妊はしている。
しかし、それが少し問題なのだ。
ミシェルは凄く可愛い。
魅力的だ。
……性的にも、だ。
僕の庇護欲をくすぐる可憐さもあるけれど……そ、の、凄く……こう、男性的な部分も刺激される。
彼女は、胸が大きい訳ではない。
だけど、凄く綺麗な形をしている。
くびれがある。
艶かしい。
……そんなパートナーがいる事を、僕は喜ぶべきだろう。
実際、凄く嬉しい。
だけど、僕はミシェルのそういった部分が欲しくて、好きになった訳じゃない。
性欲を発散する道具にしたい訳じゃない。
だから、日頃は出来るだけ……そういった素振りを見せないように気を付けている。
なのに、彼女は凄く無防備なのだ。
頼むから、下着姿で部屋をうろうろしないで欲しい。
シャワーを浴びた後、ノーブラなのに抱き付かないで欲しい。
胸を押し付けないで欲しい。
理性と性欲に挟まれて、僕は自制心を鍛えていた。
別に鍛えたくて鍛えてる訳じゃないのに。
今日、確かに……今月はまだ、ミシェルと性行為をしていない。
誘えばきっと、してくれるだろう。
しかし、彼女は今、穏やかな気持ちで映画を観ている。
その安らぎを邪魔する訳には──
『あ、あんっ!あんっ!』
……テレビから嬌声が聞こえた。
画面の中で筋骨隆々な男と、綺麗な女性がまぐわっている。
探偵映画だと思っていたけれど、濡れ場もあるのか。
凄く気まずく感じながら、ミシェルに視線を向ける。
ミシェルもまた、気まずそうにしていた。
……ミシェルがリモコンを手に取り、映画の再生を終了した。
「……あー、いいの?」
「いい。面白くなかったし」
ミシェルがため息を吐いて、ポップコーンの瓶を閉めた。
机の上に置いて、僕に振り返った。
「……そろそろ、寝る?」
時計を見ると、針は11を指し示している。
確かに良い時間だ。
明日が休みとはいえ、二度寝して休日デートなしってのも辛い。
「うん、寝ようか」
「ね」
短く言葉を交わして、寝る前の準備をする。
二人、並んで洗面台で歯磨きをする。
僕は一人暮らしなのに、歯ブラシを二本常備している。
最近買い替えたけど、ミシェル用の歯ブラシだ。
「ん、コップ貸して」
「
だけど、コップは一つだ。
くちゅくちゅと口の中で音を鳴らして、ミシェルが水を吐いた。
生活感溢れる洗面台を後にして、ミシェルがベッドに座った。
「ピーター。明日、デートどこに行く?」
僕もすぐ側に座る。
……良い匂いがする。
「うーん……マーケットに行かない?ちょっと服を買いたいし」
「ん、私も……ちょっと欲しいものある」
「え?何?」
「水着。今年は海、ピーターと行きたい」
……そっか、海か。
高校生だった時に一緒に行ったけれど、彼女の中にその記憶はない。
だからこそ、僕と海に行きたいのだろう。
「いいよ。でも水着なら、グウェンの方が向いてない?」
「いい。私、ピーターが喜ぶ水着を着るから」
……くら、とノックアウト寸前になった。
彼女はこう、時々、僕がおかしくなるような事を言う。
魔性の女なのだ、彼女は。
しかして……僕が水着を選ぶのか。
ミシェルに視線を向けると、少し顔を赤くして自分の肩を抱いた。
「あ、あんまり恥ずかしいのはダメだから」
……脳裏に、紐のような水着を着たミシェルが思い浮かんだ。
胸が高鳴る……前に、少し嫌な気持ちになった。
「他の人に見せたくないし、そんな露出が多いのは選ばないよ」
ミシェルの素肌を他人に見せたくない、と思うのは僕が狭量だからだろう。
「……ん、よかった。私も──
僕の回答に満足したミシェルが少し、嬉しそうに頬を緩めた。
「ピーター以外には、あんまり見せたくないから」
僕は頬を掻いて、視線を逸らした。
直視していると照れ臭くなってしまいそうだからだ。
「……ピーターも、新しく水着買う?」
「あ、あー……うん。というか水着持ってないや僕」
僕の存在がこの世界から消えて、海に行くタイミングなんて無かったから……水着を買わなくちゃならない。
