綾小路Zレックス ようこそ少子化対策至上主義の教室へ編 作:チームメイト
飛ばしても作品の本編に影響しませんので、重い話が苦手な方は飛ばしてください。
狂っている。
目の前で繰り広げられている試験には、嫌悪感しか抱かない。
試験官として見守り続けなければならない辛さがあった。
救いなのが、今のところは解答者も出題者も、試験を受け止めて挑んでいることだろうか。
初めての性行為に痛がる女子生徒はいても、拒否して泣き叫ぶ生徒はいなかった。
そう、当時の私のような生徒はいない。
10年以上前だというのに、嫌でも記憶がフラッシュバックする。
すべてを狂わせたあの日。すべてを失ったあの日。
忘れたくても忘れられない記憶が、心を蝕んでいく。
あの年のクラス間の争いは、拮抗していた。
Aクラスが逃げ切るのか、Bクラス以下が抜き返すのか。
差は100ポイントもなかった。
特別試験1つでひっくり返るような緊迫した状況で、最後の学期へと突入した。
勢いは完全にBクラスにあった。
一時期Aクラスが抜け出していたが、それを追い上げて今の位置まで迫っていた。
いけるという気持ちがクラス中に広まっていた。
とはいえ、焦りが一切なかったわけではない。
残された時間は少なくなっていき、卒業と言う2文字が嫌でも脳裏をよぎる。
あと何度チャンスがあるんだろうか。
いつ最後の特別試験になるのか分からないような、卒業を控えたその時期に、その試験は実施された。
『マン棒一致試験』
細かいルールで違うところはあるが、指名された生徒がマン棒を一致させるという根本ルールは同じだ。
私は絶望した。
なぜならば、私には当時付き合っていた彼氏がいたからだ。
そして付き合っているといっても、その時点で私は性行為の経験が無かった。
せめて彼氏と初体験を済ませていれば、また違った未来があったのかもしれない。
互いに奥手だったというのもあるが、クラスのリーダーを務めていて根が真面目だった彼は、浮かれてクラスのことが疎かになることを恐れていた。
そんな真面目な彼が好きだったのもあり、全くの不満がなかったとは言わないが、私もおままごとのような恋人関係で満足していた。
今は、恋人ととして過ごすことよりも、Aクラスで卒業すること。
そのことを重視することに異論は無かったからだ。
暗黙の了解で、それが付き合う条件だったようなものだ。
卒業後にいくらでも時間は作れるんだから、仲を深めるのはそれからでいい。
そんな甘い考えが失敗だったのかもしれない。
どれだけ後悔しようが、試験が始まってしまったあとで時を戻すことは出来ない。
もうここまで追い詰められてしまえば、私の頭の中でクラスのことなどどうでもよくなっていた。
恋人と過ごすことよりも優先していたはずなのに、所詮私はそんな浅はかな人間だったということだろう。考え足らずだ。痛々しい。子供過ぎる。
今の私ならそんな選択肢は選ばなかったはずだが、当時の私にとってはそれ以外に正しいと思えるものは無かった。
与えられた選択肢の中で、私が選べたのは彼氏と初体験をする。
試験によって行われるというのは、悔しいものがあるが、予定が前後したと思えばそれで済む。
彼氏以外に身体を許すなんて死んでもごめんだった。
解答者として彼氏を指定し、その他大勢の女子と一緒に抱かれる。
これが私に許された唯一の道だ。
1回目の投票で、私は当然のように彼に投票した。
それが私にできる唯一の選択肢だからだ。
が、結果はクラスでイケメンと評判の男子が1位となった。
残念ながら私の彼は2票しか入っていなかった。
真面目で優しく誰からも慕われているが、少し抜けたところがあり男としての魅力は劣るからだろう。友達としては良いけど、恋人にするのはちょっとって言われるタイプだ。
最初の投票で選ばれないのは仕方ない。2票とはいえ3位なので、可能性は残る。
女子は美人で頭の良い男子から人気のあった子が1位だ。
上級生からも告白されるようなクラスのマドンナ、高嶺の花タイプだ。
私にも1票入っていたが、どうやら彼が入れてくれたらしい。
互いの思いが同じだったことをうれしく思えた。
恋人同士で相手に投票するとどうなるのか。私はまだその失敗に気づいていなかった。
当時と今回では、ルールの根幹は同じだが細部は異なる。
1番大きな違いは、3ターン制だったことと、マン棒一致ごとに5点ではなく10点だったことだ。
