綾小路Zレックス ようこそ少子化対策至上主義の教室へ編 作:チームメイト
「ただ、茶番はもういいんじゃないですか?」
「は?」
「綾小路、何を言っている」
別に茶番と茶柱をかけたわけじゃない。
茶柱は何もわかっていない。そのことが星之宮を怒らせていることに。
「ドアを開けてしばらく待っていたのは、なぜですか?」
ドアが開いたのは、3回目の途中だ。
途中で割り込むのは控えたとしても、3回目と4回目の間には、小休止があった。
割り込めるタイミングは作っていた。
それでも入ってこなかったので、4回戦へと進んだが。
「それは証拠を撮ろうとして」
「証拠を撮ったんですか? 見せてもらえますか、その証拠を」
「あー、証拠隠滅しようとしてるでしょ。今、出すわけないじゃん。消されたら困るし」
「嘘だと思ってますよ。ドアが開いたことには気づいていましたので、カメラを向けられれば分かります」
「そんなことあるわけ……」
ブラフだが、星之宮の反応を見て、予想が当たっていたことが分かった。
星之宮は、証拠動画を撮っていない。ただ、オレと茶柱の行為を待っていただけだ。
淫行現場を押さえるだけなら、待つ必要はない。
なぜ、最後まで待っていたのか。
そこから導き出される答え。
「星之宮先生は、淫行現場を押さえるために来たんじゃない。茶柱先生が心配で来たんですよね」
「えぇ? 何の話かな。そんなことあるわけないじゃん」
「綾小路。それは無理があると思うが」
しらばっくれる星之宮と否定する茶柱。
2人は、距離があるようで、合っている。
「この試験は茶柱先生にとっては、禁忌だ。呪いと言っていい。朝から茶柱先生の体調がおかしかったことは、明らかだった。そんな茶柱先生が試験後に人目のつかないところに向かう。何かがあってからでは遅いと思われてもおかしくはない」
最初は緊張かと思ったが、そうではなかった。
そもそも茶柱は、試験の説明で緊張するような教師ではない。
頑なにスケジュールを守るように押し進めていたが、あれは試験のルールでもあったが、自分の異常を悟られないように、会話を最小限にして強引に進める必要があったんだろう。
茶柱の話を聞いた後なら、理解できる。
「綾小路。残念だが、それはない。チエは私にいなくなってもらいたいと思っている。何かがあって喜ぶことはあっても心配などするものか」
「それなら、なぜ淫行現場をさっさと止めなかったのか?」
「それは私には分からないが、淫行現場を押さえられれば、いつだろうが大差はあるまい」
「大差はあるんですよ、茶柱先生。ラストとその前では、明確に違いがあります」
3回目と4回目。
3回目で止めてしまうと得られなかったものがある。
「なんだそれは?」
「その前に質問です。星之宮先生は茶柱先生が処女だと知っていたんじゃないですか?」
「……確かに、チエには男ができたことがないことで、嫌味を言われていたが」
これで最後のピースが埋まった。
「ラストで、茶柱先生はイクことができた。それが違いです」
4回目があったことで、茶柱は絶頂を得ることができた。
「な、何を言っているんだ」
「星之宮先生は、茶柱先生のことが心配で追いかけてきた。当の本人は心配は杞憂で、男子生徒と性行為にふけっていた。残念ながら、経験の浅い茶柱先生はなかなかイケなかった。星之宮先生は、経験が豊富だ。絶頂が近づいているのかどうかは、様子を見ているだけで分かったはず」
「な、何の話だ」
「星之宮先生は茶柱先生に、良い初体験を迎えて欲しかった。イケるのであればイって欲しい。だからこそ待った。もうすぐイケそうな茶柱先生が、もう1回戦を済ませるのを」
「な、そんなわけ、チエは私のことを嫌っている。ありえない話だ」
茶柱は、嫌われていると思っている。
それが2人の関係を狂わせ続けている理由だ。
「本当にそうなんですか?」
「当たり前だ。チエは私のせいでDクラスで卒業する羽目になった。嫌っていないなど」
そう、そう考えるのは自然だ。だからこそ茶柱も勘違いしている。
「星之宮先生は、現役時代はさぞ優秀な生徒だったんでしょうね」
「そうだ。チエはAクラスで卒業するべき生徒だった」
「それが答えでしょう。その優秀な星之宮先生が、さっきオレと茶柱先生で話した結論に辿り着けていないと思いますか?」
「なに……」
マン棒一致試験の失敗。最終的な引き金を引く形になったのは、逃げた茶柱だ。