「……ピーターも、あんまり露出しないように」
「え?男性用なのに?」
僕が首を傾げると、ミシェルがムッと顔を顰めた。
「ピーターはもっと、自分の魅力を理解するべき」
「えぇ……?僕の魅力?」
普段、自分がどれだけ可愛いかの自覚が薄いミシェルが言ってくると、僕じゃなくて鏡に言うべきだと思ってしまった。
ミシェルが手を伸ばしてきて、僕のシャツを緩くめくった。
「ほら、すっごく割れてる。かっこいい」
僕の腹筋を、手でべたべたと触る。
「これは、まぁ……ヒーロー活動の賜物かな」
だから、僕は見た目的にも筋肉が付いている方だ。
まぁスーパーパワーがある所為で、筋肉なんて合ってもなくても大差はないだろうけど。
ミシェルが眉尻を下げて、自分のシャツを捲った。
「……私は筋肉付かないから」
「そうなの?」
「
「……そ、そうなんだ」
寝巻き代わりにしている彼女のシャツが捲られている。
筋肉がないとは言うけれど、脂肪もない……凄く、滑らかな腹が見えていた。
「……ほら、ピーター触ってみて」
「わっ」
柔らかい。
きめ細かく、すべすべだ。
滑らかな肌を撫でていると……綺麗な窪みに指が触れた。
彼女の
「ね、筋肉が付かない」
「そう、だね」
撫でて……そのまま、
ぐに、くに、と弄る。
本当にモデルさんみたいだな。
前に持っていたグラビア誌の女優よりも、
くに、くにゅ、むに。
触っているだけで、こんなに気持ちいい。
何だか凄く──
「……ピーター、何だか、触り方がエッチ」
僕は手を引っ込めた。
……い、今の僕、凄くキモかったんじゃないだろうか。
血の気が引いていくのを感じながら、頭を下げた。
「ご、ごめん、ミシェル」
「………ピーター、してみたい事があるんだけど──
ミシェルが、枕元の自分のスマホを手に取った。
「……これ」
頬を赤らめて、ミシェルが見せてきたのは──
「『ポリネシアン・セックス』?何それ」
「……えっと、読んで」
僕にスマホを渡してきて……読んでみる。
……性行為を我慢して、ゆっくりと行う事で精神的に愛し合う事を重視する?
具体的なやり方も書いてある。
「……最近、すぐにエッチしちゃうから、気を付けようと思って」
「そ、そうだね……ごめん」
思わず顔を窄めて謝った。
……僕の性欲は彼女にバレバレだったようだ。
情けない。
「だから、ほら……今日から丁度、長い休みだし」
ミシェルの言葉に、僕は頷き、記事に目を落とした。
具体的には……全部で五日間も続けるスローセックスらしい。
挿入は……最終日まで我慢?
大丈夫、僕は我慢できる男だ。
真の意味で彼女を愛している。
それを証明できるチャンスなんだ。
そうして、早速、今日から始める事にした。
その……『ポリネシアン・セックス』?って奴を。
◇◆◇
一日目。
互いに服を脱いで、全裸で見つめ合う。
「ピーター……これ結構、恥ずかしいかも」
白く滑らかな肌が目に映る。
薄く生えた毛と、秘部。
仄かな朱色をした乳首。
「じゃ、じゃあ……やめる?」
心臓が跳ねる。
心臓が跳ねる。
心臓が跳ねる。
「……ううん、このまま」
自分の股間が硬くなっているのは分かってる。
ミシェルも気付いている。
でも、何もしない。
1日目は愛撫も自慰も禁止。
ただ、裸で見つめ合って会話するだけだ。
「ミシェル、凄く……綺麗だよ」
だから、こうやって褒める事しか出来ない。
「ん、ピーターも」
「僕は──
「カッコいい」
「……そうかな」
互いを褒め合って、好意を口にして……夜が更けていく。
気付けば、時計の長い針が半分ほど回っていた。
こうしてると、うん、何だか大丈夫な気がしてきた。
「ピーター、そろそろ寝よっか」
「……そうだね。明日のデートの事もあるし」
「そう。ちゃんと良い水着を選んで貰わないと」
「……う、頑張るよ」
なんて会話しながら、ベッドで横になる。
裸のままだ。
「えーっと、この後は……もう寝るだけ?」
「ん、裸で『抱き合って』寝るだけ」
……うん?
