今日は久しぶりの休日だったので俺は昼ぐらいまで寝てやろうと思った。しかし、朝8時30分頃に何かが破壊された音がしたせいでその理想は消された。俺は音のするほうへ向かった。するとそこには粉々になった家の扉とクッパの姿があった。
クッパは国の姫を連れ去ったり、他国をめちゃくちゃにするいわゆる悪いヤツだ。その度に俺はクッパと幾度となく潰しあいをしてきた。別にクッパが嫌いなわけではない。むしろ部下に慕われているという面では素直に尊敬している。とはいえ、悪いことをしていたら止めなければならない。それが俺、マリオの宿命だ。
今までクッパが俺の家にまで来たことはない。むしろ、家の場所すら教えたことはない。それなのになぜか今、俺の家に入ってきた。狙いは何なのか、なぜここがわかったのか聞きたいことは山ほどあるが何をされるかわからないので、恐る恐る顔をのぞかせて聞いてみた。
マリオ「…俺に何か用?こんな朝早くから嫌がらせか?ドアまで壊しやがって。」
クッパ「違う!」
マリオ「じゃあなんだよ。」
クッパ「き…決まっておる!デートだ!」
マリオ「デ…デートォ!?なんで俺がお前と!?」
クッパ「つべこべ言わずついてこい!」
マリオ「わ…わかったからとりあえず着替えさせろ!」
クッパ「では外で待ってるぞ。」
クッパはそう言って外に出ていった。
いきなりすぎて頭が混乱してる……。あいつは一体何考えてんだ?確かにあいつには姫をさらったりとか色々されてるが……いやいや、だからといってデートなんておかしいだろ!まず、付き合ってもいないのにデートってどういうことだ!?でも、なんかいつもより楽しそうな感じだったような気もしなくはない……。うーん、わからん。まぁいいか、とにかく今は急いで支度しよう。
そして、10分後……
クッパ「遅いではないか!いつまで待たせるのだ!」
マリオ「仕方ないだろ!急に来たそっちが悪い!」
クッパ「早く行くぞ!」
マリオ「はいはい……」
こうして俺たちは町に出た。だが、まだどこに行けば良いのかわからない。
クッパ「どこに行く?」
マリオ「えっ……?まさかノープラン!?」
クッパ「うるさい!だって我輩初めてなのだ!デートというものは!」
マリオ「……(汗)」
マジかよこいつ。どんだけ不器用なんだ。でも、この反応を見る限り本当に初めてのようだな。ということは、俺にとっても人生初のデートということになるわけだ。なんか緊張してきた……。
クッパ「どこか行きたいところはあるか?」
マリオ「そうだな……。じゃあ、映画でも見ようぜ。」
クッパ「よし!そうするか!」
ということで映画館に向かった。チケット売り場の前に立ち止まった。
クッパ「どれが良い?」
マリオ「そりゃあやっぱり恋愛ものだろ」
クッパ「ならそれにするか。」
2人分のチケットを買った。
クッパ「ん」
クッパはチケットを渡してくれた。
マリオ「ありがとさん」
早速席に着いた。俺は一番後ろの真ん中という最高のポジションに座った。隣にクッパがいる。
クッパ「ん。」
そう言ってクッパは手を出してきた。無視するのも可哀想だったので仕方なく手を繋いであげた。横顔を見てみると少し照れているように見えた。
それからしばらくして上映が始まった。内容はよくあるラブストーリーだったが、意外にも面白かった。こういうのを見ると人は恋に落ちやすいのかもしれない。俺もちょっとドキッとした。エンドロールが終わり照明がついた。
クッパ「なかなか良かったな。」
マリオ「ああ。結構面白かったな。」
クッパ「また来たいものだな。」
マリオ「…まぁ、悪くはなかったかもな……」
正直言うとかなりドキドキしたし楽しかった。映画を見てこんなに楽しいと感じたことは生まれて初めてだった。俺は何度も潰し合いをしているうちにクッパのことが好きになっていたんだろう。でも、相手は悪の大魔王だ。叶わない恋なのはわかっている。それでも諦めきれない。もういっそのこと告白してしまったほうが楽になるのではないか。そんなことを考えていたら、クッパは立ち上がった。
クッパ「さて帰るとするか。」
マリオ「おい待てよ。」
俺は無意識のうちに呼び止めてしまった。
クッパ「どうした?」
マリオ「あ……あの……その……」
言葉が出なかった。するとクッパが口を開いた。
クッパ「まだ、早いから散歩でもするか。」
俺は黙って首を縦に振った。
俺とクッパは近くの公園に行った。噴水の前で足を止めて空を見上げた。綺麗な青空が広がっている。こんな日が毎日続けば良いのにな……。そんなことを思いながらふとクッパの顔を見た。そしたら目が合ってしまった。恥ずかしくなって目をそらそうとしたらクッパが俺の手を握ってきた。
クッパ「なにを見ていたんだ?」
マリオ「え……?あ……いや別になんでもないよ。」
クッパ「そうか。」
しばらく沈黙が続いた。そしてクッパが話し始めた。
クッパ「なぁ……その……なんだ……おまえは我輩のことをどう思っとるのだ?」
マリオ「え……?それはどういう意味?」
クッパ「そのままの意味だ!我輩のことどう思ってる?」
なんでそんなことを聞くんだよ……。答えられるわけがないじゃないか……。好きだなんて……。
マリオ「……き…嫌いじゃない…から困るというか…。」
クッパ「そうか……そうなのか……。」
クッパは悲しげな表情を浮かべたあと俺を抱き寄せた。
マリオ「な……なにするんだ!?こんなとこでそんなことしたら見られてるんだから恥ずかしいだろ!」
クッパ「構わん……。」
マリオ「いや……そういう問題じゃなくて……。」
クッパ「じゃあ、どういう問題があるんだ?言ってみろ……。」
マリオ「そ……それは……だから……その……恥ずかしい……だろ……。」
クッパ「それだけか?」
マリオ「……。」
クッパ「本当は?」
マリオ「……好き……だから……。」
クッパ「聞こえんぞ……。」
マリオ「だから!好きだって言ってんだろ!」
クッパ「やっと言ったか……。まったく素直ではないなお前は。」
マリオ「うるせぇ!離せよバカ!もう帰るぞ!早く離れろよ!」
クッパ「嫌だ。」
マリオ「いいから離れてくれって!マジでヤバイだろ!周りの目線が痛すぎるだろ!お願いだから!マジで頼むって!」
クッパ「ダメだ。絶対に離れてやらん。」
そして、クッパは俺をさらってキスをした。
マリオ「んん……んん……。」
長い時間ずっと唇を重ねていた。ようやく解放された頃には息が上がっていた。
クッパ「ハァ……ハァ……。」
マリオ「何すんだよ……。」
クッパ「これでもう逃げられないな。観念しろ……。今日は我輩の城に泊めてやる。」
マリオ「ちょっ……待てよ!急すぎだろ!」
クッパ「うるさい!行くぞ!」
マリオ「うわっ!?引っ張るな!」
いつもクッパ城に行く時はクッパと敵対していたが、今日は違うのでクッパ城が新鮮に感じた…。