だが、仮に茶柱が参加していたとしても結果は変わらなかっただろう。
「あるわけがない。そんなことは……チエは私の胸倉をつかんで怒ったんだぞ」
「その場で気づけなかったとしても、時間が経って落ち着けば、気づくことができた。違いますか、星之宮先生?」
「……優秀だって言われた後だと否定しにくいじゃない、ずるい」
遠回しにだが、認めたか。
やはり、星之宮先生は気づいていた。茶柱が原因で負けたわけではないことに。
「だったら、なぜ」
「逃げたことに対して怒っていたのは本当だもん。一緒に戦ってほしかった。たとえ、それで負けてもさ、5年10年経って笑い話になったかもじゃない」
そこが2人の仲のややこしいところでもある。
負けたのが茶柱のせいでないことは理解できても、茶柱にまったくの非がないわけでもない。
茶柱本人が後悔しているように、負けても挑むべきだったのだろう。
そうすれば、親友を失わずに済んだ。
「すまない。あの時の私には覚悟が足りなかった」
「本当よ。私が頑張ったのが、バカみたいじゃない」
星之宮の解答時は、相当酷かったらしい。
彼氏に処女を捧げることで頭がいっぱいいっぱいだった茶柱でも、強く記憶に残るほどだ。
星之宮の感じた辛さは、見ていただけの茶柱の比ではないだろう。
星之宮は茶柱に、一緒に地獄に落ちて欲しかった。
それはそれでどうかと正直思うが、そういう形の友情もあるのかもしれない。
「茶柱先生は、あの試験ですべてを失いました。辛かったかもしれません。呪いだったかもしれません。ただ、同じように失った人もいた。そういうことなんだと思います」
「……そうなのか?」
「そうよ。私は佐枝ちゃんのことを親友だと思ってた。ずっと仲良くしていたかった。それなのに、あの試験で仲が引き裂かれて、そのままずっと……もう10年だよ」
「言ってくれればよかったじゃないか」
「言えるわけないじゃない。私は辛いんですー、被害者ですー、何も言わないでください、消え去りたいんですーってずっとアピールしてきたのは、佐枝ちゃんでしょ。不幸自慢の塊でさ」
「なっ……」
「確かに茶柱先生は、生徒とも一線をひいて壁作っている」
「綾小路くんもやっぱりそう思うよね」
Aクラスになる野望を抱えながら自分から遠ざけるような真似までして、いくらなんでも不器用過ぎるだろ。
「適当にからかいつつ、時間が解決してくれるかなって思ってても、全然前に進んでくれないし」
「…………」
「そしたらこの試験でしょ。朝から顔色悪いし、試験後はどっかに消えるし、やっばーって思って、探してようやく見つけたと思ったら、綾小路くんとパコパコお楽しみ中なんだもん」
星之宮からしたら最悪だろう。心配して損をしたってやつだ。
「た、楽しんでなど」
「『綾小路、私を作り変えてくれ、お前色に、何か来る、来そうだ、怖い怖いよ、やっぱまってぇええ』」
「そんなこと私はいってないぞ」
「言ってましたよ、先生」
待たなかったけどな。
「『ごめんなさいごめんなさいごめんなさい』って10年以上も前の恋人に謝ってたのなんか、普通にドン引きだったし」
「ああ、それはオレもちょっと引きました」
「ななっ……仕方ないだろ。ずっと想っていたんだから」
「それが気持ち悪いって言ってるの。さっさと前に進みなよって私がずっと言ってきたのに、無視してきた証拠でしょ。やっぱり佐枝ちゃんが悪いじゃない」
なるほど。
恥ずかしさを隠すためか、からかいながらではあったが、星之宮の方からは歩み寄ろうとしていたのか。
それを拒否してて暗い顔をされ続けていたら、そりゃ仲直りもできるわけがないな。
「私は幸せになっちゃいけないんですって顔し続けちゃってさ。私とか佐枝ちゃんが幸せにならなくてどうするのよ。Dクラスで卒業したってレッテルは一生つきまとうかもしれない。それでも、幸せになる道はある。それを見せてあげること、生徒たちに教えてあげることって私たちだからこそできることでしょ。もちろんAクラスを目指した上での話だけどね」
「だからって男をとっかえひっかえ」
「なかなかいい男がいなかっただけですー」
Aクラス以外に価値がないのかどうか。
実力至上主義を掲げる学校に対しては踏み込んだ考えだが、生徒を導く教師としては、Aクラスで卒業できなかった生徒へのフォローも出来た方がいいだろう。
考えとして間違っていないと思う。