抱き合うだけ?
抱き合う!?
裸のミシェルを抱きしめて、抱きしめられて……寝る姿勢に入る。
……これ、寝れるのかな。
悲しい事に、今、僕の股間に血が集中している。
煩悩を捨てようにも、手には柔らかい彼女の素肌……そして、僕を誘惑する甘い匂い。
いや、頑張れ、ピーター。
煩悩に負けるな。
心臓を早鐘のように鳴らしながら……僕は目を閉じて、眠りに着いた。
眠りに……うぅ、眠らないと。
つらい。
◇◆◇
二日目。
デートから帰ってきて、いつものように二人で食事を取って……また映画の上映会をした。
今日は大きなモンスターが暴れるタイプの映画だ。
悶々としてる僕からすれば、凄くありがたい事だった。
ほら、全然大丈夫だ。
最終日まで余裕だね。
なんて考えて。
また、夜中にミシェルと裸で向き合った。
「2日目は、えっと……キスしても良いって」
「そっか。じゃあ──
「あ、でもソフトキスだけだって」
「……そ、そっか」
がっかりなんてしない。
ミシェルと向き合って……抱きしめながら、優しくキスをした。
唇を重ねるだけの優しいキスだ。
僕は頬を緩めた。
「……何だか、付き合いたての頃を思い出せて、良いかもね」
「ん」
僕は「ちゅっ」と音を立てる。
ミシェルがも「ちゅっ」と音を立てた。
ちゅっ、ちゅっ、ちゅっ、ちゅっ。
何度もキスをしているうちに、愛おしい気持ちが湧いてきた。
性行為をしなくても、僕は彼女を好きなのだと……うん、強く実感できた。
「……あ、あとピーター、性感帯以外のキスも……OK、だって」
……なんて言うものだから、お互いに色々な所にキスをした。
首とか、耳とか、お腹とか、太腿とか。
大丈夫。
うん、大丈夫。
すごく、こう、今すぐ抱きたい気持ちになるけど、大丈夫。
それに、ミシェルもモジモジとしている。
我慢しているのだから、僕だって我慢しないと。
長い針が一周するぐらい、互いにキスをしあって……裸で抱き合ったまま眠りに着いた。
うん、慣れてきた気がする。
裸で寝ても、ちゃんと寝れる。
僕は全力で、硬くなってしまっている自分の股間から目を逸らした。
◇◆◇
三日目。
今日は動物園デートをした。
ミシェルは小動物から逃げられていた。
悲しそうにしていたので、何だか僕も悪い気持ちになってしまった。
そして、待ちかねた夜。
「三日目は……えっと、舌を絡めるキスしてもいいって」
「……うん」
そこまでして、僕は耐えられるのだろうか?
い、いや、耐えるよ。
うん、耐える。
全然、耐える。
僕は我慢のプロだ。
電車に跳ねられ、ビルから落とされても我慢できたんだ。
だから、大丈夫!