制限時間も倍の90分与えられており、時間を掛ければ正解に辿り着きやすくなっていた。
実際に、男子の一番手の生徒は、もともとモテていて経験豊富だったこともあり、指名された9人のうち、7人正解してプラス50点をもぎ取っていた。
あともう少しで全問正解だったが、90分とはいえ5回失敗した後で6回目は挿入するほど勃起することは出来なかったらしい。
伝聞系なのは、男子側の映像を私は一切見ていなかったからだ。
彼とどうやって結ばれるかに意識が向かっていたのもある。
が、それよりも女子側の映像が悲惨なものへとなっていたからだ。
女子の一位の子は、モテる子だったが彼氏とかは作ったことがなかったらしい。
クラスメイトに処女を貫かれ、泣き叫ぶ姿が映し出されていた。
だが、ポイントを手に入れるためにクラスメイトの男子たちは容赦なく彼女の穢れなきマンコへと汚らわしいチンコを挿入していく。
それに対して騒ぎながらなんとか解答するものの、そんな状態で誰のチンコが当てられるわけがない。
次々に中出しされて振り出しに戻るというありさまだった。
解答を外せは外すだけ、悲惨な姿へと変貌していく。
「もう、いや」という彼女の声が何度も響き渡っていた。
それでも彼女に襲い掛かることを止めない男子生徒たち。
目をギラつかせながら、何度も何度も彼女の身体を貫き蹂躙して回していく。
Aクラスを目指す、頼りになる仲間だったはずの彼らの面影は、そこにはなかった。
外したら射精というのは条件としては厳しいが、出題者が8人いれば1人当たりの負担は大きくなかった。
最終的には、20発以上中出しされながらも偶然あたった1人だけしか正解に辿り着けることが出来ず、7人が出題者として残ってしまった。
マイナス60ポイントというひどい結果だ。
これでトータルは、マイナス10ポイント。Aクラスを目指す上で、得点を稼げなかったのは、痛い失敗だ。
なによりも、あまりにも悲惨な映像を見せつけられたがために、あれだけ一致団結してAクラス入りを目指していたクラス内で、男女間に溝が生まれてしまっていた。
「正解できないんだから無理する必要なかったでしょ」
「うるせい。ポイントのために頑張ったのに、なんで責められないといけないんだ」
「そうだ。無理してやってやったのに、俺たちが悪いっていうのか」
「泣いてる子に無理やりすることが必要だったの?」
「なんでだよ、Aクラス目指すんだろ。我慢しろよ」
「無茶言わないでよ」
もはや、女子の解答者は、生贄に等しかった。
これではAクラスに勝つなんて無理だ。
冷静さを保ち続ける生徒だけが、このまま進んで試験が行きつく結果を察知して絶望していた。
男女の協力が必要な試験で、男女が敵対すればどうなるのか。
生贄に指名されてパスをする女子生徒が出てきてもおかしくない。
そうなれば、試験は終わりだ。
だからこそだろう。親友の知恵が手を挙げたのは。
「次は私に投票して、絶対に取り返して見せるわ」
これも今回の試験との違いで、私たちのときは誰に投票するのかを投票時に打ち合わせをしても、咎められることはなかった。
3ターンと少ないからだろう。調整はしやすいようになっていた。
票を稼ぐには、正解数を増やすしかない。
自分が生贄になりたくない女子で、知恵への投票に反対する生徒は私含めていなかった。
もともと胸も大きく、あっけらかんとした性格が男子受けもよかった知恵だ。
最初の投票で2位に入っていたこともあり、私の彼を除いた参加できる男子からは満場一致で投票を集めて次の解答者に選ばれた。
1回目に射精し過ぎてパスした生徒達。退学者の4人。私に入れた彼。そして、2回目に解答者に選ばれた生徒を除き、知恵は11人の生徒から指名される結果となった。
それは、親友にとっての地獄が始まることを意味していた。
親友はクラスのために、自ら望んで地獄へと足を踏み入れたのだった。
私はそれをどこか他人事のように感じながら、2回目の投票でも彼氏が選ばれなかったことに危機感を抱いていた。
3回目も選ばれないのは困る。
知恵が犯されながらも、相手の形を覚えようと努力する姿から目をそらしつつ、女子の票を固めるべく残った女子生徒に話を通していた。
この時点で1度も解答者にも出題者にもなっていない生徒が私を含めて5人いたのだ。
次に出題者になれなかった場合は、クラスは大きなマイナスを抱えてしまう。