「それなのに、ずっと幸せになっちゃダメって顔してた佐枝ちゃんが、幸せいっぱいの顔してダブルピースなんかしてるんだもん。ええ、どういうことよ」
「オレは指示してませんよ」
「してない。私はダブルピースなんかしてないぞ」
「「してました」」
星之宮とハモってしまった。
「うう……泣きたい」
凛々しい茶柱像はどこへやらといった感じで、茶柱は半べそになった。
Tレックス中の痴態の1つ1つを指摘されたら泣きたくもなるか。
このあたりで担任をいじるのは止めてやろう。
「話を戻しましょう。星之宮先生は、茶柱先生が逃げたことを怒っていました。自虐し続けて足を止めたことを怒っていました。が、嫌ってはいません。茶柱先生、理解できたのなら何か言うことはあるんじゃないですか?」
「す、すまなかった」
「それだけですか?」
謝罪だけなら、当時も行っていたはずだ。
それだけでは足りない。前に進んだことにはならない。
「私も、チエとは仲良くしたい。許してくれるなら、もう1度友達になって欲しい」
そういいながら、茶柱は右手を星之宮の方へと差し出した。
「……佐枝ちゃんってやっぱりわかってないよね」
「ですね」
星之宮はその手を掴まずに、外へと弾いた。
この担任は、本当に対人関係にはポンコツだな。
「もう10年前には、許してるってば……バカ佐枝」
そのまま全身でぶつかるように抱きしめにいって、茶柱を腕の中に納めたのだった。
◇◇◇
「いやー、青春しちゃった。恥ずかしい」
「私なんか、もっと恥ずかしいだろ。ダブルピースなんかしていないからな」
「してたよ」
「してないから」
久しぶりに本音で話し合った2人は、本音だけにか、言い合いがスタートしていた。
それまでと違うのが、2人の間に流れる空気は、言葉とは裏腹にとても親しみにあふれたものだ。
仲直りしきるまで、あと一歩だろうか。
最後の後押しをしてやろう。
「星之宮先生、提案があるんですか」
「なになにー? 退学にしないでとかいまさら言わないよね?」
「そこは信じますから」
この流れで淫行教師と生徒の追放とかやらかさないだろう。
「星之宮先生、オレとセックスしてくれませんか?」
「ええっ!?」
「綾小路、いったい何を」
「マン棒一致試験のやり直しみたいなもんですよ。オレの棒で星之宮先生と茶柱先生のマンコを一致させます。それで仲直りしましょう」
マン棒一致試験で壊れてしまった関係。それを修復できるとしたら、マン棒で一致されるしかないだろう。
「ぷっ……真顔でマンコを一致させましょうって……アハ、アハハハ」
思いっきり笑われてしまった。冷静になったら恥ずかしい発言だな。
星之宮のツボに入ったらしく、しばらく笑いが止まらなかった。
試験説明中に何度も口にしただろうに。
もしかしてマンコとチンコを一致させる試験だ、とか説明してたのは茶柱だけなのか。
キリっとした顔で何言ってんだって面白かったが。
「でも、それくらい馬鹿らしくないとダメなのかもね。いいよ。一之瀬さんには内緒にしとくからセックスしよっか」
それでも、目に涙を浮かべて、それをぬぐいながら同意してくれた。
「チエ」
「佐枝ちゃんもしかして嫉妬してる?」
「バ、バカ、嫉妬なんてするわけがない」
「うっそだー。佐枝ちゃんが嫉妬深いのしってるんだからね。高校時代だって、私が佐枝ちゃんの彼氏と話すだけでさー」
仲直りした2人は、話したいことがたくさんあるんだろう。
待っていたら夜までかかりそうだ。
「大丈夫ですよ、茶柱先生。1人にはしませんよ。一緒にです」
「い、一緒にだと!?」
「そうじゃなければ、マン棒一致になりませんから。茶柱先生のマンコと星之宮先生のマンコにチンコを入れて一致させる。それで仲直りです」
「ぷはっ……だから真顔でやめて……」
「……チエ、いいのか?」
「いいってば……同じチンコでマンコを貫かれちゃおう」
「チエ……分かった」
こうして、親友同士の仲を取り持つ真のマン棒一致が実施されることになった。
「佐枝、星之宮先生」
「綾小路くん、そこは私もチエでしょ?」
めんどくさい先生が1人増えたようだ。
テイク2。
「佐枝、チエ」
「綾小路」
「清隆」
「な、ずるいぞチエ」
「佐枝ちゃんが呼ばないのが悪いんでしょ」
本当に待っていたら進まないので、強引に進めよう。
「「「綾小路ティーーレーーーーーックス」」」
「あれ? なんか懐かしい気がする。うーん誰のと似てるんだろう」