「んっ、んっ」
「んぐ、ん……」
舌を絡めて、唾液を交換する。
淫美な音を態と立てて、溜まっていた性欲を発露する。
ちょっと息が苦しくなって、顔を離そうとしたら……ミシェルの手が僕の後頭部に触れた。
……まだ、ディープキスをしたいらしい。
「ん、んっ、んくっ、んぅ」
ミシェルが声を漏らしながら、舌を絡めてくる。
……あ、これヤバい。
ミシェルの方が我慢出来てない。
無理矢理、引き剥がす。
「んぷ、はぁっ…………え?ピーター……?」
上目遣いで目を潤めるミシェルに、今すぐ……したくなってしまう。
でもダメだ。
五日目まで我慢する。
性欲だけじゃなくて親愛を持って彼女を愛しているんだと証明するんだ。
「ミシェル、ほら……深呼吸して」
「ん、うん……」
息を吸って、吐いて。
吸って、吐いて、
流石に落ち着いたようだ。
そして、僕に目を向けて──
「ピーター、早く……キスの続き、しよ」
前言撤回。
全然、落ち着いてなかった。
……ミシェルはディープキスが大好きだからね。
普段、性行為をする時もねだってくるぐらいだ。
諦めて、彼女が一線を越えないように注意しつつ、ディープキスを繰り返した。
こんなの、僕だって理性的になれない。
くちゅくちゅと、ソフトキスでは出ない音を鳴らして、ひたすら互いの口の中を犯し合う。
呼吸を荒げて、言葉を話す事さえ忘れて……ひたすらに、時間を忘れて。
気付けば、長い針が一周半する程の時間が経っていた。
疲れ果てた僕とミシェルは、泥のように眠った。
◇◆◇
四日目。
「……デ、デリケートな部分の、愛撫、していいって」
「……うん」
性器への接触は禁止。
だけど、その付近や……胸などへの愛部はOKだそうだ。
僕はミシェルの胸を触る。
柔らかくて、指に張り付いてくる。
ミシェルも僕の尻を撫でたり……胸に触れてくる。
「……ミシェルは、その、触ってて楽しい?」
「……うん。変?」
「ううん、ちょっと気になっただけだよ」
撫でて触れて、舐めて。
胸先を指で挟んで、確かめて。
そうやって触れ合っている内に、ミシェルの顔に余裕がなくなっていく。
「……ピーター、ちょ、っと待って」
「……え?うん」
「それ以上、されると……イ、イっちゃうから」
そう言われると、止めざるを得ない。
凄く辛いけど、互いに我慢しなきゃいけない。
「か、代わりにキス、して?」
「うん、いいよ。ミシェル」
また、ディープキスをする。
このままだと昨日と同じになってしまう。
優しく胸を撫でながら……時折、鼠蹊部を撫でながら、キスをする。
「ん、ふっ、んふっ、んんっ!」
触る度にミシェルの身体が跳ねる。
なのに、彼女はキスをやめない。
……本当に可愛い。
そして、僕の劣情を煽るのが上手い。
きっと狙ってやってる訳じゃないんだろうけど。
気付けば互いに汗を流して、もうどっちの汗か分からなくなるぐらい触れ合った。
股間は割と限界を迎えているけれど、耐えている。
ポリネシアンセックスは互いの気持ちを大切にする肉体じゃなくて、精神のセックスだ!なんて書いてあったけど、ちょっと正気を疑いたくなる。
これ多分、精神の鍛錬だよ。
人間の三大欲求から耐える訓練だ。
間違いない。
時計の長い針が二周するまで、愛撫と接吻が続いた。
僕より先に、ミシェルが限界っぽくて──
「ピ、ピーター……明日、明日しようね?」
なんて甘えた声で言ってきた。
……きっと、夜までは待てない。
彼女も、僕もだ。
天井を見ながら、僕はそう思った。
◇◆◇
そして、五日目。
午前中。
僕は家の近くのドラッグストアで棚を物色していた。
ミシェルはいない、僕一人でだ。
棚に置いてあるのは……
普段買っている6個入りに手を伸ばして……一つ、隣へ。
12個入りを手に持って、レジに向かう。
黒く、外から見えないようにしたビニール袋に入れて……ドラッグストアの外に出た。
後は家に帰るだけだ。
歩く。
歩く、歩く。
気付けば早足で、自宅に向かっていた。
そして……自宅のドアを開けた。
続きはまた今度