そのことに危機感を抱いていたのはみんな同じで、どうにかクラスのリーダーに投票することでまとめることが出来た。
彼氏もまた私に投票し続けた結果、1度も出題者にも解答者にもなっていないというのが決め手となってくれた。
彼氏が解答者に選ばれれば、それで不参加を回避できるからだ。
これで3回目は、私の彼氏が選ばれるだろう。
必然的に他の女子生徒と一緒に抱かれることにはなるのは嫌だが、彼氏以外に抱かれることも、だからといって不参加でクラスの足を引っ張ることも、選ぶことは出来ない。
これが私に選べる最善の道だ。
胸を撫でおろしつつ、ようやく知恵の映像と向き合うことができた。
知恵は処女でこそなかったが、男性経験が豊富と言えるほどのものではなかった。
それでもクラスのために文字通り身を捧げ、何度も何度も中出しを許しながらも解答を続け、最終的には、11人全員正解するという奇跡的な快挙を成し遂げることができた。
その反動からか卒業後は男をとっかえひっかえするようになってしまったのは、見ていて痛々しく思うものの、私に知恵を責める権利など無いだろう。
私は知恵の頑張りを無に帰す、絶対にしてはいけない裏切りをしてしまったのだから。
知恵の頑張りもあって、11人×10ポイント×1.5倍でプラス165ポイントだ。
男子の解答者は、残念ながらプラスマイナス0に終わったが、1ターン目のマイナスを補ってなお、おつりが出る成果だった。
2ターン目を終わって、トータルでプラス155ポイントだ。
他クラスがどれだけ稼いでいるのか分からないだけに、安心できるほどではない。このまま最終ターンでプラスを積み上げることが出来れば、87ポイント差があったAクラスを逆転して、自分たちがAクラスになることも夢ではないだろう。
運命の最終ターンに、全てが託された。
投票が終わり、担任が解答者を発表する。
「男子の1位は……」
担任が告げた名前は、私の思い人だった。
根回し済みだったとはいえ、違う人が選ばれたらどうしようという私の危惧は、無用だった。
ほっと胸を撫でおろす。
これで後は、アイツ相手に処女を捧げてアイツが正解してくれるのを祈るだけだ。
形としては不本意なものになったが、結果として好きな人と結ばれることができるのなら、私に不満は無かった。
私は浮かれてすらいたのかもしれない。担任が女子の解答者の発表をするまでは。
「女子の1位は、茶柱佐枝8票だ」
担任の発表を聞いたとき、私は最初、担任が何を言っているのか分からなかった。
一番聞きなれているはずの自分の名前が、自分の名前で無くなったかのような感覚だ。
今担任は、何と口にした。
どうなった。
「パスする権利があるがどうする、茶柱」
この時点になって、私はようやく現実に追いつくことが出来た。
私は選ばれてしまったのだ。試験の解答者に。
それが何を意味するのか。
この試験は、男女が同時に試験に挑むものだ。
解答者に選ばれた生徒は、出題者になることはできず出題者からは、外されることとなる。
つまり、私と彼は同時に解答者に選ばれてしまった以上、彼は私の出題者になれないし、私は彼の出題者にはなれなかった。
私の処女を彼に捧げるという、ささやかな願いは崩れ去ることになる。
いや、まだだ。まだチャンスがある。
この試験はパスが認められている。パスをすれば私は処女でいられる。
口を開く前に、私は親友によって胸倉をつかみあげられていた。
「今、何て言おうとした? まさか、パスするとか言い出さないよね」
この学校に入学して以来ずっと一緒にいただけある。
知恵は私のことを完全に見通していた。
「知恵、私は……」
「ふざけるな。私が辛い目にあいながら頑張ってたのを見てたよね。それを台無しにするつもり?」
知恵は望んで試験に参加したわけではない。
2ターン目と3ターン目の間で、トイレで吐いていたのに付きそった。
知恵は何度も気持ち悪いと口にしながらも「これで追いつけるよね、抜けるよね」と弱音を吐かずにAクラス入りに近づいたことを呟いて自分を奮い立たせていた。
過ぎてしまったことを後悔しないようにしているように見えた。
「佐枝がここでリタイアするのなら、なんで私はクラスのくっさい男子なんかに……」
その言葉が示すように、思わず顔を背けたくなるような男の匂いが知恵からは充満していた。
身体を洗ってもこれだ。さっきまでどれだけひどい状況だったかを、私は嗅覚で思い知ることになった。