過去の経験とマン棒一致を始める星之宮先生。
そこは夢ということでどうかよろしくお願いします。
「うーん、スッキリした。気持ちよかったー」
「私はまだ痛い」
「綾小路くんのチンコは、大当たりチンコだもん。処女からこれを覚えさせられちゃったら、佐枝ちゃんはもう他じゃ満足できないんじゃない?」
「む……そうなのか?」
「そこでオレに聞かれても困るんですが」
男のオレにその感覚は分からない。
マンコの形でどうこういえても、チンコの形でどうこういうような経験はないし、今後理解するつもりも一切ない。
「これだけ気持ちいいチンコ知っちゃったら、私ももう遊ぶのやめようかなー。佐枝ちゃん、たまに貸してくれるよね?」
「おい、チエ。私たちは教師だ」
「何をいまさら。いいじゃん。自分で独占したいってわけ?」
「そんなこと言っていない」
「うっそだー、そうだよねー。佐枝ちゃんは昔からそうだったもん。あの時もさー」
「星之宮先生が誘ってくれるのなら喜んで相手しますよ」
本当に仲が良いんだか悪いんだか。
どうでもいいけど、オレを借りるとしたら茶柱ではなく一之瀬だろう。
一之瀬の担任としてそれでいいのか。
「やったー」
「あ、綾小路……私は」
「教師と生徒の関係なんですよね?」
「そ、それは言葉の綾ってやつでだな」
「あー、やっぱり自分だけ相手してもらうつもりだったんだー。佐枝ちゃんって本当にねー」
「場所の問題がありますけどね、先生たちを部屋に招くわけにはいきませんし」
今日は第二体育館の用具室を使ったが、毎回ここを使うのは無理だろう。
龍園と葛城の利用日と重なる危険性も……それはないか。それは一之瀬の妄想の話だ。
「それなら保健室使っていいよ」
「保健室?」
「私の居城だから、自由に使えるし、ベッドもあるし。綾小路くんは今日から片頭痛持ちで、ちょくちょく保健室に訪れるってのでいけるでしょ?」
そういえば、星之宮先生は保険医だったっけ。
ヤリマンの保険医って男の夢過ぎるだろ。
確かに、保健室ってのは、ねらい目かもしれない。
体調不良で寝ている生徒に配慮してか、外との防音性もばっちりだったはずだ。
ベッドはカーテンで仕切られるので、万が一生徒が来ても見られる心配も薄い。
「分かりました。ではこれから、片頭痛持ちで」
「やったー」
「チ、チエ、私は」
「知らないー。佐枝ちゃんは、社会準備室でも使ったら?」
「あんな埃とカビ臭いし、防音でもないところでできるか」
「ここも相当だと思うよー? いきなりあんあん喘ぎまくってさー。私じゃなかったらどうしてたつもりなの?」
「そこまで思い至らなかったんだ」
「佐枝ちゃんは、変わらないよねー」
「すみません。2人とはなかなかできそうにありませんし、もう1度良いですか?」
裸のまま言い合う2人を見ていたら、我慢できなくなってきた。
こうなったら今日はとことん2人とやるか。
みーちゃんとするのは今度で良いだろう。今頃高円寺の腕の中とかありませんように。
「いいけど、試験に参加してたんだよね?」
「もちろんです」
「それでさっき佐枝ちゃんに2回してたよね?」
「正確には4回ですが」
「そのあと私と佐枝ちゃんに1回ずつしたよね。それでビンビンって本当に強すぎない?」
「誉め言葉として受け取っておきます」
「私のクラスの自慢の生徒だからな」
「さっきまで処女だった佐枝ちゃんが誇らしげなのがむかつくー」
今日はまだ10発も出してないはずだ。
1周り上の世代とするのは新鮮だし、見た目も良いし、おっぱいもでかいし、茶柱はともかく星之宮先生は経験も豊富で抱きごたえ満点だ。何度だってできる気がする。
「チエ、佐枝」
「綾小路」「清隆」
「し、しまった、また私は……」
茶柱が何やらわめいているがスルーだ。
「「「綾小路ティーーレーーーーーックス」」」
「チエのマンコです」
「正解」
「またチエですね」
「正解」
「これは佐枝マンコです」
「当たりだ」
「すごーい。本当に百発百中なんだ。この試験でAクラスに上がるわけね」
「ふ、自慢の生徒だからな」
「なんで佐枝ちゃんがほこらしげなのよ、むかつくー。別に処女だった佐枝ちゃんが育てたわけじゃないでしょ」
茶柱佐枝と星之宮知恵。
過去のマン棒一致試験で失われた2人の友情は、マン棒一致試験をきっかけに取り戻すこととなったのであった。
やったえ佐枝ちゃん、友達が戻ったよ。
次回の蛇足回で最終回です