「は? おまえなに言い出すんだよ」
「そうだぜ、喜んでいたくせに」
「ふざけんな。誰があんたたちなんかに……最悪、最悪よ。佐枝はリタイアしないよね。ね」
もともと決壊しかかっていた男女の仲だ。
知恵の活躍で最悪の事態は避けられていたが、その知恵本人が男子に嫌悪感を向けてしまっては、もはや決壊は避けられなかった。
「は? リタイアとかしねえよな。その巨乳で楽しませろよ」
「それな。彼氏がいたから我慢してたけど、一回拝みたいって思ってたし」
「俺のデカチンなら一発で俺だって分かるぜ。安心して参加しろよ」
「男子、最低。今いうことじゃないでしょ」
「でも茶柱さん不参加とか言わないよね。リタイアだと茶柱さんが不参加で50ポイントに、8人指名してるから全員失敗で合わせて130ポイント。さっきの星之宮さんのプラスがほとんど無くなっちゃうよ」
「えー、そんなの絶対Aクラスに勝てないじゃん。参加するよね?」
私にとっては、男女の決壊など関係なくクラス中が敵に回っていた。
参加しなければ私はクラスでの居場所を完全に失うだろう。
だからといって、好きでもない男に処女を捧げることなど絶対に嫌だ。
せめて、男子の解答者に彼氏が選ばれていなければ、私もあきらめがついたかもしれない。
男子の解答者で彼氏が選ばれてしまったのが、ダメだった。
その時点で、私の気持ちは彼氏に抱かれることで完全に固まってしまった。
いまさらそれを覆すことは出来ない。
知恵に、揺らされながら彼氏の姿を探し、救いを求めるように言葉を待った。
「僕は参加する。佐枝ちゃんも参加して欲しい」
だが、彼がくれた言葉は私が望んだものではなかった。
より深い絶望が私に襲い掛かる。
今ならば、彼を責めるのは酷だったと理解している。
彼と私はクラスのことを優先させるというのが前提の上で付き合っていた関係だ。
試験結果を優先させるのは、正しい選択だっただろう。
責めるのは筋違いだ。私が悪い。
それでも、当時の私にとっては、裏切られたという気持ちにしかならなかった。
ここでやけになって、クラスメイト相手に処女を散らしていれば、また違った未来があったのかもしれない。
が、私が選んだのはリタイアだった。
心が耐えられなかった。
何を言っても言い訳にしかならないだろう。
結果として、私はクラスと親友とそして大好きだった彼氏をも裏切ってしまった。
私のリタイアでマイナス130ポイント。
それだけではなく、私がリタイアしたことが影響してしまったのか、彼氏も1度目はなんとか勃起させて射精まですることができたものの、2度目はどれだけ頑張っても固くなることは無く、正解者0名と言う最悪の結果に終わってしまった。
私と彼の2人でマイナス200ポイント。
1ターン目、男子+50 女子-60
2ターン目、男子+-0 女子+165
3ターン目、男子-70 女子-130
合計、マイナス45ポイント。
それがBクラスだった私たちがマン棒一致試験で残した結果だ。
この時は3ターンということもあり、一度も一致にならずに終わってもペナルティーは無かった。
他のクラスは、確実にプラスを積み上げており、私たちはAクラスと逆転するどころか下にいたCクラスやDクラスにすらも抜かれてしまい、試験後はDクラスまで転落していた。
与えたダメージはクラスポイントだけではない。クラスの関係も完全に冷え切らせており、その後の試験でもそこから浮上することは不可能だった。結局、そのままでDクラスで卒業を迎えることとなってしまった。
それが私たちに起きたマン棒一致試験だ。
彼氏のことを思って処女を守ったのに、彼氏とはこの試験をきっかけに疎遠となっていき、別れることになった。
親友だった知恵とも試験以来上手くいっているとは言い難い。
いまだに知恵は私のことを許していないのだろう。
私が全面的に悪いだけに、知恵の怒りを受け止めることしかできない。
この試験は、私にとっての呪いのようなものだ。
私の時間は、ある意味この試験で止まっているのかもしれない。
今受け持っている生徒たちはこの試験をどう乗り越えるだろうか。
願わくば第二の私のような存在が生まれませんように。
クラスを突き放していた私がそんなことを考えるのは偽善に過ぎないが、それでもそう願わずにはいられなかった。
私にできることは見守ることと願うことしかないのだから。
原作の茶柱先生は試験前日に付き合う。当日に自然消滅です。